「「うぇっぷ…」」
「二人とも飲み過ぎでしょう…全く…」
酔っ払いに船旅はキツい。
馬車の揺れに耐えきり、リバースする事なく無事にハバリアに着た俺達は早速、エンドール便の乗船手続き。
出航まで時間があるというので、マローニの制止を無視してロレンスと町の酒場に直行したのだった。
そして出航時間ギリギリになっても戻らなかった俺達二人にマローニが修正を喰わえた上で港まで連れ出し、今に至る…
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「あ~、漸く快復したぜ~」
「ゴメンナサイゴメンナサイ…
もう、お酒は飲みません(嘘)」
「全く…少しは学習しましょうよ!」
デッキで話しると、エンドール方面から一
羽の鳥が此方の船を目指して飛んで来た。
「鷹便か…」
時事通信の号外を持って来たのだ。
「おぅ、御苦労さん」
船のスタッフが数冊程受け取り、御駄賃代わりの餌を与えると、鷹は次の配達先を目指して海の向こうに飛んで行った。
早速1冊貰って読んでみる…
「ん~、「サランの詩人マローニ、今度は6又発覚!」…だと?」
「嘘つかないでください!
私はシスター以外の女性とは◇£☆#△⇔ÅΓ∮*¢≠∞§∂∇√≒∬¶ゐ※…」
あ、壊れた(笑)
誌面には先日の詩人祭の盛況ぶりをトップに、テンペ村を荒らしてた怪物を通りすがりの旅人が討伐したとか、フレノールにサントハイム王族がお忍びで視察に来ていたとか、サントハイム砂漠オアシスにて商人ギルドがバザーを実施中とか、エンドール~ボンモール国境の橋が何者かに破壊されたとか、様々な記事が載っていた。
「サントハイム領の記事が多いですね…」
まあ、そんな時期ですから。
どうやら誘拐事件は公になってない様だ。
そのままページを進めると
「これは…」
「フィーグ、何か興味深い記事でも?」
「ああ…これ、読んでみなよ」
「ん?これは…」
「ほう…また、思いきった事を…」
船はエンドールの船着場に到着。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「俺は暫くはエンドールを歩き回ってみるかな?」
「私はサランに戻ります」
「「おー、流石、一筋だねー♪」」
『ロレンスは?』
あ、この野郎、スルーしやがった。
「私は次はブランカで公演の仕事で呼ばれてますから、此処で直行便を待ちます。」
「そうか、ブランカか…
ハスターにシンちゃん、プレヤとかに会ったらヨロシク言っといてくれ」
「了解です。」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
エンドール…世界最大級と言ってよい商業国家。
王都の城下町にあるカジノでは今日も一攫千金を夢見る者達が熱い勝負を繰り広げている。
エンドールは広い。
数日かけて、後々に訪れるであろう場所等をチェックしておく。
成金なオッサンが構えている豪邸。
店舗設備完備している一戸建て(現在テナント募集中)。
如何にも素人を拒む様な頑丈な施錠を扉に施している店。
そしてカジノ!
…等々。
「そして、ここがエンドール城…と」
時事通信を読んでいて目に止まった記事…
◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎
Ω月δ日より、
エンドールコロシアムにて武術大会開催!
集え強者!集え猛者!集え勇者!
優勝者はモニカ姫との結婚を認める!
◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎
もう、この時期まで来たのか…
おそらくは今、アリーナ達は囀りの塔に挑んでいる頃の筈…
彼女が武術大会参加の前に、一度くらいは参戦したかったが、大会初日にエンドールに滞在出来るのは運が良かった。
これで彼女より先に、例えばサイモンやベロリンマンと戦ってみたら、その戦闘内容からゲームバランス的ではあるが、今の自分とアリーナ達の実力を比較分析出来るかもしれない。
正直、モニカ姫はどうでも良かった。
いや、王族って何かと面倒そうだから…
嫁さんとして外に連れ出せる訳なく、イコール婿養子確定ですよね?
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
大会初日、選手登録を済ませ、多数の出場者でごった返す控え室に案内されると一番最初に目についたのが、控え室真ん中で腕立て伏せをしてる少林寺っぽい筋肉達磨。
ミスターハンか?
更には落ち着きなく室内をウロウロ歩いているイエテイの着ぐるみ男。
あれが…ん…間違いないよな…
そして控え室の奥角…
壁に背中を預けて佇んでいる漆黒の甲冑を身に纏った長い銀髪の男…
ん、ヤツと当たったら迷わず棄権しよう。
そして暫くして…
「フィーグ選手、出場準備お願いします」
『よっしゃあ!』
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
カツン…
カツン…
カツン…
足跡が響く暗く長い廊下を歩き、その先の扉を開けた瞬間に日の陽(ひかり)が身体を包み込む…
「「「「ウオオォオォォオオオォォォオォオォォオォオォォオォォオォォ!!!」」」」
同時に響き渡る大歓声…
そして…
「グフフ…貴様を倒せば5人抜きだ…
悪いが、お寝んねしてもらうぞ、小僧!」
目の前には全身鎧に身を包んだ男が早くも戦闘体勢を取り、待ち構えていた。
次回、バトルを上手く文章で表現出来るか滅っ茶不安です…(笑)