主人公がモンハンの世界へ行く前のお話です
本編とは関係ありません
笛の彼女と主人公がただただMHXを遊んでいるだけのお話となります
「……むぅ、また最小が出なかった」
時刻はそろそろ日付が変わるくらいと言ったところ。
もうそんな遅い時間だと言うのに、例のごとく、俺の部屋で彼女とモンハンを続けていた。多分、今日も朝になるまで続けることになりそうだ。明日も休みだから、別に遅くまでやっていても問題はないけれど、徹夜はやはり辛い。
「ん~……2体同時より、獰猛化クエの方が良いのかな。どうする? 息抜きに違うモンスターでも狩る?」
「こっちのが効率は良いと思うけど……うーん、もう少し頑張る」
現在はケチャワチャの最小金冠を目指してひたすらマラソン中。クエスト名は『超☆メモ帳~奇猿狐狩猟編~』と、遺跡平原でケチャワチャを2頭倒すクエスト。
……しっかし、アレだね。我らの団のお嬢はやっぱり好きになれない。別に嫌いだとかは思わないけれど、流石にキャラが濃すぎると思うんだ。チラリと見える太ももは良いけど、あの性格がなぁ……
やっぱり受付嬢の中ではモガ村のアイシャが一番好きです。今作でもルームサービスは彼女にやってもらっているし。因みに、我らの団のお嬢の名前はソフィアらしいよ。
さて、そんな余談は良いとして、問題なのはケチャワチャなんですよ。いや、別にケチャワチャが強くて困るとかそう言うことじゃなくて、むしろケチャワチャは強くない方だし。MHXになって少し強くなったとは思うけれど、問題になるほどじゃない。
2頭同時クエストで、これならサクッと集まるだろうと思っていたけれど、どうしてなのやら小さいのが全然出てくれない。まぁ、まだ100頭も討伐していないのだし、文句を言えるような状況ではないけど。文句を言って良いのは250頭倒してからだと思っている。
「このクエストって本当に最小出る?」
「金冠wikiには確認報告があったはずだよ」
嘘だったら絶対に許さないが。
流石にもうケチャワチャ素材はいらないし、これでこのクエストでは最小が出ないとなると、この数時間が無駄になる。
「わかった。頑張る」
彼女が今、使っている武器は笛じゃなく、双剣。
最初は彼女が笛で、俺がハンマーを使っていたけれど、それを数回やったところでお互いに満足しました。俺も今はハンマーじゃなく、弓を使っています。装填特射凄烈弓超強い。今作の壊れ武器筆頭だと思う。単純な物理火力も恐ろしいけれど、属性値もぶっ飛んでる。そして、ソレを一気に最大まで溜めることのできるブシドースタイルがさらにブースト。スロットも2で入れられる瓶も優秀。正直、調整ミスとしか思えない。
「これの金冠が出たら、次は何やる?」
二頭が合流しないよう、一人が一頭を担当し別々にわかれての狩猟。それでも、スタート位置が悪いと合流されちゃうんだけどさ。モンスターの目の前から始まる猫飯スキルとかあれば良いのにね。
「やりたいのは特にないけど……貴方は何かある?」
やりたいものねぇ。何かあるだろうか。
正直、同じモンスターをひたすら狩り続けるのは精神的によろしくない。だから、本当なら金冠が出ていないモンスターを順々にやっていけば良いのだけど、一々装備を変えるのもなぁと言ったところ。
「ああ、じゃあ二つ名モンスターでも適当にやろっか」
「……了解」
まだ戦っていない二つ名モンスターは沢山いる。情報はほとんど調べていないし、戦うのが楽しみだ。二つ名レウスなんかはすごく強いと聞いている。二つ名ナルガとかも戦っていて楽しかったし。
「っと、よし。討伐完了。そっちはどんな感じ?」
「もう直ぐ倒せると思う」
なんて彼女が言った瞬間、討伐完了の知らせが出た。
う~ん、やはり双剣も強いな。確かに、今回は俺の立ち回りもまずかった。それでも、これはなかなかのタイム。炎と雷は組んであるけど、他の属性も防具を組んでみようかな。
ああ、そうだ。肉を焼くのを忘れていた。弓を使っているせいで、強走薬の減りがヤバいんです。本当は強走薬グレートを使いたいけれど、どうにももったいなくて……
「キノコ大好きでも入れれば?」
俺が肉を焼いている場所へ大樽Gを置くと言う、なんとも鬱陶しいことをしながら彼女が言った。音楽でタイミングはわかるけれど邪魔です。退かして……コラ、爆発させてって意味じゃなくて……ああ、もう吹き飛んじゃったじゃん。暇なのはわかるけど、もう少し落ち着きなさいよ。
「空きがないです」
5スロスキルの特定射撃強化を抜けば入れられるけど、それを抜くことは流石にできない。まだ集中を抜いた方が火力は出そうだ。
「……火力厨」
失礼な。別にそこまでこだわってはいません。防具の見た目とかちゃんとこだわってます。本当なら弾薬節約がつくけど、見た目が終わってたから削ったりしてるんです。
それに、ほら。キノコ大好きは確かに便利だけど、強走薬を飲めば問題ないから別に良いんだ。強走薬だってクエストが終わってからの1分間に肉を焼けば良いだけだし。
因みに彼女はキノコ大好きがついていたりします。双剣も弓と同じように強走薬が必要な武器。ただ、弓と違って欲しい5スロスキルってあまりないよね。エリアルなら飛燕とかがほしいけど、彼女ブシドーだし、別にキノコ大好きでも良いと思う。そもそも他人のスキルに色々言うようなことはしません。ゲームなのだし、やっぱり自分の好きなようにやりたいよね。流石にそれは……ってのがあったら言うとは思うけど。
さて、今回の敵も別に小さくは見えなかったし、どうせダメなんだろうなぁ。
なんてことを思いながら、報酬などを受け取りサイズの更新を願っていたけれど、予想通りサイズの更新はなし。
なかなか出ないものだねぇ。
「……違うのやろ」
うん、俺も良い加減違うモンスターと戦いたいです。
「了解。何やる?」
「二つ名クマと戦ってみたい」
そう言えば、クマも二つ名がいるんだったね。あのクマが強くなるところとか想像できないけれど……どうなのだろうか? ただ、クマは頭に攻撃が届かないから苦手です。まぁ、最初だしハンマーで行くけど。弱特発動する部位があると嬉しいが。
「あいよ。じゃあ、クマさん行くか」
「うん」
そんなことで、戦う相手は二つ名クマさんこと、紅兜アオアシラに決定。普通のクマさんはちょっと可哀想になるくらいの弱さだけど、二つ名はどうなのやら。
マップは孤島。エリアは2。その場所が二つ名クマさんの初期位置だった。
そしてクマさんの見た目だけど――
「……アカアシラ?」
アオアシラです。
いや、まぁ、彼女の気持ちもわかる。“紅兜”なんて言う名前だし、紅いだろうとは思っていたけれど、こんな感じになるとは思っていなかった。てか、何その見た目。マジ怖いんですけど。あの可愛らしかったお前は何処へ行ったんだ。
う~ん、随分とゴツイ見た目になっちゃったな。とは言え、二つ名クマは最初に戦える二つ名モンスター。だからそんなに強くはないはず。
とりあえず、ハンマーを溜めながら近づき、挨拶変わりのスタンプをぶち込もう。
近づいて来た俺たちに気づき、此方を向くクマさん。其処へ最大まで溜めたハンマーを……
「おお……クマが吠えた」
振り下ろそうとしたところで、クマさんの咆哮が響き、耳を塞いでしまった。
いや、これは聞いてない。初見殺しも良いところだ。
そして、長い戦いが始まった。
彼女の武器は先程と同じ、属性特化炎双剣。俺は弱特超会心ナルガハンマーとどちらも決して弱い装備ではない。弱い装備ではないと言うのに……
「うわっ、コイツ魚飛ばして来たぞ」
「腕を振ると風圧が……ぐぅれいとじゃない……」
このクマさんったら超強いのね。
バインドボイスに風圧。さらに地面まで揺らしてくる。そして何より、肉質が滅茶苦茶堅いらしい。後で調べてわかったけど、打撃とガンナーは弱特が発動する部位が何処にもなかった。んで、属性耐性も割とおかしいレベルで高い。此処までの肉質だと毒武器や爆破武器、あとは水爆なんかで戦う方が良いかもしれない。
結局、HRの上限開放済みの二人で戦って15分針近くもの時間がかかった。所詮クマさんだと思って完全に油断してました。怒り時の火力もなかなかだったし、二つ名クマのレベル10はなかなかに苦労しそうだ。
てか、このクマさんとはHR2の段階から戦えるわけだけど、そんな時に戦って勝てるのか? どう考えても火力が足りないと思う。
まぁ、二つ名クマさんは防具も武器もイマイチだし、人気はないんだろうなぁ。
「……強かった」
「いや、アレはちょっとやりすぎだろ。ソロじゃ戦いたくもないぞ」
ただ、良い息抜きにはなったと思う。今まで弱いと思っていたモンスターにボコボコにされるのはなかなか面白い。二つ名ディノや二つ名ナルガとかも良いよね。通常種と同じ避け方をしたら、逆に攻撃を喰らってしまうような動きをしてくれるし。全てのモンスターに対して全部同じ動きをしているだけじゃあ、つまらないのだから。
さて、これでクマさんも倒してしまったわけだけど……
「次、どうする?」
「うー……ケチャで……」
いや、そんな嫌なら別にやらなくても……
まぁ、いつかはやらなきゃいけなくなるんだろうけど。
はぁ、サクッと出てくれないものかねぇ? リタマラは性格的に合わないし、ただただそれだけを願います。
「……もし」
「うん?」
次は俺も双剣で行ってみようかな。なんて考えていると彼女が声をかけてきた。
「もし、もう一度あの世界へ行けたら、何をしたい?」
あの世界……それはつまり、モンハンの世界ってことだと思う。
俺と彼女は2回あの世界へ行っている。1度目はダラ・アマデュラを倒したところで。2度目は、ゴグマジオスを倒したところでまた元の世界へ。
どうやったらあの世界へ行けて、どうしてあの世界へ行くことができたのかはわからない。ただ、こうやって遊んでいるゲームの世界へ行けるのは楽しかったと思う。
できれば、また行きたいかな。
「そうだなぁ。そろそろハンマーもアレだし、次はネコとか良いかもしれないな」
「貴方には似合わない」
ですよねー。それくらい分かっています。
「やっぱりハンマーを使いたいよ。それくらいにはこの武器が好きだし。君は?」
「私は……うん、私も笛を使うと思う」
まぁ、そんなものだよね。
自分の使っている武器が強くないのは分かっている。けれども、好きな武器がハンマーってことには変わらない。
だから、もしまたあの世界へ行けたとしても、俺はハンマーを担ぐだろう。
それこそ、ネコにでもならない限り。
そう思うんだ。
「ただ……もし、あの世界へ行けたとしてもやっぱり貴方と一緒がいい」
……え、えと。あ、ありがとうございます。
相変わらず彼女が何を考えているのかわかりにくい。それでも、ちゃんと俺のことを想ってくれていることはわかるから、それが嬉しかった。
いや、滅茶苦茶恥ずかしいんだけどさ。
「うん。俺もできれば君と一緒に行きたいかな」
俺がそう言うと、彼女は可愛らしく笑ってくれた。
あの世界かぁ……多分、次に行けるとしたらMHXの世界なんだろうけれど、どんな感じなんだろうね? あの相棒や弓ちゃんは今でも元気でいるだろうか。
考えたって仕方無いことだけど、もう一度彼女たちとは会いたいって思ってしまいます。前回もまた中途半端に別れてしまったわけだし……
まぁ、いつあの世界へ行っても良いように、ちゃんと知識も溜めておこうかな。相棒さんとか滅茶苦茶上手くなっちゃったし、もうサポートくらいしかできないだろうけど、できることはやっておきたいのです。
うん……また皆で一緒にわいわいしながら狩りをする日が来ると良いね。
そう思います。
と、言うことで第閑話でした
これから先、笛さんの出番がないような気がしたので、ちょこっと登場させてみました
そんな本編が始まる前のお話です
それでは次話でお会いしましょう