幻想殺しと電脳少女の学園都市生活 作:軍曹(K-6)
使命感だけで書き上げました。
2020年10月26日午後1時18分。
三度の破裂音に続いて道路の真ん中にDMC-12が出現した。
そこはお昼の学園都市。何人かの学生が振り返ってその車の事を見ていた。
「・・・あー昼にしたのは間違いだったかな」
「いえいえ。お昼にしないと暗闇の中では何も見えません」
「まあそれもそうか」
DMC-12は上条達を乗せたまま、暫く街を走っていた。
「あー。ご主人」
「何だ?」
「そこ右です」
「早く言え!!」
ブレーキングドリフトで上条は交差点を右に曲がる。
「・・・ふぅ。警備員とかに目をつけられてないといいけど」
「それ、フラグって言うんじゃないですか?」
「はっはっはっ。んなバカな・・・」
上条は力なく笑う。
そんなこんなで暫く走り、一つの研究所の少し離れた所にDMCー12は歩道に寄せられて止まる。
「・・・ここだな。じゃあ解除よろしく」
「任せてください!」
そう言った貴音の体から意識が抜け落ち、上条が支える。貴音は現在電脳少女エネになり、この研究所のコンピュータ系をジャックしているのだ。
「・・・・・・完了です!」
「よっしゃ。んじゃ、爆弾設置とサーバデータ破壊は任せた」
「ちょっ! 頼むこと多くないですか!?」
「安心しろ。人間は全部こっちが受け持つ」
そう言って上条は研究所の中に飛び込んでいった。
研究所の中は混乱状態だった。
「何だ!? 何が起きている!!」
「襲撃者です!」
「何だと!? どこのどいつだ!!」
「ここのコイツだよ。・・・しかしよぉ、
「こ、黒皇龍!!」
「は、はは。アハハハハハ!! ま、まさか目標からこっちに来てくれるとは」
「?」
「キサマがここにいるという事は、あの電脳少女もここにいるんだろう? は。今はキミに感謝するよ。黒皇龍」
「なるほどな。やっぱりエネの多種能力が狙いか」
「彼女は今どこにいるんだい? ああいわなくてもいい。君を殺せば出てくるだろう?」
「ま、そうかもな。だが、できもしないことは言うものじゃないぜ?」
上条は楽しそうに笑いながら手の中でジャッカルを回す。
「俺の貴音を実験材料にしようとした時点で、お前達の未来は『死』しかないんだよ。諦めろ」
「諦められるか・・・。見せてやる!!」
素早く傍にあったボタンを叩き潰す勢いで押す研究員。少しして壁が破壊されて、中性的な顔立ちの子供が飛び込んできた。
「・・・へぇ。本元の少女の管理者か」
「おい? 誰に断って俺の貴音をそんな呼び方してんだよ」
「ボクはボクのルールで生きてるよ」
「ああそうかい。で? 俺の目の前にレプリカとして現われたって事は、それなりの覚悟は出来てるんだろうな?」
「出来てると思う? 黒皇龍さん」
「勝手に出来てるってことにしてやるからかかって来いよ」
「いいよ。やってやるよ」
と、そこで上条が
「ところで、オマエ。男? 女?」
「ッ! ・・・まさか分からないの?」
「あっはっはっ。中性的な顔立ちっつーか女の子の顔じゃん。どっちなのさ」
「見ての通りだよ」
「どっちだよ」
「ボクは女だよ!!」
「うん、知ってるwww」
(コイツ・・・ウザい・・・)
神々の義眼で全て見通す上条は要らぬ質問をする。準備が整った所で少女の方が飛びだした。
「見せてあげるよ!」
「おっ。空間移動」
「はぁッ!!」
「だが遅い」
テレポートからの突きを風歩でかわす上条。
「フハハハハッ! 貴音と手合わせし続けてきた俺に、劣化番で敵うと思うな!」
「・・・コイツ・・・。殺してぇ・・・」
「こら、女の子が汚い言葉使っちゃダメだぞ♪」
「キモいわぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあああ!!!!」
「だろうな」
「ウゼぇ!」
丁度その時、上条のヘッドセットにエネからの通信が入る。
『ご主人! こっちはいつでもOKですっ!』
「・・・・・・どうやらゲーム終了のようだ」
「「・・・・・・は?」」
「学園都市製小型核弾頭を喰らいなっ!!」
上条の姿が消えた瞬間。研究所が核爆発で消し飛んだ。
そこから少し離れた場所。カバーが掛けられた車の傍に上条と貴音が現われた。
「・・・うっはー。大爆発ですねぇ!」
「さて、
「ですねっ!」
DMC-12に乗り込む二人。来た時間に時間をセットして、時空を越えて消えていった。
*
○○○○年10月26日午前1時30分
三度の破裂音と同時。DMC-12が道路上に出現した。
「・・・帰って来れたのか?」
「・・・・・・みたい・・・ですね」
「・・・まさか今までの事全部夢だとかないよな?」
「流石にそれは・・・ないでしょう」
あの駐車場にDMC-12を走らせる上条。入れ違いでスキルアウトのバンと過去のDMC-12が駐車場を出ていった。
「・・・あっぶねー。この時間かよ」
「ギリギリ見つかりませんでしたね・・・」
「「あ・・・ドック!!」」
ドリフトターンでブレーキをかけてDMC-12から飛びだした二人は、地面に転がるブラウン博士の体に近づく。
「お、おい。無事か? ドク?」
「・・・ご愁傷です」
「勝手に殺すなよ」
「「生きてるのかよっ!!」」
「当たり前だ。私を誰だと思ってる?」
「「天才科学者エメット=木原=ブラウン博士」」
「その通り!」
ブラウン博士の無事を確認した二人はそのままDMC-12で学生寮まで送ってもらう。
「三十年後に行くなら一つ忠告」
「何だ?」
「再突入の時、少し衝撃があるぜ」
「了解した」
夜の街に莫大な光量を撒き散らしてDMC-12は消えた。
「ハァ。とんだ一日でしたね」
「まぁまぁ楽しめたさ」
―――次の日。
学生寮前で土御門と上条・貴音は話していた。
「それで、最近どうなんだ」
「ん? 何が」
「レディリー=タングルロードだ。一応
「安心してください土御門。今のところ年相応の女の子になってきてますから」
「ほう。やはり貴音っちは侮れんな」
「もちろんです」
と、そこで後方で強い風が吹いた。
「「「?」」」
どこかで聞いたような破裂音と共に出現した車が、不自然な形で自転車を数台倒しながら突っ込んできた。
「「あ・・・あれは」」
「何だ?」
勢い良くガルウィングが開き、まったく似合っていない派手な服を着た見慣れた顔が現われた。
「上条君、私と一緒に来てくれ」
「・・・どこへ?」
「未来へ帰る」
「・・・なぁドク。そのゴミどうするんだ?」
「燃料だよ」
ブラウン博士はそう言うと、MR.FUSIONと書かれたパーツを開閉し、中に近くのゴミ箱から取り出した生ゴミを入れていく。
「燃料?」
「さぁ、早く。乗った乗った」
「あー。行くぞ、貴音」
「り、了解です」
乗り込んだ上条はスマホの中に“彼女”がいる事を確認する。
「まさか一日も経たない間に乗る事になるとはなぁ。・・・ところでドク。八十八マイルまで加速するにはこの道じゃムリだぜ?」
上条のその言葉に、色々とスイッチ類をいじっていたブラウン博士は。
「道か。これから行く先に、道なんて必要ない」
「『は?』」
ブラウン博士がスイッチを操作すると、DMC-12の車軸が九十度曲がり、車体が宙に浮く。
「空飛ぶデロリアン?」
そのまま八十八マイルまで加速して、消えた。
「・・・・・・一体どうなってんだにゃー?」