「フィーグにいちゃ~ん!」
「おっ、ポポロ?少し背が伸びたか?」
「うん!」
メダリアに滞在して3日目。
今日は王都で、国の名物祭である『メダル祭り』が催される。
トルネコの旦那は朝一番でエンドールにソロと一緒に戻り(ルーラ)、嫁さんと息子…ネネさんとポポロを連れて来た。
ん、家族サービスは大事だよね。
頑張れ、お父さん!
「「あ、ネネさん、お久しぶりです~。」」
「どうも。主人が世話になっていますぅ。」
俺や お姉さんズがネネさんとポポロに挨拶した後、彼女達と初対面なサントハイム組やライアンに、旦那の嫁と子供と紹介してやった。
「「「「…………………………。」」」」
ネネさんが旦那の奥さんと知った瞬間、凍れる時の秘宝な如く、自らの時を止める4人。
数秒後、再び時が動き出すと同時に、あんびりーばぼーな程に驚きの声を上げたのは、まあ お約束(笑)。
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メダル祭り。
年に一度、メダリアで催される、世界的にも有名な祭り。
この為だけに、王城そっくりに造られた建物の中、至る所に隠された小さなメダルを探し出し、その見つけた枚数を競い合うというイベントだ。
成績上位者には、その見つけた枚数に従い、様々な景品や賞金を国王から授与される事になっている。
原作(ゲーム)では影も形も無いイベント。
『小さなメダル』が、現実(リアル)となった この世界では、こんな感じになっているとはねぇ…。
参加者は1チーム最大3人となっている。
因みに、仲間内で参加するのは…
「ふっふっふ…
家族達の手前、頑張らせて貰いますよ。」
「さぁ、張り切っていきましょう。」
「おー!」
旦那、ネネさん、ポポロの武器屋チーム。
「こういうのってさ、凄く楽しそうで、ワクワクするわよね!
悪いけど、皆には負けないわ!」
「(はわわわ…姫様と、2人っきりで、同じチーム…ぷはぁっ!!)」
「く、クリフト?大丈夫?」
姫さん&妄想力MAX男チーム
「いい、フィーグ?
マジに勝ちに行くわよ!」
「へいへい…」
説明不要だよね?
…の、チーム・バカップル。
「偶には、こういうのも良いですね。
祭りの雰囲気を楽しみましょう。」
「そうですね。」
ソロ&ミネアさんの まったりチーム。
…の、4チームだ。
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正午前、祭り会場の王城レプリカの前に ごった返す人、人、人。
主催者のメダリア国王自ら、主だったルールの説明の後に…
どーーーーーーーーーーーーーーん!!
祭り開始を意味する祝砲を打ち鳴らした。
どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどど…
「「「「「うぉーーーーーっ!!」」」」」
同時に場内に雪崩れ込む参加者達。
「ほら、フィーグ、早く!」
「わったった!!?」
俺もマーニャさんに手を引っ張られ、会場である、城の中に入っていった。
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「見つけたー!」
「あったー!」
「穫ったどー!!」
城内の箪笥を物色し、坪を割り、樽を破壊する等して、メダルを探す参加者達。
普通の家とかで、こんなんやった日にゃ、普通に犯罪だよ。
そんな中、
「あ、あったわ!」
この お姉さんも、箪笥を物色しては、メダルを確実に着実に、見つけていく。
そして、
「ん?あれは…」
このイベント会場には、あちこちに警備兵が配備されている。
イベント内容の性質上、参加者同士で主に、メダルの奪い合い等のトラブルを未然に防ぐ為だ。
恐らくは全てが正規の城兵でなく、イベントの為のバイトも紛れているだろう。
そして ふと、その警備兵が身に着けている、鎧のベルトのバックルを見てみると…
「(あるし…)」
直径約5㌢のそれは、紛れもなく、メダリア王国の紋章が彫り込まれた金色のメダルだった。
参加者同士でトラブり、兵に止められたら即・失格退場の このイベント、皆が意識無意識関係無く、関わらない様、彼等を目線から視界から逸らしていたのだろう、誰もが この隠す事無く堂々と晒しているメダルに気づいてないみたいだ。
「マーニャさん…」
「?」
俺はマーニャさんに耳元で囁くと、2人で さり気に城兵に近づき、
「頂~戴」
お姉さんにONEDARIして貰い、メダルをゲット。
「よっし、フィーグ、他の奴等が気づく前に、全ての兵士のメダル、戴くわよ!」
「承知!」
こうして俺達は、着々と城内の兵士達の持つメダルを集めていったが…
「残念だったね、つい先程、他のプレイヤーに渡しちまったよ。」
「あらら…」
他にも兵士のベルトに気づいた参加者が居たらしく、先を越されてしまうパターンも多くなってきた。
参考までに、どんなプレイヤーか聞いてみると、綺麗な若い女性と元気なチビッコと、太ったオッサンのチームだとか…
もう良い…誰だか分かったし…。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
そしてイベント開始から3時間経過、イベント終了の銅鑼が城内に鳴り響き、参加者達は最初の庭園広場に集合。
スタッフに集めたメダルを渡し、ランキング結果発表を待つ。
「まさか、旦那達も兵士のベルトに気づくとはね…」
「僕が見つけたんだよ!」
「え?そんなのが あったの?」
「全然、気づきませんでした…」
集計中、旦那、姫さん、ソロ達と合流して、駄弁る。
そしてランキング発表と商品授与式。
まあ、結果からいえば、やはり兵士のベルトに気づいた旦那のチームと、俺のチームが ぶっちぎりの1位2位。
姫さん&クリフトとソロ&ミネアさんのチームは…
察してください(笑)…って感じだ。
そんな訳で…
※※※※※※ 本日の戦利品 ※※※※※※
魔封じの杖
神秘のローブ
黄金のティアラ
グレートヘルム
ウィザードハット
豪傑の腕輪
竜の鱗x2
ムーンストーン
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その日の夜は、旦那の家族を含む全員で、普段よりは少し背伸びしたレベルの店で食事。
ネネさんとポポロは、まだエンドールには帰らず、明日の『メダリア詩人祭り』も、その儘観るとの事。
今日のメダル祭りから始まり、明日の詩人祭り、そして明後日の格闘トーナメント。
それ等の参加者、または参加予定者だろうか、店の中にも、アーティスト系の人物や、ファイター系な人物が目立つ。
既に参加者が決まっているという、詩人祭りのパンフレットを見てみると、参加者の中に2人程、知っている詩人の名前が載っていた。
祭りの前後で、また会って話せたら良いなとか、何気なく思ってみる。
そして、
「やあ、フィーグ、久しぶりだね。」
俺は1人の男に声を掛けられた。
神秘のローブ…神秘の鎧に、一般的聖職者の衣をアンダーとして付け添えたローブ
ウィザードハット…縁は大きく、先端部が折れた三角帽子。
魔力アップと精神系魔法耐性の効果有り。
ムーンストーン…自然治癒効果がある指輪