「そ、んなに……んっ! せ、攻めない、で! そ、れに……んあんっ、吸っても、んぐっ、あんっ、やんっ、何も出てこないよ!」
「ちゅう、ぷはっ。それって……吸うんじゃ……なく、て……舌を使って欲しいって……こと?」
「はあっはあっ、えっ?」
与えられる刺激によって頭が真っ白になっていた私は、自分が何を口走ったのか覚えておらず、さらに簪が何を言ったのか聞こえていなかった。
だから吸っていたはずの簪が、いきなり舌で刺激を与えることに切り替えてきたときは、再び甘い声を抑えきれずに出してしまった。
「そう。そうやって……声を出し、て」
「出したく、ひゃんっ!? い、いきなり強くしな、んっ、いで!」
「いきなりも、何、も、今はエッチの……時間。普通のこと、だよ?」
「そう、だけど……ん、んんっ」
私は最後まで喋ろうとするが、簪の刺激のおかげで詰まり詰まりになる。
というか、やっぱり私って攻められる側だ。
だから、私もやり返そうともう一度手を簪のおっぱいへ持っていこうとする。
だが、その手を簪に止められた。
「詩織は……まだ、何もしなくて……いい」
「な、んで? 一緒に、んっ、でしょ?」
「それは、あとで。今は……私がする。詩織は気持ちよく……なって」
簪はそう言って再び、指と舌を動かす。
私は何度も何度も喘いだ。
「簪、キス! キスして!」
ついしたくなり、簪に強請る。
それに簪は舌で刺激を与えるのを止めて、私とキスをする。ただ、されなくなったほうのおっぱいは、もう片方の手で刺激を与えてきた。
しかも、舌よりも指のほうがやりやすいためか、先ほどよりも自分のおっぱいからの刺激が強い。
簪の舌は私の口内に入る。
「ちゅ、ちゅる、ほら、詩織、舌、動かし、て」
「うん! 動かす!」
私も簪の口の中に舌を入れた。
簪と私の舌は絡み合う。絡み合うたびに舌がびりびりとする。
やっぱりキスっていいな。
そうやってキスされて、おっぱいを弄られていると私の体からは汗が吹き出る。
「ぷはっ」
私と簪が一旦離れる。
私たちの口を繋ぐのは互いのが交じり合った、唾液である。それが切れると私の口の端にぴちょりと垂れた。
「詩織、可愛い」
簪はちゅっと私の首元にキスをする。
私は荒い息を繰り返す。簪の首元へのキスに僅かに身をよじるだけだ。
「ほら、バスローブ、脱いで」
「うん」
私はバスローブを脱ぎ、パンツ一枚になる。
「詩織の下着、セクシー、だね」
「嫌だった?」
いつもはもっと普通の下着だった。今履いているようなセクシー系ではない。
なのにわざわざこれを履いたのは、今日が大切な日になるからだ。だから、ちょっとはしたないけど、こういうほうが興奮するよね、と前世の私が好きそうなものを選んだのだ。
ただ、よく考えれば分かったことなのだが、前世の私は男であり、今回見せる相手が同性であるということを考慮しなかったことだろう。
この下着はあくまでも男が見て喜ぶものだ。同性である簪が喜ぶかどうかは分からない。
うう、簪のためにと思って選んだのに、失敗した……。
まだ答えを聞いていないが、簪のことを思って履いたはずが、前世を参考にしてえらんだんだもん。失敗したって思うよ。
「ううん、嫌じゃ、ない。似合ってる」
失敗したと思っていたが、簪はそう言ってくれた。
「あ、ありがとう」
簪が恥ずかしげもなく言うので、照れてしまう。
くっ、ほ、本当に私って攻められる側だ。
その照れを隠すために簪のパジャマのボタンをはずして、その胸に頭を突っ込んだ。
「今度は……詩織がして、くれる?」
私はそれにこくりと頷いた。
許可を得た私は簪のパジャマを全て脱がし、私と同じパンツ一枚にさせた。
簪のパンツは私と違って、いつもと同じだ。
まあ、簪らしいと言ったら簪らしい。
と、簪の姿を見ていて、気づいたことがあったので、それでからかってみることにした。
「簪のパンツ、ちょっと濡れているね」
そう言って、やり返そうと思った。これで簪の顔を真っ赤にしようと思ったのだ。
ただこのときの私は冷静ではなかった。
「そういう詩織も……ね」
それに対して簪は顔を真っ赤にすることもなくそう言い、私の股間部分に自分の脚を押し付けた。
「ひゃっ!?」
押し付けられた瞬間、くちゅりと私のパンツが湿った音を立てた。
もちろんのことそれは私のパンツが簪と同じ状態になっているのだ。ただ、その規模は私のほうが大きい。
まあ、よく考えれば当然のことなのだ。
私はさっきからずっと簪に気持ちよくされていたのだ。対して簪が感じた快感と言えば、キスくらい。私のほうが濡れるに決まっている。
「私より、も、濡れてる……けど?」
「い、言わないで!」
「先に言ったのは……詩織だけど?」
「ご、ごめんなさい! だ、だから、い、言わないで!」
こういっている間に、簪が私の股間に刺激を与えてくる。
そして、簪は私の手を取り、自分のおっぱいに押し付けた。
「今度は……詩織も、攻めて、いいよ?」
私に刺激を与えならが簪はそう言う。
私はその言葉に従って――
私はお昼に目が覚めた。隣に眠る裸の簪はまだ寝ている。
結局、私たちのエッチは夜が明けるまでとなった。
男のときと違い、一回、または数回だけで終わるということはない。互いに満足するまでするのだ。
まあ、こんなに長い時間というのは今回が初めてなんだけどね。
私たち二人は疲れ果てて寝たので、ベッドの上や私たちの体は行為の跡が目立つ。特に二人分の純潔を散らした赤い血の跡。
「いたっ」
私の股間にはまだ痛みがある。
ああ、ついに私は純潔でなくなったのか。しかも、奪ったのは私の大好きな人。それに幸せを感じる。
これも女の幸せの一つかな?
さて、そろそろ起きないと。もう昼だし、体がべたべただし。
私は隣にいる簪を起こすことにした。
「簪、簪。起きて。もうお昼だよ」
いつもは肩を掴んで揺するのだが、今回は簪の胸を掴んで揺らした。
うむ、やわらかい。最高の揉み心地だ。しかも、生だから余計に。
夜の行為で何度も吸ったり、揉んだりしたが、何度やってもいいものだ。
「ん、んんっ~、まだ……寝る」
「ダメだよ! もう一時なんだから! さすがにこれ以上はダメ! 起きて!」
何度か揺すって簪は目を開けた。
体を起こした簪は一瞬、顔を歪める。
きっと純潔を散らしたせいだろう。痛みが走ったのだ。
「昨日の詩織……いつもよりも、激し、かった」
昨日の夜、いや、今日の夜かな? とにかく、今回の私は最初はあのようにやられてばかりではあったが、後半からは私が攻めた。
疲れ果てている簪が『今日はダメ! お、おしまい!』って言っているのを無視して、やったほどだ。
ふふ、いつもはやられてばかりだったので、ちょっといい気分。
「あ、あははっ、ごめんね。でも、互いに満足したし、いいじゃん。ね?」
「……後半は私の意識は朦朧としてた」
「ま、まあ、それよりもお風呂に入ろう? ベタベタだし」
話を逸らしてそう提案する。
「ん、確かに」
というわけで私たちはお風呂に入った。
もちろんのことエッチなことはしていない。連続でできるほど、私も簪も疲れた。
お風呂から上がったあとはまずはベッドの片づけだ。これはこの部屋の洗濯機で洗うにはちょっと面倒だし、こういうものはちゃんと専用の洗濯機があるので、そこで洗うのだ。
というわけでそういう行為の後を片付けたあと、ようやく昼食をたべるのであった。
ちょうど私たちが食べ終わると、そこに一人の女子生徒がこちらに向かってきた。セシリアだ。
セシリアの頬はやや赤く染まっており、その表情も恥ずかしげである。
「し、詩織、その、お、おはよう、ですわ」
「うん、おはよう!」
まあ、もうこんにちはという時間帯なのだが、セシリアがそう言ったのは、きっと夜の行為が普段していることとはもっと別のものだと理解しているからであろう。
「その、更識さんも、おはようですわ」
「ん、おはよう、オルコット。でも、もう昼。正確、には、こんにちは」
「わ、分かってますわ」
セシリアが動揺しながら言う。
「そ、その、お二人は一線を越えましたの?」
何となく察しているようなセシリアだったが、確信を得られないためか、そう言ってきた。顔は真っ赤である。
ただ、顔が真っ赤なのはセシリアだけではない。私と簪二人もだ。
だ、だって、そう言われると夜のことを思い出しちゃうんだもん。羞恥で顔が赤くならないはずがない。
「……うん、越えたよ」
私は何とか声に出して言った。
は、恥ずかしい。
「じゃあ、次はわたくし、ですわね」
「そうだね。次はセシリアだね」
セシリアはもじもじと脚を擦り合わせる。
「いつがいい? まあ、と言っても週末にしてもらうと時間もあるからいいと思うんだけど」
「? そんなに時間かかりますの?」
いつもの私との行為では二、三時間で、平日にもたまにしていたセシリアが、そう言う。
「オルコット、私が、寝たの、は……空が明るく、なってから。多分、五時間か六時間ほど、やってた」
「!? そ、そんなにやったんですの!?」
簪の言った言葉にセシリアは驚く。
ま、まあ、これは前世が男だからってこともあるかな。前世の私も結構エッチだったし。
「わ、わたくし、そんなに持ちませんわ」
「私も、途中から意識が朦朧と……してた。あと、詩織は止めてって言ったのに……無視して……やった」
それにセシリアが怯えた顔をする。
そ、そんな顔をしないでよ。この人生で初めてのことだもん。ぼ、暴走したってしょうがないじゃん! か、簪だっていつもよりも激しかったし……。だ、だから私だけが悪いというわけじゃないもん! 簪にだって責任があるはず!
「だ、大丈夫だよ。簪でいっぱいしたから、セシリアのときは手加減できるから!」
「むうう、更識さんのときは本気で、わたくしのときは手加減というのは……」
先ほどまで怯えていたはずのセシリアは私が手加減してすると言うと不満を持っているようだった。
おい、待て。なんで張り合おうとするし。その、私だってやりすぎたって思うほどやったんだよ。それにいつもは攻める簪が攻められる側になるほどに。
「お、オルコット、別に意地悪という意味で……言うんじゃない、けど、や、止めておいたほうが……いい」
簪が、一時は私を独り占めするためにセシリアを排除しようとした簪が、セシリアの身を案じてそう言う。
だが、セシリアはそれに気づかない。むしろ、対抗心をむき出しにする。
まあ、プライドの高いセシリアだ。簪だけが本気でされて、自分だけが手加減というのが嫌なのだろう。
これはみんな大好き『特別』だもんね。誰だって特別がいいもん。
「嫌ですわ! わたくしも詩織に激しくしてもらいたいですわ!」
「くっ、オルコットは……プライドが、邪魔」
「更識さん!? 何を言いましたの!? 悪口ですわよね!?」
「詩織、オルコットは……私にしたとき、みたいなことを……望んで、いる。してやって」
簪はセシリアの言葉に答えずにそう言ってきた。
そ、その、自分でも簪にやったことがやり過ぎたって自覚がある。それを分かっていながら、いくら本人が望んでいるとはいえ、やりたくはない。
「って、更識さん。あなた、悪口を言ったと思ったら、詩織にしてやれとはどういうことですの?」
まあ、セシリアからすれば悪口を言ったら、いきなり親切にするようになった、だからね。そう思うのも不思議ではない。多分、これは私と簪しか分からないだろうな。
「で、でも……」
私が躊躇っていると、
「詩織、これはオルコットも、望んで、いる。やってあげて」
その顔には『オルコット、後悔しろ』と書いているような気がする。私の勘違いかな? そうだと思いたい。
「そうですわ! 詩織、わ、わたくしにもお願いしますわ!」
セシリアは今度は別の意味で顔を赤くして言う。
うん、思えばこの話の内容ってエッチな話だった。こんな喧嘩をするような話ではないはずだ。
「……分かった。セシリアにするときは簪にしたようにする」
結局、二人に負けて同じようにすることになった。
ただ、やっぱり真面目に話すような内容ではなかったと思う。べ、別に夜の行為を軽視しているってわけじゃないのだけど、真剣な話にエッチな内容というのは合わないという先入観的なもののせいだ。
まあ、ともかく、私のこの答えにセシリアは喜んだ。
内容が内容なだけにこっちは複雑な気分だ。
「あっ、そういえば詩織。わたくし、まだキスしてませんわ」
上機嫌なセシリアはそう言うと私にキスをしてきた。
「も、もう! ひ、人が見てるかもしれないじゃん!」
一応、ここは食堂である。昼を過ぎてからここに来たが、まだ色んな目的でここに居座ったりしている。私たちも食べ終わっているので、似たようなものだけど。