幻想殺しと電脳少女の学園都市生活 作:軍曹(K-6)
「キミ可愛いねー。うひょー しかも常盤台じゃん!!」
「今からオレ達と遊び行かない?」
「帰りはオレ達が送ってやっから」
「まっ、いつ帰れっかはわかんねーけどさ」
「ヒァッヒァッ」
「ふ――――」(私に声かけてくるなんてバカな連中ね・・・。まあ、あんまりしつこいようなら電撃くらわせて追っぱらえばいいか。しっかしまー・・・)
周りの人間は不良に絡まれている少女がいる状況に我関せずといった様子で歩いていた。
(おっ 目が合った)
「・・・」フイッ
(アハハ そりゃそっか。別に彼らが薄情って訳じゃない。分かってる)
「ナニ見てんだよ」
「えっ・・・僕!?」
(実際ここに割って入ってきても何かできる訳じゃなし。ケガをするだけだ。誰だって自分がカワイイ、それがフツー。見ず知らずの人間のためにそんな事をするヤツがいたとしたら、ソイツはただのバカか――)
「なぁ、邪魔だ。退けよ」
(―――よほどのお人好し・・・ってあれ?)
少女を助けに入ったわけではなく、路地裏から出てきた少年は不良達を睨みつけてそう言った。
「何だテメェ」
「文句あんのか?」
「は? 文句。大ありだ。こんな所でたまってんなよ邪魔だ」
「ハァ?」
「文句の内容言っただけでハァ? とか耳が遠いのか? それとも更年期障害ですかァ?」
「テッメェ」
「邪魔だ」
少年はそう言うと装飾銃を撃った。
ただし、それは銃弾の軌跡さえ見えない速度で反対側のビルの壁に穴を開けた。
「なっ・・・!?」
「
「レールガンッ!?」
「ああ安心しろ。俺は電撃使いじゃねーから。これは細胞放電現象って言うらしい。ナノマシンと細胞核が結合して電気エネルギーが発生する現象だと。まあつまり、どっちにしろ科学的なレールガンなのは違いねーけどな」
そういう彼の体からはバチバチ電気が走っていた。
「・・・やっぱりテメェ。こいつ助けに来たんだろ」
「・・・・・・は? 中学生の
「」
「まさかお前等。こんなガキを相手にするのに大人数で囲んでたのか? 情けねー」
「」
「アレですか。ロリコンですか? あんたらは」
「よーしコイツ砂にしちまうべ」
「い・・・いや、ちょっと待て。なんか様子が変・・・」
少女の髪が上条の体と同じように帯電し始める。
「ムカつくな。お前等みたいな群れなきゃガキも相手にできねーようなのを見てると」
「私が一番ムカつくのは・・・、オマエだああああああああああッ!!」
「「「ギャウッ」」」
その場を高電流の雷撃が襲った。
「こ・・・高位能力者の方でしたか・・・」
「あ―――。こんな
「っぶね―――。何だァ? 今の」
「・・・?」
「確か電気がビリビリって・・・・・・。何者だオマエッ!」
「それはこっちのセリフよっ! 何でアンタだけ無傷なわけ!」
「つーか何で俺まで攻撃? 何もしてねーだろ!」
「うっさいっ!」
と、そこで何かを思いついたように少女の髪から紫電が少年に飛んだ。だが、
「おわっ」
少年のかざした右手で打ち消された。
(私の電撃を打ち消した?)「アンタ何者? 何よその能力」
「いや、何て言うか。能力と言っていいのか・・・。
「能力・・・ゼロ? そんなはずが・・・あ・・・あれ?」
「逃げるんだよぉ~」
「あっ」
「退け退け!」
「こらっ。待ちなさいよ!!」
▽
―――一ヶ月後のコンビニ。
《暗証番号ガ違イマス》
「は? いや、そんなはずは」
《暗証番号ガ違イマス》
「何でだ―――ッ!?」
上条は持ち前の不幸にて、コンビニでお金を下ろせていなかった。
《暗証番号ガ違イマス》
「ああもうっこうなったら別のコンビニで・・・」
と、上条は気付いていないがちゃちな音楽と共にコンビニの自動ドアが開く。
「ギャ―――! 今度はカードが飲み込まれて出て来ない~~~~~~」
「」
「不幸だぁーッ!!」
\いらっしゃいませ―――/
「久しぶりね」
「ゲッ。ビリビリ中学生」
またここに偶然の再会を果たした二人の男女がいた。
「この間以来毎回毎回テキトーにあしらわれてきたけど・・・・・・。今日という今日は、決着をつけてやるんだからっ!!」
「あ―――。カードが無いと再発行されるまで無一文に。冷蔵庫の中はカラッポだし。やっぱ買い溜めしとかないとダメだなあ」
「私を無視すんなーーっ!!」
少女がATMの側面を殴ると、上条のキャッシュカードが出てくる。
「で・・・。出たぁ~~~~~~。サンキュービリビリ!!」
「ビリビリじゃなくて御坂美琴っ!!」
「正直何でこんなのに関わっちゃったんだろうって思ってたけど、今初めてこの出会いに感謝・・・」
「アンタねぇ」
現金なことを言う上条の横で殴られたATMが警報音を鳴らし出した。
「不幸だあぁああああああ」
―――どこかの河川敷。
「う―――。故障とかしてないと良いなぁ。防犯カメラに顔映ってるだろうし。はあ・・・。って、俺は何もしてないのに何で逃げてんだ?」
「んな事は良いから、勝負しなさいよ勝負」
「勝負って・・・。今までお前の全戦全敗じゃんか」
「うっ、うるさい私だって一発も食らってないんだから負けてないわよっ」
「じゃあどうしたら終わるんだよ?」
「え? そ・・・そりゃもちろん・・・・・・・・・私が勝ったらよ」
「はぁ―――――――――――」
「そこっ!! さっきより大きい溜息しないっ!!」
「・・・分かったよ。それで気が済むってんなら、相手になってやるよ。早く終わりにしたい」
「ようやくやる気になったみたいね」
河川敷に少し離れて向かい合った二人。
「いつでもいいぜ。かかってきな」
「言われなくてもこっちはずっとこの時を待ってたんだからっ」
美琴の髪から電撃が迸る。が、上条はその電流を右手でかき消して前に駆け出した。
「!?」
「浅草ぐらいまで飛ばしてやるよ」
「このっ」
苦し紛れに美琴が放った蹴り。その威力を上条は利用し、彼女の体を大きく吹き飛ばした。
「居合い払い“奈惰嶺”」
と、
「ちょっとやり過ぎたかも・・・。あいつの姿見えねーし・・・マジで浅草まで飛んでねーだろーな!?」
少し不安になる上条だった。が、気にしてもしょうがないとその日は家に帰る事にした。
ちなみに吹き飛ばされた美琴は、眼を回して近くのビルの屋上に倒れていました。