真に導く者   作:挫梛道

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 メダリオ格闘トーナメント・ベスト4
 
        優勝 
      ┏━━┻━━┓
     ┏┻┓   ┏┻┓
     ホ フ    ソ ゼ
     ウ  ィ   ロ ヴ
     セ Ι      ィ
     ン グ     ウ
             ス

 



炎の剣!!

「「「いえーい!!」」」

パチィィン!

控え室に戻ると、ソロと姫さんが出迎えてきてくれ、3人でハイタッチ。

 

「ナイスファイト!」

「応!!」

パチィ…

更にはバルログとも、掌を打ち合わせる。

 

そんな中、大会運営のスタッフが、次の試合に出るソロと親父…ゼヴィウスに出場を呼び掛けにきた。

「うむ!!」

それを聞くと、親父は先に控え室を出て行った。

 

「……………………………。」

そして先程の試合で、親父の強さを目の当たりにして緊張しているのか、明ら様にガチッガチになっているソロ。

 

「ソロ…」

仕方無いので、少してもリラックスさせてやるべく、アドバイスして事にした。

「フィーグさん?」

「大丈夫だ!あの親父、祖父(ジジイ)よりかは少しだけ弱い!!」

「あ、あの人を基準にされても…それに、少しだけって、それって、十分に鬼みたいに強いんじゃないんですかぁ!??」

「良いから さっさと逝ってこい!!」

「字が違~う!!」

半泣きで出て行くソロ。

ガチガチな身体は ほぐれたかな?

プレッシャーは倍増したみたいだけど。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「ボコられて負けてしまえ~っ!!

この、セクハラ勇者ーっ!」

「あ、あんた、まだ引き摺ってんの!?」

「当~っ然です!!あのケダモノソロ!

よっくも お姉様の唇を~!

有罪(ギルティ)!万死!!」

「…………………………………」

ソロが闘技場に姿を見せた瞬間、罵る様に野次を飛ばすホイミン。

先のソロvsコカブリエルの試合の際に起きた、ソロ当人からすればラッキー?なイベントを赦す心算は更々無いようだ。

マーニャは そんな少女を見て、若くしてイケない道に堕ちてしまうのでは?…と、真剣に心配してしまうのだった。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「ほれ、遠慮せんと、もっと掛かってこんか!!」

「く、クソ!!でぃやぁっ!!」

「剣を振るタイミングも若干 早い!

振り遅れ過ぎるのも論外だが、早過ぎても、十全に剣は活きんぞ!」

バキィッ!

「うわぁっ?!」

 

トーナメント準決勝第1試合

ソロvsゼヴィウス。

 

試合はホイミンの要望通りと云うべきか、ゼヴィウスの一方的な試合運びとなる。

いや、どちらかと云えば それは試合ではなく、幾多の場数、修羅場を歩んできた熟練の戦士が、若き次代に指南指導している様な光景だった。

 

「親父…楽しんでるな…」

その様子を、控え室の水晶玉(モニター)で伺うフィーグ達。

 

「やっぱり、魔法禁止なのは、ソロにとっては痛いわね。

ソロの真骨頂は魔法剣なのに…」

「姫さん、それは違うよ?」

「え?」

「この大会が魔法解禁だったら、尚更ソロには勝ち目は無いさ。

何しろ、あの親父が最も得意としているのは、あの剣にベギラマをチャージした魔法剣だからね。

親父が魔法剣を使ってりゃ、それこそ瞬殺だよ。

そもそも傭兵団の名の『炎の剣(フランベルジュ)』ってのは、あの刀身が炎を象っている大剣の銘であり、あれにマジに炎を宿らせて戦場で暴れる様から付いた、親父の二つ名なんだ。」

「………………………………。」

「…姫さん?」

「フィーグ、何となく、嬉しそう?」

「は?」

「クソ親父とか言ってる割には、嫌ってる様子、あんま無いみたいだし…

今、お父様の事を話してる時、凄く嬉しそうな顔をしてた…。」

「…あー、そーゆー事ね。

俺に戦い方を仕込んだ1人で、強いのは確かだし、家庭顧みないクズヤローとかって訳じゃないし、まあ不本意だけど、尊敬してやってるよ。

性格がアレだけど。

悔しいけどね、ジジイ諸共、何時かは ぶっ壊すべき壁だってのは、認めざる得ないからね。」

「壊すって…そこは超えるでしょ?

でも、何だか良いな…そんな関係…♪」

「姫さん…」

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「クッソ!これなら、どうだ!

ビクトリー・フェニックス(炎無しver)!!」

ソロが逆袈裟斬りから、右切り上げのコンビネーションを繰り出す。

本来なら刀身に、その破邪の剣が宿す炎に自身の魔法を上乗せして放つ、現時点でソロ最大の技なのだが、

ガキィッ

「おお?この一撃は、なかなか見事だ!」

それでもゼヴィウスには、刃は届かない。

 

ゼヴィウスに油断は無い。

確かに攻撃面では、息子の旅の仲間という事もあるのだろうか、多少の手心を加えている感はある。

しかしながら、防御の面では、一切の妥協を許さない。

スライムの1撃のダメージすら、受ける気はない。

その気になったら、勝負は何時でも終わらせる事が出来る。

ソロの『中』に在る、『何か』を直感したのか、その逸材、その原石、その才能を その儘 放置する様な心算は無かったのだろう。

 

「祖父(じっ)ちゃんも そうだけど、親父もトレーナー気質な部分があるからな~?

てか、あのフェニックスを凌がれたら、いよいよソロに勝ち目は無くなったな…。

残念だが、此処迄か…。」

「ソロ…」

「無敵過ぎるよ、あの人は…」

「てゆーかフィーグ、分かって言ってる?

トレーナー気質って、貴方もだからね?」

「えっ?!そーなの?」

「ん。何時ものソロに対する虐待(しごき)、見てる限りはね。」

「あ~…あいつ、磨けば光るってのは、判るからな~。

親父や祖父(じっ)ちゃんも同じ感じなんだろうな。」

「それって、ソロ君からすれば、大(いい)迷惑だよ。」

 

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「ふん!小僧、一通り見せて貰ったから、今日は そろそろ終わりにするか!

今度、あの お姫様とブランカの拠点(ホーム)に来い!

父殿と一緒に、改めて鍛えてやるわい!!」

「ぐ、グレイグさんと?

それは丁重に お断りしたいのですが!?」

「はっはっは!若者が遠慮するな!!」

 

そう言いながら、今迄はソロの仕掛ける攻撃を去なしていただけのゼヴィウスが、炎の大剣、フランベルジュを己の身体に対して、真っ直ぐ前に構えた。

過去、グレイグに襤褸雑巾にされたトラウマがフラッシュバックしたのか、鍛錬の誘いをドン引き顔で必死に拒否るソロだが、ゼヴィウスの顔は「お前に拒否権は無いwww」とばかり、嗤いながら語っている。

 

「小僧よ、予習がてらに見ておけ!

これが儂の…」

「ひぇっ?!」

口元は笑っているが、目は まるで殺人鬼の様な鋭い眼光を放つと、腰を低く落とし、手に持つ大剣の赤い刀身の切っ先を地面に着け、まるで地を斬るがの如く、ソロに突進していくゼヴィウス。

 

そして、間合いに入った刹那、本来ならば斬撃であろうゼヴィウス最大の『必』ず『殺』る『剣』を…

「Lion de Furea!!(魔法未使用&手加減ver)」

バキィッ!!

「きんぐくりむぞんっ!!?」

斬る事なく、刀身の腹でアッパースイング宜しく、ソロの顎を叩き付け撃ち抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「…知らない天井です。」

「あっ、ソロさん、気が付きましたか?」

ソロが目を開けた時、最初に映ったのは見覚えの無い天井、そして、心配そうな表情を浮かべたミネアの顔だった。

 

「ミネアさん?…えと…僕は…」

「…………………………。」

「そうか…負けたん…ですよね?」

「はい、あの人の最後の一撃を受けて、気を失ってしまい…」

「ははは…一太刀も届かなかった…。

完敗です。さてっと…」

「あっ、まだ動いては…」

「大丈夫ですよ、フィーグさん曰わく、あの人は過去、『試合』で対戦相手に大怪我をさせた事が、一度も無いのが自慢らしいですからね。

僕も御多分に漏れず…ですよ。

今、フィーグさんが戦っている最中ですよね?だったら早く行かないと…

僕は もう平気ですから、ミネアさんも客席に戻って大丈夫ですよ。」

「ソロさん…」

そう言うとソロは、ベッドから起き上がり、医務室を出ていった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「どっせぃ!!」

「でぇいりゃっ!!」

ガコォッ!!

 

「ふっ…やりおる!」

「アンタもな!!」

…その頃、コロシアムでは、フィーグとホウセン、両者の槍が、激しく ぶつかり合っていた。

 

 




ゼヴィウスのイメージは、FF-Xのジェクトの髪を、赤くした感じと思って下さい。


今回は殆ど会話だけだった…。
次回は派手にバトります。


バトれたら良いな…

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