私たちの舌が水音を立てながら絡み合う。それを続けていると刺激されて先ほどよりもより強い快感が体中を駆け巡る。
私はその快感に思わずキスを止めてしまいそうになるが、私の欲望と簪が放してくれなかった。そのためにキスをし続けるしかなかった。
「んっ……んちゅ……ん、あっ……」
私たちは舌を絡ませながら快感を味わう。
私は簪を拘束していた両の手足を解放した。
すでにキスをするということが優先となった簪は解放された後は抵抗もせずに、むしろ繋がりを求めるかのように解放された両の手を私の体に回したのだ。
簪はもう抵抗は決してしない。それが分かったので私は右手を動かした。
その右手は簪のおっぱいへと伸びた。簪のおっぱいに私の右手が触れた瞬間、驚きキスを止めてしまう。
右手をそのままの状態で互いに息を荒くしながら見詰め合う。
「い、いきなり……何、するの?」
「何って……それは簪をもっと気持ちよくしようって思って……。嫌だった?」
「それは……分からない。胸を揉まれたこと、ない、から」
「初めてなんだ」
「!! あ、あたり……前!」
「ははっ、ごめんごめん」
謝罪の意を込めて軽く額にキスをする。
「じゃあ、続きしよっか」
「揉んでもいい……けど、や、優しく……だから」
「分かってるよ。痛いのなんてやだもんね」
私は見つめながら簪の胸を揉んだ。
「ん、んんっ……」
私の手の平に簪の小ぶりのおっぱいの感触が広がる。
簪のおっぱいは小ぶりだが、柔らかさは十分にある。揉む側としては楽しめるほどはあった。
私は簪のおっぱいをちょっと力を込めて揉んだりとした。
簪はそれにそれに対して声を出さないようにと私の体に回していた手で口を覆って声を押し殺す。
その行為は無駄ではない。そうやって口を塞いでいなかったら確実にわずかに漏れる声よりも大きな声が聞こえていたはずだ。
でもね、私が聞きたいのはそんなわずかな隙間から漏れる声じゃないんだよね。いや、別に嫌というわけじゃないけど。だから私はその手を取り払った。
「あっ……!」
「私は簪の声が聞きたいの。そうやって塞いだらダメだよ」
「そ、そしたら……こ、声が……」
「いいって言ったでしょ? もっと声を出していいよ。私は簪の声を聞きたいんだから」
私は簪の耳元でそう囁いた。
「だ、出したく……ない! んあっ!」
私は隙を付いてその胸を揉んだ。
やはりいい声だ。そういう声が聞きたかったよ。
簪は出てしまったことに羞恥を覚え、顔を真っ赤にして再び手で覆おうとするが揉んでいるほうではない手でそれを阻止した。
「ダ~メ。私は簪の声が聞きたいの」
「わ、私は……聞かせたく、ない」
「……まあ、それでもいいけど。でもね、それでもいいけどいつかはその声を聞くことになるんだよ。それは……分かってる?」
それは異性同士がする体を重ねるような行為を恋人関係になった今、そう遠くない未来にその行為をするということを示す。そうなればそのときに今よりも色気のある声を聞くことになるのだ。その羞恥は今の比ではない。
私だって前世ならともかく今は女だ。簪と同じ立場だ。女だから私もそのような声を出すのは間違いはない。私も絶対にそんな声を発したときは羞恥で悶えるだろう。
だから簪の気持ちも分からないまでもない。
だが、近い将来にそうなるのだ。軽い経験という意味でも互いに恥ずかしい声を出しておいたほうがいいと思っている。
「…………分かってる」
「ならいいでしょ? そのときのための準備ってことで」
「でも……」
簪はどうしても受け入れてくれない。
仕方ない。ここは私が折れよう。簪の声を聞きたかったけど、嫌がった結果の末の声はあまり興奮はできない。
「いいよ。分かった。出さなくていいよ」
「えっ? いい、の?」
「うん。あっ、でもね、自分の手で口を塞いだらダメだよ」
「でも、それじゃあ……」
「うん、分かってる。それじゃ口が塞げないよね。だからね、私が塞いであげるんだよ」
私はそう言ってキスをした。
「!!」
簪は驚いたものの私の言葉の意味を理解し、私とのキスに集中した。
先ほどやったのは舌と舌を絡ませるキスだったが、一旦止めたのでまた触れるだけのキスから始める。それでゆっくりと高めていく。
私も簪もそれで互いに再び興奮を高めていく。十分に互いに高まったところで私が、ではなくなんと簪のほうから舌を絡ませてきた。
私は驚くことはなく自然と受け止めていた。
やはり簪は初めてのフレンチキスなのでちょっと下手なところが多かった。私はちょっと手助けをしてやる。
拙い舌の動きに私の舌を合わせる。
私はそろそろかと思い、簪の小ぶりのおっぱいに両手で揉んだ。ただし今度は服越しではなく直接だ。
「!? ん、んんっ~~!! し、詩織! な、なん――んむっ……」
簪が着ているのは制服ではなく部屋着なのでボタンをはずせば、簡単に私の手が入り込める。
服越しで触るのと生で触るのでは全く違う。制服越しだとおっぱいの形や弾力がある程度しか分からないのだ。だが、生だと服の厚みもないので色々とよく分かるのだ。
うん、服越しも感じたけどやっぱり生のほうがよく形も柔らかさもよく分かる。
私はパンの生地を煉るかのようにして揉む。ちょっと強く揉んだり、それを回したりと。
簪のおっぱいを揉んでいると途端に簪の体がびくんっと震えた。
あれ? これってもしかして?
私はその反応は絶頂と呼ばれるものだと確信した。
その事実は私を喜ばせる。だって好きな人をちゃんと気持ちよくさせたってことだもん。
前世が男だったんだ。もちろん簪をより気持ちよくさせることなど熟知している。
私はおっぱいを揉んでいる片手を動かし、下半身へと移動させる。それは簪をより快感へと誘わせるために。
だが、そのための手はお腹部分で止まった。
だってそこまでしたら私は我慢できずに本番をすることになる。ゆえに溢れかける欲を抑えて踏みとどまった。
うん、これはやっちゃダメだ。今日はやらないって決めたんだから。
私はその行為をしようとしていたという事実を誤魔化すためにキスをちょっと激しくした。
簪は何も思うことはなく、私の激しいキスを受け入れる。
まあ、でもちょっとだけなら手を出してもいいよね?
すでに興奮が一定限度を超えていたために結局はそういう甘い考えが浮かんでしまった。
私はちょっと脚を動かす。動かした先は簪の脚と脚の間。股だ。そこに右脚を置いた。そして、その脚をちょっとだけそこから動かして股間部分に押し付けた。
「!? やっ! ま、待って! そ、そこは!!」
押し付けた瞬間、簪がキスを止めて慌ててその場から動こうとする。
だが、私が覆いかぶさっているので大して動くことはできない。
私の脚、とくに膝が簪の股間部分に当たって分かったが、やはりというべきか部屋着のズボン部分、股間部分が簪の体液で濡れていた。
私は制服なのでスカートだ。つまり脚は生だ。簪の下着と部屋着があるとはいえ、その下着はすでに役割を果たしていなくて部屋着はとても薄かったので、直接と言っても過言ではない。
「ふふ、やっぱり濡れてるね」
「い、言わないで! そして、触らないで!」
「ん? 触ってないよ。脚がそこにあるだけだよ」
「なら、どかして!」
「どかしたくない。簪にもっと気持ちよくなってほしいもん」
「私は、嫌、なんだけど!」
「でも体は反応しているけど」
「んあっ!?」
右脚で簪の下着越しのデリケート部分をちょっと強く突いた。
その部分は、特に今のような快感による興奮状態では、快感を得るだけの器官に成り果てている。
そのため簪は快感を得てしまい、思わず声を出してしまう。
「詩織! もう、止めて! 私、おこ――んっ」
簪の声を遮るようにしてキスをした。それと同時に揉むのを再開した。
先ほどはただ揉むだけだったが、今度はより快感を与えるために小ぶりのおっぱいの先にある突起も弄った。
簪は私の下で何度も何度も体を震わせた。それが長い間続いた。
ベッドに横になる私から見える窓からはすでに日が落ち、月光によって照らされた建物が見える。よく都会の夜景を百万ドルの価値があるなどと言うが、実は私はあまり好きではない。窓から見えるそれを見ても美しいと思うどころか、せっかくの星空が台無しだと思ってしまうほどだ。私は人工物による美しさよりも自然による美しさのほうが好きなのだ。
だが、決して便利になったこの世の中を否定するわけではない。私はその人工物に依存しないと生きていけないから。
まあ、ともかく私と簪がいちゃいちゃしてちょっと時間が経った。
隣を見るとそこには上半身の寝巻きが肌蹴て、下半身は、いつの間にかは私も分からないが、下着のみとなっている簪が疲れ果てて寝ていた。
ごめんね、簪。私、ちょっとやりすぎちゃったよ。
私が簪に対してやりすぎたという自覚はもちろんのことある。だから私は簪に申し訳なく思う。
だけど、ここでやりすぎたため、限界まで来ていた私の欲はすっかりとなくなった。またしばらくは暴走しないと思うことで自分の罪の負担を軽くする。
私はふと自分の体をペタペタと触れる。肌は簪と体を重ねたために汗でベタベタしていた。
これは夕食前にお風呂かな。
夕食は学食で買わなければならない。それは外へ出るということなので、このような汗だらけで外へは出られない。他人からのとかではなく、月山詩織という一人の女の子としてこの状態で外へ出たくないのだ。
私はベッドから体を起こす。
今の私は実は制服姿ではない。制服を脱がされ、身に着けているのはショーツのみという簪よりもひどい姿なのだ。
こうなったのも私が簪にやりすぎたせいだ。
私が簪に気持ちよくさせているとされるがままの簪が反撃してきたのだ。それで攻守は一旦交代して逆に私が簪に気持ちよくさせられたのだ。多分、簪よりも声を出したかもしれない。
あのときは本当にびっくりというか恥ずかしさでいっぱいだった。簪が抵抗していたのもよく分かった。今度からはちょっと自重しようと思う。
「風呂、入ろう」
私はその場でショーツを脱ぎ、全裸になる。このショーツはもう履けない状態なので、これ以上は無理だった。
私は脱衣所へ行きそのショーツを部屋に備え付けられている洗濯機の中へと放り投げた。そして、風呂場へ。
私は湯を出してその湯を頭から浴びる。湯は私の体のラインに沿って流れた。
私は体などは洗わずにただ湯を浴びるだけにとどめる。体を洗うのはいつものように簪と一緒だ。
十分に体の汗を流したあとは風呂場を出て、バスタオルで体を拭く。最後にドライヤーを使い、髪の毛を十分に乾かした後、再び制服を着た。
制服を着た理由だが、もちろん外へ出るためである。別に部屋着でも問題ないのだが、残念ながらこのIS学園には男が一人いる。気にしない子もいるだろうが、私は無理である。
着替えた後でベッドでぐっすりと寝てしまっている簪のところへ寄り、その額にキスをして部屋を出た。
向かうのは食堂だ。途中で生徒に会うが、軽く挨拶したり、今日の試合の話をしたりした。
今回の試合では、特に一夏との試合ではやりすぎたというのがあっただけに不安だったのだが、一夏をボコボコにしたことで怒りを向けられるということもなく、世代が違う専用機持ち相手に量産機で戦ったことへの賞賛だけが向けられていた。
ま、まあ、悪い気はしなかった。
その話が何度かあっていつもより倍以上の時間がかかってしまった。
食堂で私の分と簪の分を受け取った後はすぐに私たちの部屋へと戻った。
簪はまだぐっすりと眠っていた。
起こさないと。
私が持っている夕食を食べるために簪を起こす。
「簪、簪。起きて、起きて」
簪を揺すって簪を起こす。
「ん、んん~」
そこまで眠りは深くなかったのか簪は薄っすら目を開いて、目を覚ました。簪はベッドの上でぺたんと座って、目元を擦っている。今の簪は色々と乱れているので、その仕草は私に対して効果抜群だった。
ねえ、それって狙ってやっているの?
そう思わずにはいられない。
「あれ? くら、い?」
窓の外を見た簪がそう呟いた。
どうやらまだ寝ぼけているようだ。
「そうだよ。あれからまだ一時間くらいしか経ってないよ」
「!!」
私が教えてあげると今度はちゃんと理解できたようで、顔を真っ赤にしていた。そして、ジト目でこちらを睨む。
「詩織の、エッチ」
「うぐっ」
言われるが私の行動を思い返せばその言葉を否定などできない。私は受け入れるしかできない。
だが、否定はできないが言い返すことはできる。私にはその材料があるのだ。
私は簪のジト目に負けじとこちらもジト目で対抗する。
「そう言うけど簪だって後半は私と同じことしたじゃない」
「!! そ、それは……!」
「あの時の簪、私と同じだったよ。ううん、私よりもエッチだった」
「そ、そんなこと……ない!」
「そう? 私、簪の胸は触れたけど、そ、その、む、胸をす――」
「分かった!! 分かったから!! 私のほうがエッチだから!」
私の声を途中で遮り、簪は顔を真っ赤にしてそう言った。