ナーベラル・ガンマ、生きる黒歴史との逢瀬   作:空想病

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時系列としては、書籍五巻と六巻に起こったこと……ぐらいかな?

ポンコツメイドという汚名返上のため、ナーベラルの武者修行がはじまる。
……と思っているのか?




第四話 鍛錬

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鍛錬(タンレン)ヲ、ツケテ欲シイ……ダト?」

 

 黒髪の戦闘メイド、ナーベラル・ガンマは生真面目に頷いて見せた。

 今、彼女の目の前にいるのは、白銀の鎧皮に身を包んだ“蟲王(ヴァーミンロード)”、周囲に放たれるオーラの冷気は下等生物の心臓を瞬時に凍え停止させる絶命の息吹と化す絶対的強者、ナザリック地下大墳墓が誇る“氷河”の防衛を任される銀の偉丈夫、第五階層守護者“凍河の支配者”コキュートスに他ならない。

 

()センナ。ナーベラル、戦闘メイド(プレアデス)ノ一人デアルオ前ガ、鍛錬ヲ私ニ願イ出ル必要ガアルノカ?」

 

 四本の内二本の腕を膝に置き、残る二本を硬い胸の前で組みながら、彼はナーベラルの真意を問う。

 ナーベラルは現在、冒険者“漆黒”の片割れである“美姫(びき)”ナーベとして、人間世界に溶け込む任務をこなしつつ、漆黒の英雄と称え評される至高の御方の護衛に日々邁進する生活を送っている。その働きを知らぬ者は、ナザリックの中には存在しない。

 無論、コキュートスは彼女の申し出に不快感など一切抱いてはいない。むしろ逆だ。コキュートス自身は、鍛錬というものを日課的にこなしているし、ある理由から、この戦闘メイドとはそれなりの親交を保っていた。

 それでも、魔法詠唱者(マジックキャスター)としての強さを全面的に押し出したレベル構成の彼女が、コキュートスのような物理攻撃主体の最前衛・剣士職の取得に重きを置いた存在に鍛錬を申し出るというのは、(いささ)か以上に齟齬(そご)があるように思える。

 魔法詠唱者であれば、コキュートスよりも十全に手ほどきを行えそうなものが、彼女の傍にいる。

 至高の四十一人のまとめ役にして、ナザリック地下大墳墓の最高支配者、神すらも超越する知略の持ち主、尊崇と敬服と忠義を抱くに相応しい御方――アインズ・ウール・ゴウンという最高位の魔法詠唱者が。

 確かに、御身に魔法の教授を願い出るなどというのはシモベ風情には過ぎた望みだろう。しかし、あの寛容と慈悲でナザリックを統治する御方が、ナーベラルの意を汲み取ってくれないというイメージが湧かない。あえて言えば、レベルが違い過ぎる故に、教えようとしても教えられないという方がしっくりくるか。

 であるなら、彼女はどうして今、この第五階層・大白球(スノーボールアース)で、コキュートスに(こうべ)を差し出しているのか?

 ナーベラルは粛然とした口調で述べ始める。

 

「実は昨日(さくじつ)、パンドラズ・アクター様、アインズ様が御創造なされた宝物殿の領域守護者様と、戦闘訓練をする機会に恵まれた折に、私はものの数分で敗北させられました」

「フム」

 

 その話はコキュートスには初耳だった。中々に興味深い内容に思えたので、彼は無言のままナーベラルに先を促す。

 

「とても素晴らしい御力でございました。そして妙なる技と術、知略と計略の(すい)、私は不敬ながらも、己の非力な事実を思い知らされてしまったのです」

 

 何やら陶然とした面持ちで、彼女は件の戦闘に思いを致す。

 自分の非力を無念に感じるのは、生み出してくれた創造主たちの意を踏み躙る行為にも等しい。だが、ナーベラルは強く実感してしまったのだ。自分は、御身を守護する盾としては力不足だと、御身を害そうとする強者を引き裂く剣としては、あまりにナマクラであったのだと。

 そして自分は今、御方が創造した彼と轡を並べ戦うには、あまりに不出来であるという事実を、ナーベラルは自覚せずにはいられなかった。

 なればこそ、ナーベラルは自分自身をより一層の高みへ到達させる必要があった。そう認識を改めざるを得なくなったのだ。

 

「オマエノ気持チ、私ハ痛ク共感デキルゾ、ナーベラル」

 

 自分もまたそうだった。あの蜥蜴人(リザードマン)侵攻の折に味わった敗北の味を、飲み下した注入毒の重さを、コキュートスは忘れることは出来ない。御方は寛容にも、ナザリックに敗北をもたらした失態を許し、敗軍の将に挽回の機会を与えてくれた。その時に抱いた喜びは、この凍てついた身体に炎のごとき勇気と尊崇を湧き起こさせる。

 あの時の御言葉を思い出すたびに、コキュートスはより鍛錬に没頭する気力を高めていったものだ。

 

「理由ハ理解デキタ。ダガ、近接戦闘ノ教練デアレバ、オマエノ上司ヤ、守護者統括デモ……否、ソレハ今ハ無理ナ話ダッタカ」

 

 コキュートスは微笑むように顎を鳴らす。

 ナーベラルもまた、軽く笑みを浮かべながら彼の認識に同意する。

 セバスは王都にて、ソリュシャンと共に情報収集の任についており、今ナザリックを留守にしている。

 アルベドは守護者統括として、ナザリック地下大墳墓の管理と運営に、日々を忙殺されている最中だ。

 コキュートスも、蜥蜴人の平和的統治という任務があるにはあったが、蜥蜴人は存外に従順なもので、統治はすでに完成したも同然なありさまだ。残る問題は食糧問題だが、それもデミウルゴスと相談して、ある程度の目途はつき始めている。

 端的に言えば、こうしてナザリックで休暇を味わうことも出来るほど、蟲の王者は暇していたのだ。

 

「私ガ暇ナ時ニ合ワセテ、コノヨウナ話ヲ持ッテ来ルトハ……ナーベラル、ソチモ、(ワル)ヨノウ」

「いえいえ……コキュートス様には(かな)いません」

 

 くつくつと双方は笑みを深めた。

 コキュートスは勿論、ナーベラルまでこのような冗談を飛ばせると知っているのは、いくらナザリック広しと言えど数えるほどもいないだろう。二人のそれぞれの創造者――ザ・サムライとザ・ニンジャ――が、このような時代劇的な掛け合いをしていたかどうか、今となっては知る由もない。

 

「サテ。(タワム)レハ程々ニスルトシテ……イイダロウ、ナーベラル。オマエニ近接戦闘ノ鍛錬ヲツケテヤルトシヨウ」

「ありがとうございます。休暇中であられる守護者様に対し、不敬とは存じますが、何卒ご鞭撻のほどをよろしくお願いいたします」

 

 最後まで生真面目に応対する戦闘メイドに、コキュートスは今まさに思いついたとばかりに口を開いた。

 

「ソウダ。ヒトツ……ヒトツダケ、鍛錬ヲツケル条件ヲ(クワ)エサセテモラエルカ、ナーベラル?」

「条件、とは?」

 

 首を傾ぐメイドに、武人は堂々とした口調で、告げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コキュートス殿が、私と訓練を行いたいと?」

 

 ナーベラルは、相席のテーブルで優雅にアイスマキャティアを口元に運ぶ英雄モモンに、強く頷く。

 彼女の身体はよほど緊張しているのか、まるで四角になったように身を強張らせているが、それも無理はない。彼と――英雄モモンに変身したパンドラズ・アクターと、こうしてお茶の時間を楽しんでいる光景など、想像するだけで心臓が胸から飛び出しそうだ。ちなみにナーベラルも、彼と同じ飲み物を注文しているのだが、さっきから一口も飲んでいない。味が好みでないからではなく、それほど動揺しているのである。

 ここはエ・ランテルで最高の宿屋「黄金の輝き亭」にある、食堂二階のテラス席だ。

 この場所は常連の上客にしか使うことが許されぬ場所で、内緒の話や密会にはもってこいの位置取りでありながら、上階から街道を行き交う人波を見渡し眺められる硝子窓もあって、景観は良好。英雄モモンとしての偽装身分を最大限生かすには、こういった細かい部分も利用している姿を衆目に晒すのは、とても理に適っている。無論、こんな防備もクソもないところでナザリックの話など言語道断な発言だが、そこはしっかりと魔法で対策を施されている。どんなに至近で二人の会話を盗み聞きしようとしても、仲睦まじく談笑しているようにしか聞こえないのだ。ある意味、二人部屋で話す時よりも気安く話せてしまうという状況である。

 

「何故また突然、そのような話になったのでしょうか……私の頭でも少し理解しかねますが」

 

 ナーベラルから――途切れ途切れにだったが――仔細を聞いたモモン改めパンドラズ・アクターは、人間の妙齢に達した男の顔でもう一口、飲み物を口に含む。

 彼はナーベラル同様に、アイテムで飲食不要な体をしているが、アインズの骨の体とは違って、飲食そのものは可能なのだ。故にこうして、街中でモモンの素顔を曝け出し、食事を楽しんでいる光景を見せることで、モモンという人物を完成形に近づけていく彼の任務は、非常に重要なことだと言える。

 

「なるほど。つまるところコキュートス殿は、私と腕試しがしたいと言ったところでしょうか?」

 

 まず間違いなくそうだろうと、ナーベラルはまた強く肯定した。

 コキュートスから鍛錬の見返りとして要求された条件とは、自分もまたナーベラルと同様に、パンドラズ・アクターと戦闘訓練を行いたいというものであったのだ。

 これは実直なナーベラルにとって、即答しかねる交換条件に相違なかった。

 パンドラズ・アクターは宝物殿の領域守護者にして、ナザリックの財政面の責任者にして、あの至高の御方が直接創造されたシモベにして、今は英雄モモンとして重要な任務をこなしている真っ最中だ。それを、ナーベラルの一存でどうこう出来るはずもない。

 無論、ナザリックに帰還すること自体は簡単であるが、それはあくまで、モモンが冒険者として依頼をこなしている風を装った上での帰還である。ある程度の日数が立てば街に戻り、依頼を完遂した証拠を提示しなければ怪しまれる。すでにアダマンタイト級として、破格のスピードで依頼をこなしてしまうイメージがモモンには強く定着していたのだ。これを覆すことは出来るだけ避けねば。では依頼を受けずに、宿屋でぼうっと休んでいる風を装い帰還すればいいかと言うと、そうもいかない。モモンに依頼するに値する仕事がなければそうしても怪しまれはしないのだろうが、英雄モモンは率先して周囲に巣食うモンスター討伐に赴く人格者としての一面が確立されている以上、その案は却下だ。今もこうして食堂でティータイムを満喫しているのも、この後すぐに、モンスター討伐へ赴く前の一服でしかない。

 

「申し訳ありません。また私の浅はかな考えで、パ……モモンさ――んに、御迷惑を」

「別に気に病まれることはないと思いますが、その呼び方については、矯正が必要やも知れませんね」

 

 魔法で工作しているから問題ないが、これが他の人間に聞かれたら奇怪な呼称なことこの上ないだろう。

 本当に情けなくて、ナーベラルは四角かった背中を一気に丸める。

 御方の御命令で幾度となく呼び方を指摘されてきた身の上だが、未だに直る見込みは立っていない。もはや癖とかそういうレベルになりつつあると、ナーベラルは自分で自分に失望してしまいそうな気分になる。

 

「本当に、申し訳ありません。パ……モモンさん」

 

 どうしても。

 どうしても、パンドラズ・アクターと発音してしまいそうな自分に気づいているが、何故か無性に嬉しくなっているのが不可思議だ。

 パンドラズ・アクター。

 これほど聡明で荘厳で壮麗な響きが――至高の四十一人の御名以外――ほかにあるのだろうかと、ナーベラルは本気で思う。

 

「安心しろ、ナーベ」

 

 普段の御方がするような口調で、彼はナーベラルに、男の顔で微笑む。

 

「出来ないことを数えても意味はない。出来ることをひとつひとつ確かめて、そうして自分を認めていけばよい」

 

 その言葉は胸に響いた。頬が熱を帯びて、瞳が感激に潤い出す。

 ナーベラルは背筋を鋼の如くピンと伸ばし、椅子から勢いよく立ち上がって頭を下げる。

 

「ありがとうございます、パンドラズ・アクター様!」

「私はモモン、だ」

 

 ナーベラルはまた勢いよく背中を丸めた。

 そんな様子にモモンの顔は、微笑みの(しわ)を深めていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (くだん)のコキュートスの条件については、パンドラズ・アクターであろうとも即答は出来なかった。

 自分の力は、アインズ・ウール・ゴウン、その人の物。たとえパンドラズ・アクター本人であろうとも、自分自身でどうこうしてよいものでは断じてない。でなければ、御身は自分を宝物殿に封じはしなかっただろう。自分の力は、アインズの許可なしに発揮することは――非常事態を除いて――存在するはずがない。

 それでも、ナザリックの同胞からの頼みを無下にするわけにもいかなかった。

 コキュートスとパンドラズ・アクターの戦闘訓練の日取りが決定したのは、数日後のこと。

 

「アインズ様にお伺いしたところ、多少難色を示されてはおりましたが、御許可を頂くことができました」

 

 その際に、訓練内容についていくつかの条件を提示されたことも、パンドラズ・アクターは説明した。

〈伝言〉を使えるナーベラルを経由して、コキュートスに詳しい日時の調整が行われ、二人が(あい)(まみ)えたのは、さらに数日後の事。

 アインズが提示した訓練の条件とはこうだ。

 一、訓練場所は、第六階層の円形闘技場であること。

 二、守護者一人と、もう一人シモベを同伴させること。

 三、双方ともに、訓練であることを決して忘れないこと。

 これらを遵守することを条件に、アインズはパンドラズ・アクターとコキュートスの戦闘訓練に許可を出したのだ。

 御身の深謀遠慮は各守護者の及ぶところではないが、このような条件を提示する以上、何かしら重大かつ重要な意味を持っているのだろうと推察できる。もとより訓練を行う当事者たちはアインズの意見には肯定の意思を示すつもりだが、条件が付随したことによって、御身の意の中で事を進める実感を得られた。つまるところ、これは私的な集まりではなく、公的な任務として与えられた仕事に昇華されたとも言えるのだ。これを喜ばないはずがない。

 そして、今日。

 パンドラズ・アクターとナーベラル・ガンマは、久方ぶりの第六階層の訪問を果たした。

 

「待ッテイタゾ、ナーベラル。ソシテ、パンドラズ・アクター」

「お久しぶりです、コキュートス殿」

 

 二人はシャルティア復活の際に面識を得ていたが、会話をするのはこれが初めての事だった。

 しかし、一方は階層守護者。もう一方は領域守護者。ナザリックに仕えるシモベは皆平等にアインズに忠義を尽くすことを至上の喜びとする仲間ではあるが、その中でも明確な上下関係は存在する。組織とは、そういうものである。

 パンドラズ・アクターがコキュートスに敬意の姿を示したことは、まったくもって正しい応対であった。

 

「此度ハ、私ノ我ガ儘ニ付キ合ワセル形ニナリ、(ミナ)ニハ迷惑ヲカケタ。今ココデ、謝罪ト感謝ヲ言ワセテモラオウ」

「お気になさらずに。ナザリックの同胞の中でも最高位の力を保持する第五階層守護者殿に、そこまで(へりくだ)った言葉をかけられるとは、恐縮です」

「ウム。デハ、早速ダガ戦闘訓練ヲ始メヨウ。立チ話ヲスルノモ時間ノ空費トナルダロウカラナ」

 

 まさに。そう言って敬服のお辞儀を送るパンドラズ・アクターの様子に、ナーベラルは心底惚れ惚れしてしまう。

 彼はこんなにも礼儀正しく懇切丁寧で、奇怪に映る所など何処にも存在しない。(ユリ)(シズ)が苦手に感じたのが本当に謎である。

 ちらりと覗く横顔も眩しい卵の輪郭。

 黒く暗い新月を思わせる三つの深淵。

 歌うような誇りに溢れた美しい声色(こわいろ)

 まっすぐに伸ばされた四本指は、(ふれ)ればどんな感触なのだろう。

 

「いかがなさいましたか、ナーベラル殿?」

「ふぇ?」

「私の顔や指に、何かついているでしょうか?」

 

 いつの間にか、自分は顔を彼の全身を舐めるように見渡せる方向に固定していたことを自覚した。

 

「しし、失礼しました! いえ、そのようなことは決して、いや、その!」

「そうでしたか。では、失礼」

 

 対して、疑問を深めることもなく、事もなげに彼は会話を中断する。

 どこか名残惜しいとも思えたが、ナーベラルは失態を続ける愚は犯すまいと決意する。

 彼は、これからコキュートスと戦うのだ。あの“凍河の支配者”第五階層守護者と刃を交える。それはまさに、死地に赴く覚悟を固めるべき状況なのだ。いくら訓練とはいえ、一寸の気抜かりもあってはならない。

 彼の全神経は、剣のように研ぎ澄まされている。

 それがナーベラルには痛いほどに理解ったのだ。

 

「あ、あの、コキュートス様!」

「ドウシタ、ナーベラル?」

 

 彼を傷つけないでほしい、などと無礼極まる発言はするつもりはない。

 ただ、彼と戦うには少し早すぎる気がしたのは事実だ。

 

「同伴であれば私なら可能ですが、その、守護者の方については未だ」

 

 アインズの二つ目の条件を思い返すナーベラルだったが、それは杞憂であるとすぐに知れた。

 

「はーい! ということで、私が来ました!」

「アウラ様! 驚かさないでくださいって、前にも言いましたよね?」

 

 いきなり闖入してきた守護者に、ナーベラルは反射的に魔法を右手に込めて解放する直前まで行ってしまっていた。

 

「ごめんって、ナーベラル」

 

 からかうように微笑む闇妖精(ダークエルフ)の子どもは、この第六階層“ジャングル”を与えられた階層守護者の片割れである、アウラ・ベラ・フィオーラ。中性的な目鼻に、黄金の草原のような髪、そして種族の最大の特長でもある薄黒い肌。少年のような服装をしているが、立派な膨らみを軽装鎧の内に秘めた美少女である。

 コキュートスと同じく、ナザリック内では最高クラスのレベルを保持するレンジャーの技術は、人の意識の隙を突くように隠れ潜むことも容易い。レベル63のナーベラルでは、声をかけられるまで全く知覚できなかったことも仕方のないことなのだ。

 

「もしかして、最初からこちらに?」

「んん? いや、二人の後に少しだけ遅れて来たよ? 森の要塞建設を切り上げて、ごはん食べ終わってから、こっちに戻ったの!」

 

 にっこりと太陽のように笑う少女は、闘技場の中心で向かい合う同胞たちに、檄を飛ばす。

 

「それじゃあ、いっちょやりますか! 私の休憩時間は、残りきっかり三十分! そのことを皆さん、お忘れなく!」

「承知シタ、アウラ」

「ありがとうございます、アウラ殿」

 

 二人はアウラの登場に驚きもしていない。詰まるところ、二人はアウラが闘技場に来ていたことに気づいていたのだ。少し除け者扱いされた気になり、ナーベラルは憮然となる。

 そんなナーベラルの様子をどう思ったのか、彼はその美声を森の端々に行き渡せるような声量で奏でた。

 

「御照覧なさい、ナーベラル・ガンマ。見ることも立派な鍛錬のひとつです。経験すること、記憶すること、認識すること……それら“智”というものは、決して無駄なものにはなりえない。これから起こる戦闘を、訓練の光景を、ひとつも見逃すことがないように心得るのです」

「は、はい!」

 

 彼に呼びかけられただけで、戦闘メイドは有頂天に達する。

 居住まいを質し、背筋にピンと力を込めて、彼の姿を瞳の奥に焼き付けていく。

 

「フム。含蓄ノ深イ言葉ダ。マルデ、アインズ様ト御対面シテイルカノヨウニ思エル」

「恐縮です、コキュートス殿」

 

 創造主に似ていると言われるのは、被造物にとっては究極の賛辞である。

 しかし、褒め言葉を受け取った程度で、戦いに手心を加えるはずはない。

 それを二人は過たず認めている。

 コキュートスは斬神刀皇を右上腕に握り、他の三本の腕で正眼の構えをとる。

 対するパンドラズ・アクターは無手だが、上半身を沈めて軍帽のつばを握る。

 互いが戦闘態勢を整えたことは明白だ。

 

「デハ、アウラ」

「合図を願います」

 

 二人の間に立つ闇妖精(ダークエルフ)は手を振り上げた。

 

「それじゃあ二人とも! 位置について! 用意、スタートッ!」

 

 その小さな手が振り下ろされた瞬間、闘技場の空気が揺らいだ。

 

「〈不動明王(アチャラナータ)〉」

 

 ナーベラルは瞠目し愕然とする。

 

「明王撃の準備!」

 

 コキュートスは本気だ。彼が誇る特殊技術(スキル)、三つの〈不動明王撃〉を発動するための剣士のオーラ、その発散を確認する。冷気のオーラのように、周辺にいる存在に直接危害を加えるものではないが、迸る強者の気迫は万の針のように遠く離れた戦闘メイドの肌に突き刺さるようだ。

 

「三毒ヲ切リ払エ〈倶利伽羅剣(クリカラケン)〉!」

 

 一瞬の躊躇もない一撃。大上段から振り下ろされた斬撃は、中距離で身構えた領域守護者の身体を正確に補足した。

 ナーベラルの最大雷撃魔法を超過して余りある力の奔流。その余波を受けただけで、ナーベラルは瞼を開けておくことも難しい。

 

「ほんと、コキュートスはせっかちだねぇ。開始早々、明王撃を使っちゃうなんて。でも、あれじゃあ、パンドラズ・アクターの姿が見えなくなっちゃうじゃない。冷静に接近しつつ、ここぞって時にスキルは使わなきゃ」

 

 アウラは平然とした調子で戦闘解説を行う余裕を見せる。

 さすがは、今ここで戦っている二人と同格の強さを持つ第六階層守護者の片割れ。

 しかし、そんな彼女の余裕の表情と声は、土煙が晴れた先から現れたパンドラズ・アクターの形状を見て、一気に覆る。

 そこにいたのは、卵頭の異形種ではない。

 赤く濡れた粘液を分泌し続ける、肉の塊。

 

「ぶくぶく茶釜様!」

 

 アウラの歓声が闘技場に響く。

 彼が変身した御方の防御力は、至高の四十一人の中でも屈指と謳われている。それほどの防御を駆使すれば、なるほど守護者統括であるアルベドの左腕をもっていった一撃にも耐え得るということか。

 

「すっごーい! 本当に至高の御方たちに変身できるんだ!」

 

 見た目通り子供のようにはしゃぐアウラの視線に、ナーベラルは自分が褒められたかのように鼻高々となる。

 明王撃の一撃に耐え抜いた存在に対し、コキュートスもまた驚愕の声をあげる。

 

「サスガダ……サスガハ、アインズ様ノ創造サレタ領域守護者。私ノ剣撃ヲ正面カラ完全ニ打チ破レルノハ、アインズ様ヲハジメ、至高ノ御方々ノミト思ッテイタガ」

「お褒めにあずかり、恐悦至極……ですが」

 

 赤色の肉塊の姿を解いたパンドラズ・アクターは、卵頭の本性を顕わにして、コキュートスの賛辞に返礼を送った。

 そうしてから、自分の掌を見つめる。

 

「やはり、無傷というわけには、いきませんね」

 

 四本の指はひとつも欠けていない。だが、掌の上には、見違えようのない一文字の赤が走っていた。滴る水音は、彼の生命が外へ漏れ出す時を示している。

 その事実を、ナーベラルは信じられない面持ちで理解した。

 

「本当にお恥ずかしい限りですが、これが私の限界です。至高の御方々の力は、私の遥か高みの、遥か彼方に存在するもの。それを十全に行使するには、あまりにも力不足だと言わざるを得ません」

 

 ナーベラルは彼の言葉に愕然となった。

 パンドラズ・アクターの能力限界は聞いて知っていたはずだが、こうして目の前で事実として現れるイメージがまったくなかった自分に、今更ながら気づく。

 

「フム……デハ、ココデモウ止メテオクカ?」

「まさか」

 

 四本指を握り込み、傷を負った掌を努めて無視する。

 Lv.100の体力(HP)を考慮すれば、この程度の負傷は大した問題ではない。

 

「戦闘訓練、いえ、鍛錬ということであれば……こういう趣向は、如何(いかが)でしょうか?」

「ソ、ソレハ!」

 

 彼が空間より取り出したのは、雷を絶えず迸らせる刀剣の威容。

 コキュートスの身体が打ち震える。寒気や冷気によってではない。彼が抱いた感情の表れであることは言うまでもない。

 この世界で見ることができたのは、これで二度目。一度目は、シャルティアと戦った御方が握っている姿だったが、その時は遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモートビューイング)越し。

 そして今、こうして肉眼で拝謁する栄誉に、蟲の悪魔は歓喜の極みを覚えた。

 

「アインズ様の御許可を頂いて、特別に宝物殿から拝借してきたものです。この武器の銘は――」

 

 建御雷(たてみかずち)八式(はちしき)

 二人の声はぴたりと重なった。

 

「武器対武器である方が、コキュートス殿にも都合がよいでしょう。

 そして、私がこれよりあなたにお見せする御方の姿は――」

 

 彼の形が曖昧になった瞬間、その御方は姿を現した。

 コキュートスは声を失ったように呆然とする。複眼すべての視界が広がっていく感覚は、その造形を一寸一尺余さずに記憶したいという無意識下での反射行動。アウラとナーベラルも目を輝かせた。

 三日月を思わせる二本角に、天を突く牙。巨体を赤黒く分厚い甲冑と具足で(よろ)ったサムライの出で立ち。ワールド・チャンピオンという究極の壁に幾度となく挑み憧れた、ナザリックが誇る武器の職人にして、剣の使い手。

 

 ――武人(ぶじん)建御雷(たけみかずち)

 

 第五階層守護者・コキュートスの創造主に他ならない。

 

「オオ……オオォ!」

 

 膝を屈しなかったのはひとつの奇跡だった。いくら彼の姿が偽物であると理解していても、その姿を目の当たりにした衝撃は計り知れない。

 さぁ、かかってこい。

 そう挑発を送るかの如く、サムライは蟲の王に正眼に構えた(きっさき)を突きつける。

 

(オウ)!」

 

 興奮のあまり冷気のオーラを解放しながら、武人は尊崇する者の姿に刃を向ける。

 これは不忠からの行動にあらず。

 むしろ、これ以上ないほど忠義を示すのに相応しい姿勢に違いない。

 御方の姿に応えようと、コキュートスは剣の柄を握る手に力を込めて、突撃する。

 試したい技が、術が、力が、山のようにあった。御方の力の一端でも理解できればと、鍛錬と研鑽を積んできた。

 そして今こうして、挑むべき御姿が、目の前に現れてくれた奇跡に、刹那の間だけ酔う。

 打つべき手、打ってみたい手、打つより他にない手を脳裏で総覧しながら、二人の武人は一合を交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい! 三十分終了!」

 

 審判が間に割って制止した瞬間に、終わりなき剣劇は終息を迎えることができた。

 息もつかせぬ斬撃の連鎖。

 飛び交う火花と冷気と雷の閃き。

 戦闘メイド(プレアデス)のナーベラル・ガンマから見ても、その戦闘の光景は常軌を逸するレベルに存在していた。低級な存在では、双方から発せられる気迫だけで絶命してしまうかもしれない。そう確信できるほどの益荒男(ますらお)たちの戦いぶりであった。

 

「フム。モウソンナ時間カ? 名残惜シクハアルガ、致シ方ナイ。礼ヲ言ウゾ、パンドラズ・アクター」

「私も、おかげで貴重な経験を積むことができました。ありがとうございます、コキュートス殿」

 

 武器を仕舞いつつ、互いの健闘を称えるように、二人は堅い握手を交わす。

 

「うんうん。二人ともお疲れ!」

 

 その様子を満足げに眺める審判役は、普段滅多に会うこともない領域守護者と笑みを交わす。

 

「すごかったよ、パンドラズ・アクター! あのコキュートスと、武器対武器で渡り合えるなんてさ!」

「いいえ。私の御力はすべてアインズ様と、御方々の偉大なる御力の一端に過ぎません。称賛されるべきは、至高の四十一人をおいて他にありません」

「謙遜しちゃって! 本当にすごかったよね、ナーベラル?」

「……は、はい! その通りだと、思います! とても素敵でした!」

 

 いきなり水を向けられた戦闘メイドはとにかく思ったことを口走っていた。

 気づいた時には、ナーベラルは全員の視線にさらされている事実に直面し、頬を朱に染めた。

 

「あはっ! 確かにそうだね!」

「マサニ。コレホド素晴ラシイ鍛錬ヲ積メルトハナ。サスガハ、アインズ様ノ創造サレタ唯一ノ存在ダ」

「ありがとうございます、ナーベラル殿」

 

 三人とも、ナーベラルの言動を不審に思うことはなかった。多少、いつものような鉄面皮じみた表情から乖離している様子に見えるが、その程度の事を不審がる理由が階層守護者には存在しなかった。

 その守護者二人は、自分たちの任務に戻るべく、二人に別れの言葉を残して去っていった。

 

「ぶくぶく茶釜様の御姿……マーレにも見せたかったなぁ」

「ソレハ良イ考エダト思ウゾ、アウラ」

 

 そんなことを口の端に乗せながら。

 

「素晴らしい戦闘訓練でございました、パンドラズ・アクター様」

「ありがとうございます、ナーベラル殿」

 

 パンドラズ・アクターは、戦闘メイドからの賛美をありがたく受け取っていた。

 四本の腕から繰り出される連続攻撃を、時に受け止め、時に受け流し続けた両腕は、痛ましいほどにズタズタである。しかも、冷気の追加ダメージを受けた影響で一部は凍傷を患ってもいた。しかし、彼は平然としたものである。この程度の手傷で狼狽する戦者など、このナザリックには存在しえないと言わんばかりに。

 

「……ひどい傷ですね」

「見た目ほどには、ダメージを負っておりません」

 

 これは事実だった。武人建御雷の姿で負った傷は、すべて二重の影(ドッペルゲンガー)の本性である今の彼にある程度フィードバックされるのだが、御方の戦闘スキルやステータスに助けられ、この程度の傷で済んでいた。でなければ、いくらLv.100のNPCであろうと、アルベドと同様に腕を潰されるか、斬り落とされるかのどちらかになっていたことだろう。

 それを思えば、この程度の負傷は軽いとも言えた。

 

「御心配には及びません。私には、アインズ様が授けてくれた治癒薬(ポーション)もございます」

「そう……ですか」

 

 ナーベラルは少しだけ無念を感じる。

 彼の腕を治癒する術が、自分にあればよかったのに。

 そう思ってしまいそうな自分の浅慮さが、ナーベラルを苛立たせた。

 自分の力を無念に思うことは、自分を創造してくれた弐式炎雷への忠義に反する行為。

 浅はかな考えを抱いて、至高の御身や、あまつさえ彼に失望されるようなことになっては目も当てられないではないか。

 彼に移動すると言われ、黒髪の乙女は軍服の裾を掴んだ。

 至高の指輪(リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン)を持った彼であれば、第六階層から一挙に第九階層に転移することは容易なのである。

 神々の宮殿の一角に設けられた、使用人たちの私室が集中するエリアに転移する。

 

「では、私はこれにて。宝物殿の仕事に赴くとします。ナーベラル殿はゆっくりお休みください」

 

 戦闘メイドは与えられた休暇の消費手段を考えるが、今日は自分の自室でぼうっとするしかないだろう。

 次の出撃は、アインズ様と共にである。彼とはしばらく会えないと聞く。

 せめて……せめて彼の仕事を手伝えればいいのだが、それはあまりに分不相応な願いだ。使命に忠烈な彼から使命を取り上げるような真似はしない。するわけにはいかないのだ。

 

「ところで、どうでしたか、鍛錬の方は?」

「鍛錬……ああ、そうですね。申し訳ありません。私の力では、皆様の戦闘は目で追うのがやっとで、何がどうなっていたのか……」

 

 ナーベラルの強さは、魔法詠唱者(マジックキャスター)に重きを置いたレベル構成。近接戦闘職については、本当に数えるのが容易なほどしか取得していない。そんな存在では、彼らの戦闘を完全に詳細に把握することは困難を極めた。

 

「本当に……申し訳ございません」

 

 ナーベラルはコキュートスに、近接職の鍛錬を申し出て、これを受諾されていたのだが、結果は(かんば)しくないものであった。

 剣の居合抜きなどの高度な技術はもちろん、コキュートスなら簡単に行える「白刃取り」という防御方法も身に着けられない。基礎的な体力向上のトレーニングや剣の素振りも暇を見つけては行っているのだが、どうにも自分の力とは結び付かないような虚しさが、ナーベラルを困惑させた。

 この事態を、コキュートスは予期していた。ハムスケや蜥蜴人の稽古をつけることも任務とする彼は、非常に優秀な教官としても働いていたのだが、その中で唯一、コキュートスをして強化できる見込みのないものが存在していたのだ。

 至高の御身が手ずから創造したシモベ――死の騎士(デス・ナイト)である。

 彼らはアンデッドの特性から不眠不休で鍛錬を積むことが事実上可能だ。時間的な密度でいえば、ハムスケや蜥蜴人を圧倒的に上回る速度でレベルアップを起こしても不思議ではないはず。だが、死の騎士は武技を修得することはおろか、ほんの1レベル分の成長も見られなかった。

 アインズの立てた仮定だが、ユグドラシルからそのまま転移したアインズやNPCたちは、これ以上のレベルアップは見込めないのだ。

 故に、ナーベラルがいかに鍛錬を積もうとも、近接戦闘の教練に耐え抜こうとも、彼女が新たに近接職の何かを修めることは出来ないのだろう。

 そう聞かされていた。その事実は存外にナーベラルの胸に理解と納得をもたらしたが、心には穴があいたように思えた。

 自分はもう、強くなれない。

 彼のような高みには、至れない。

 彼にふさわしいものには、なりえない……

 

「顔を上げなさい、ナーベラル・ガンマ」

 

 後悔と未練と何かが、ナーベラルの身体を軟弱にしていた。

 そんな彼女に喝を入れるような声に反応し、黒髪の乙女は彼を見つめる。

 

「人間の街で言ったはずですよ? 覚えておりませんか?」

 

 何を言ったのか、覚えているのか……問われた内容は、意外にあっさりとナーベラルの喉に辿り着いた。

 その時の感動を思い起こしつつ、彼女は彼の言葉を(そら)んじる。

 

「『出来ないことを数えても意味はない。出来ることをひとつひとつ確かめて、そうして自分を認めていけばよい』」

「その通りです」

 

 彼の卵頭の相貌が柔らかく微笑んだことが、同種のナーベラルには判った。

 

「あなたはしっかりと、私の言ったことを記憶できておられる。その事実を誇りなさい。その事実を認めなさい。あなたは確かに、一歩一歩、今という時の中を生きているのですから」

 

 眼の端に温かいものを感じながら、ナーベラル・ガンマは、深く、深く、お辞儀する。

 

「はい! ありがとうございます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   【終】

 

 

 

 

 

 







 ここまで読んでくれたあなたに、感謝の極み。
 お礼と言ってはあれだけど、コキュとナーベの(たわむ)れ、
 10巻で明らかになったノリのいい所とやらを、
 ほんの少しだけお届けします(´・ω・`)



― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 



「貴様、何者か!」
「愚カ者……余ノ顔ヲ見忘レタカ?」
「何ぃ! 余だとぅ? ……! う、上様!?」

 平伏するナーベ。

「戦女給、ナーベラル・ガンマ!」
「ははっ!」
「己ノ権ヲ悪用シ、領民ヲ苦シメタル其ノ方ノ悪行……コノコキュートス、断ジテ許シ難イ!
 潔ク、腹ヲ切レ!」
「ええい! かようなる所に上様がおられるはずがない! 者共、出会え出会え!」

 殺陣役――死の騎士(デス・ナイト)(友情出演)さん×3。

「此奴は上様を騙る不届き者! 構わん! 斬れ、斬れ! 斬り捨てぇい!」

 ガシャガシャガシャ!

「今宵ノ斬神刀皇……ジャナカッタ、三葉葵(ミツバアオイ)ハ血ニ餓エテオルゾ……!」

 ジャキン、カカーン!
 BGM某将軍のテーマ。

「「「オオオオオオオオォ!」」」

 ガキキキン!(殺陣終了)

「おのれ、だりゃあ! ……っ! くぅ!」

 振り上げた刀を払い落とされるナーベ。

「――成敗ッ!」

 ハンゾー&くのいちコスの雪女郎(フロストヴァージン)(ゲスト出演)で、トドメ。

「ぐ、ぅぅぅ……」

 ナーベ、迫真のバタリ。
 膝を屈する忍装束二人。
 斬神刀皇を振るい鞘に入れる動作をするコキュ。――完――



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 ノリノリだー、こいつらー(´・ω・`)
 爺がまさかいきなり暴れん坊な将軍様になるとか、誰得?
 そもそもノリが良いのは「二人だけの時」って言ってるのに……
 死の騎士(デス・ナイト)さんやハンゾーくん、雪女郎まで出しちゃってさー、もー……
 まぁ、いっか。
 というか、このナザリック時代劇、誰か書いてくれませんか?
 ナーベの町娘&くのいちコスが見たいのです、ただそれだけなんです、お願いします!
 ――などといらぬ言い出しっぺフラグを立てつつ――


 次は誰の逢瀬と巡り合えるでしょうか。


 それでは、また次回。          By空想病




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