Evolve!!   作:プラハ市民

1 / 7
どうも、これが初投稿のプラハ市民です。
暇つぶし程度にどうぞ。
主人公はStage3の状態からです(つまり最初からクライマックス)


Evolve StageⅠ

 

 

 

 

―――――――――――ザザッ

 

 

風に煽られ棚引く木の枝の葉は、大きく音を立てて自身を強調する。

周りには木々が生い茂って、巨大な宇宙(そら)のような黒色の岩の壁には、近くに流れる川の水が犇めき合って跳ねた水滴がまるで黒曜石の如く太陽の光を受けて輝く壁面を滴り落ちてゆく。

地面を覆いつくす深緑色の草と奇妙な事に発光している苔は、ジャングルのようにツタが壁沿いに垂れ、人類が未だに立ち入ったことのない未開の土地を思わせる、幻想的な自然の雰囲気を見事に醸し出していた。

本来はこの世界の食物連鎖の頂上には、現在ガストレアウイルスに感染し遺伝子を書き換えられた存在が頂点に君臨しているにも関わらず、この渓流には豊富な数の生物が生息していた。

二足歩行を行う小型の恐竜のような生物を始めとした、見た目がカモノハシのような中型の生物や、獲物に向かって駆け出した背中に棘のある豹のような生物を飲み込んでしまった、近くの岩に擬態していた巨大なカエルなど特徴的な面子だ。

それでいて素晴らしいのは、この渓流では生息している生物がガストレアではなく、元来ここにいた生物が自然の摂理や循環を乱すことなく生命の営みをしているということだ。

無論この渓谷にも自然の循環の一環としての、食物連鎖と言う物は存在している。

一概にどういう食物連鎖のピラミッドが形成されているかは定かではないが、恐らく彼女(・・)が頂に陣取っているのだろう。

 

 

「グルルルッッッ・・・・」

 

 

四足歩行の人間の何倍もあるような巨体を屈め、大型の草食獣はシダ植物を咀嚼する。

詳しくは分からないが、彼はこの渓流に生息する草食獣の中でもずば抜けて大きな体を有していると思われる。

彼自身の根は臆病で、他の生物を襲うような事はしないが自身より巨大な存在や何故か人間に対しては積極的に攻撃を仕掛ける変わり者である。

いくら肉食獣と言えども、その巨体から繰り出される攻撃を受ければ一たまりもないはずである。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――最も此奴が自身を狙う狩人(ハンター)を認識出来ていればの話だが

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャアアアアァァァァァァァァァァ!!!」

 

 

突如草食獣の真後ろから、一言で表すと某映画のエイリアンのような容姿の巨大な生物が突如として現れ、コンマ数秒で四本(・・)ある腕の内、下部の二本の腕の爪を獲物である草食獣の脇腹付近に突き刺し逃れなくしてから、サーベルタイガーの狩りでよく多用された喉元の気管など柔らかい部位を狙う手法で上部の二本の腕の鎌を上下から突き立て息の根を止める。

草食獣は始め数秒は抵抗して見せたものの、最終的には辛うじて動いていた前足の動きすら止まり、完全に屍と化した。

 

 

「グオオオオォォォ・・・・」

 

 

最後に彼が出した声は、空しさを残しながらその場に小さく響く。

巨大な生物は獲物が息絶えた事を確認すると、下部と上部の四本の腕を一気に引き抜きすぐ様おこぼれを貰おうと群れ始めるハゲワシのような鳥を上部の腕を振り回して追い払う。

獲物の無残にも上下から突き抜かれた喉元からは多量の血が流れだし、その土地の養分となる。

寄ってきた鳥を追い払った巨大な生物は、ようやく食事を始めたと思ったらその鋭利な歯が幾つも生えた口で獲物を食らうのではなく、獲物の皮を剥ぎ血肉をまるで水を飲むかのように額を発行させながら啜って食事を始めた。

そして何かから身を隠すかの如く音を立てずに獲物を食し、残った骨を移動を始めると同時に三本(・・)ある足を使って吹き飛ばしばらばらの場所に散らす。

蛇のように這って進みだした巨大な生物は一瞬白くなったかと思いきや数十メートルも離れていた場所に瞬間移動しながら早々とその場から離脱していった。

 

 

 

 

 

 

 

今数分にも満たない時間で狩猟を行い、目立つような食事の痕跡すら残さずにこの場を去った巨大な生物こそ、この渓流での食物連鎖のトップに君臨する見た目通りの化け物(モンスター)

何も無い所からいきなり現れた周りに完全に溶け込む隠密性と、狙った獲物は逃がさない狩人(ハンター)として完成された動きの数々、上部二本の腕は形状を鎌に変え残りの二本も鋭い爪を生やし、完全に攻撃用の武器と化し上下の腕は多様な戦術を可能とさせ、異次元すら操り狩場を自在に駆け抜ける。

しかしそれほどまで狩りに特化していて不気味とも言える姿でありながら、婦人のようにスレンダーで美しい胴体やそこから生える数本もの尖状的な棘も併せて特殊ながら一種の美を感じさせるようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――そんな生物の名は”Wraith(レイス)

 

 

 

―――――――――――まるで魂が身体から抜け出て動く生霊(レイス)の如く

 

 

 

―――――――――――生きている生物の怨霊で祟りをするもののように狩りを行い

 

 

 

―――――――――――ガストレアとは異なる存在ながら人々を恐怖のどん底へと誘う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




Evolveはいいぞ(露骨な勧誘)
最近は過疎っちゃってるから仕方ないね。

というわけで一話というよりはプロローグみたいな感じになってしまいました。
これから本格的に話に入っていきますが、基本的に戦闘はパパッと終わらせます。
キーポイントとなる場面ではちょっと長くなるかもです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。