幻想殺しと電脳少女の学園都市生活   作:軍曹(K-6)

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侵攻と逆襲の幕開け Angel_Stalker.

上条は迷いも無く雪原を歩き続け、迷いも無く雪で出来た空洞に体を滑り込ませた。

 

「きゃぁ~雪で足が~」

「うるさい。邪魔」

 

何故かついてくるレッサーがわざとらしく抱きついてきたりしたので上条は払いのける。

 

「きゃ」

 

レッサーが尻もちをついているようだが、上条は気にせず空洞を進んでいく。

 

(む。これは以外と難しいですね)

 

内部には列車の線路が走っていた。平行するように日本の路線が奥の奥まで伸びている。

 

「資材運搬用か。魔術も魔術の方で力業使って隠してるな」

 

貨物列車が止めてあったのでそれに乗り込む上条。

 

「ちょ、ちょっとちょっと。何してるんですか?」

「本拠地に移動するために、定時で動くの待つんだよ。お前も見つかるとマズいから乗るなら早く乗れ。荷物に混じって移動するぞ」

「あ、はい」

 

上条達が乗って暫くすると、上条達が乗る貨物列車が動き出した。

 

「それにしても、何故私を乗せたんです? ついてくるなと言っておきながら」

「お前が見つかるとなし崩し的に俺も見つかるだろうが。面倒くさいんだよ、そう言うの。・・・今ここで骨も残さず消せば楽なんだろうけどな・・・」

「え゛? じ、冗談ですよね」

「ん? 俺何か言ったか?」

「え。いや、何でも・・・・・・」

 

暫くのんびり貨物と一緒に揺られていると、貨物列車の速度が落ちてきた。

 

「さて、降りるか」

 

上条は至って冷静に言うとそのまま貨物庫の扉に近づいていく。少しだけ扉を開けて、レッサーが人目を盗んで列車を降りたのを確認すると、上条は()()()()()()()()()()()()

 

「・・・なっ。何をしてるんですかーっ!? ・・・」

「良いからお前は隠れながら向かえ、俺は大丈夫だ」

 

上条はまるで誰にも気にされず歩いていく。そのまま出口を通って外に出ると基地に着いたようだった。

 

「さて、さて・・・。フィアンマ(アイツ)か、アイツの手がかりでもあれば良いんだけど」

 

スタスタと上条は止まる事無く歩いていく。ここまで誰にも見つかっていないのだが、レッサーにはそのからくりが分からなかった。

が、とある扉の前で上条の姿が消えた。先程までそこに居た人が忽然と消えたのだ。

 

(まさか、これが!? 人から完全に視認されなくなる術式とでも言うんですか!?)

 

慌てて扉の中を覗いても、上条の姿は見えなかった。見えたのはフィアンマの姿だった。

 

(いきなり大本命に当たったんですか・・・・・・)

「必要なんだよ。ここは『空間』だ。座標と容積、その両方が重要って訳だ。ロシアの宮殿なんぞに興味は無い。玉座に座るのに憧れているだけなら、わざわざ聖ピエトロ大聖堂を吹飛ばす訳がないだろう。俺様にとって、ここはモスクワより重要なんだよ。若干、情勢を知るのにラグがあるのは問題だがな。それでも、計画を進める上でこの場所は外せんよ。『プロジェクト=ベツレヘム』という観点から考えればな」

「『プロジェクト=ベツレヘム』ぅ? ンだよそりゃ。お前さ、一体何のために戦争起こした訳? やっぱり神様になりたいから。とかそういうくだらない理由な訳?」

 

上条の言葉が扉の向こうから響いた。レッサーは全身から変な汗が噴き出て、フィアンマは怪訝な顔で辺りを見回す。

 

「その声は幻想殺しか。どこに居る?」

「お前の隣さ」

 

そういう上条はインデックスの制御霊装を左手で握っていた。

 

「残念だったな。それを持つ余裕があったのなら右手で触っておけば良かっただろうに」

「壊したらお前と遊べないだろ? 何ならお前等も遊ぶか? さっきから殺気が凄いんだけど?」

「無駄だ。お前達、止めろ。コイツに魔法も実弾も効かん」

「あら。よく知ってるじゃん。ほら、右方のフィアンマ。遊ぼうぜ」

 

謡うように言った上条はフィアンマに蹴りを入れ、雪原まで吹き飛ばした。

 

「へぇ~。素直に吹き飛ばされてくれるとは。嬉しいぜ?」

「馬鹿言え、全く避けさせずに吹き飛ばしたのは貴様だろう」

「あれ? そうだっけか?」

「そうさ」

「来いよベネット。銃なんて捨ててかかってこい」

「?」

 

上条はネタが通じなかった事に肩を落とす。が、すぐさま元気になると言った。

 

「そう言えば、お前は俺が記憶喪失なの知ってたな」

「ん。ああ、そうだな」

「そのせいで俺は能力に制限が付けられてるのは分かるか?」

「・・・ふむ。記憶がない事による自分の能力への知識不足か」

「その通り。だけどさ。使う内に体が覚えてるんだろうね。結構使いやすい武器になってきたんだよ。だからさ、試させろ」

「良いだろう」

「後悔すんなよ? 俺は重力魔術師(G・マジシャン)だからな」

 

体のリミッターを外されている上条は関節の制限がない。つまり、“愛気”道の技を使うのは全盛期のままに使えるという事だ。

その頃。遠く離れた場所でエネが首を傾げていた。

 

「はて? ご主人にG・マジシャンの事を話した事はありましたっけ?」

 

そして、上条のフィアンマの攻防は上条が一発入れるまでにフィアンマが十数発。そこだけ聞けば、上条の方が劣勢に聞こえるが、フィアンマの攻撃は上条の体に全くのダメージを与えないのに対し、上条の攻撃はいとも容易くフィアンマの体にダメージを与える。

 

要するに上条当麻の優勢で事は進んでいた。

 

「つまんねーなー。つまらん、もし『退屈』や『暇』が売れたら大分商売になると思うぜ。俺は今在庫一斉処分セール並みに格安で売るけどな」

「あのー少年。この子でいいんですか?」

「おう、良いぜ」

 

上条がそう言ってレッサーから受け取ったのはサーシャ=クロイツェフだ。

 

「貴様・・・何のつもりだ」

「一度そっちにやるよ。言ったろ? 俺は退屈してるんだ。だからさ・・・その子を持って俺を楽しませてくれよ」

 

フィアンマは上条のその言葉にふっと笑うとサーシャを掴んで、上条に背を向けた。

 

「簡単には死ぬなよ」

吸血鬼の王にして魔神(神上統魔)に向かって言ってるって事を分かってるのか?」




終わりが見えてきましたね。

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