実は本日の午後、抜歯予定の作者です……欝だ(泣
さて、今回のエピソードは……最初にチラッと回想があったりしますが、後はサブタイ通りに阿良々木君と羽川さんのひたすら斬撃の応酬です。
果たして、今回で決着はつくのか……?
「それが、通称”
それが僕の”全刀化
不意に”あの娘”の言葉が、蘇る……
『わたしみたいなちっちゃい娘を、お外で裸にしておしっこさせるなんて暦ちゃん変態さんだにゃん♪』
そっちじゃなくて。
というかそれも確か”あの娘”が要求だったような……記憶違いか?
『お外でもお家でもおトイレでもお風呂でもいっぱいい~っぱいおなかの中にもお口にもお尻にも
あれ?
この時、僕は何をされたんだっけ?
なんだか上手く思い出せないや……
というか、僕はそんな生命の神秘に挑戦したのか!?
それ以前に前出の台詞と印象が大差ないのは何故だろう?
『これは?』
『”力の種子”にゃん。昔、”
そして”
皮肉にもそれが芽吹いたのが、春休み……伝説の吸血鬼にして全ての怪異の女王、”キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード”の眷属となった時だった。
一時的に全方位に底上げされたパラメータが刺激になったのだろうけど、その時から大きく力を減じた今でも、幸いにして【
覚醒の瞬間、頭の中にインストールされるように刷り込まれたその能力はシンプルで、『主となり、刀剣類の能力を最大限に引き出す』という名前に直結するものだった。
言ってしまえば、”刀剣類限定のガンダールヴ”と言ったところか?
だけどこの力は、完了に至った者達から言わせれば脆弱極まりない僕にとってかけがえの無いものになっていた。
相手が刀剣類なら変体刀だろうが妖刀だろうが聖剣/魔剣だろうが、自分が持っていようが相手が握ってようが、触れてさえしまえばのべつ幕なしにその刀剣の属性や性能を
(だから初めての刀でも戦えるし、力を引き出せる)
故にこうして地形効果【真・千刀巡り】を発動させられたのだった。
ところで”あの娘”が、なぜ「力の種子=錆黒鍵の力の一部」を持っていたのかは、追求してはいけない気がする。
理由はよく判らないけど。
***
「羽川、地形効果の助勢を得ても、多分僕の基本
「ニャハハ♪ 嘘じゃないみたいだねー」
「嘘をつける余力なんか無いよ」
”障り猫”の身体能力と
なるほど。忍野が『強敵というより無敵』と評するのも頷ける。
「だから小細工は無用。正面から
「望むところだよ♪」
羽川が構えを変えた。
左手を前へ伸ばすスタイルは同じだけど、より重心を低くし”鉋”を握る右手を斜め上に構える。
返し気味の手首に刃を上に向けたモーションは……
「”牙突・
「強いて名づけるなら……”報復絶刀・
「いいね……実にいい」
僕は抜き身の”剱”を朱鞘に収め、左手を鞘の鯉口に添え右手で柄の鍔元を握る。
全身から脱力をし、右足を前に出し腰を落す……
「そういう阿良々木君は”抜刀術”……”居合”だね?」
「その通り」
剣術諸流派の大抵で最速の技のとして知られる技の総称……
「羽川の速度に対抗するにはうってつけだろ?」
一瞬の静寂……そして、
「ニャッ!!」
”ドンッ!”
羽川が踏み蹴った床に、クレーターのようなひび割れが入る!
(速いっ! だけど……)
「セヤァッ!」
鯉口を切った僕は鞘走りで刀身を加速させた!
「報復絶刀っ!!」
「”
”ギィィィィィーーーーーン!!”
***
言葉にすれば、渾身の突きを最大の加速の居合をぶつけて迎撃するってことだけど……
「アタタ……まさか”弐の型”を体ごと吹き飛ばされるとは思わなかったよ」
衝突の反作用で壁に叩きつけられた羽川は頭を振りながら立ち上がり、
「
同じく衝撃で飛ばされた僕も立ち上がる。
飯綱は本来、”飛飯綱”と同じく大振りの斬撃で、威力や速度はあるけどその分モーションも隙が大きい。
そこで僕は加速に鞘
全刀流にも”一揆刀銭”って抜刀技があるけど、僕は今一つまだ自分の技としきれてない。
正直、古流剣技の飯綱系の技の方が今の僕には相性がいいみたいだ。
「羽川……お互い簡単に倒れられそうも無いな?」
「そうだね。でも阿良々木君……」
純白に染まる羽川は妙に艶っぽく笑い、
「
「ああ。バッチコイだ」
ん?
なんか前に聞いた台詞と微妙に違うような……?
「行くよっ!!」
再び羽川が床にヒビを入れながら加速してくるけど、
「ハッ!」
僕は「
「そんなんじゃ止まらないよっ!」
”ギィン!”
羽川は”鉋”を振るって三振りまとめて弾き飛ばすが、
(一瞬でも隙ができれば上等!)
そして生まれた僅かなタイムラグを使い、羽川の
「座標攻撃っ!?」
「”スレイブを
「でも……甘い!」
なんの前触れもなく床に突き立てられた刀に、見事反応してみせた。
「柄頭を踏み台にしただとっ!?」
羽川は止まりもせず避けもせずそのまま跳躍し、
「報復絶刀っ!!」
頭上から文字通り打ち下ろしの”報復絶刀・弐の型”を放ってくる!
「チッ!」
横に流してもあの反射速度だ。僕が体勢を立て直す前に追撃してくるに決まってる。
本当にどんな戦闘センスしてるんだ?
(忍法”足軽”!)
僕はそのまま身を軽くして自ら”斜め後方上”に跳躍することによって報復絶刀を回避すると同時に、壁にスレイブ刀を新たに出現させ突き立てる。
”ガッ!”
今度は僕がその刀を踏み台にしながら”足軽”を解除し、
「”飯綱”!」
蹴り出しの勢いに落下の加速度まで加えた渾身の斬撃を放つ!
***
「まだまだっ! 報復絶刀っ!!」
それは跳躍と同時に斜め上に突き出される対空迎撃用の、
(やっぱり”牙突・参式”もマスターしてたかっ!!)
だけどその可能性も予想には入れていた。
”ガギィ!”
羽川の、おそらくは”報復絶刀・
だが、僕は加速は付けられても空中では踏ん張りが聞かず、羽川も最大加速に至る前に迎撃となったためどちらも体勢不十分と言えた。
だから、今回は互いに技の威力の余剰で弾き飛ばされずに済んだけど……
「ニャッ!」
「ハッ!」
”GaGaGaGaGaGaGaGaGaGaGaGaGaGaGa !!”
考えることは僕も羽川も同じだった。
体勢を立て直したり大技を放つ隙を与えることを良しとせず、着地と同時に飛び込み刹那の斬撃を放ちあう!
十合二十合と斬りを結ぶけど、
「中々決着つかないね?」
不意に生まれた均衡点。
鍔迫り合いの狭間に羽川は、楽しげに問いかけてきた。
「大丈夫さ。まだまだ夜は長い。時間も体力も十分だ」
多少の強がりは許して欲しい。
僕とて実力を上方修正せねばならなくなった羽川の相手は、決して楽なことじゃないのだから。
皆様、ご愛読ありがとうございました。
やや短めかもしれませんが、チャンバラ・ステージはいかがだったでしょうか?
ちなみに黒鍵ちゃんと阿良々木君がその昔、何を
そして石動雷十太先生の技を使いまくる阿良々木君(^^
飯綱系の技は、剣術としてではなく
そして羽川も負けじと報復絶刀のバリエーションを発動させ、その身体能力を見せ付けたりしております。
次回に決着は付くでしょうか……?
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!
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