精神もTSしました   作:謎の旅人

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第91話 私の初めての前に

 自分の部屋に戻るとやはりセシリアの姿はなかった。

 

「それじゃあ、風呂に入ろうか」

「ん、なら私が……最初に入る」

 

 いつもできるだけ一緒に入るはずなのに、どうしてか簪が一人で入ると発言してきた。

 も、もしかして、男たちに襲われたからそれで?

 簪のいきなりのことに私は不安になった。

 

「ど、どうしたの? いつもは一緒に入っていたよね?」

 

 最近はセシリアがいて、一緒に入るのは順番になっていた。それで簪もセシリアも承諾したはずだ。そういえば今日はセシリアと入る日だった。それ? でも、二人とも独占欲はあるので、いつもの簪なら喜ぶはずだ。

 や、やっぱり襲われたから?

 そう不安になっていると簪が口を開く。

 

「そ、その、今日はエッチを……する、日」

「!!」

 

 簪が顔を赤くしながら言い、それを聞いた私も顔を赤くした。

 

「す、する?」

 

 私が聞くと簪は頷く。

 

「じゃあ、ベッドに――」

「待って」

 

 自分の服に手をかけながら、ベッドへ行こうとしたら簪に止められた。

 

「もしかして、だけど、勘違いして……る?」

「? 勘違いって?」

 

 私は別に勘違いしていないはずだ。今からするのは恋人同士の夜の営みである。

 これは簪が言い出したことであり、今もそう言った。

 それに対して私は用意をしようとしただけだ。

 ここまでに何か間違いはない。いつも通りの行動をしたまでだ。

 

「今日する、のは……ただのエッチじゃ、ない。た、互いの処女を相手にあげるエッチ」

「!?」

 

 あまり言葉に私は驚愕する。

 だ、だってそれって本番ってことだもん。てっきりいつものようなエッチかと思ってた。

 

「い、嫌だった?」

 

 簪が不安そうな顔をしてくる。

 しょ、正直に言うと嫌ではない。ただ本番はまだまだ先のことだと思っていたのだ。だ、だって恋人になってまだちょっとしか経っていない。女の子にとって初めては大切だもん。もっと時間がかかるかと思っていた。

 だ、だから私の心の準備ができていない。

 

「い、嫌じゃないよ。うれしい。た、ただ心の準備ができていないから……。こ、今度は?」

 

 つい弱気になってそう提案する。

 

「ダメ。今日が、いい。今日、本当に……抱いて欲しい」

 

 今日のことがあるので、これ以上もうちょっと待って欲しいなんて言えない。

 だって、簪は怖い思いをしたんだもん。最後のちょっとした買い物だけでその気持ちが晴れるわけがない。ちゃんと体を重ねたほうが上書きできるのかもしれない。

 うん、いつかはやるんだ。それが今日というだけ。それに今はもうちょっと先とか言っているけど、前は近いうちって言ってたじゃん。

 まあ、もうちょっと先って言ったのはへたれたからなんだよね。

 

「分かった」

 

 私は覚悟を決めてそう言った。

 

「今日、簪を抱くよ。今までのようなものじゃなくて、本当に抱くからね」

「うん!」

 

 簪はうれしそうに頷いて言った。

 あ、あまりそうやってうれしそうにしないで! こ、事が事だから恥ずかしい……。

 

「じゃあ、風呂に入って……くる」

「えっ? 汗かくことをするのに入るの?」

「あ、当たり、前。汗とかかいたし、初めて……だから綺麗にして、したい」

「分かった。でも、私も一緒でいい?」

 

 この流れだと私も風呂に入るってことだよね。だったら一人ずつじゃなくて一緒に入ったほうが良いと思う。

 だって、これって絶対に待つことになるよね? めちゃくちゃエッチなことがしたいから早くできるようにと言っているわけではないのだが、待つ時間は緊張でいっぱいになるのだ。

 だったらその時間を少しでもなくしたい。

 

「そ、それだったら……意味がない。きっと風呂場で……しちゃう」

 

 うぐっ、ひ、否定できない。

 

「だから、一人ずつ」

「で、でも、緊張しちゃうよ! そんな状態で待つなんて無理だよ!」

「わ、私だって……同じ。き、緊張、してる。だから詩織も我慢、して」

 

 こうして一人ずつ風呂に入ることになった。

 最初に簪が入ることになり、私はベッドの上でシャワー音を聞きながら待っていた。

 ベッドの上で座って待つ私は、緊張で落ち着かなくてそわそわしていた。

 

「つ、ついに初めてを迎えるんだ……。し、しちゃんだ、簪と」

 

 いくら前世があると言っても、女同士は初めてだ。それゆえに初めての緊張がある。それに今回は前世とは違って、奪う側じゃなくて、奪われる側だ。痛いって聞くので、ちょっと怖いというのもある

 うん、やっぱり私ってもう女の子だ。前世がいくら男でも今は女の子だもん。

 どうしても私は前世と今を比較する。やはり前世があるからか。

 私はベッドに大の字になる。気持ちよくてちょっと眠くなった。このまま寝ると朝まで寝ちゃうので、再び起きる。

 しばらく緊張をなくすために心を落ち着かせていたら、そこにパジャマ姿の簪が出てきた。

 なぜか前のボタンをしていなくて、素肌が見え隠れする。

 簪の顔は妙に顔が赤い。風呂上りだからという理由だけではない。

 

「上がった」

 

 簪はそう言って、私の隣に座った。

 いつもよりもちょっと距離があるのは、しばらくして始まることのせいだろう。互いにそれを意識しているのだ。

 

「詩織、風呂に入って」

「うん」

 

 私は風呂場へと向かった。

 私は体を全て洗い、シャワーを浴びる。

 風呂場にある鏡を見ると、やはりそこにいるのはとても可愛くて美人な月山詩織の姿。まだ誰にも純潔を捧げていない綺麗な体。この綺麗な体を簪に捧げるのだ。

 綺麗なものをそうでなくする。それは確かに興奮するものだ。特に月山詩織という最高のものをそうするのは。

 時々思うけど、双子だったらな、なんて思う。そうしたらたくさん可愛がっていただろうな。そして、初めてをもらって捧げていた。だって、月山詩織がこんなに可愛いんだよ! 双子だったらまず最初の恋人になっていたよ! 血は繋がっているけど、子どもを作るってわけじゃないからね。問題ない。

 まあ、可愛い従姉妹ならばいるんだけど、妹として扱ってきたからねえ。私はともかくあの子がねえ。

 立派な姉として見せてきたから、それを崩したくはない。多分、告白した瞬間に私、あの子に失望されると思う。それは嫌だな。しかも親族だから会う度に……。

 そんなことを考えて風呂から出た。

 選んだパンツはちょっとセクシーなものを選んだ。パンツを選んだ後はバスローブを着る。

 バスローブはどの部屋にもあるものだ。これならば脱がすのも簡単なのでいいかなと思った。

 準備が終わった私は簪の元に。

 

「上がった……みたいね」

「うん」

「その下、見せて?」

 

 もちろんそれはバスローブの下だ。

 

「し、下着だよ。見せるのは、も、もうちょっと後で……」

 

 私と簪、どちらも風呂から上がったということは、それはもうエッチの開始であると捉えられてもしょうがない。

 だから、本当は見せるものなのだが、その、心の準備がまだできていない。先ほど、固まったはずなのだが、いざ本番! となった途端に揺らいだのだ。時間があいたからだろう。

 くっ、へたれめっ!

 

「ん、分かった。なら、何か見る?」

 

 あっさりと簪はそれを了承してくれた。

 見るのはもちろんアニメだった。

 ただ、今回の私はいつものように寝転んで見るのではなくて、簪の足と足の間に座って見ている。

 これはバスローブ姿の私を思ってのことだ。寒くないようにとこうしてくれた。

 いつもはされる側なので、新鮮な気分だ。背中に簪の小さな胸が当たって温かい。最近暑くなってきているが、まだ夜は寒い。

 

「うひゃっ」

 

 何話か見て、エンディングに差し掛かった時、簪から胸を揉まれた。しかも、バスローブの布と布の間に手を入れて生で。

 

「な、何?」

 

 こう言っている間にも簪は胸を揉む。

 

「もう、いい? 私、したい」

 

 簪の顔には我慢できないと書いてある。

 私はぐいっと後ろに体重をかけた。

 普通ならばただ体を預けただけなのだから、何も起こらないのだが、こういう雰囲気である。

 体重をかけた瞬間に簪は後ろに倒れた。

 

「それは……了承?」

「言わなくても分かるでしょう?」

 

 簪のおかげで緊張もなくなった。

 まあ、はっきり言うとアニメ見たので、エッチのこととか覚えてなかったと言うのが正しいが。つまり、現在、勢いである。

 それを自覚しているのだが、これで良いと思う。どうせ覚悟とか決めてたら繰り返しになるだけだもん。

 

「でも、しちゃう前に確認させて」

 

 これからすることは女の子にとって大切な瞬間である。故に聞いておきたいことがある。

 

「本当に最初の相手が私でいいの?」

「? どういう、意味?」

「その、処女を女である私にあげてもいいのってこと」

「そんなの――」

「私も簪もまだ十代。まだまだ若い」

 

 簪の言葉を無視して続ける。

 

「若いってことは色々とやりたくなるもの。例えば、遊びでただかっこいい人と恋人になったりとか。何が言いたいのかって言うと、このまま本番はせずにいつも通りのエッチでもいいってこと。初めてはもっと大人になってからできた恋人にもらってもらうってこと。つまり、夫婦になる人が初めてってこと」

 

 こう言っている間に簪が怒りの顔になっていくのが分かる。

 しかも、簪の上に私が乗っている形なので、その顔が間近で怖い……。

 で、でも、私は言う! 初めては人生の中で一回だけだもん。だから言うもん!

 

「ふざけないで! 私は……本気で詩織が好き! 詩織が言っていること、は……正しいって分かる。でも、それでも、私の想いは本気。私はこれからも……詩織と一緒にいる。これは一時の迷いじゃ、ない!」

 

 それを聞いて涙が出てくる。

 もちろんのこと、私は恋人たちのことを本気で好きだ。そう言いきれるのは、前世の経験があったからこそ分かるものだ。

 でも、簪たちはまだ若くて、今回が初めてのことだ。その思いが私のような本気の愛とは限らないのだ。一時的な別の思いということだってあるのだ。

 だからこのように言った。

 

「何を思って……言ったのか知らない、けど、私、前に言った。私の夢は詩織の、嫁。私は詩織と、結婚する。もちろん、それが幸せばかり、ってことじゃ……ないって分かって、る。でも、詩織といたい。だから、もう二度と似たようなこと、言わない、で。今も怒って……いるけど、次はもっと怒る。いい?」

「うん、ごめんね。そして、ありがとう。私もずっと一緒にいる。放さないから」

 

 私はうれしくて涙を流しながら言った。

 ああ、本当に本当に私は幸せだ。

 しばらく泣いた後、私はエッチな気分になっていた。

 まあ、雰囲気の流れで行くって言ったんだけど、あんな話をして簪にああ言われたんだもん。心の準備だって整っちゃうよ。

 

「か、簪、しよう?」

「する気に、なった?」

「……うん」

 

 そう言うと、再び簪が私の着ているバスローブの内側に手を入れてきた。

 現在、私は簪の隣に横になる形だ。さすがに簪の上に乗っかったままというのはやりにくいからね。

 

「詩織の、やわらかい」

「んっ、いつも言うね」

「だって事実。私のは……小さいから、分から……ない」

「た、確かに小さいけど、簪のもやわらかいよ」

 

 私は簪のパジャマの上から簪のおっぱいを触りながら言う。

 うん、やわらかい。別に簪はないってわけじゃないよ。その、ただ小さいだけだ。

 私の新しい候補の鈴は、そのないほうに含まれるかな。あっても微妙にあるってところ。簪のほうがある。鈴はまさに『ロリ』って言葉が相応しい体をしていたな。

 まあ、なぜ知っているのかって言うと鈴とのスキンシップのせいだ。

 

「むっ、詩織。今、別の女のこと……考え、た?」

「か、考えてないよ?」

「嘘。悪い子には……お仕置き」

「ふえっ? んんっ」

 

 簪がおっぱいの先を指で摘んできた。お仕置きということで強く摘まれたのだが、痛いとともに快感が生まれる。

 

「やっぱり、痛いのが………好き?」

「あんっ、ち、違うもん! こ、ここは、気持ちよくなるところだからだもん!」

「でも、いつもと違って……優しくじゃ、ないよ? ぺろっ」

「んひゃっ!?」

 

 今度は簪がその先の部分を舐めてきた。

摘ままれるときと違って、痛みはないが、ぞくぞくとしたものが這い上がる。

 

「ん、んんっ……んはあっはあっ」

「もう、息切れ、してるね。声、抑えるから、だよ? もっと、声上げて……いいよ。いつもみたいに……出して。はむっ、んちゅ」

「うにゃあああああっ」

 

 舐めた次はカプリと口に含まれ、さらには吸われてしまった。その刺激で私は思わず声を上げる。

 

「あむっ、んちゅ、ちゅう、んっ」

 

 簪は私のを夢中で吸う。

 吸われていないほうは簪の手があり、それが巧みに私の勃起したおっぱいの先を刺激する。

 私と恋人になってやったときよりもその動きは洗練されている。もちろん動きだけではない。私と何度もしたことにより、どの程度の刺激がいいのかも熟知しているので、より高い刺激を与えてくるのだ。

 もちろんのこと、恋人の中でもここまでできるのは簪だけ。これも簪と一番エッチなことをしているからだ。


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