比企谷八幡の幻想縁起   作:虚園の神

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オリキャラでますが、話の主軸になることはないです。


やはりイケメンが振られるのを見ると飯がうまくなる。

「改めて名乗ろう、上白沢慧音だ。この通り寺子屋で教師をしているが、人里の責任者の一人だ」

 博麗が去ったあの後、上白沢さんの授業を見学した。そして授業が終わり、今は今後のことについて話してる状態である。

「さて、君についてだが先ず住む場所を考えなければな。何しろ家は注文してから作ってるから空いてる場所を使ってもらうしかないのだが……、おお!そうだちょうど空いてる長屋があったんだった。そこを使ってくれ」

 彼女は手を打ち、思い出したかの様に大声をあげる。

「分かりましたが、家賃とかどうするんです?一応それなりに金はあるんですけど」

 その言葉にうーんと一つ唸り、多少申し訳なさそうにしながら口を開く。

「外から不本意で来てしまった人にこんなことを言うのは心苦しいんだが………そうだなぁ、本来は一月7円だが特別だ。3円と50銭(約3万5千)にしとこう」

「いいんすか?」

「なに、このくらいは大丈夫だ。それにお金がなくなったら働けばいい。その時は私が紹介してやろう」

 そう言ってニコリと微笑む上白沢さん。

 それとは対照に俺は小さくため息を零した。勿論感謝していないわけではない。ただ、ただ……

「働く、ですか……」

 やだなぁ、働きたくないなぁ。だってもし中間管理職なんかになった暁には各方面から仕事や雑用を押し付けられるに決まってる。もう未来が見える。上司に頼みごとされたら嫌な顔をして、反感買って給料下げられて辞めるとこまで見えてる。

「?どうした。働くことに後ろめたいことでもあるのか?」

「いえ、まぁそのことはお気になさらず」

 彼女の親切心を踏みにじるわけにはいかない。

 何でもないという風に手を振る。

 しばらく不思議そうな顔をしていたが、やがて顔を上げ耳にかかった髪を払いながら口を開いた。

「そうか。なら聞かないが、悩みがあるんだったら聞いてもいいぞ。私は先生だからな」

 そう言ってから立ち上がった。

 面倒見の良さそうな人だ。……なんか平塚先生みたいだな。

「では、君の住む家に案内しよう」

 その言葉を受け、俺たちは寺子屋を後にした。

 

 ♢♢♢

 

「そういえば」

 長屋へ移動する途中、俺と彼女には半歩ほど距離が空いてる。呟く様な俺の声に反応し、上白沢さんは首だけこちらを見た。

「なんだ?」

「授業で気になることがあってですね」

「質問か!いいぞ、何でも言ってくれ!最近は質問してくる子が全くいないから教師として寂しかったんだ!」

 そう興奮気味に話す彼女だが、申し訳ない。授業の質問じゃないのだ。

「そうじゃなくてですね、生徒のことです」

「ああ、なんだ……」

 目に見えて落胆の色を濃くするが、それも直ぐ収まり、質問し返してきた。教師という職業柄か人を不安にさせまいという気遣いだろう。

「私の生徒がどうかしたか?」

「ええ、なんか明らかに人外が混ざってたんですけど」

「あの子達は妖精さ。妖怪もいるがね。長く生きてはいるが、精神年齢が幼いからな、私が面倒を見ているんだ。………ああ分かるぞ、人を襲わないか、ということだろう?大丈夫さ彼女たちも人里のルールくらいわかってる。もし破れば博麗の巫女が来るしな」

 それに怖い先生もいる。そう言ってフフッと笑った。

「ちゃんと共存出来てるんすね」

「そう、上手く出来てるんだ」

 話を区切り、前を行く上白沢さんが脚を止めた。

「よし!着いたぞ。今日からここが君の家だ‼︎」

 そう言われ、彼女の視線の先を追うと小綺麗な家、ーーー集合住宅だから長屋と言うべきかーーーがあった。

「ある程度の物はもう部屋にある。それ以外に必要なものがあったら買い揃えてくれ」

「分かりました」

「私から言うことはこれくらいだ。ではな」

 そう言って背を向け、帰ろうとする彼女を俺は呼び止めた。

「もう一つ聞いていいすか?」

「何かな?」

「幻想郷の筆記具は鉛筆ぐらいしかないんですか?」

 授業の様子を見て気付いたことだ。皆が皆、鉛筆と消しゴムしか使ってなかった。

「前までは筆を使っていたが今は鉛筆が主流だな。それがどうかしたのか?」

「いえ、ありがとうございました」

「ん?ああ……」

 未だ疑問符をうかべつつも長屋を後にする彼女。

 さて、これで金の心配は大幅に減った。こっちは明日やろう。

 これからは恐らくここが生活の拠点になるだろうから先ずは生活必需品を揃えねば。

 思い立ったが吉日。金を持ち、最初に金物店へと脚を運んだ。

 

 

 ♢♢♢

 

 

 陽の光が瞼越しに入ってくる。

 翌日、布団で目を覚ました。まだ新しい布の匂いが鼻をくすぐる。

 簡単に朝食を摂り、外に出る。金を稼ぐためだ。と言っても俺が働くのではない。

 行き先は文具店。確か寺子屋の横にあった筈だ。

 まだ陽が東にあり、涼しい。少し早く出すぎたかと思ったが、店は既に開いていた。

 店に入り、奥に声をかけると手拭いを頭にまいた30後半くらいのおっさんが現れ、こちらを見ると少し驚いた様な声をあげた。

「おっ!妖怪の客とは珍しい。早朝から何のようだい?」

 言われ、後ろを振り返っても誰もいない。

 おかしいなー、妖怪なんていないよー。もしかして透明人間でもいるのかな?ハハハハハ………ふぅ。

「俺のことを言ってるんだったら人間っすよ」

 こうやって現実逃避でもしないと俺のハートがいくらダイヤモンド並みの強度を持っていたとしても壊れますわ。ダイヤモンド打撃に弱いけど。

「ああ、じゃああんたが慧音先生の言ってた外来人か。名前は確か……比企、ひけ?いや、……比企ガエル?」

 おぅ、散々迷った挙句たどり着いた答えがそれかよ。今のところ俺まだ人間認定されてないんだけどどういうことよ。

「比企谷八幡です」

 そう答えると、ああ!と言い、頭を掻いた。

「そういやそんな名前だったな。比企谷。うん、比企谷だった」

 ひとしきり、比企谷比企谷呟くと悪いな、と謝ってきた。

「いえ、俺の名前覚えにくいみたいでよく間違われるんでいいすよ」

 比企谷とちゃんと呼ばれていたの小4と中3の時ぐらいじゃない?今でもヒキタニ呼ばれてるんだし。

「で、一体何のようなんだ?買い物かい?最近は鉛筆が流行っててねぇ、……これなんかどうだ、反対っ側に消しゴムが付いてるんだ」

 木のようなゴツゴツした手に鉛筆を乗せ、商品自慢をしてくる。だが申し訳ないことに買いに来たのではない。売りに来たのだ。

「すいませんが、買い目的じゃないんで」

 そう断りをいれると、どんぐり眼が怪訝そうに細められた。そして目線だけで話の続きを促す。

 それに応じて俺はポケットに手を突っ込み、中のものを出した。

「こいつを売りに来たんです」

 取り出したものはシャーペン。幻想入りする前に使っていたやつだ。

 因みにボールペンは恐らく材料が揃わないだろうから止めた。

「なんだこりゃ?」

「これは外の世界の筆記具でしてね。鉛筆より使い勝手が良いんですよ」

「それで、これを売りにきたと」

 目の前に見せられた物体をまじまじと見て、時折カチカチとシャー芯を出したり引っ込めたりする。

「正確にはこれを製造して売る権利を売ります。もしこれを店頭に置いたら間違いなく当たります。多分」

「間違いなくなのか多分なのか分かんねぇが、値段次第だな。これの権利、何円で売るつもりだ?」

「月20円でどうすか」

「20か……良いな。買いだ、それ」

「いいんすか、そんな簡単に決めて。製造方法だって教えてないのに。材料費もわからないでしょ」

「幻想郷の住人は新しいものには大体飛びつく。だからある程度利益も出るだろう。製造は河童に依頼するから問題無い。キュウリ出しとけば安くしてくれるしな」

 そう言ってニッ、と笑った。

 その後は契約書を作り、正式に彼に権利を渡した。

 クックック……ふはははは!これで収入源ができたぞ!働かずして金を得る!外来人のアドバンテージ‼︎素晴らしい‼︎

「ところで河童って何者なんです?」

 さっきの会話でつい気になり、聞いてみる。

「おや、河童は外でも有名だと思ったがそうでもないのかな?」

「河童自体は知ってます。河童に依頼する、って言ってたんで気になって。技術者ですか?」

「そんなところだ。河城にとりという河童はいつも訳の分からんものを作ってるしね。技術者と言えるんじゃないか?」

「へぇ」

 なんともお値段以上の仕事をしてくれそうな名前だ。

 しかし河童の技術者ねぇ。脳内には甲羅を背負い、頭に皿を乗せた口ばしを持つ人型がドライバーを持って立っていた。

「つくづく、常識が通用しねぇなぁ」

 感慨深げにそう呟く。

「そうなのです!この幻想郷では常識に囚われてはいけないのです‼︎」

 突然後ろから少女特有の高い声が聞こえた。音楽は知らんけど多分アルト。

 そちらを見遣ると緑がかった黒髪を携え、蛇と蛙の髪留めをした高校生くらいの女の子が目をキラキラさせながら立っていた。

「おや、早苗ちゃんじゃないか。どうしたんだい?」

「買い物です。あとなんか呼ばれた気がしたので!」

「誰も呼んでねぇだろ……」

 ついつい突っ込みが口に出てしまった。だがそれは聞こえなかったのか、自分のペースで話を進める。

「おや、見ない顔ですね。誰でしょうか?」

「え、待って何その『今初めて存在に気付きました』みたいな顔。さっき俺に話しかけてたんじゃないの?」

「……そういえばそうですね」

 大丈夫か、この子。ちょっとアホの子入ってるっぽいぞ。お前は何ヶ浜さんだよ。

「……まぁ小さいことは気にしなくてもいいんです!そんな些細なことよりも貴方、外来人ですね‼︎」

 なにぃ!何故分かった!いや、さっきの台詞の所為だな。むしろそれ以外に特定できる要素が無い。

「ふふふ、『何故分かったか』そう言いたいような顔をしてますね。いいでしょう、特別に教えて差し上げましょう!さっき言っていた台詞、幻想郷は外来人から見たら常識がずれてますから来た人の多くはそう言う……だから私には分かったのです‼︎」

「お、おう。そうだな……。大体予想ついてたけど」

 怒涛の勢いでまくしたてる彼女に少々ゲンナリしつつも答えを返す。

 しかし今の問答で分かったことがある。

「そう言うあんたも外来人か」

 すると彼女は目をパチクリとさせた。何故分かったかのか、ってところか。わかりやすいなこいつ。

「『幻想郷は外来人から見たら常識がずれている』ってのはお前が外来人だからそう思うんだろ?」

 ふっ、どうだこの名推理。国語学年3位は伊達じゃないんだぜ?麻酔銃の力が無くてもこのくらいは分かる。

「やりますね。この現人神である私の正体を当てるとは」

「ああ、まぁな。…………現人神?」

「ええ!私は現人神、東風谷早苗!そして諏訪子様と神奈子様に仕える守谷の風祝(かぜほうり)‼︎」

 そう自慢げに言い、胸を張ると二つの果実が揺れた。けしからん。

「長野から来たのか」

「はい。知ってたんですか?風祝」

 風祝は確か諏訪大社の神職名だったはず。殆ど巫女と同じだ。

「知識としてかじってた程度だ」

「へー、学があるんですね。ところであなたは何処から?」

「私は喉から」

「ベンザブロックネタはいいです」

 そんなあなたには銀のベンザって言って欲しかったなぁ。やべぇ超どうでもいい。

「俺は千葉だ」

「千葉ですか!いいですよね千葉。東京に近くて」

「待て、何で千葉褒めるのに東京が出てくんの?千葉だっていいとこいっぱいあるよ?」

 マッカンとか観覧車とかマッカンとかマッカンとかマッカン。あとマッカン。

「東京の横ってだけであんまりイメージないんですよね〜」

「なんだと、んなこと言ったら長野だって山ぐらいしかイメージねぇよ」

「知らないんですか?長野には磁場がゼロのところがあるんですよ。あと温泉にスキー場これだけ観光資源があるところ中々ありませんよ?」

効果音にドヤァとつきそうな程に笑みを湛えている。

 くっ!長野強ぇ。俺に残されたのは観覧車とマッカンしかない!いや待て、ディスティニーランドがあった!これで勝つる!

「聞いて驚け、なんと千葉にはディスティニーランドがあるんだ。これの経済効果はかなりある。つまりディスティニーランドが国の経済を左右してると言っても過言じゃない」

「でも東京って銘打ってありますが」

「場所が千葉だから良いんだよ」

 言い争っていると、突然肩が重くなった。

「地元自慢はいいからよ、他の客が入りにくくなるからやめてくれねぇか?商売ができねぇ」

 俺の後ろには疲れたような顔をした店主の顔があった。

 確かにこれでは邪魔だっただろう。

「すいません。じゃあ俺帰ります」

「あぁ待ちな。今月分の金を渡しとく」

 そう言ってその手に持っていた封筒を俺の前に出してきた。

「先払いですか」

「契約結んでもらった方だからな。誠意だよ」

「じゃあ、ありがたく……」

 受け取り、店から出て行った。

 

♢♢♢

 

 来た時にはあまりいなかった人里の人間が今は道を多く行き交い、活気にあふれている。その道を進む二つの足音。

「で、何でお前ついてきてんの?」

 後ろに声をかけると付いてきていた人物ーー東風谷早苗は小走りで俺の横に並び、歩く。

「いえ、同じ外来人として興味があってですね」

「お前が興味引くような話題は出せねぇぞ」

「口下手そうですもんね」

 こ、こいつ……。

 恐らく悪気は無いんだろうがそれだけに傷つく。

「しかしさっきの地元自慢、面白かったですよ。外来人同士じゃないとできませんからね」

 そう言って彼女は薄く微笑む。

 ……同じ境遇の人間がいなかったから一抹の寂しさがあったのだろうか。

 他人から見て彼女は充分、美少女と呼べるだろう。つまり外の世界ではリア充グループにいたことは想像に(かた)くない。そんな人間が自ら望んだにせよ、望まなかったにせよこんな世界に放り込まれたら突然の孤独に戸惑うはずだ。

 だから彼女の孤独が俺へのマシンガントークという形で表れた。正確には外来人への、だが。

「ああ、そのなんだ……機会があれば、また話をしてもいいかもな」

「そうですね。あ、じゃあ守谷神社にいらしてください。妖怪の山の上にあるので」

「ああ」

 そうやって会話しながら二人で歩き続ける。

 暫くそのままの状態でいると、前方に人影を見た。その影はだんだん近づいてきた。

「早苗さん」

 影は中々の好青年だった。東風谷に笑みを向けつつ話しかける。

 それに対し東風谷もまた彼に笑いかけた。

「こんにちは、国川さん」

 国川と呼ばれた青年は少し照れたように頭を掻いた。

「買い物に来たのかい?良かったら付き合うよ」

「大丈夫ですよ、気持ちだけ受け取っときます」

「そんな遠慮しなくていいからさ」

 ……ははぁん。こいつはあれだな。こいつは東風谷が好きだが、それを見事に躱されてるって感じだな、可哀想に。ざまぁ。

 憐れみと嘲笑の表情を浮かべているとそれに気づいたか、青年はちろりと俺を睨む。だがその視線も直ぐに東風谷に戻された。

「早苗さん、結構前からずっといる目がアレな人は一体誰だい?」

 目がアレってなんだよ。なにこいつボキャ貧なの?……ん?こいつ今変なこと言わなかったか?

 一人妙な違和感と戦っていると、彼女の声がかかる。

「この人は外来人です。名前は………そういえば私もまだ名前を聞いてませんでした。あなた、名前は?」

「比企谷八幡だ」

 答えると今度は青年の声。

「外来人?一体いつ入ってきたんだ?」

「2週間以上前だ。人里は昨日だがな」

「八幡……なんか八幡宮を彷彿とさせる名前ですね。私も巫女ですし運命的なものを感じますね!」

 そう言って顔を覗き込んでくるが国川がそれを遮るように口を開いた。

「早苗さんにはこんな人きっと合わないって。変な目だし、性格悪そうだし」

 言われなくても俺が一番分かってるから、言うんじゃねぇよ。

 しかし、わざわざ東風谷の目の前に来て、更に本人が目の前にいるにも関わらずそれを言うってことは余程彼女にお熱なのか。愛が熱い!熱すぎるよぉぉぉ!

 だがそれに反して彼女の返答は冷たいものだった。

「私、人を見かけで判断してその人を非難する人、嫌いですから」

 じゃあ私失礼します。そう言い残してフワリと飛び去ってしまった。冷たい!冷たすぎるよぉぉぉ!

「え…ちょっと、早苗さん⁉︎」

 その声は届くはずもなく、宙に霧散した。後にはただ突っ立ってる俺と呆然と空を見つめる国川青年しかなかった。

 いやぁ、今夜は飯がうまくなりそうだ。これをおかずにご飯3杯は行けそう。まったく、イケメンが振られる様はいつ見てもいいものだな。

 内心せせら笑い、今にも灰になりそうな青年に目を向けると未だにぼう、と雲に目を配っている。

 こいつは一体何を待ってるんだ……。あれか?お前は太宰なのか?駅のベンチに座り続けるのか?そのうち人間嫌いになりそう。

 なんかもうやること無いし帰ろうかな……。

 くるりと背を向け、家路につくべく歩を進めんとする。

「待ちたまえ」

 突如なんの脈絡もなしに話しかけられた。

 振り返れば既に国川はその目に光を宿し、こちらを見据えていた。

「……なんだよ」

 早くしろよ。俺早く帰りたいんだけど。

「全くお前のおかげで早苗さんが怒ってしまったじゃないか。これから買い物に付き合おうとしていたのにこれじゃ台無しだ。どうしてくれる」

 ……ナニイッテンダコイツ。言いがかりも甚だしい。頭のネジが抜けてるとしか思えない。

「俺には関係ねぇよ。それに自業自得だろうが。勝手に俺の所為にすんな」

「いや、君の所為だね、君が早苗さんといなければこうならなかった」

「いや、話しかけてきたのあっちだし。おまえ頭大丈夫か?ちょっと試しに頭振ってみろよ。カラカラ音がするんじゃねぇの」

 脳が乾きすぎて。

 こういう奴の相手はホント疲れる。大した理由もなくおまえが悪いって……小さい子なら可愛くて許せるが、成長した奴がやってもキモいだけなんだが。

「おまえ、俺にそんな口聞いてどうなっても知らんぞ。今なら謝れば許してやらないこともないかも知れないぞ?」

 その言い回し、許す気さらさらねぇじゃん。回りくどいなおい。

 流石に面倒くさくなったので、早々にこの稚拙な言い合いに決着をつけることにした。

「謝らねぇよ。お前が振られただけじゃん。嫌われてやんのブークスクス(棒)」

 それだけ言い残し、その場を離れた。

 背中に怒号が当たるが、んなもん知るか。

 足早に歩き、家までの道程を急いだ。

 




国川は葉山の2ランク下位に考えて下さい。
因みに作者は葉山は嫌いではありません。

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