幻想殺しと電脳少女の学園都市生活 作:軍曹(K-6)
それは上条当麻という少年の体に宿っている能力の名前である。
その特性から、『世界の基準点』『均衡を執る者』『幻想を喰らう者』などといった異名がつけられている。
その能力の九割を“上条当麻”は理解していたが、上条当麻はその事は知らない。現在幻想喰いの能力は榎本貴音が“上条当麻”から聞いた五割、その程度しか知られていない。
彼が見つけた四割、九十五%までの四十五%は封印されているのである。(封印されてからこれまで過ごした時間の中で、彼が再度見つけた能力は行使されてはいないため不明)
『この世界』での、上条当麻の能力の呼称。
その能力は『例えそれが神様の奇跡であっても、力の善悪強弱問わず問答無用で打ち消す異能力』として知られている。
だが本質は幻想喰いと同じなため、『例えそれが神が起こした奇跡でも、問答無用で喰い殺し、自らのスキルとしてしまう異能力』。
右手の甲に常時刻まれている幻想紋が広がると、それだけで通常『右手首から先』に限定されている効果範囲が広がっていることがわかる。
幻想紋。
その昔、『神殺し』をしたと言われる青年がその体に刻んでいたという能力持ちの証。
幻想喰いを宿す者を示すものとして、使用者の体の一部に出現する。
ただし、使いこなせていない場合は出現する事はない。(全身にまで幻想紋が広がっているような場合、幻想喰いの内なる力をほぼ完璧に引き出せているといってもいい)
上条当麻は『“上条当麻”』とだけ書かれたノートを開いていた。
「・・・しっかし。“俺”が使ったっていう力の表現はあっても、それがどうやってくり出されたのか分からなきゃ、何の意味もないよなー」
幾度となく、自らの深層に潜り込んだか分からない。己に問いかけ、答えを待った。だが、何度やっても返答はなかった。
「仕方ないか。『失った記憶』ってのがそう簡単に蘇ったりする訳ないよな・・・・・・」
実際、夏休みが終わってから上条が使った“死ぬ気の炎”についても、上条は使って初めて、思い出したようなものだ。
「・・・使えば、それに関連した記憶も蘇ってくるんだろうけど・・・・・・。流石に
上条は記憶を失ってから毎日、自分の能力について分かった事をノートに記している。所謂自分探しのようなものである。(最初の文は上条が書いたものではなく、現時点で分かっている事を記したものに過ぎないのだが)
死ぬ気の炎
おおむね原作通りの能力。
上条は自分の意思で(死ぬ気弾、死ぬ気丸を使わず)
大空の炎・晴れの炎・雲の炎・夜の炎を行使できる。
匣兵器である『ナッツ』に
「そういや、吸血鬼としての特性は大分前から分かってたんだよなー。これはエネが教えてくれたから知ってるだけなんだけど・・・・・・」
上条の吸血鬼体質の元は知っての通り『アーカード』だ。最強のアンデッドと言われた彼の。
二番手に彼の眷属、ミナ=ハーカーがいる。最強のアンデッドとその眷属を吸血鬼の核として取り入れている上条だが、吸血鬼の力は大抵その無尽蔵な魔力と、恐ろしいまでの回復力だ。特に使う必要はない。上条当麻が『人間』の時は。
「・・・・・・」
「ご主人様。何か、分かりましたか?」
「いんや。いつも通り収穫なしだよ」
「次はどうします?」
「ん?」
「次に出てくるのは・・・」
「後方のアックア。だな」
「ですです」
「・・・今回は、聖人が相手だし“武術”で遊んでやるか」
「・・・武道家にでもなるつもりですかぁ?」
「・・・いやいや、遊ぶだけさ。っとその前に、エネ」
「? 何ですか?」
「“あいつ等”に招集をかけろ。お前も行動に移せ。そろそろ起きる。闘争が」
「イエッサー」