ネコの手も狩りたい【完結】   作:puc119

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第70話~順調?~

 

 

「うーん、ディノバルドかぁ……やっぱり強いんだよね?」

「うニャ。弱いモンスターではないニャ。ただまぁ、ご主人なら大丈夫だと思うニャ」

 

 地底火山へ向かいながらご主人と会話。

 今回のターゲットはディノバルド。それはMHXのメインモンスターっていっても良いような相手。躱しにくいような攻撃はしてこないし、かなり戦いやすい相手だと思うけど……やっぱり初見は厳しいよなぁ。ディノはナルガみたく、パターンを覚えて戦うモンスターなわけですし。

 ただ、そういうモンスターの方が戦っていて面白いよね。初見だとボコボコにされるけれど、何度も何度も戦うことで少しずつ戦い方が分かってきて、最終的には自分の思ったように戦えるモンスターとか本当に素敵。ナルガがそういうモンスターの筆頭だと思うけれど、ディノもそういうモンスターだと思っている。

 はぁ……ホント、ハンマーで戦いたかったなぁ。あの時、中途半端にハンマーを使わせてもらっちゃったせいで、そんな想いが余計に強くなってしまった。

 

「ともかく、これをクリアできればご主人もHR6ニャ。だから頑張るニャ!」

「うん、了解です。どうなるか分からないけれど、頑張ってみるね」

 

 初見は本当に大変だと思うけど、お願いします。

 

 現在のご主人のスタイルはブシドー。ディノは攻撃の予測がしやすいモンスターだし、相性は良いと思う。出の早い攻撃も尻尾振り攻撃(弱)と噛み付きくらいじゃないだろうか。そして何より、ハンマーとの相性がかなり良い。頭は柔らかいし、狙いやすい。まさに良モンスター。

 それでこれをクリアできればHRは6に。そうなればゴリラやジョー、キリンなんかと戦えるようになる。ご主人の防具や武器だってそろそろ強化しないとだし、やらなきゃいけないことがたくさんあります。

 そのためにも気張っていきましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むぅ……やっぱり地底火山は暑いね」

 

 火山だもん仕方無いね。俺だってできれば古代林とかで戦いたかったです。

 暑いのは良いとして、地底火山の地形の悪さはどうにかならないものか。せっかくの良モンスターとの戦いなのに、あの地形のせいで全力で楽しめない。

 

「……ご主人さんはディノがどういうモンスターなのか知ってるの?」

 

 寝起きでまだなんとも調子の出てなさそうな様子の白ネコさん。まぁ、戦い始めればいつもの調子に戻ってくれると思うけど。

 

「ん~……実際に見たことはないよ。すごく強いモンスターだって聞いてるくらいかな」

 

 なんだかんだ下位じゃ戦わなかったもんね。俺は一度戦うことができたけど。アレは良い経験でした。

 

「……そっか。最初は大変だと思うけど、頑張って。あと、無茶はしないように」

「はい! 了解です!」

 

 ご主人は割と自分から突っ込んでいくタイプだったりします。今まで、そういうタイプの人はいなかったから何とも不思議な感じ。俺は主に弓ちゃんから無茶するなって言われる側でしたし。

 

 さてさて、流石に3乙はないと思うけど、2乙くらいは覚悟しておかないと。それに相手はあのディノ。俺だって気を付けないと乙る……ことはまぁないと思うけど、ピンチになることはあるだろう。それに手を抜く理由なんてないのだし、全力でいかせてもらいましょうか。

 

「ディノはエリア8にいるニャ」

「了解! よっし、それじゃ頑張っていこっか」

 

 うん、できる限り頑張ってみるよ。

 ただですね、ちょいと問題がありまして……どうにもやる気が出ないというか、何といいますか……

 今回の相手はあのディノ。MHXで登場した新モンスターの中では戦っていて一番面白い相手。だから、戦うことをもっと楽しみに思って良いはずなんだけど……ん~、なんだろう。自分でも良く分かんないや。こんなことは今までなかったのだけどなぁ。

 まぁ、きっと戦い始めればこんな感情だってなくなるか。

 

 

 

 

 

「え? な、何が起きるんですか? これ」

「ご主人! ディノのかかとが安置ニャ!」

 

 自分の長い尻尾を咥え、最大火力技であるラウンドフォースの準備。そして、金属同士の擦れる音と共に、その技が放たれた。

 

 当たり判定は短いからフレーム回避をしても良いけど、それをするほどの攻撃でもないから、攻撃が当たらない場所まで移動しておく。それで、攻撃後のディノへ直ぐにブーメランを投げつけた。

 

 今は戦い始めてそろそろ5分といったところ。

 白ネコさんからのアドバイスもあってか、心配していたご主人も問題は特になし。俺はディノと戦ったことがあるし、そもそもネコなら攻撃なんてほとんど喰らわない。そんなだから、危ない場面なんてほとんどありません。

 正直、もっと苦戦するだろうって思っていた。それがこの調子。

 いや、決して悪いことじゃないし、むしろ良いことなんだけど……なんだろうね、このモヤモヤした感情は。

 

「おっ? 移動したよ!」

「……エリア2に行ったみたい」

「了解!」

 

 ふむ、どうやらこのクエストも問題なくクリアできそうだ。まぁ、このメンバーならそうなりますよね。白ネコはもちろんだけど、ご主人だってかなり上手いわけですし。順調順調。

 

 そんじゃ、今回もサクっと終わらせましょうか。

 

 

 

 

 そして、その後も問題なくディノ討伐が完了。ご主人もどうにか1スタンを取ることができていたし、かなり良い感じだ。このパーティー、ホントに強いです。

 それでもってHRは6に。おめでたいですね。

 

「お、おおー! 倒したーっ!」

「……お疲れ様」

「お疲れ様ニャ」

 

 ……結局、ディノと戦っている間もあのモヤモヤはなくなってくれなかった。その原因だけど……多分、今の状況が良すぎるからだと思う。

 ゲーム中でもネコはあまり使っていなかったこともあり、ハンマーと比べて上手く戦うことはできていない。けれども、スキルやサポート行動はもうほぼ理想的な形になってしまっているし、これ以上強化することもできない。そうなってしまうと、普通のモンスターにはまず負けない。それに、このメンバーならよほどの相手じゃない限り問題なく倒してしまう。

 詰まるところ、どうにも緊張感がないんです。乱入してきたディノとの戦いや、二つ名ナルガと初めて戦った時、そして前回のジョーとの戦いの時のようなあの緊張感が。

 それほどに、このパーティーが強いってことだけど、やはりそこには物足りなさを覚えてしまう。ひと言でいうとモチベーションの低下。それなら、縛りプレイでもって考えたけれど……今はソロじゃなくパーティー。他のメンバーに迷惑をかけるわけにはいかない。

 どうしたものかなぁ。

 

 俺はあの相棒みたく、困っている人のためにハンターをしているわけでもなければ、お金や名声がほしいわけでもない。ただただモンスターと戦うのが面白いからハンターを続けている。

 でも、この先の未来で、モンスターと戦うことに面白さを見出せなくなったらどうなるんだろうね。いくらモンハンが好きとはいえ、ずっとやり続けるのはやはり飽きる。逃げ道がない。そして何より、ネコのままだと……

 いやぁ、これは困りましたね。元の世界ならそれは別におかしくない問題。けれども、こんな馬鹿みたいな理由でモチベーションが低下するなんて、この世界じゃ俺くらいだろう。そして、これは自分だけの問題。自分でどうにかしないといけない問題なんです。

 

 せめて人間の姿になることができれば他の武器を使うとか、スキルを変えることで戦い方を変えるとか色々できるんだけど……

 いや、できないことを考えても仕方無い、か。

 

 今はまだ大丈夫。オストガロアと戦うという目標があるし、何よりご主人のオトモとして頑張ろうと思えているから。今は目標も目的もある。

 問題になってくるのはその後。どうにかしてこの世界へ残ることができ、相棒の所へ戻ることができたとしても……

 

 あー……ホント、何を悩んでいるんだか。自分で自分のことが馬鹿らしくなってきた。せっかくこの世界へ来ることができたんだ。それなら全力で楽しめよって話。

 自分に嘘をつくのは苦手なタイプ。とはいえ、モチベーションくらいどうとでもなりそうなものなんだけどなぁ。

 

「よーし、剥ぎ取りも終わったし、帰ろっか。これでHRも上がったし今日は盛大に打ち上げやろ!」

「うニャ」

「……了解」

 

 未来のことなんて誰にも分からないけれど、考えておいた方が良いのは確かなこと。帰ったら色々と話をしてみないとですね。特に、ご主人はどうするのかとかそういうことを。

 

 最小マラソンとかTAとかやれることはいくらでもあるんだ。あとは自分の気持ち次第。

 まぁ、その気持ちをどうにかするのが難しいわけですが。

 

 

 


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