お風呂から上がった私達は寝巻きに着替えて、脱衣所にある自動販売機から冷たいジュースを買って、それを二人並んで飲む。
う~ん、美味い! やっぱり火照った体には冷たい飲み物が最高!
私が飲んでいるのは酸味のあるオレンジジュース。私の好きなジュースの一つである。
「美味しいわね」
「うん! 久しぶりに風呂から上がってこうやって飲むのはいいよね」
「いつもは自室の風呂?」
「うん、恋人がいるからね。いちゃいちゃするために自室の風呂を使っているの」
「うん、分かってたわ。そうよね、恋人がいるあなたがわざわざここに来る訳ないわよね。あっ、でも、同室の子はあんたの恋人のこと、知ってるの?」
「うん。というか、知っているも何も恋人が同室だからね」
「ど、同室の子って……。よく恋人になったわね」
「だね。まさか同室の子が私の運命の子だとは思わなかったよ」
言うまでもないけど、簪を恋人にしたのは決して同室だったからなんて理由ではない。もちろんのこと、私が気になって興味をもって好きになったから恋人にしたのだ。
「はあ……、何だか自分の好きな人といちゃいちゃできるっていいわね。あたしもしたいわ」
「だったら私と恋人になろうよ! すぐにいちゃいちゃできるよ!」
「嫌よ。というか、今日断ったばかりじゃない」
「それでも、いちゃいちゃしたいって言ってたから」
「た、ただの感想よ」
ああ、顔を真っ赤にした鈴、可愛すぎる。
「ふう、飲んだことだし、そろそろ帰りましょう?」
「そうだね。帰ろうか」
帰るというのは二人一緒に同じ部屋、という意味ではない。それぞれの部屋に、という意味である。
本当は鈴と一緒にもっと二人きりの時間を楽しみたかったのだが、夕飯やお風呂の時間で十時を過ぎようとしている。さすがにこれ以上一緒にいることはできない。
それに簪とセシリアが私の帰りを待っている。私の予想だと今日は一緒に寝る日なので、きっとそわそわして待っているだろう。そんな二人をこれ以上待たせるわけにはいかない。
「鈴、お休み」
「ええ、詩織もね」
私達はそう言って分かれた。
「ただいま!」
自分の部屋に戻った私はドアを開けると同時にそう言って入った。
「お帰りですわ、詩織」
「ん、お帰り」
セシリアは椅子に座って本を読んでいて、簪はベッドの上でタブレットを弄っていた。
一見、二人は私と寝ることが楽しみではないというか、別に気にしていないように見えるが、私にはすでにいつでも寝る準備が終えている二人がそうではないと分かっている。
「詩織、織斑先生との食事はどうでしたの?」
セシリアが聞いてくる。
「楽しかったよ! ただ、他の子も加わったけどね」
「他の子? 誰ですの?」
「鈴って子」
「鈴? ああ、あなたが最近この部屋に連れ込んでいる子ですわね」
た、確かに合っているけど、言い方ってものが……。
「むう、ずるい。私……だって、詩織と食べ、たいのに」
「ですわね!」
二人がそう言う。
そう言ってもらえるとうれしいのだが、
「でも、用事があるのは二人でしょう? 私だって二人と一緒に食べたいのに!」
「「うぐっ」」
逆に私も不満を溢す。
確かに鈴と千冬お姉ちゃんの二人で一緒に食べるというのは新鮮なことで、とても楽しかったが、そもそもは二人が用事があるということで、一緒に食べることができなかったからだ。
それなのに羨ましいって……。さすがの私だってちょっと思うところがある。
「た、確かにそうでしたわね」
「これも、オルコットの、せい」
「ひ、否定はしませんけど、わたくしは強要した覚えはありませんわよ。つまり、そう言われても困りますわよ。了承した更識さんにも責任はありますわよ」
「むう、オルコットの言うことも……一理、ある」
「ですから、一緒に詩織の機嫌を治しますわよ!」
二人でボソボソと話すのが終わったのか、二人がちょっと怒り気味の私のほうを向く。
「詩織、明日は一緒に食べますわ。それでどうですの?」
「私も一緒に、食べる。これで……どう?」
「た、ただ、毎日は無理ですけど」
二人が私の機嫌を治そうとそう言う。
「……本当に?」
私も別に本気で怒っている訳ではないので、そう聞き返す。
「ええ! 本当ですわ!」
「明日は一緒に食べる、から、機嫌治して?」
まあ、明日食べてくれるというので、それ以上はグダグダとは言わない。
「分かった。絶対に明日は食べてよ。」
二人は私がそう言うと顔を綻ばせた。
「ええ!」
「ん!」
ということで、私たちのちょっとした出来事は終わる。
それからは軽く雑談をして、寝る準備をした。
「じゃあ、寝ようか!」
もちろん川の字に並んで寝るのだが、その真ん中は私である。左右は簪とセシリア。いつも通りだ。
私の左右にいる二人は私の腕を両手で抱きしめて寝ている。
二人の胸も感じられて、個人的にはとてもうれしい。
まあ、うれしいのだけど、朝起きるときは両腕の感覚がなくなることがあるんだけどね。
そんな感じでいつものように寝ていると動きを感じて、ふと起きた。
「んあ? 簪?」
眠くて仕方ないため、あまり目は開けられないが、動きがあったほう、つまり簪をよく見ることができる。目が慣れているためである。
「あっ、起こし、た?」
「うん、でも、どうしたの?」
私たちが寝ているベッドの端にある、デジタル時計を見ると、起きる時間まであと数時間程度で、別に今起きても問題はない。
簪が起きた理由を探ろうとすると簪は密着した状態からさらにくっついてきた。
「ど、どうしたの?」
そう言って尋ねるが、簪はじっと私を見つめるだけだ。
しばらく見詰め合っているのだが、つい恥ずかしくなって顔を背けたくなる。
「詩織、好き」
「え!?」
突然の簪の告白に私は驚く。
「えっと、私も簪のこと、好きだよ」
とりあえず返答する。
するといきなり簪が顔を近づけ、私と簪の唇が重なっていた。
「ちゅっ」
「!?」
突然のことに動揺する。
え? 突然キスしてくるのは前にもあっただろうって? あ、あったけど、ど、どうしても慣れない! おかげで、今もそうだけど、キスしたほうは私の動揺した顔を見て、微笑んでるし。
くうっ、からかわれている……。
「い、いきなりキスはダメだって!」
「詩織だって、して、る」
「わ、私はいいの! むぐっ」
またキスしてきた
「詩織、もっとして、いい?」
「だ、ダメだって! 隣にはセシリアがいるんだよ? ばれるって」
ちなみに私たちの声は小声である。
「でも、私、詩織といちゃいちゃ、したい」
簪はそう言いながら、私の寝巻きの上着の裾から手を入れてきた。その手の向かう先はもちろん私の胸であった。
「んあっ」
胸を揉まれ、声が漏れる。
「詩織、しーっ」
「む、無理に決まってるでしょう!」
セシリアにばれないようにするために、声を抑えるが、やっぱり無理である。それが分からない簪ではないはず。だって、何度もしてきた行為だもん。だからこれも簪がからかっているのだ。
簪は最初は裾のほうから手を入れて私のおっぱいを揉んでいたが、さらに興奮したためか、寝巻きのボタンを外し、私の胸を露にした。
「だ、ダメだって! こ、これ以上はダメ! キスだけにしよう?」
前世が男ということもあり、性欲はいつもののことながら、とても高い。これ以上されたら我慢なんてできない。
「いや。詩織と一緒に気持ちよく、なり……たい」
「!! ま、まさかとは思うけど……」
簪は自分から誘ったにもかかわらず、恥ずかしそうに頬を赤くしながら小さく頷いた。
もちろんその誘いの意味はいつものような本番直前のものではないは分かる。ついこの間やったアレである。
「こ、これも詩織の……せい。詩織が、は、初めてなのにあんなに……する、から」
簪は恥ずかしそうに言う。
いつの間にか、簪は上着の寝巻きを脱いでおり、裸になっている。このままでは全裸になるのも時間の問題である。
「か、簪。ダメだよ。もうすぐ朝だし……」
「分かって、る。なら、あのときみたいに……激しいのじゃなくて、いい。普段のくらいで……いい。して?」
妥協したのか、簪がそう提案してきた。
そう言われると考えるのは、やらないことではなく、起床時間と満足するまでの時間である。
結局のところ、私も簪の興奮に当てられて、やりたくなってしまっていた。そうして、考えて私は簪の要望に応える事にした。
「……分かった。でも、声、小さくしてね? 隣でセシリアが寝ているんだから」
「ん!」
私と簪は互いの服を脱がし合った。もちろんその間、ただ脱がせあうだけではない。その合間に互いの素肌を撫で、刺激を与え合っていた。
そのせいもあって、脱ぎ終わったときには互いに体ができあがっていた。
「ぬ、脱いじゃったね」
「うん、ちょっと……恥ず、かしい」
簪は大事な部分を隠して言う。
私はもう隠していない。今更だからね。まあ、恥ずかしいけどね。
私は簪の大事な部分を隠す手をゆっくりと動かす。少しずつ露になる簪の大事な部分。
私がじっと見ているせいか、再び簪の手が動くが、私の手が動いてそれを抑える。
「そ、そんなに……見ない、で……。見、過ぎ!」
「そう言う簪だって私のを見てるじゃん。チラチラと見ているのが丸分かりだよ」
簪は自分の行動がばれていないと思っていたのか、私に指摘されて顔を羞恥で真っ赤にさせた。
私にエッチの誘いをしたのに、こういうのはまだ初心なようだ。
個人的にはこの初心な反応をずっと見ていたいので、このままでいてほしいななんて思っている。
まあ、そんな初心な反応もいつも事に及んでいる最中に吹っ切れて、とってもエッチくなるんだけど。いつもそれでやり返されているし。
「ほら、見て?」
私は簪の顔を私の大事な部分へ無理やり向けさせる。
恥ずかしくないのかと問われれば恥ずかしいに決まっている。それは体を見せ合った仲とか関係ない。他人に見られるという時点で恥ずかしい。
でも、今はそういう行為をしているときなので、それを抑え込んでいる。
私の大事な部分を簪はチラチラ見るのを止めて、じっと私のその部分を見ていた。
女の子同士とはいえ、すでに何度も行為しているから当たり前だが、そういう部分に性的欲求を感じている。
互いのをじっと見つめ合った私達は我慢ができなくなり、そっと同じタイミングで手を動かす。その手の先にはまずは互いのおっぱいである。
私達は互いのおっぱいに触れ――
翌日、というか、数時間後。
二つのベッドをくっ付けて擬似的に大きくなっているベッドの上に全裸の少女の姿が
え? 一人多い? どういうことかって?
それはもう決まっている。セシリアである。
なぜ寝ていたはずのセシリアがパジャマではなく、全裸なのか。それは、まあ、その、私たちの声が大きくて、セシリアが起きたからだ。起きたセシリアは最初は私達、いや、主に私かな。うん、私に怒鳴っていた。非常識だとか、破廉恥だとか。
でも、そんなセシリアだったけど、どうやらすぐに起きて私に怒鳴った訳でなくて、少しだけ寝たフリをしていたみたいで、体のほうが準備できていたのだ。そのため、怒鳴り終わると、おい、何で私達怒鳴られたんだって思うほど、あっさりセシリアはおねだりしてきて、三人でやることになったのだ。
もちろん三人とはいうけど、セシリアと簪同士でキスとか触りっことかさせてない。というか、させない。
ハーレムだとハーレムの子同士でキスするなんて展開があるみたいだけど、これでも独占欲は強いほうなので、自分の恋人が私以外の者とキスなどをするなんて許せないのだ。
それを理解しているのか、いつものように二人は私だけを見てくれていた。私だけに専念してくれていた。
そんな感じで本番はせずにいつもやっていることをやった。
「二人とも、シャワーを浴びようか?」
私達三人は寝ていたわけではない。行為が終わって、ただ体を休めていただけである。
本番ではないので、激しくはしていないのだが、それでも体力は結構使う。
特に二人は今もまだ息が荒い。
「え、ええ、そうですわね」
「……」
セシリアはそう言って、簪は頷いて返事をした。
でも、部屋の浴室は三人が入れるほど広くはないので、二人ずつ入ることにする。
え? 二人ずつではない? いえ、二人ずつですよ。私が二回分入るんです。こうすることで仲間外れなく入ることができる。
というわけで、私は二度シャワーを浴びた。