真に導く者   作:挫梛道

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先に言っときます。
サブタイの割には洞窟場面は滅っ茶少ないです(笑)。


パデキアの洞窟③

「これでクリフトの病気も治るのね!」

 

カンダタを退け、王家の紋章が刻まれた大扉を開いた先は天井だけが、やたら高い小さな部屋だった。

部屋の奥の雛壇の上に、如何にも…と、言った感じな宝箱があった。

蓋は鍵が掛かっていた為、姫さんのアバカム(当然、物理的な)で開けてみると、中には小さな麻袋が。

そして、その中には植物の種の様な物。

商人ゼニーの鑑定曰わく、俺達が探していた、パデキアの種で間違いないと言う。

 

 

「これで此処には用はないでしょ?

早く外に出ましょうよ!」

「寒いーっ!早くお風呂に入りたい!」

「そうですね。マリーさん、リレミトをお願いします。」

「無理。」

「へ?」

「この人数は流石に無理だよ~。」

俺達9人とカンダタ一味5人の計14人。

この人数を一度に地上に戻すのはかなり無理がある様だ。

 

「3人くらい居れば…」

「リレミトなら、ワシが使えますぞ。」

先程の戦闘では、殆ど空気だったのを気にしてるのか、「お役に立ちます」をアピールしたいのか、ブライ爺さんが名乗る。

「あと1人ね。」

「俺。」

「それじゃフィーグ、お願いね。

ゴメン、あたし、さっきの戦闘で魔力尽きてるから…」

言い忘れてた。

実は俺、ソレッタに向かう前にミントスの教会で神父に魔力更新を薦められ、教会地下の魔法陣でリレミトを覚えていたのだ。

そんな訳で、ふん縛っていたカンダタ一味の所まで戻り、

「よし、行くか…せーの!

「「「リレミト!」」」

地上へと転移した。

外は既に日が暮れていた。

 

俺達が洞窟の中にいる間、一体、何があったのか、涙目のミネアさんとドヤ顔な旦那が労いの言葉を掛けてくれ、

「「「「「でっか!?」」」」」

パインウインドを見た姫さんやハスター達が、俺達からしたら、最早恒例となりつつある、パインウインド初見リアクションを見せてくれた。

 

 

「ブルブルブルブル…」

「「「「ひぃぃ!」」」」

カンダタ達に威嚇するパインウインド、そして其れにビビりまくりのカンダタ一味。

野性的直感で悪党と見抜かれたのか、それとも、洞窟の外に停めてあった馬車にちょっかい出そうとして、一度撃退されてたか…

多分、両方だな。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「ドボンです!」

「はい、ドボン返し!」

帰り道の馬車の中、俺はソロ、ハスター、プレヤ、ミネアさんとガードゲームしてるのだが、ミネアさん、言っちゃ悪いけど、弱いね…(笑)。

「ううぅ…」

駄目駄目、そんな泣きそうな顔しても、無駄無駄無駄だよ?

 

ゼニーは運転席の旦那と何か話してる。

爺さんは何やら姫さんに説教中。

そして…

 

 

 

「…だいたい、※※※してるって言ったって、あんたの場合、半ばムリヤリだったそうじゃない?

そんなのノーカンよ、ノーカン!

あたしだって、一緒にお風呂に入ったし、さ、最後まではさせてないけど、おっぱいだって触らせてるもん!」

あ~、マーニャさん?

それってアネイル温泉の話だよね?

あと、おっぱいは裏切りの洞窟の時のアレですか?

「どーせ、それって、全~部、ラッキースケベなんでしょ?それこそノーカンよ?」

「ゔ…」

マリーさん、正解。

しかも、その後に俺、100パー制裁喰らっております。

…てか、あんた等、そういう話は(しかも主題が俺)もっと小さい声でして欲しい。

ほれ見ろ、ハスターとプレヤの目が、おもいっきり笑ってやがる。

 

 

「ねぇ、ブライ、※※※って何?」

「姫様はまだ、知らなくて良いです!

このアホ女共ぉ!

姫様の前で下銭な会話をするなぁ!」

何やら、アッチはアッチで盛り上がっている様だ(違)。

 

 

「そもそもアンタ、勘違いしてない?

あたしは使用済みな男には興味無いの。

結婚相手だったら兎も角、恋愛の対象はないわー。」

「「(使用済みにした張本人が言うか?!)」」

「じゃ、何でフィーグに寄りを戻そうとか言ってるのよ?」

「きゃはははははははは!

あれは冗談に決まってるでしょ!

フィーグは、あたしの玩具(オモチャ)よ?」

おい…

「ムキー!何をバカ言ってんのよ!

フィーグは、あたしの、玩具、な・の!」

お~い、お姉さんズ~?

 

「どんまい…」

ハスター、肩を叩くな!

 

「ま、そんなに余所の女にお持ち帰りされたくないなら、さっさと既成事実でも作っておきなさい?

あんた、一見、あちこちで遊んでそうで、実はまだ、「言うな!しゃあらーーっぷ!!」

え?マーニャさんて…

「フィーグさん、不潔です。」

「いや、今回は俺は違うだろ!(必死)」

「ねえ、ブライ、既成事実って「姫様は知らなくていいです!」

 

 

道中に出現したモンスターは全て、パインウインドの脅しだけで撤退してくれ、無事にソレッタ城に到着のは翌朝の事。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「おぉ、それは正にパデキアの種!

見事だアリーナ姫!

約束通り、パデキアの根を譲り与えよう。

1人分で宜しかったかの?」

「有り難う御座います、ソレッタ公。

これで、クリフトも…」

「いや、めでたい!今宵は宴じゃ!

是非、貴公達も参加してくれい!」

相変わらずの上半身真っパなソレッタ王がタオルで汗を拭いながら言うが、

「お気持ちは有り難いのですが、私達は一刻も早く、伏せている仲間の元に戻りたいので…」

「ふむ、そうか…残念だが、そういう理由なら仕方あるまい。

また、何時でも来るが良い。

貴公達なら歓迎するぞ。」

「有り難う御座います。

クリフト、もう少し我慢してね…」

こうして、姫さんは万能薬パデキアの根を手に入れた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆「じゃ、あたし達はエンドールに行ってくるから。」

「はい、よろしくお願いします。

僕達はミントスで待っていますね。」

マリーさんとプレヤはカンダタ一味をエンドールの監獄施設に差し出す事に。

残りの面々はミントスに行く事に。

 

「…と、その前に、改めて確認しておかなくちゃね、ボーヤ?」

「はい?」

マリーさんがソロの前に歩み寄り、顔を近づける。

「うふふ…♪」          

「え?ま、マリーさん?だから、近いですって…んンん?!」

「んむ~~~♪」

問答無用で両手でソロの頭を掴み、口を己の唇で塞ぐマリーさん。

マーニャさん、ミネアさん、姫さんが目を真ん丸くして驚いてるよ。

 

1HIT 2HIT 3HIT 4HIT 5HIT…

約10秒の間に最低でも50HITはしただろう、ソロは顔を真っ赤にし、更には目を回して気絶してしまった。

昨日といい、よく気絶するヤツだ。

それにしても…くそ、何故、この世界にはスマホが無いんだ…!

 

「ふぅん…やっぱり、そうなんだ…♪」

何かを納得、確信したかと思うと、

「じゃ、皆、後でね!ルーラ!」

マリーさんはプレヤ、そしてカンダタ一味と一緒にエンドール方面に飛んでいった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「あ、フィーグさん!」

「よう。」

クリフトの看病をしていたのは、宿屋のスタッフになっていたホフマンだった。

 

「う~ん…姫ぇ…」

「クリフト、あたしは此処にいるよ!」

 

パデキアの根を煎じて薬を作り、クリフトに飲ませようとするが、予想以上に重症なクリフトは薬を飲み込めない。

「駄目よクリフト、しっかり飲まなきゃ!」

「これは、口移ししかないかしら?」

「…だね。」

…と、約2名を除いて、姫さんに注目。

「え?あたし?」

 

コックン。

頷く一同。

 

「分かったわ。わたしはクリフトの主。

わたしがするのが当然よね。」

意を決した?姫さんだが…

「ならぬ!なりませぬぞ、姫様!」

まあね、この爺さんは止めに入るよね。

「王族の接吻は婚儀の証!

それは如何なる例外や拡大解釈も許される物ではありませぬぞ!」

「でもよ爺さん、そんなん言ってる場合じゃないんでね?」

「ぐぬ…ならば仕方ない、不本意だが、このワシが…」

「アホか!爺さんにキスされたと知った日にゃ、それこそ後でショック死するわ!」

スタスタ…

ここで、ミネアさんが前に出る。

「おお、ミネア殿…もしや、そなたが…」

「…仕方ありません。

あまり、お年寄りが興奮されては体に毒ですよね。」

パチンッ!

「「「「らじゃ!」」」」

ミネアさんが指を弾かせると、俺、ソロ、ハスター、ホフマンの4人がそれぞれ爺さんの両手両足を掴み持ち上げ、

「えーい、離せ、離さぬか!

姫様ぁ~、なりませぬぞぉ~!

早まってはなりませぬz「あー、うっさい!ラリホー!」Zzzz…」

部屋の外に連れ出す。

 

「さあ、皆さんも…」

ミネアさんの一言で、旦那とゼニーも退室する。

「さ、姉さんも…!」

「痛い痛い!出るから耳を引っ張るな!

ちょっと待って、一言、一言だけ!

アリーナ、頑張りなさいよ!」

「は、はい!」

両方の腕を脇に締め、小さくガッツポーズする姫さん。

そしてマーニャさんもミネアさんに耳を引っ張られながら、強制退室となった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

部屋の外、廊下で待つ事、数分…

「きゃー、誰かーっ!」

「!!」

部屋から姫さんの叫び声が響き、慌てて部屋に入ってみると、

 

「申し訳ありません、姫様!

かくなる上は、この命でぇ…!」

「クリフト、早まっちゃ駄目ぇ!」

……………………………………………。

分かりやすく説明すると、元気いっぱいなクリフトが、ベッドの上で上着を脱いで上半身裸で正座して、聖なるナイフで自身の腹を切ろうとしてるのを、後ろから姫さんが羽交い締めして止めている図だった。

なるほど、クリフト的には、王族の、そして自分の主の唇を奪ったケジメみたいな…な訳ね。

 

「止めんか!」

ビシィ!

「あべし!」

とりあえず、クリフトの顔面にチョップを落とす。

「痛たた…何なんですか?貴方は?」

「俺の自己紹介なんざ、どーでもいい!

それより、お前はアホか?

気持ちは分からんでもないが、ここでお前が死んだら、それこそ色んな意味で体を張ってくれた、姫さんの頑張りが無駄になるだろうが?!それくらい察しろ!」

「そうよ、クリフト!気にしちゃ駄目!

あたしは全然、気にしてないから!

大丈夫だから!」

「姫様ぁ~…」

どうやら、姫さんはマジに気にしてないみたいだが…あんたは少しは気にしなさい。

逆にクリフト、大ダメージだぜ(笑)。

 

「う…」

がっくりと頭を垂れるクリフト。

「お恥ずかしい…。

姫様をお守りすべき筈の、この私が、この様な御迷惑を…

本来ならば、この命を以てして、清算すべき事でしょうが、其方の…えーと…?」

「フィーグだ。」

「…フィーグ殿の言われる通り、この場で自害するのは不適切。

かくなる上は今まで以上に、この命、尽きるまで姫様に捧げる所存に御座います!」

「ううん…良いの、良いのよクリフト。

さあ、デスピサロを探す旅を続けましょ!」

「…!!」

「ソロ?どうかしたの?」

「姫さん、実はな…」

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「そうだったんだ…

フィーグ達も、デスピサロを…」

「ブランカ地方の村が魔物に滅ぼされたのは存じてましたが、ソロ殿がその生き残りでしたか…

そして、ソロ殿が伝説の、勇者…?」

「そして、その魔物を率いていたのが、デスピサロじゃと…」

「あたし達の父の敵…その背後にいるのもデスピサロと名乗る者です…。」

「それにしても、デスピサロが魔物と通じていたなんて…

もしかしたら、お父様達、お城の皆も…」

「可能性は否定出来ないね。」

「え?」

「フィーグ…殿…?」

「姫さんは兎も角だ、爺さんは知っているんだろ?

サントハイム王家は預言者の家系だと…

少し前から噂になってる、地獄の帝王の復活について、サントハイム王が何かを知ったからっていう可能性は否定出来ない。」

「う?何故、フィーグ殿が…?

いや、それより…」

「それじゃあ、お父様達は…」

「俺は時事通でしか、情報は得られてないけど、現場に襲撃された様な形跡は無いんだろ?

まだ、最悪を考える前に、色々と考えてみる価値はあるぜ?

例えば…集団で何処かに転移させられている…とかさ?」

「そうか…そうだよね…

フィーグ…ありがとう。

兎に角、皆もデスピサロを追っているというなら、話は早いわ!

皆で一緒に旅をしましょ!

大勢いた方が賑やかで楽しいし!

ね、いいでしょ?」

「……………。」

ソロがさり気なく俺の方に目線を向けるので、静かに頷く。

 

「は、はい、此方こそ、よろしくお願いします、アリーナ姫。」

 

こうして、アリーナ、ブライ、クリフトの3人が正式に仲間に加わったのだった。

 

 

「さて、と…」

スタスタスタスタ…

「フィーグ?どうかしたの?」

 

部屋の出口に近づき、

カチャ…

「うわわわわわわぁ~?!」

ドアを開けると、廊下外側でドアにもたれ掛かっていた、詩人風の男が部屋の中に倒れ込みながら入ってきた。

 

 




長かった…(笑)

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