ネコの手も狩りたい【完結】   作:puc119

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第16話~ネコなりにできること~

 

 

「んもう。また、何が何だかわからないことに……」

 

 そんな言葉を落としながら、また同じ場所をクルクル回り始めるご主人。そして、ホロロはそんなご主人目掛けて滑空攻撃。

 う~ん、どうにも上手くいかない。俺はまだ食らっていないからわからないけれど、どうやら混乱攻撃がかなり辛いらしい。ご主人も頑張ってその混乱攻撃を喰らわないようにはしているものの、近接武器じゃそれも厳しい。今回は相性がよろしくないんだ。

 ただ、このご主人ならもっとあっさりいけると思っていたんだけどなぁ。まぁ、その分、今回は俺が頑張るとしよう。

 

 それからも、ご主人はホロロに対してかなり苦戦している様子だった。睡眠攻撃を食らった時は俺がなんとかしてあげることができる。しかし、混乱攻撃ばかりはどう仕様も無い。試しにと思って、俺も一度混乱状態になってみたけれど、アレだね。予想以上にヤバいです。頭で思っていることと身体が違う動きをするってのはかなり慌てる。流石にその場でクルクル回ってしまうほどではなかったけど。

 

 そんなどうにも上手くいかないことが続き、ホロロはエリアチェンジ。

 

「う~ごめんね、ネコさん。足、引っ張っちゃって……」

「別にボクは気にしないニャ」

 

 苦手なモンスターだっているのだし、これはしゃーなしだ。俺だって、ブラキみたいに苦手モンスターがいる。

 それにしても、このご主人はよくわからないな。テツカブラと戦った時とは動きが全然違う。珍しく乗りも失敗していたし。

 

「ホロロはエリア5へ行ったニャ!」

「……うん、わかった。ありがとう」

 

 むぅ、ご主人に元気がない。乙ったわけでもないし、全く戦えていないわけでもない。だから、そんな気にすることじゃないと思うんだけどなぁ。初見モンスターだし、仕方無いのだ。ちょっとずつ慣れていけば良い。

 

 エリア5へ移動し、ご主人がホロロへカチ上げから横振りを決めたところで、本日1回目のスタン。ナイスです。

 俺も貫通&巨大ブーメランの準備は出来ていたから、そこで一気にダメージを稼ぐ。クエストが始まりもう10分針近い。体力だってそんなに多くないはずだし、そろそろ倒せるくらいだとは思う。

 そして、スタンが解けたホロロはさらに疲労状態へ。大チャンスです。

 

 しかし、脚を引きずりながらもホロロがエリアチェンジをしようとしていた。できれば此処で、倒しちゃいたいのだけど……

 

「乗った!」

 

 タイミングは完璧。本日2回目の乗り。流石です。

 疲労状態だし、大丈夫だとは思うけれど、俺もブーメランを投げて一生懸命サポート。頑張れ頑張れ。

 

「よしっ! 成功!」

 

 乗りも成功し、ホロロがダウン。

 さてさて、なかなかに苦労したけれど、これで終わりにしましょうか。

 

 乗りダウンしたホロロホルル。その顔へご主人のホームランが決まったところで、ソイツは動かなくなった。

 

「はぁ……良かった」

「お疲れ様ニャ」

 

 せっかくモンスターを倒したと言うのに、ご主人はやはり元気がない。アレだけ大変だったんだ。ソレを乗り越えることができたのだし、もっと喜んで良いと思うんだけどなぁ。

 そして、ホロロを倒せたことで俺の武器も強化することができます。必要な素材は確か、端材と夜鳥の羽鱗。夜鳥の羽鱗は確定報酬だったはずだし、素材が足りないと言うこともない。ご主人も俺が武器を作ることは許してくれるだろうし。

 

 ありがとう。今日の素材、大切に使わせていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にごめんね、ネコさん……」

「だからボクは気にしていないニャ。元気を出すニャ」

 

 帰りの飛行船。先程からご主人に謝られっぱなしです。確かに今日のご主人は今までと比べて動きは悪かった。けれども、こうして無事にクリアすることができたのだし、文句なんて何もないんだけどなぁ。

 

「初めてのモンスターは上手く戦えなくて……」

 

 しゃーなしです。それもハンマーなら特に。他の武器ならまだ良いかもしれないけれど、ハンマーは相手の動きを覚えて、漸く普通に使えるくらいの武器なんだ。そして、今回の相手はホロロホルル。動きや攻撃技が独特だし、アレは仕方無い。

 どうでも良いことだけど、ホロロホルルの肉って美味しいらしいね。今度食べてみようかな。

 

「でも、ホロロホルルってあんなに強かったんだね。これから大丈夫かなぁ」

 

 まぁ、村クエくらいなら大丈夫だとは思う。集会所は……どうだろう。俺もあんまり自信ないです。

 

「新しい防具も完成しているはずだし、大丈夫だと思うニャ」

 

 とは言え、いくら防御力が上がったところで、心が強くなるわけじゃないんだ。精神的なことばかりはどう仕様も無い。ただ、絶対に考えすぎだよなぁ。あの相棒もそうだったけれど、何をそんなに心配しているのやら……。それほどに失敗が怖いってことだろうか。

 俺はこの世界の人間ではない。だから、どうしても考え方に差が出てしまう。今回もそれが原因なのかね? こう言う時、あの相棒がいてくれれば助かるんだが……

 

「うん、そうだね。今度はもっと頑張ってみるよ」

「頑張れニャ。あと、前回、テツカブラを倒したから、ご主人の武器はまた強化できるはずニャ」

 

 これでまた装備が強くなりますね。

 ただ、その間またご主人がクエストへ行けなくなっちゃうんだよなぁ。今作はやたらと武器強化が多いし、もうひとつハンマーを作っておいた方が良いかもしれない。

 いっそ、ハンマー以外の武器を担ぐって言う選択肢もあるけどさ。

 

「あっ、そうなんだ。それじゃあ、その間また暇になっちゃうね。ネコさんはどうするの?」

 

 ん~……村にいても仕様が無いしなぁ。

 

「またネコ専用のクエストをやっているニャ」

 

 じっとしているのは苦手だし、それが良いと思う。正直、ネコ専用のクエストをやる意味はあまりないけれど、困っている人がいるのなら頑張ってみよう。まぁ、ネコに頼むくらいだし、そんなに困ってはいないんだろうけどさ。

 

「了解。う~ん、私はどうしようかなぁ」

 

 武器がもうひとつあれば良かったんだけどね。余っている素材で何かできたりしないだろうか。前回、火山へ素材ツアーに行ったおかげでドラグライト鉱石が結構あるはず。それならアイアンハンマーとか良いかもしれない。あとは、ウォーハンマーとかか。他にもありそうですね。MH4の頃ならアクセルハンマーくらいしかなかったけれど、今作は武器の種類も多いから悩みどころだ。

 

 それから、俺なりに一生懸命ご主人を励まそうと頑張ってみた。とは言え、そう言うのは苦手ですし、俺の言葉がどれくらいご主人に届いたのかはわからない。

 ホント、このご主人は自分にもっと自信を持って良いと思うんだけどなぁ。

 

 

 

 

 そして、ベルナ村へ到着。前回のクエストもそうだったけれど、今回も夜のクエストだった。まだちょっと薄暗いけれど、空は少しずつ明るくなり始めている。流石にちょっと眠いです。ただ、これで一度寝てしまったら次に起きるのはきっと夕方。なんともすごい生活だ。

 

「はふぅ……ん、とりあえず私は寝ようかな。ネコさんは?」

 

 大きなアクビをしてからご主人が言った。

 ん~……まぁ、此処で生活リズムを戻したところで、意味なんてそんなにないだろうから俺も寝ようかな。

 

「ボクも寝ることにするニャ」

「了解。それじゃ家へ帰ろっか」

 

 報酬なんかも受け取れるけれど、それは起きてからで良いかな。こんな早い時間じゃ加工屋も開いてないし。焦る必要なんてないのだから、のんびりと行こう。

 

 そんな会話をご主人として家へ戻ろうとした時だった。

 

「あっ、やっと帰ってきてくれた」

 

 どうにも聞き覚えのある声。

 

「えっ……」

 

 その声の主の方を向き、固まるご主人。

 

「……えと、どうしてハンターさんが此処にいるのニャ?」

 

 まぁ、つまりアレですよ。どうしてなのかさっぱりわからないけれど、相棒さんがいました。いや、ホントどうしてコイツが此処にいるんだろう。

 さっきまでの眠気なんて吹き飛びました。それくらい驚きました。だって、もう会えないんじゃないかとすら思っていたのだから。

 

「んとね、弓ちゃんと合流するためにユクモ村にいたんだ」

 

 うん、それは聞いてます。

 

「そこであるモンスターの狩猟をお願いされたんだけど、そのモンスターがどうにもかなり強いらしくて……」

 

 なるほど、此処までは理解できるぞ。

 

 

「だから、ちょっとネコちゃんの手を借りたいなって思ったんだ」

 

 

 意味がわからない。

 この相棒とあの弓ちゃんの実力ならどんなモンスターだって倒せると思う。G級の古龍種だってソロで倒せるくらいだし。それなのに、助けを求めるのもわからないし、その助けを求める相手が俺ってことがまたわからない。だって俺、ネコだもん。

 

「そんなわけなんだけど……ちょっとネコちゃんを借りても良いかな? たぶん、二日くらいはかかると思うけど」

 

 そんな人をまた物みたいに……

 いや、まぁ、俺もやらなきゃいけないことはないのだから、手伝うくらい良いのだけどさ。

 

「は、はい! 大丈夫です! 私も武器が完成するまではクエストへ行けませんし……」

「ありがとう。ごめんね。もし、何か困ったことがあったら今度は私たちが行くから」

 

 あっ、それは助かるかも。この相棒が手伝ってくれるのはかなり大きい。もし大連続クエストとか、運搬クエストがあったら呼ぶとしよう。それにこの相棒ならご主人に良いアドバイスだってできそうだ。

 

「急いだ方が良いからもう行くね。ありがとう槌ちゃん」

「あっ、いえ、そんなそのくらいならいくらでも」

 

 ご主人、そのセリフは流石に傷つきます。

 てか、もう出発するの? あと、俺の意見とかは聞かなくて良いんですか? それに話の内容的に、あの弓ちゃんがいるんだよね……何を言われるのか分かったものじゃないし、一言も喋らないでおこうかな。

 

「それじゃあ、またね槌ちゃん」

「はい! また! ネコさんも気を付けてね」

 

 お互いに手を振るご主人と相棒さん。

 俺には何が起きているのかさっぱりです。ホント、どうなることやら……

 

 






次話は多分、ご主人さん視点のお話です


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