幻想殺しと電脳少女の学園都市生活 作:軍曹(K-6)
次の日も補修だった。
夕暮れの教室の真ん中に一人、ポツンと生徒が座っている様はなかなかに哀愁を誘う。始めの方こそ『うわー過疎化の進んだ村の小学校かよ』とか皮肉っていた上条だが、直後に『そういえば修行時代もこれとほぼ同じ様な感じだった』ことに気づいてうんざりとした気持ちになった。
だがその補修も今日で終わる。八月二十一日にもなってようやく夏休みスタートかー! という絶望的な気分にならなくもない上条だが、それでも補修から解放されるのはやっぱり嬉しい。
上条は真正面の教卓を見る。
そこには見た目十二歳、身長百三十五センチの女教師、月詠小萌が教卓から顔だけ出す形で立っている。教卓の上にテキストを置いて喋っているのだが、あれなら自分の手で持った方がはるかに読みやすいのでは?と思う上条だった。
「一九九二年にアメリカで再制定されたEPSカード実験の必須条件ですがー、カードの素材がビニール樹脂からABS樹脂に変更していますー。これはカードの表面に付く指の油、指紋によって裏返したカードの種類が分かってしまうというトリックに対するモノで―――って上条ちゃん、ちゃんと聞いてるんですかー?」
「・・・・・・、いや先生。ちゃんと聞いてるけどさー、これって『力』と何か関係あんですか?」
上条は無能力者(レベル0)である。
精巧無比な機械で測った結果、あなたは頭の血管が千切れるまで頑張ったってスプーン一つ曲げられません。と言われているのに『力』が弱いから補修です、と言うのは何事かと上条は思う。
いや、正直言ってしまうと『限界を超える』だの『才能の壁をぶち破る』だのいった事を上条は『すでに何度も経験している(と言うかさせられている)』ので
【もしかして右手の力を受けないとんでもない能力に目覚めるかもしれない・・・・・・!!】
と淡い期待はしているのだが、少なくともこの『学園都市の科学技術』では『上条当麻』を『科学的』に『能力者にすることは』不可能。だと思う。そもそもピンクの悪魔のような能力を持っているのだし―――
―――馬鹿にしているわけでも蔑んでるわけでもなく、これが上条当麻の冷静な評価だった。
と、思考に駆られている上条に小萌先生は口をへの字に曲げて
「でもでも。力がないからといって諦めてしまっては伸びるものも伸びないのです。ですからまずは『力』とはどういうものか、初歩の初歩から知識を学ぶ事で、自分なりの『力』の御し方が発見できるのではないかなー、と小萌先生なりにですね」
と、まあもっともらしく、上条が納得出来るように話す小萌先生だが
「先生」
「はいー?」
「いや、それで俺がキチンと学んでなくていつもダラダラと授業を受けてるだけなダメ学生だったらまだ分かりますけどね―――夏休み前の期末も! その前の中間も!! 筆記だったら上条さんは学年内トップクラスの成績だったでしょうがぁぁああああああああああああああああああ!!」
そう、前にも言ったが上条は学校で定期的に行われるテストで常に学年内トップ一〇に入るほどの優等生だ。『筆記だけ』ではあるが、それは能力開発も例外ではない。
『努力しない人に成功は訪れない』と言うのは分かるが、じゃあ『努力しても成功しない』場合はどうすれば良いのか?
師匠ならこう言う『努力の『仕方』が悪い』
姐さんならこう言う『得手不得手が人にはある。大切なのは実際に習得できるか出来ないかじゃなく『やるかやらないか』だ』
教授ならこういう『調整と分析と発想が足りない。』
童師ならこう言う『まぁ、臨機応変に素敵に楽しくやれば良い。諦めるも諦めないも『お前の自由だ』』
そして・・・・・・
『・・・・・・まぁ、すぐにそれが発揮される事は無いかもしれませんが。努力し続ける―――つまり『諦めないこと』『信じ続けること』に意味があるのだと思いますよ?』
エネはニッコリと笑って、一言告げる。たったそれだけで、ぐっ・・・・・・! と上条は押し黙ってしまう。
それが今の上条当麻と言う人間を作っている重要なアイデンティティなのだから無理もないだろう。
その謳い文句は修行時代に何度も何度も言われたそれで、エネのその小さな後押しの言葉があったからこそ、あんなに弱かった自分が、あんなに辛かった修行の数々に挑むことが出来たのだ。
あんなに恐かった数々の敵に立ち向かうことが出来たのだ。
信じ続け、諦めずに、強さを求めることが出来たのだ。
諦めなければ、諦めた、事にはならないのだから。
信じなければ、諦めない、事など出来ないのだから。
上条当麻は軽くため息を付くと教卓の前で「ううううううううう」と唇を噛んでうなっている小学生体型先生を見る。
きっと彼女は諦めていない。いつか、いつか上条に能力が発言するであろう事を何の根拠もないのに信じてくれている。
上条が頑張っているのを知っているからこそ『何の能力も発現しない』と言う現実に、教師である彼女は上条以上に苦しめられているのだろう。
だからこそ、上条はこう言った。
「うー☆、ってしないでください、うー☆って! そんなんじゃ俺困りますから!!」
「そーですか?と言うかなんで上条ちゃんは成績にそこまで影響する訳でもないのにきちんと補修に来てくれるんですか?」
「え、あ・・・・・・そりゃ、上条さんがですね・・・・・・好き、だからですよ―――」
「ぶっつ、ふぇえええ/////////」
「ご、ご主人! アンタなにを―――!!」
「―――小萌先生の授業。なんだかんだでこの学校の先生達がする授業の中では一番理解しやすいと思うし」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・、あー。そうですね、授業ね。びっくりしましたー・・・・・って、あっ! そうそう授業です授業! 補修です補修!! ほら上条ちゃん、テキスト百八十二ページの犯罪捜査における読心能力者サイコメトラーの思考防壁の所から読んで下さいー」
そんなこんなで今日も補修の時間が過ぎていく。
ちなみに、今日の補修のあいだ、小萌先生は何故かとってもご機嫌で、エネは何故かとっても不機嫌だった。
そうして夏休み最後の補修が終わった。
時刻は午後六時四十分。完全下校時刻に設定された終電に乗り遅れた上条は、夕暮れの商店街をのんびり歩いていく。
『夜遊び防止』との事で、学園都市の終電バスは基本的に午後六時三十分なのだ。交通機関を眠らせることで深夜の外出を押さえ付ける方針らしい。
あー、やっと終わりか、とにかく長かったなー、ちくしょー海でも行って夏の開放感を―、とか考えながら上条は夕暮れの帰り道を歩いてゆく。風が吹いているようには見えないが、風力発電のプロペラがクルクル回っていた。
と、上条は思い出す。発電機のモーターはマイクロ波をあびせると回転すると言う話を―――
『ご主人!』
ん? とエネの声に反応して人込みを見ると、その中に見慣れた後姿がある。常盤台中学の夏服を着た茶色い髪の女の子―――御坂美琴だ。
ああ、もしかして彼女が無意識に放っている微弱な電磁波に反応して風力発電のプロペラが回転しているのかもしれないな。と上条は思う。
「・・・・・・で、どうしろってんだよ、避けろってか? いや上条さんとしても反対する理由はないんですがそこまで徹底して避ける必要・・・・・・」
『ちがいます』
と、エネは上条の言葉を途中で強引に遮った。
その声が、ひどく真剣なものに変わっている事に気づいて、上条は息を飲む。 本人に自覚はないだろうが、かくいう上条の表情や目つきも、エネの声を聞いた途端、一瞬で引き締まったものに変わっていた。
『今日はむしろ会いたかったくらいです。ご主人、昨日の・・・・・・あいつの「妹」について尋ねてくれませんか? さりげなく、少しで良いです。普通に「見かけたから一緒に帰ろうと思って話しかけた・・・・・・ところで昨日お前の妹にあったんだけど・・・・・・」くらい気楽な感じで宜しく』
「なーんちゃって! あーちょっと詩人になっちゃったわ、あはははは!」
ずびし、と美琴は理由なく上条にチョップするが、上条の身体能力は中坊のおふざけを許すほどやわに作られていない。体を反転させて難なく避ける。
「けどアンタも夢がないわよねー。人の心を持った高度なSFコンピューターと人間の友情ドラマ、なーんて結構ロマンがあると思ったりしないのかしら。例えばメイド型戦闘ロボとか・・・・・・あ? 何いきなり固まってんのよ」
いや、流石にここで「限りなくそれに近い人と知り合いですが何か?」とは言えない。
沈黙する上条に若干の違和感を覚えつつも、美琴は『じゃ、私こっちだから』と言ってさっさと立ち去ってしまった。
と、そんな二人の会話を、ただ静かに聴き続けている人物がいた。
目を細め、片方の手で口元を隠すようにして、あからさまに『何か考えています』と言わんばかりの格好をしたエネである。
(・・・・・・)
妹の話になった時の御坂の様子
夕空に浮かぶ飛行船
飛行船に取り付けられた大画面エキシビジョンに浮かんだ「筋ジストロフィー」とか言うものの研究施設が二週間で三件ほど相次いで撤退を表明したと言う事実
それを忌々しげな表情で見つめた御坂
学園都市が打ち上げた人工衛星
今後二十五年は誰にも追いつく事が出来ないと言われているスーパーコンピューター『樹形図の設計者ツリーダイヤグラム』
『樹形図の設計者』は「天気予言」だけではなく、研究の予測演算にも使用されている
それが嫌いだと告げた御坂
そして
【―――――――――なんて言われてるけど、実際そんなばかげた超高度並列演算機アブソリュートシュミレータ―なんて存在するのかしらね】
美琴の雰囲気がいつも通りに戻る前に放った一言。
それらを頭の中で半濁し、演算し、考え、それをもう一度半濁・・・・・・その作業を繰り返し続け、エネ貴音の脳内はたった一つの真実に限りなく近い答えを得る為のカギのありかを高速で見つけ出した。
「にしてもアイツ様子おかしかったよな。テンションが不安定だった事もあるけどなんつーかこう・・・・・・あー・・・・・・」
『不穏な空気を他人に見せないように、触れさせないように、丸ごと自分で抱え込んでるみたいな、ですか?』
そうそうそれそれ! と、様子を上手く表現する事が出来ずに唸っていた上条は叫んだ。まるで喉の奥で突っかかっていた魚の小骨が取れたような気分になる。
「で、何か気づいた事があったんだろう名探偵エネ君? というか一体君は何がしたかったんだい?」
と、英国一有名な探偵の助手風に尋ねる上条。
そんな上条のネタ振りを完全にスルーし、エネはいつもの調子で上条に尋ね返す。
『ご主人「筋ジストロフィー」ってどんな病気でしたっけ?』
上条が『筋ジストロフィー』の説明をしてすぐ、エネは「確かめたい事がある」とか言ってさっさとネットの世界へ行ってしまった。もしかしたらその先で実体化(上条にしか見えない)しているのかもしれないが、それは見ないとわからない。
最初はそれにならうつもりだったのだが『いや、良い。ご主人がいるとややこしい事になりかねませんし、そもそも私の思い過ごしかもしれませんし。絶対に戻りますから』
―――と突っぱねられた上条は、一人寂しく寮への道を歩いていると言う訳である。
―――後になって思ったのだが、このとき、変な意地を張ってエネに付いて行かなくて本当に良かったと思う。
そうでなければ上条は、『幸運にも』巻き込まれずに『すんでしまった』かもしれないのだから。
エネと分かれた場所から少し道を進んだ所で、道路脇にしゃがみこんだ美琴を発見した。そこは風力発電所のプロペラの真下で、支柱の根元にはダンボール箱が置いてある。
ヤバイ、なんか嫌な予感がすると上条の脳内が警報を発した瞬間、ダンボール箱の中に黒猫が突っ込んであるのが見えた。
美琴は黒猫に餌を与えようとしているのか、菓子パンを持った手を黒猫にゆっくりと近づけているが、怯えきった黒猫はなんかゲンコツでも振り上げられているように耳を伏せて丸くなってしまっている。
先ほど分かれたばかりの、それも上条とは違う方向へと向かって行った美琴と再び遭遇? と、この『魂の波長を見る』能力が無かったら困惑していたかもしれない。
しゃがみ込んでいる自分の足元に暗視ゴーグルを置いているその人物は、もちろん美琴ではなく
「うっす。昨日はジュースとノミの件、サンキューな『御坂妹』」
当然、『妹』の方である。
「・・・・・・、特に謝礼が目的ではありません、とミサカは返答します」
無表情の中にムッとしたものをにじませつつ、御坂妹は地面に置いていたゴーグルを額に引っ掛けた。菓子パンを持っていた手も引っ込めてしまう。
「ゴーグルを外していたのは、猫はレンズを嫌う特性を持っているという事前情報に従っただけです、とミサカは説明します。・・・・・・ところでなぜあなたはお姉さまと遺伝子単位で同じなミサカを見てもすぐにミサカだと分かるのですか、とミサカは問いかけます」
言いながら、何故か御坂妹は無表情のまま菓子パンを後ろ手に隠してしまう。今まで怯えていたくせに黒猫がみーみーと不満そうな声を上げた。
御坂妹の問いに対し、上条は、う~ん、と困ったように唸る。
『俺、魂(の波長)が見えますから』とドストレートに言っても私的にはなんら問題ないし、学園都市には本当にそういった能力者がいそうなのだが、師匠達や『あちら』側の都合などを考えると言わない方が賢明だと思う。
「いや、普通に見りゃ分かんじゃねーの? ゴーグルをさ」
もっともらしい答えを返す上条に、御坂妹は一瞬だけ間を置いて「・・・・・・そうですか」と返答した。 なんというか色々と素っ気無い御坂妹に上条はため息を付いて。
「でも、猫がレンズ嫌いって知ってんならわざわざゴーグル掛けなおしてどーすんだよ? 何、ひょっとして個人的に見られたくなかった訳?」
そう、無表情で動作に落ち着きが無いから分かりにくいが、上条にはなぜか、御坂妹は人に見られて慌ててゴーグルを掛けなおしたように見えた。
「・・・・・・別に、そういう訳ではありません、とミサカは答えます」
答える声は即答だったが、何故か表現は曖昧だった。 上条は『?』と首を傾げる。
その昔、動物好きな上条の師匠がにへら、という効果音が付きそうなだらしない笑顔で子猫を文字通り猫かわいがりしている姿を見てしまい、その直後に「勝手にプライベートを覗いた」とかいうわけの分からない理由でボッコボコにされている(恥かしさで顔を真っ赤にして固まるというかなりレアで可愛い姿を拝めたのだが)
上条としては、もしかして言動に表さないだけで実は御坂妹は今物凄くお怒りなのでは? と内心ビクビクしてしまっていたりしたのだが、どうやらそれとは違うらしい。
「なら猫を撫でるなり菓子パン与えるなりすりゃ良いじゃん。猫、嫌いじゃない・・・・・・」
と、ここまで言って上条はようやく自分が失言しているという事に気がついた。
「・・・・・・わりぃ。姉貴と同じでお前も発電能力者エレクトロマスターだったな」
御坂姉妹は双方共に『電撃使い』だ。教能力者以上のほとんどの発電能力者に言える事だが、彼らは自分の意思とは関係無しに常に体の周囲に微弱な電磁波を形成している。
つまり『発電能力者』はごく自然に動物達に嫌・・・・・・避けられてしまいやすい体質になってしまうのである。
「はい。ミサカには致命的な欠陥があります。とミサカはあなたが脳内で思い描いているであろう事実を認めます」
「欠陥って、やな言い方すんなよ」
「いえ、お姉さまを含めた他の発電能力者の方はともかく、ミサカの場合はこの表現が適切です、とミサカは説明します」
「・・・・・・」
上条は考える様に僅かばかりにその瞳を細めた。昨日、帰り道で始めて会ったその時から、御坂妹から放たれる何だか妙な空気を感じ取っていたのだが、今の御坂妹の発言でそれがさらに強まったような気がした。もっとこう、なんだかキナ臭い感じへと。
そうだ! こんなときは情報を整理してみよう、と上条は脳内の中に御坂妹と出会ってから得た数々の情報を広げてゆく。
美琴の妹
ミサカ
青と白のシマパン
美琴と同じ発電能力 (姉は超能力者妹は異能力者)
表情や感情を表に出さない
電子線を見ることが出来る軍用ゴーグル
パーフェクトクールビューティー
上条に見られて慌てて掛け直した軍用ゴーグル
黒猫
美琴と遺伝子単位で同じ
(おそらく)猫が好き
電撃使いが放つ微弱な電磁波
欠陥発言 ・・・・・だめだ、あと一歩、何かが足りない。これ以上頭を使っても無駄だと判断した上条は頭の回転を止めてはぁ、とため息を付く。まるで推理ゲームで先に進む為の重要な手がかりを見逃している様な気分だった。
「と、いうわけです。餌はあなたが与えなさい。というかあなたがこの黒猫を飼いなさい、とミサカは促します。ミサカはこの欠陥だけでなく、居場所や生活環境も一般とは異なりますから、とミサカは理由を述べます」
「お、俺が? ちょ、ちょっと待て! お前が拾う・・・・・こ、とは出来ないかもしんないけどでも上条さん家も結構狭いんでせめて里親を探すとかじゃだめでせうか!? つーか個人的な面でも結構訳有りな身でございましてですね」
狭い、というのは昨日インデックスが拾ってきた三毛猫が入り、上条の部屋は元からいた二人に加え銀髪シスターと三毛猫が住んでいる状況になっているため、エネが見える上条としては一人暮らし用の部屋に三人+一匹という視覚的に物凄く狭い空間に住む事を強要されている様な気分なのだ。
「訳あり、とは昨日清掃ロボットに乗っていたメイド奴隷の事ですか? それとも銀髪の修道女の事ですか? とミサカは交渉材料を提示してみます」
「ぶふぉあ! て、テメェいきなり何をっ・・・・・つーか昨日説明しただろうが! あのメイドは時々料理を教わりにくる師弟関係であのシスターはただの居候だ!! それに、それにも色々と複雑な事情と言うものがあってだな・・・・・・」
「TVなどで放送されるさまざまなニュースは実は断片的な事実でしかないという認識が出来ていますか? とミサカは質問します。例えばとある場所で殺人事件が起きて犯人が捕まって、しかし犯人に同情を禁じえないような悲劇的な事情があったとして『殺人事件が起きた事とその詳細』はニュースで伝えても『犯人の思いと苦痛』などを事細かに放送したりする事はないでしょう? とミサカは説明しました」
「ふっざけんな! それって単に『事情や詳細なんて知るか』って言ってるようなもんじゃねーか!!」
やましい事など何一つ無いはずなのだが、一般的で客観的な視点で見れば、可愛らしいメイドさんを弟子に取りしょっちゅう家に上げ、白いシスターにいたっては同棲までしている(本来ならもう一人、電脳少女がそこに入るのだがディスプレイの中が大半なので省略する)上条の所業はどう映るだろう?
周りから白い目で見られる自分を想像して思わず身震いする上条。 そんな上条を御坂妹は無表情なまま、ホンの僅かだがしかし確実に悪意を含めた眼差しで。ダンボールの中の黒猫は、何かに期待するようなあどけない眼差しで、それぞれジッ、と見つめ続ける。
今思えば、なんでこの時もっとよく考えなかったんだろうと思う。ヒントは全部出ていたはずなのに、アイツはとっくに気づいて行動を起こしていたのに
俺がもっとシッカリしていれば、御坂妹は・・・・・・