精神もTSしました   作:謎の旅人

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第102話 私、裸の付き合いでさらに仲を深める

 風呂に一緒に入ることになった私と鈴は、さっそく風呂の準備をする。

 とは言っても、互いに新しい下着などは持ってきていないので、一旦自分の部屋へ戻ることになる。

 戻る際には鈴がいるというのに千冬お姉ちゃんからキスを強請られて、つい鈴の前でキスをしてしまった。

 目の前でキスを見せつけられた鈴の顔は真っ赤で、初心だなと思ったが。

 

「ね、ねえ、千冬さんっていつもああなの?」

 

 千冬お姉ちゃんの部屋から一緒に出た鈴が聞く。

 

「そうだよ。二人きりになったらキスとかハグとかしてくるよ」

「うわあ、そ、そうなんだ」

 

 何だか千冬お姉ちゃんの自分も知らない姿を見て、鈴の中で千冬お姉ちゃんのイメージがガラガラっと崩れたような気がする。だって、鈴、今、ちょっと引いているんだもん。

 

「ていうかさ、何で詩織は千冬さんのこと、『千冬お姉ちゃん』って呼ぶの? 普通、名前だけじゃない? さんは付けるかもしれないけど」

 

 この通り、私が千冬お姉ちゃんって呼ぶことを鈴はすでに知っている。

 

「ああ、それはね、前に……う~ん」

 

 これを説明するには束お姉ちゃんのことを話さないといけない。

 躊躇うのは鈴がISの代表候補性であり、まだ鈴が恋人ではないからだろう。つまり、私は鈴にISを作った人物であり、世界が探す人物である、束お姉ちゃんの情報を小さいながらも渡していいのだろうかということである。

 私だって鈴のことを信じたいが、私も一度は責任ある大人になった経験のある私である。

 いや、まあ、そんな人間が何ハーレム作ってんだとか、何勝手にハッキングしてんだとか言われたら困るけど。

 ともかく、その私からすると鈴は微妙なんですよね。

 何せ相談相手、または仲のいい友達程度の関係で、親友、または恋人という私の信頼できるレベルには全く達していないのだから。

 う~ん、どうしよう。

 いや、待て。ここは鈴に聞いてみよう。

 

「鈴って一夏のこと好きなんだよね?」

「え? う、うん」

 

 少々躊躇いがあったのは私が鈴のことを好きだと言ったせいだろうか?

 

「じゃあ、一夏が不幸になるのは嫌だよね?」

「当り前よ!」

「じゃあ、言っても大丈夫かな」

 

 束お姉ちゃんの情報、つまり会い方を鈴が自国に渡せば、千冬お姉ちゃんはきっと面倒なことになるに違いない。

 前に千冬お姉ちゃんに聞いたけど、前は確かに各国からそういう情報を引き出すようなことがあったみたい。時には攫われそうになったとか。または殺されかけたりとか。

 今は無駄と分かったのかそういう人は来ないと聞いた。

 でも、いくら無事とはいえ、いつもそうではないのは確かである。きっと千冬お姉ちゃんが怪我をしたことを知れば、一夏は間違いなく悲しむだろう。

 そして、鈴から先ほど聞いた言葉を信用すれば、鈴だって一夏が悲しむ姿は見たくないはず。

 つまり、私が束お姉ちゃんのことを話しても問題ないということである。

 

「私の初恋の人なんだけど――」

「ん? 初恋の人? 関係があるの?」

「あるよ。とは言っても、呼ぶきっかけの一つってくらいだけど」

「そうなんだ。で、初恋の人って誰? 聞いてもいい?」

「いいよ。というか、話の続きになるかな。で、初恋の人なんだけど、じ、実は、そ、その、束お姉ちゃんなんだよね」

「束お姉ちゃん? …………。って! もしかして篠ノ之博士!?」

「そうだよ」

「というか、お姉ちゃん!? ま、まさかとは思うけど篠ノ之博士も詩織の?」

「えへへ、そうだよ! 私の恋人!」

「うそっ!?」

 

 鈴がとても驚いていた。

 

「本当だよ」

「ね、ねえ、詩織って世界征服とか企んでないわよね?」

「むう、企んでないよ!」

 

 前にも言われたけど、そんなことするわけがない。

 そんなことよりも恋人に囲まれていちゃいちゃしたい。そして、えへへ~。

 

「で、話戻すけど、束お姉ちゃんに会いに行くために、千冬お姉ちゃんと一緒に行動してたの。あっ、千冬お姉ちゃんはこのときはまだ恋人じゃないよ」

「ふ~ん、なるほどね。篠ノ之博士に会いに行くのに、詩織一人じゃ無理だものね」

「うん。それで、二人きりになることが多かったんだけど、そのときにくっついていたときについ『お姉ちゃん』って言っちゃったんだよね。それで呼ぶようになったの」

「うん、なるほどね。分かりたくはないけど、分かったわ。ええ」

 

 あの時、つい私が呼ばなかったら、もしかしたら『千冬さん』って言っていたかもしれない。千冬お姉ちゃんと呼びなれた今だと、それは何だか距離を感じる気がする。だとしたら、あのとき、恥ずかしかったけど、『お姉ちゃん』と呼んでよかったと思う。

 

「で、言っておくけど、これ、ほかの人にしゃべったらダメだからね」

「当たり前よ。恥ずかしくてしゃべれるわけがないでしょう」

「そうだけど、そうじゃなくて、束お姉ちゃんのこと。絶対に言わないで」

「分かっているわ」

 

 私のいつにも増して真剣な言葉に鈴もいつも以上に真剣に答えた。

 私はそれを信じよう。

 

「よかった」

「それで、詩織。他の恋人たちってあと何人いんの? 篠ノ之博士と千冬さんの二人以外にもいるんでしょう?」

「うん、あと二人いるよ」

「……あと二人って……。あんたって可愛い顔して、やることはやっているのね」

「えへへ、ありがとう!」

「褒めてないってば……」

 

 さて、それから私達は一旦自分の部屋に戻って、すぐにお風呂の準備をして大浴場の前で鈴と合流する。

 

「鈴と一緒にお風呂とか私、楽しみだよ!」

「あたしは複雑だけどね」

 

 私達はすぐに裸になって、中へ入る。

 脱衣所にはもちろんのこと、大浴場にも生徒たちがいる。

 自分の裸体を隠す人もいれば、堂々としている人もいる。

 ちなみに私は前者である。さすがに私も誰でも構わず見せるという訳ではない。とは言っても、別にがっちり隠している訳でもない。ただ、タオルを前にしているだけだ。

 

「鈴、こっちが空いてる。こっち行こう?」

「ええ」

 

 同じく前を隠している鈴を連れて、空いているシャワーのところへ行く。

 この大浴場は全学年の生徒が入れることを想定しているので、とてもでかい。なので、浴場の端から端までが結構な長さだったりもする。

 もちろん、こんなにでかいので、大浴場を二つにすればいいのではと一度はその案がでたらしいが、その代わり、様々なお風呂があるということでそのままになったらしい。実際、ジェットバスや底が深い風呂などいろいろとある。

 うん、確かにこれだけお風呂があるならばでかくてもいい。

 

「詩織、ここでいいんじゃない?」

「そうだね」

 

 私達は風呂椅子に座って、さっそく体を洗っていく。

 

「……詩織って何かスタイルいいよね」

 

 体を洗っていると鈴が私の裸体をじっと見ながら鈴が言った。

 

「そう?」

 

 私はそう答えるが、心の中では当たり前だと思っていた。

 何せ私の、月山 詩織の体だもん! 可愛すぎて美人過ぎる詩織! もちろんのことスタイルだっていいに決まっている! いつも鏡で見ているけど、いつもそう思う。

 ああ、なんで双子じゃなかったのだろうか。双子だったら

 

「そうよ。何だか羨ましいわ」

「鈴だって可愛いよ」

 

 鈴は小柄で、その胸は、その、うん、ひ、平べったい。も、もちろん、ちょっとあるよ! あ、ある、はず。私の恋人の中で、胸の小さい簪と比べても鈴の胸は小さいが。

 だって、簪は、鈴には悪いけど、揉めるほどの大きさがあるんだもん。

 それに比べて、鈴はそんなに揉めそうにない。

 まあ、私、別に胸に拘っている訳じゃないけどね。

 

「ね、ねえ、その、胸ってどうやったら大きくなるの?」

 

 どうやら鈴は時分の胸にコンプレックスがあるようだ。

 

「気にしてるの?」

「あ、当たり前よ!」

 

 鈴は自分の胸を揉んで、揉んでも大して形の変わらない胸を見せ付ける。

 鈴、私、同性愛者なんだよ。そして、鈴のこと好きなんだよ。それはつまり、鈴の小さな胸でも十分に興奮するということである。

 なのに、鈴は自分の胸が小さいことを示すために、私の目の前で自分の胸を揉んできた。

 鈴はまだ分かってないみたいだね。

 私は周りの視線がないことを素早く確認すると、私は鈴のその小さな胸を揉んだ。

 モミモミ、モミモミ。

 うん、揉み応えが少ない。

 と、私が揉んでいると、ようやく自分の状況ができた鈴が顔を羞恥で赤く染める。

 

「な、何すんのよ!」

 

 鈴は私の手を払い、胸を両手で押さえた。

 

「何をって胸を揉んだだけだよ」

「も、揉んだだけって……。何考えてんのよ! 詩織、まだ恋人でもない相手を襲うなんて最低よ!」

 

 鈴は怒っているようだ。

 だけど、

 

「そういう鈴だって、私の目の前で何をやっていた? 鈴は自分の胸で私が興奮しないと思って、自分の胸を揉んでコンプレックスを見せたかったみたいだけど、私、鈴が好きだって言ったよね? 目の前でそんな行動を見せられたら、私だって我慢できなくなるよ。もしかして興奮しないって思った? だとしたら間違いだよ。胸が小さいとか関係ない。鈴は十分に魅力的なんだよ」

「!! つ、つまりあたしにも問題があったって言いたいの?」

「うん」

 

 じっと私達は互いに見つめあう。

 

「……あたしも悪かったわ。確かにあたしの行動は軽はずみだったわ。そ、そうよね。あたしも詩織が目の前で自分の胸を揉んでたら、変な気分になるし」

「だよね!」

「でも! だからっていきなり胸を揉むっていうのはない!」

「うぐっ、千冬お姉ちゃんとキスしたから、ちょっと我慢できなかった。ごめん」

 

 いつもならば揉んだりせずに、別の方法をやっていたはず。

 なのに、今回は千冬お姉ちゃんとちょっとだけしかキスできなかった。そのせいで私の中の性欲が膨らんだままで、その膨らみが治まる時間もなく、鈴が誘惑してきたために鈴の胸を揉んでしまっていた。

 

「別にいいわ」

「ありがとうね」

「ええ。ほら、洗いましょう」

 

 そうして、体などを洗い終えた私達は湯船に浸かることにした。

 

「ふにゃあ~、気持ちいい~」

 

 いつもは恋人たちといちゃいちゃするために自室のシャワーのみだからこうして久しぶりに湯に浸かるのは気持ちがいい。

 そのせいか、思わず声も出てしまう。

 

「……やっぱり今の詩織っていつもと違うから違和感があるわね」

「鈴が前のほうがいいって言うんなら戻すけど、どうする?」

「今のままでいいわ。別に昔の詩織が嫌いというわけじゃないけど、あたしとしては今のほうが何かしっくり来るから」

「じゃあ、これからもこれでいくね」

 

 私達はのんびりと過ごす。

 隣には鈴がいて、その距離はとても近い。肌と肌が触れ合うほどである。

 先ほどの言葉を忘れたのかと言いたいほどである。

 ……分かっているよね? そ、それとも分かっていて、わざとなの? 私を試しているの?

 ともかく暴走しないように気を付けよう。

 

「ねえ、鈴。私の恋人にならない?」

「……いきなり何よ」

「いや、裸の付き合いしているし、今言ったらいい答えが貰えるかなと思って」

「なら、答えるけど、無理よ。別にあんたのこと嫌いとかじゃないけど、今はあたしには一夏がいるのよ。その想いがあるから詩織の望む答えは出ないわよ」

「その言い方だと一夏への想いがなくなれば私が望む答えをくれるってこと?」

「多分ね」

 

 その鈴の答えに喜びを隠せない。

 やっぱり鈴の好感度は一夏がいなければ恋人になっていいくらいほどの高さがあるらしい。

 だが、やっぱり邪魔をするのが一夏。

 

「鈴にそう言われちゃうと、私、結構期待しちゃうよ」

「別にあたしはまだ詩織の恋人になるって決まった訳じゃないわよ」

「えへへ、そうだけど、やっぱり私の恋人になってくれる可能性があるんだもん。喜ぶよ! 鈴だって脈ありだったら喜ぶでしょう?」

「うっ、そりゃ喜ぶけどさ」

「でしょう!」

「で、でも! 目の前で自分が関係していることに喜ばれても、こ、困るわ! 詩織だって目の前であんたの恋人たちから詩織の好きなところなんて言われたら困るしはずかしいでしょう!」

「た、確かに」

 

 目の前で恋人たちが私の話なんてされたら、確かに恥ずかしいし、どんな反応をすればいいのか困る。

 

「というわけだから、この話はお終いよ」

「は~い」

 

 この後は互いに女の子らしい内容の会話をして、お風呂をゆっくりと堪能した。


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