精神もTSしました   作:謎の旅人

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第108話 私たちのデート、始まり

 翌日の朝。

 起きた時間は少し早い。

 というのも、テレビを見終わってから、水族館を探していい水族館を見つけたのだが、少々遠かったので、水族館をゆっくり見て回るためにも朝早くから移動することにしたのだ。

 

「ん~、まだ日が昇ったばかりですわね」

 

 起きたばかりのセシリアが伸びをしながら言う。

 

「だね。もしかしてまだ寝たかった?」

 

 いつもはまだ寝ている時間である。実際簪は幸せそうな顔をして熟睡している。

 

「いえ、そんなことはありませんわ。だって、朝早くから今日は、その、夜まで詩織を独り占めできるんですもの。早く起きて嫌だなんて思いませんわ」

 

 全くうれしいことを言ってくれる。

 でも、そうか。ハーレムであるということは二人きりの時間はとても少ないのだ。いわばこのような日は恋人たちにとってとてもうれしいことなのだろう。

 やっぱり二人きりの時間は増やすべきだ! 私はハーレムの主だから、恋人たちとみんなで行動してもいいし、誰かと二人きりでもいいけど、恋人たちにとってはみんなで一緒にというのは、やっぱりどうしても競争みたいになってしまうからね。平等というものは使わないと決めたけど、できるだけそのような競争が起こらないように等しく時間を作っていかないと。

 うんうん、やっぱり日頃のスキンシップが大事だね!

 

「よかった」

「ほら、詩織。今日という時間は有限ですわ。更識さんのことを邪魔とは言いたくはありませんけど、早く二人きりになりましょう?」

「そうだね。あっ、朝食はどうする?」

 

 食堂は夜遅くまで開いているだけではなく、この時間帯からも空いてある。本当に大助かりである。

 

「そうですわね。わたくし、外で食べたいですわ」

「外? いいけど、この時間帯だとまだどこも開いてないよ? それまで待つ?」

「いえ、そういうわけではありませんわ。わたくし、コンビニというものに行ってみたいんですの」

 

 お嬢様的発言である。

 

「分かった。ただ、コンビニだから味とかにはあまり期待しないでね」

 

 コンビニのご飯などが美味しくないというわけではないけど、ここの食堂やセシリアが食べてきたものとを比べると味などは結構ランクが落ちると思う。まあ、私は気にしたことはないけど。

 だって、庶民だし。つまり、庶民の味しか知らない。私が気にするのは美味しいかどうかだけ。

 

「分かっていますわ」

「そう。じゃあ、新幹線が来るまで時間があるから、その間に買おうか」

「ですわね。詩織、着替えましょう?」

 

 顔を洗ったりなどして私達は準備をした。

 一時間後、準備が完了し、出発する。

 

「忘れ物はありませんよね?」

「うん、ないよ」

 

 確認するがやっぱりない。

 他にないよね?

 と、記憶を探っていて、

 

「あっ、やっぱりあった!」

 

 一つの忘れ物を思い出した。

 

「ありましたの?」

「うん!」

 

 私が部屋に戻るとセシリアも戻る。

 私が向かったのは簪が今も眠るベッドである。

 

「? 忘れ物らしき忘れ物はありませんわよ?」

「あるよ。ただ、物じゃないけどね」

 

 私は寝ている簪の頬に手を当てると顔を簪に近づけ、キスをした。

 

「!? な、何を!?」

「おはようのキス。セシリアにはしたけど、簪にはしてなかったでしょう?」

「ぐっ」

 

 寝ているけど、やらないよりはいいだろう。簪にあとから何か言われるよりはマシだ。まあ、簪は寝ているからどう思うかは分かんないけど。

 

「したい?」

 

 キスされた簪に嫉妬するセシリアにニヤニヤしながら問う。

 朝起きてしたセシリアへのキスは簪にした触れる程度よりもちょっとだけエッチなキスである。それなのに嫉妬しちゃうなんて……。セシリアはエッチな子だ。

 

「べ、別にいいですわ! 今日はわたくしが独り占めする日ですもの。いくらでもタイミングはありますわ!」

 

 そうは言うが顔が真っ赤だ。

 

「ふふふ、分かった。あとでいっぱいしようね」

 

 とりあえず私の忘れ物も終わったので、セシリアの手を引いて学園を出た。

 本州へ着いた私達はさっそくコンビニへ向かった。

 コンビニが二十四時間営業ということもあり、まだ開いている。

 しかし、人はまだ少ない。

 

「へえ、ここがコンビニなんですのね」

「そうだよ。どう?」

「結構小さいですわね」

「でも、その小さいからこそ、小さな土地で店ができるんだよ。おかげでたくさんコンビニがある。しかも、二十四時間営業」

「なるほど。商品を見ると結構ありますわね。それを考えますと確かに便利ですわ。さすがはコンビニエンス(・・・・・・・)ストアですわ」

 

 セシリアは商品棚を見ながら自分の朝食を選ぶ。

 私はコンビニをよく利用していたので、すでに朝食は確保している。生徒会長だった頃は結構忙しかったからね。朝早くから登校しなくてはならなくて、朝食をコンビニで買うということが結構あった。

 毎日ではないので、多くは母が作った朝食を食べていた。

 

「う~ん、迷いますわね。いつもは料理ですけど、ここは一品一品選ぶ必要がありますし、わたくしが見てきたものと比べて、その、レベルが違いすぎて何がいいのか分かりませんわ」

 

 セシリアが食べているものと比べたら、うん、レベルが違いすぎる。味とかではなくて見た目レベルで。

 

「私が選ぼうか?」

 

 ベテランとは言わないけど、それでも初心者のセシリアよりは良い物を選べるはずだ。

 

「お願いしますわ」

 

 セシリアからもお願いされたので、早速選ぶ。

 これから新幹線に乗るので、食べやすいものがいいだろうな。

 ということで、私も選んでいるパンにしようか。味は同じじゃなくて、別のものにしよう。セシリアはコンビニのパンは初めて食べるみたいだから、私のと味を比べるようにしよう。と言っても私が食べたことのあるものだ。よく分からないものを食べさせる訳にはいかないしね。

 

「これとこれはどう? 前に食べたことがあるけど、美味しかったよ」

「なら、それにしますわ」

「いいの?」

「ええ。詩織が美味しいという物ですからね。問題はありませんわ」

 

 そ、そんなに言われると期待されているみたいで、ちょっと怖いんだけど。美味しくなかったときにできれば私に当たらないでほしい。

 いや、セシリアのことだからそんなことはしないと思うけど。

 

「飲み物はどうする? 私はオレンジジュースにするけど」

「わたくしはアップルでお願いしますわ」

 

 私もセシリアもジュースである。

 いつもは水かお茶なんだけど、こういう日ぐらいはいいよね。

 

「他は……いいよね。セシリアは他に食べたいものある? お菓子でもいいよ」

 

 一応、学園の売店にもお菓子はあるのだが、やっぱり学園ということもあり、その種類は少ない。自分の好きなものを買おうとしたら、こっち側にこないといけないのだ。これは仕方ないと思うしかない。

 まあ、幸いないことにIS学園へ向かうモノレールがあるということもあり、ここには新幹線を通る路線がある駅もあるし、ちょっと遠いけど、ショッピングモールもあるし。

 

「いえ、お菓子のほうは遠慮しますわ」

「そう?」

「ええ。油断しますと太りますもの」

「ちょっとぐらいいいと思うけど」

「ダメですわ。そうやって今日ぐらいという気持ちで一回やるから、多くの方が太るんですわよ。それに、わたくしはあなたに太ったわたくしを見せたくありませんわ」

 

 最初の部分は真剣な顔をして、最後は恥ずかしそうに言った。

 全く本当に私の恋人たちは私を喜ばせることをやってくれる。もう夜を待たずにセシリアとしたくなる。

 私が悪い訳じゃない。これはセシリアのせいだよ!

 

「じゃあ、これを買って、新幹線の中で食べようか。時間もちょうどいいし」

「分かりましたわ。あっ、でも、奢らなくて結構ですわよ。前回と同様に新幹線と水族館の料金を奢らせてしまいましたもの。これ以上は詩織には払わせませんわよ」

「そっか。残念」

 

 私はハーレムを目指す者だからね。ハーレムの子たちに不自由をさせたくはないから今のうちにみんなを養えるってことを見せたいのだ。

 ともかく、買い物を終えた私達はすぐに駅のプラットホームへと行く。

 新幹線ということと朝ということで並んでいる人は少ない。

 まあ、私としては都合がいい。

 ここが人がいるので、恋人繋ぎをする程度のいちゃいちゃをしていると、時間も過ぎて新幹線がやってきた。

 もちろんのこと、私たちが乗るのは指定席である。そこまで行って気づいたのだが、幸いなことに周りの席に人は座っていなかった。

 

「あ、あまり人がいませんわね」

 

 ただ自分たちの席に座っただけだというのにセシリアの顔は僅かに赤い。

 そして、私も。

 それはきっと前回と似たような状況だからだろう。

 前回は変なことしたからね。どうしても思い出しちゃう。

 

「ま、まあ、その代わりに周りに気を使わないからいいじゃん」

「そ、そうですけど、そ、それはそれで……」

「……」

「……」

 

 互いに無言になるが、それはやっぱり思い出してしまうからだろう。

 ともかく、いつまでも無言になっているわけにもいかないので、コンビニで買った朝食を食べることにする。

 ちなみに目的地へ着くのは二時間ほどである。結構遠い。

 

「はむはむはむ、ごくん。どう?」

 

 隣で同じくパンを食べているセシリアに感想を聞く。

 

「はむはむ、んく。意外と美味しいですわ」

「よかった。気に入ったのはあった?」

「う~ん、それとは別ですわね。特別に気に入ったものはありませんわ」

「そっか。それは残念」

 

 さすがにコンビニの食べ物ではセシリアが気に入るものはなかったみたい。

 それから全てのパンを食べて、ジュースを飲み終わる。

 

「ふう、少しはお腹がいっぱいになったかな」

 

 いつも通り、私はパンを多めに買い、それを食べたが、まだ入る。ラーメン一杯か二杯は入るかな。

 

「本当によく食べますわよね。わたくしは先ほどので十分ですわよ」

「えへへ。燃費が悪いからね。たくさん食べないと元気にならなんだよね」

「いっぱい食べても太らないということですわよね」

「そうだよ」

「それに関しては羨ましいですわ。別に太りやすいという訳じゃありませんけど、やっぱり甘いものを食べ過ぎるとつい体重を気にしてしまいますわ」

 

 セシリアはそう言って、自分のお腹を気にする。

 そんなセシリアを見て、私はセシリアの裸体を思い浮かべる。いや、別にそういうときの裸体じゃなくて、普通に風呂を一緒に入ったときとかのね。

 うん、私からすると痩せすぎず太りすぎず、個人的には大好きな体型だ。

 

「な、何だか体型が気になってきましたわ。今日するのは止めたくなりましたわ」

 

 それは夜のことだ。

 夜するのはエッチだからね。初めは服を着ているかもしれないけど、最後には全てを曝け出す。全てを見られるのだから体型が気になってもしょうがない。

 でも、だからといって、止めるなんて事は無理だ。

 

「ダメだよ。今日は絶対にセシリアの初めてを貰うんだから」

「し、詩織」

「セシリアは体型は気にしなくていいよ。大丈夫。何度も一緒にお風呂に入ったからね。ずっと見ていたから大丈夫だよ」

 

 言っていることは変態だが、結構真面目に言っている。

 セシリアもそれに気づいたようで、くすくすと笑った。

 

「内容が内容だけに喜んでいいか迷いますわね」

「あはは、だね。でも、言ったことは本心だからね。セシリアは綺麗だからね」

「もう、詩織は。本当に詩織は人を喜ばせますわね」

「ふふ、でも、これは恋人たち限定だよ。友達とかには言わないからね」

 

 まあ、家族には似たようなことは言うけどね。

 

「当たり前ですわ。わたくしたち以外に言ったら、わたくしと更識さんで文句を言いますわよ」

「言わないよ」

 

 そう言って、私はセシリアの首筋に顔を埋め、そこにキスをした。

 埋められたときはセシリアは少しくすぐったそうにしていたが、キスをしてからはやや甘い声を出しながら耐えていた。

 周りには誰もいないので、私たちの行為に気づくものは誰もいない。

 そのせいか、キスだけでは我慢できなくて、舌でペロリと舐めてしまう。

 

「んひゃっ」

 

 キスからいきなり舐められたせいか、セシリアは声を上げる。

 セシリアは自分が大きな声を出したことを自覚して、すぐに手で口を押さえ、周りを見た。

 周りに人がいないので、セシリアの声に気づくことはなかった。

 それを確認したセシリアはいきなり両肩を掴んできた。

 

「きゃっ」

 

 いきなり両肩を掴まれたので、私も可愛らしい声を上げてしまった。

 いきなりだったので、油断した……。

 両肩を掴むセシリアの顔はちょっとこちらを睨んでいる。

 お、怒ってる?

 

「詩織! キスしていたのに、いきなり舐めるなんてびっくりしましたわ! せめて一言言ってほしいですわ!」

 

 うん、怒ってはいるけど、私の想像していた内容とは違う。

 

「あれ? いいの? てっきりやるなって言うかと思ったんだけど」

「? 何でそんなことをわたくしが言うんですの?」

 

 ありゃりゃ。どうやら日頃からいちゃいちゃし過ぎたために、その辺の認識がずれているようだ。恋人になった頃だったら舐めること事態に何か言っているだろうに。

 まあ、こちらとしてはうれしいんだけどね。エッチがしたいとかではなくて、スキンシップを取りたいという意味で。

 

「じゃあ、もうちょっと……」

 

 調子に乗った私は今度は一言言って、行為を続けることにした。

 今度は一言を言ったので、問題ないみたい。


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