幻想殺しと電脳少女の学園都市生活 作:軍曹(K-6)
死の河がイギリスの街を覆い、上条と貴音はカーテナを握るキャーリサの前に立っていた。
「よぉ。クーデター姫」
「その言い方は気に食わない」
「気に食うも食わないも、事実だよ。お姫様」
「さて、その馬鹿げた剣。ぶち壊してあげます」
貴音のその言葉の後、上条は即座に飛び出した。その牙を、カーテナに突き立てるために。
「くっ!」
何か言葉を発する暇がなかったのか、キャーリサはカーテナをふるう。それだけで爆発並みの衝撃波が四方に散らされ、物が吹き飛んだのだが、少年は気にも留めず突き進んでくる。
「俺を止めたきゃ。惑星で十字架でも作るこった」
そう言った上条はまず初めに彼女が持っていた通信機を壊しにいく。右手でカーテナを狙うと見せかけて左手でカスールの引き金を引いたのだ。通信機には穴が開き、数メートルほどノーバウンドで飛んで行った。
持っていた腕に走る痛みにキャーリサが顔をしかめると同時、彼女の体がふわりと浮くとそのまま地面に叩きつけられた。
「ガッ・・・・・・」
「相変わらずなんというか・・・。容赦ないですね~」
「・・・容赦したら、こっちの命が危ないだろ?」
「人間の体の時は体に傷一つ入らないクセに何言ってるんですか」
上条は地面に転がるカーテナに近づくと、容赦なくその刀身に触れ、木っ端微塵に消してしまった。
「いやぁ、初めて見たよ。死の河に、幻想殺しか。君は私が思っているより特別な存在のようだ」
「誰だテメェ」
「右方のフィアンマって言えばわかってもらえるかな?」
「なるほど、『神の右席』・・・・・・まだいたのか」
「本当にいい偶然だ」
フィアンマの右肩の辺りから、何か巨大なものが生えた。翼のような、腕のような・・・・・・この世の物とは思えない、不可思議な物質が。
「チッ、やはり空中分解か。我ながら扱いにくいじゃじゃ馬を手にしてるもんだ」
「・・・なんか独り言言ってますよ」
「・・・・・・しっ、見ちゃいけません」
「しかししかしいい偶然だ。俺はついているんではないだろうか。こんなところでダブルで手に入るんだからな」
フィアンマが攻撃動作に入ったのを確認した上条はその攻撃を左手で防ぐ。彼はその防いだ腕の間から、神々の義眼でフィアンマの鑑定を始めた。
「喉が渇いた。戻ってこいオマエラ」
上条がそういうと、赤黒い液体のような人の死体のような集まりが上条の体に吸い込まれていく。
「死の河が吸い込まれていく。なるほど、数百の命を持つ吸血鬼の復活か」
ならば、とフィアンマは手の中で何かしらの霊装を発動させた。
「それは、『
「そうさ」
フィアンマがそういうと同時、上条達の足元からインデックスが飛び出してくる。
「安全装置・・・ねぇ」
ポツリと呟いた上条の後方、バッキンガム宮殿の入り口辺りにはイギリス正教のメンバーなどが集まりつつあった。
そんな彼らに気付いているのかいないのか、上条は一冊の本を手に持っていた。
「・・・・・・なんだ、それは。どこから出した」
「俺の頭の中。そしてこの本の正体は・・・・・・エイボンの書。さ」
「魔導書の原典だとっ!?」
「あ。そういえばご主人。インデックスの魔導書全て頭に記憶してましたね」
「・・・・・・貴様は何でも持っているんだな」
「ほしいものは手に入れる性分なんでね」
「私もそうするさ」
フィアンマは第三の腕に命じ、その場に莫大な閃光を放つと、消えた。
「・・・・・・なにか、してくるな」
「くっそぅ。完膚なきまでに首輪は壊したんですけどねぇ」
「『自動書記』の制御装置があの首輪なんだろ。要するにあれが壊れたから外部制御に不具合が起きてるんだ」
「あ、私のせいですか」
心配して駆け寄ってくる仲間に気付いているくせに、上条は爆弾を落とした。
「ま、今更インデックスが死のうが生きようが知ったこっちゃねーが。あいつは気に喰わねぇな」
「貴様ッ! 何を言って!!」
「当り前さ。誰だってそうだろ? 足手まといや使い物にならない人材は必要ない。俺は俺の目的のために、インデックスが必要だっただけだ。そろそろ見えそうだ。目標が」
「・・・・・・な、なにを言って・・・・・・」
「関係ないんだよ。お前らにはさて、そろそろあいつを追いかけるか。捕まえたらぶち殺す」
「・・・・・・ご主人」
「ん。ああ」
上条は静かに振り向くと紅い、ファイアーオパールの瞳でその場の全員を見据えていった。
「んじゃ、アイツ追っかけてくる」
死の河出した時点で結末が無茶苦茶なのは理解してましたが・・・・・・・・・。
まさか、ここまでとはな・・・・・・。
そういえばうちの小説は冥土返しの出番がないな(現実逃避)