ネコの手も狩りたい【完結】   作:puc119

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第46話~サクサクっと~

 

 

「ネコさんネコさん、次からは何をすればいいと思う?」

「うニャー……とりあえず防具を作るのが良いと思うニャ」

 

 ご主人さんが上位のハンターとなった次の日。朝食を食べながら、今後の予定を決めてみる。

 

 上位のクエストは下位のクエストと比べて、やっぱり難しい。

 このご主人さんの実力なら大丈夫だと思うし、私と彼がついているのだから問題なく進むことはできると思うけれど、やっぱり上位用の装備がほしい。

 ただ、上位序盤って良い防具がないしなぁ……特に、ご主人さんの使っている武器にあっているのは全くないと言って良いくらいだと思う。

 

 つまりはどんな防具でも良いってことだけど。

 

「ん~、防具かぁ……何の防具がいいかな?」

「ある程度の防御力さえあれば、本当に今は何でも良いと思うニャ」

 

 同意見。

 どうせもう少し進んだら、四天王の防具やレウス防具を作ることになると思う。今回作るのはそれの繋ぎくらいって感じ。

 

「いや、何でもいいって言われても……」

 

 そうだよね。困っちゃうよね。

 

 ん~……私たちの時は何を作ったっけ。

 私はボーンSであの彼は……ああ、そっか。こっそり村クエを進めてアークSを作ってたんだった。アレは絶対に許さない。一緒に進めようって言ったのに、ひとりだけ先にエンディングも見てたし。

 ま、まぁ、それは良いとして……やっぱりご主人さんの参考にはなりそうにない。

 上位シャガル防具を作ることができれば良いけど、この世界はそんなにシャガルがいないし、そもそも今のご主人さんに上位シャガルマラソンをやらせるのも……

 

「じゃあ、アオアシラ防具とかで良いと思うニャ」

「アオアシラって……クマさんだっけ?」

「うニャ。クマさんニャ」

 

 どうやら、ご主人さんの防具はアシラSになりそうだ。

 クマさんなら楽に倒せるし、悪くない選択だと思う。赤い方のクマさんはちょっと戦いたくないけど。

 この世界では二つ名モンスターと戦うことになるのかな? 戦いたいって思う気持ちもあるけれど、全部のモンスターの最大レベルまで戦うのは遠慮したい。

 

「よしっ、それじゃ、今日はアオアシラのクエストへ行こっか」

「うニャ」

「おー」

 

 上位ハンターとなって最初のクエストはクマさんに決定。

 ということは、渓流になるのかな? 孤島でも出るけど、集会所上位にはそんなクエストがなかったはずだし。

 

 

 それにしても……なんだかご主人さんと彼の距離が近くなったように思えるのだけど、気のせい?

 

 距離といっても物理的なものじゃなくて、精神的なもののこと。本当になんとなくだけど、ご主人さんと彼との間にあった壁のようなものが一枚なくなったように感じる。

 何か、あったのかな?

 彼の姿が姿だから、別にご主人さんに取られるとかそういうことは思わないけれど……あのふたりを見ていると、どうにもモヤモヤする。

 

 そろそろ私も私のことを話さないといけない時なのかなぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 ご主人が上位ハンターとなり、ご主人の話を聞き、俺の話をした次の日。

 初めての上位クエストはアオアシラの討伐に決定した。

 

 どうやら、ご主人は俺たちのパーティーに対して色々と思うところもあったらしく、そのことは言わない方が良いのかなとも思ったけれど……なんか、ほら勢いってあるよね。多分、深夜テンション的な感じ。

 

 そして俺のことを知り、かなり混乱状態となったご主人。

 そんなご主人を見て、言わんきゃ良かったわ。なんて最初は思っていたけれど……その後は、以前とほぼ変わらないくらいの様子で接してくれている。

 

 俺が話をしたことで何が変わったのかは分からない。

 もしかしたら、ご主人にただプレッシャーをかけるだけになってしまったのかもしれない。それでも、俺は以前よりご主人に接しやすくなった。

 自分のことを話すのは怖いものだけど、そのことに全く意味がなかったわけじゃないだろう。

 

 それにあの話ができたから、今度こそご主人のためだけに頑張れるんじゃないかなって思う。

 

 目指すは一流のハンター。

 大丈夫、このメンバーなら四天王だろうが、オストガロアだろうが、サクッと倒していけるさ。

 

 因みに、ご主人は俺に対して敬語を使おうとしていたけれど、流石にそれは遠慮してもらいました。だって、俺が昔どんなハンターだっただろうが、俺はご主人のオトモなわけですし。

 それに、俺は今まで通り接してもらえるのが一番だ。

 

 

 

 

「よし、到着! それじゃサクっと倒してこよっか!」

「うニャ!」

「おー」

 

 そして、今回のクエストの目的地である渓流に到着。

 あとは、クマさんを倒すだけだ。まぁ、相手が相手だし、苦労することはまずないと思う。気をつけることと言えば……えと、気をつけることと言えば……ヒ、ヒップアタック?

 二つ名はちょっとアレだけど、普通のクマさんはなぁ……

 

「えと、上位のクエストは支給品がないんだよね?」

「うニャ。そのうち来るけど、支給品は期待しない方が良いニャ。あと、ご主人」

「そっか。それは大変だなぁ。それで、どしたの?」

 

 上位になったら、応急薬程度じゃ回復が間に合わなくなるし、どの道支給品はいらないと思う。それこそ高難度クエストになれば、回復薬グレートでも回復が間に合わなくなる。

 

「これから使うことになるから、虫や鉱石を集めておいた方が良いと思うニャ」

 

 アシラSの必要素材は知らないけど、どうせ王族カナブンとかを要求されるだろう。それと鉱石の方は武器の強化に使う。カブレライト鉱石とか欲しいです。

 上位序盤は装備を整えるまでが大変。少しずつ集めておけば後々楽になる。

 

「あっ、うん、分かった。それじゃ、色々集めながら行こっか」

 

 それが良いと思います。

 初めての上位クエストってことで、ご主人は緊張しているかもしれない。ただ、今回の相手が相手ってこともあるのだし、気張らずのんびり行けば良いさ。

 

 

 

 

 それから、ピッケルポイントや虫が取れる場所で採取。あと一応、倒木からユクモの堅木なんかもいただいておいた。

 どれくらいの時間、採取をしていたか分からないけれど、成果は上々。これだけでも、このクエストへ来た意味はあったと思う。いや、まぁ、メインディッシュが残っているわけだけど……

 

「そ、それじゃあ、倒しに行くよ!」

 

 ちょいとばかし緊張気味のご主人。ただ、相手はあのクマさん。油断するのは悪いことだけど、今回ばかりはホントに楽な気持ちで良いと思う。

 どうせ、あの白ネコだって余裕だろうし。

 

 そんな俺と白ネコだけど、武器は元のものに戻しました。つまり、俺がゴア一式装備で、白ネコがシャガル一式装備。

 毒と睡眠がなくなるのは痛いかもしれないけれど、やっぱりネコなら一式装備が似合うよね。

 

 そして、アオアシラのいるエリア5へ到着。

 お待たせしました。

 

「あっ、思ったより小さいんだ。え、えと、私はどこを攻撃すればいいの?」

「……ご主人さんはお尻をお願い」

 

 俺の代わりに白ネコが答えてくれた。

 そだね、そこが一番柔らかいし、一番安全だ。

 まぁ、アオアシラなんて前脚を抜かせば全身が急所みたいなものだし、正直なところ、攻撃できるなら何処でも良いんだけどさ。

 

「了解です!」

 

 さて、そんじゃ、ひと狩り行きますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あれ? もう倒したの?」

 

 多分、戦っていた時間は6分くらいだと思う。

 

「お疲れ様ニャ!」

「お疲れ様」

 

 今回のターゲットであるアオアシラの討伐を完了。

 途中で、ご主人が捕食攻撃を喰らって高い高いされたぐらいで、後は特に危ないこともなし。現実の世界でこんなでかいクマにあったらまず終わりだろうけれど、モンハンの世界の中のアオアシラの強さはそんなもの。

 少なくともこのメンバーで苦労するような相手じゃない。この感じならご主人の防具も問題なく作ることができそうだ。

 

「よ、よし、それじゃあ、剥ぎ取ったら帰ろっか」

 

 そんなわけで、初めての上位クエストは予想通りあっさりと終了。

 これで防具が完成したら次は武器。上位になったばかりの時期はやることが多くて大変だ。

 

「これからは防具が完成するまで、アオアシラと戦うってことでいいのかな?」

 

 サクサクと倒したアオアシラから素材をはぎ取りながら、ご主人がそんなことを聞いてきた。

 

「うニャ。とりあえずは防具作りで、次は武器の強化になると思うニャ」

「やること多いんだね……」

 

 そればっかりはなぁ。

 それに、例えいきなり強い防具を作ることができたとしても、面白くない。モンハンなんて、ある装備を作るための装備を作るための装備を作っているくらいの時の方が面白いと思うんだ。まぁ、それは俺がそう思っているだけだけど。

 

「う~ん……あっ、じゃあさ。もし私の防具が完成したら皆でユクモ村へ行こうよ。ネコさんはこの前行ったけど、私も行ってみたい。足湯とかあるって聞いてるし。ふたりはそれでも大丈夫?」

 

 いや、確かに俺はユクモ村に行ったけど、足湯には入ってないよ? あの時は色々ありましたし。

 

「私は大丈夫」

「ボクも問題ないニャ」

 

 ん~……やりたいことは多いけど、別に焦ってやる必要もない。それなら色々と楽しみながら進めていくくらいで丁度良いのかな?

 

 ま、とりあえずは目先の目標をひとつずつクリアしていこうか。

 

 

 

 


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