幻想殺しと電脳少女の学園都市生活 作:軍曹(K-6)
―――五月。人間が怠惰になるこの季節に、元気が有り余る少女が居た。
「ふっふーん」
「偉そうにしてるが、そんなに強いのか?」
「あったり前じゃない! これに関しては当麻よりもうまい自信があるわよ!」
偉そうにふんぞり返っている貴音だが、威張っている内容はオンラインゲームの物であり、上条はどうでもいいだろそんな物。と思っている。ただし、オンラインゲームとは言っても流石は学園都市。ゲームセンターの台で対戦さえできるという使用だ。
「へぇ。で? 何だっけハンドルネーム」
「ENEよ。ENE! 学園内二位の実力なんだから! 百万人の中の二位よ!」
「二三〇万の中の一位が友人にいるだろうが」
「そんな事はどうでもいいの!」
「良くねーだろ。って言うかお前そのハンネ好きだな。動画録画してる時もそのハンネだったよな」
「う、うぐっ」
「えのもとたかねの最初と最後をとってエネ。か・・・。お前センスなさ過ぎだろ」
「いいじゃないの! ・・・・・・そこまで言うんだったら見せて上げるわ! 閃光の舞姫。エネの実力をね!」
「ヤダよ」
「なんで!」
「どうせアレだろ? 俺にお前と対戦しろって言うんだろ? 面倒だからヤダ」
「負けるのが怖いんでしょぉ~」
「勝っても得るものがないだろ」
「じ、じゃあ! アンタが勝ったら当麻の事ご主人様って呼んで何でも言うこと聞いて上げるわよ!」
「いや、別に要らないし。・・・でもそうだな。自分をかけるほど勝つ気満々なら。それはそれで面白そうじゃねェか」
「ふっふっふっ。勝つわよ」
・・・ゲームセンター。
「何そのカード」
「え? 登録者用カード。装備とか色々あるのよ」
「へぇ」
「アンタはゲストで十分じゃない?」
「かもな」
上条はスナイパーライフルを選択する。と、コントローラーが選んだ銃の形に変化した。
「へぇ。ここまで学園都市の科学力は発展してんのか」
「まぁ、学園都市だしね」
そういう貴音はマシンガンの二丁拳銃だった。
「反動とか大丈夫なのか?」
「ゲームのコントローラーよこれは」
「そうか」
そしてゲームが始まった。貴音の画面は忙しく動くのに対し、上条の画面はゆっくりと少しずつ動いていく。
(スコアは当麻の方が上! 負けるのはイヤッ! いや、別に負けても良いけど・・・)
(簡単だなーこれ。何でこんなゲームに皆夢中になるんだろ。現実で掃除してた方が楽しいだろうに)
最終スコア【touma WINNER!】
「うがぁぁぁ! 負けたぁぁぁぁ」
「簡単だな。このゲーム」
「う、うぅ・・・」
集まっていた周りもざわざわとし始める。帰り支度を始めている者もいるのだろう。
「あ、別にあの罰ゲーム無効で良いから。どうせやっても意味ないだろうし」
「なッ!?」(コイツは、またそうやってムカつくことを! 記憶を失ってもアンタはアンタかっ!)
色んな意味で悔しがる貴音を置いて、上条は家に帰ろうとしていた。
「あ、悪い。貴音、仕事が入った」
「え。あぁ、そうですか。では私は趣味をして帰ります」
「オッケー」
―――廃墟ビルの上。
「で? 内容は」
『つい最近落ちた船のことを覚えているか?』
「あー。確か八十八の奇蹟。オリオン号だっけか」
『その真実を隠してくれ』
「真実を?」
『あのオリオン号は出発した時と着陸した時で人数が変わっている』
「ハァ?」
『八十八人乗っていた乗員乗客は八十九人に増え、一人。オリオン号の機長が・・・死んだ』
「奇蹟を起こした張本人が死んで、讃えられることもないってか? でもだったらその事実を公表した方が良いんじゃないか?」
『そういう考えの者がいる。その組織を潰してほしい』
「いや、だから」
『今更公表して、誰が喜ぶと言うんだ? 全員助かったと世間は盛り上がっていたし、死体もない。例えご家族も、公表したら何故公表したと言い、公表しなかったらひた隠しにしてと恨むだろう』
「ならいっそ、多数派に合わせるといった所か」
『不満か?』
「いや? 民主主義派な人間の良くやることだ」
上条は了解と仕事内容に頷いて闇の中に消えていく。
一方貴音は、カメラを片手に髪を青く染め、顔に電極を貼り付けて歩いていた。
「うぃ~」
「あ、あの・・・」
「にゅ?」
「エ、エネさんですか?」
「何故私の名を!?」
「あ、有名だから・・・」
・・・近くのベンチ。
「はぁ、鳴護アリサさんですか・・・」
「うん。エネさんってすごいよね。歌ったり踊ったり実況したり・・・」
「そういう事をやりたいからやってるんですよ。アリサちゃんも何かやってみたら?」
「何ができるのかな・・・」
「とりあえず、歌ってみる?」
歌姫を歌に導いていた。
拳銃の発砲音が響く。構成員は全員脱落。そして、
「お前も暗部か?」
「結局、私はここまでってわけよ」
一人の少女を前に上条は立っていた。
「答えろ」
「貴方、黒皇龍さんよね。私じゃ絶対敵わない。裏じゃ任務失敗は死を意味するって知らない? 余計なことは喋らないってわけ」
「じゃあ、俺の方に来るか? 賃金は弾むぜ?」
「黒皇龍の下に? 嬉しいお誘いね。情報を話したら殺すなんて事されちゃうわけ?」
「いんや。珍しい
「・・・・・・生かしてもらえるの?」
「当たり前だ」
「・・・失敗したら殺されるとか」
「ないない。こっちでカバーする」
「・・・そっちに行くってわけよ! これからよろしくお願いしますリーダー!」
「おう」
と、そこで上条は一瞬で学生服に着替える。その腕には
「リーダー?」
「少しの間だけ上条でよろしく」
「り、了解!」
「上条くん! 大丈夫!?」
「俺も今来たところだ」
風紀委員が何人かやってくる。
「あれ。貴音さんは?」
「流石にいつも一緒じゃないですよ」
「そ、そうなの? あんなに仲良しなのに・・・」
「余計なお世話です」
事後処理に追われたが、なんとか上条と少女は解放された。
「リーダーは風紀委員なの?」
「ああ。裏の仕事で事件現場に良く居合わせて、なおかつ解決してたりするからスカウトされた。貴音って言うのは俺達の組織のもう一人のメンバーな」
「へぇー」
「そう言えばお前。名前は?」
「フレンダ。フレンダ=セイヴェルン!」
「よろしくな。フレンダ」
上条はフレンダに
貴音はアリサに出会いました。