アムドライバー×艦隊これくしょん   作:断空我

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次の話はある程度、ストックをためてから投稿…もしくは、週末になると思います。



03

幸いにも提督は車椅子による生活となっているが三カ月程度で回復できるという判断だった。

 

療養のため、特別事態という事でジェナスが鎮守府の代理隊長という事になる。

 

鎮守府はしばらく再建のため、出撃は中止という事になった。

 

ジェナスは司令官代理という事で戸惑いながらダメージの大きい艦娘の治療を優先させる。

 

幸いにも提督が高速修復剤の使用を許可してくれたことで数時間足らずで鎮守府にいる艦娘達は全快した。

 

そうして、ジェナスの前に彼女達は整列する。

 

「駆逐艦、叢雲を含めた八名、集結しました」

 

叢雲の言葉にジェナスは頷く。

 

「提督に変わって、急きょ、此処の指揮を執ることになったジェナス・ディラだ。指揮経験とか全くなくてみんなに迷惑をかけるかもしれないがよろしく頼む!」

 

「そんなことないわ!」

 

不安なさげにいうジェナスに対して戦闘に出ていた艦娘の一人雷が否定する。

 

「ジェナス隊長さんがいたから私や電は無事だったんだから!それに何かわからないことがあればこの雷に頼っていいのよ!」

 

「…あぁ、頼りにさせてもらうよ」

 

 茶髪の小さな少女に頼って頼って!とキラキラした目で近寄られる。

 

 戸惑いながらもジェナスは頷いた。

 

 待っていたとばかりに叢雲が訊ねる。

 

「落ち着いたところで、アンタのあの装備について話してもらえるかしら?」

 

「私も知りたかったわ!」

 

 夕張が詰め寄る。

 

 その目はランランと怪しく輝いている。

 

「えっと……」

 

「夕張さん、落ち着いて、えっと、ジェナス隊長、教えてもらえる?ここの全員が知りたがっているから」

 

「…そうだな、少し変な話になるけれど」

 

 信じてくれるならとジェナスは話す。

 

 彼が手短に伝えたのはアムジャケット。

 

 アムエネルギーについての説明。

 

「何か荒唐無稽な話だね」

 

 話を聞いた朧のいう通りだと思う。

 

 ジェナスも何も知らずにいきなりアムエネルギーの話を伝えられたら戸惑うだろう。

 

「とにかく、詳しいことは妖精さんにでも聞いてくれ。俺もわからないことだらけだから」

 

 そういってジェナスは話を打ち切る。

 

「さて、もう一度、自己紹介をし直しましょうか。私から行くわ。私は叢雲、駆逐艦よ。これからよろしく」

 

「私は朧だよ。ジェナス隊長は朧が守って見せるから」

 

「駆逐艦、電です。よろしくなのです。それとさっきは助けてくれてありがとうなのです!」

 

「睦月です。頑張っていきます!」

 

「雷よ!色々と頼ってね!」

 

「軽巡川内よ。夜戦が大好き。よろしく!」

 

「神通です。ジェナス隊長、よろしくお願いします」

 

「最後に、夕張よ。武装の試験とか工廠で作業していることが多いわ。何かあったら任せて」

 

 艦娘達の自己紹介。

 

 ジェナスはそれを受け取って小さく頷いた。

 

「これから、よろしく頼む!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 周囲の警戒をするのみで、鎮守府の立て直しはせっせと妖精が行っていた。

 

 ジェナスは制服の下にアムジャケットを装着するための専用スーツを纏っている。

 

 挨拶を終え、解散としたが、ジェナスはなかなか寝付けなかったことで外に出ていた。

「また、これに袖を通すことになるなんて…な」

 

 服の中、スーツを見て感慨深げにつぶやく。

 

 もう着る必要がない。

 

 そう思っていた服。

 

「…前とはまるで違う」

 

 リトルウィングにいた時は相棒がいた。

 

 先輩がいた。

 

 頼りなローディがいた。

 

 最高の仲間達がいた。

 

 今はどうだろう。

 

 艦娘達と共に戦う。

 

 深海棲艦と?

 

 その果てに何があるのか?

 

 加えると。

 

「あの少女」

 

 深海棲艦を倒した時に姿を見せた少女。

 

 彼女はどこから現れたのか。

 

 様々な疑問がジェナスの中で渦巻く。

 

「とにかく、今の装備じゃ、限界がある…妖精さんに少し、相談するかな」

 

 今のアムジャケットは最初期のものだ。

 

 追加パーツも何もない。

 

 サポートバジェットなどがあればもっと変わるだろうけれど、ここは異世界、そんなものはあてにならない。

 

 今のままで深海棲艦と戦い続けることは無理がある。

 

「とにかく、やれることをやろう」

 

 ジェナスは立ち上がる。

 

 そう考えた時、後ろから複数のぞろぞろという靴音が聞こえてきた。

 

「ん?」

 

 振り返ると小さな饅頭のような小人がぞろぞろとやってきた。

 

 妖精だ。

 

「妖精、さん?」

 

 ついてこい!と書かれている看板を手にして妖精達がぞろぞろと歩いていく。

 

 その先は工廠だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 工廠の一角。

 

 アムジャケットを装着するための機械、その隣にあるコンテナが音を立てて開いた。

 

「これは!?」

 

 ジェナスは目を見開く。

 

 コンテの中に入っていたのはアムドライバーギアだった。

 

 アムドライバーは自らの武器を選んで戦う。

 

 ボードとアムドライバーギアは重要なものばかり、選んだギア次第で不利な戦況も有利に進められるといわれるほどだ。

 

 そのアムギアが目の前のコンテナにたくさん入っていた。

 

 ジェナスが選んだ150ソードのパーツをはじめとして様々なものが置かれていた。

 

 

「妖精さん、これは!」

 

 貴方達の武器です!とプラカードが答える。

 

「それはわかる……でも!」

 

 掲げられたプラカードを見てジェナスは言葉を詰まらせる。

 

『艦娘達を守ってほしい』

 

 その一言にジェナスは言葉が出せない。

 

 とてつもない重みを感じた。

 

『貴方達、アムドライバーにしか頼めないのです』

 

 妖精が掲げたプラカードをみる。

 

 目の前の相手へ色々と問いかけたいことはあった。

 

 どうして、アムドライバーを知っているのか。

 

 このギアは何なのか?

 

 様々なことを叫びたかった。けれど、それ以上に妖精達の訴えが強かった。

 

 その訴えにジェナスは負けたのかもしれない。

 

 もしかしたら、

 

「俺はピープルを助けるアムドライバーだ。艦娘達もピープルと同じだ。俺は戦う…もう一度」

 

 ピープルを守るアムドライバー。

 

 心の奥深くで眠っていた感情が目を覚ましたからかもしれない。

 

 

 

 

 




本来なら、アムドライバーのギアなどは専用の施設に保管されていますが今回は妖精さんの不思議な力により、ギアのみ、工廠にあります。


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