明日……というか今日(2016/5/19)になってしまいましたが、なにやら忙しくなりそうなので計画前倒しの強行アップです(^^
さて、今回のエピソードは……サブタイ通りにいよいよ阿良々木君 vs 羽川さんの全面対決が始まります。
なにやら新技も披露されるみたいですよ?
「「さあ……僕達(私達)の”
その重なる言葉と同時に僕と羽川は同時に動いた!
「報復絶刀!」
人間では
「シッ!」
僕は刀を盾にしながら右へと動く。
羽川の報復絶刀は、本質的には『右手で放つ牙突・壱式』であり、突き詰めれば高速の”片手平突き”だ。
右手で放つこの技は、基本右に刃が向くように繰り出される。
なので僕にとっての右、羽川の左側へ入れば、横薙ぎに変化させづらいはずなのだが……
「ハッ!」
”ビュオン!”
何かモーションキャンセルのように止まると同時に、止まったときの運動エネルギーまで体幹の捻りこむような回転に利用して、切り返しにタイムラグのある刀ではなく”
「おっと!」
僕は上半身を逸らして間一髪で羽川のつま先を避けるけど、
(もうエナジードレインの特性を利用した体術を取り入れてるのかよっ!?)
技の威力もさることながら、その「触っただけで障られる」……エネルギーを奪われ、大ダメージを受けるというのは毒手なんかに通じる怖さがある。
いや毒手より遥かに厄介だろう。
手だけではなく全身で、しかもこちらから触れてもアウトだ。
「ニャッ!」
”ビュ!”
そして即座に体制の崩れた僕に再び片手平突きの追撃!
ところで羽川、掛け声が猫っぽくなってないか?
とはいえ、それにツッコミを入れる余力は僕にも無さそうだ。
(チッ!)
牙突ほどのスピードはないけど羽川の突きのタイミングは絶妙だ。
この崩れた体勢じゃさっきみたいに羽川の左に回りこむことはタイミング的に難しい。
僕は羽川の
無論、そうなれば突きから変化した横薙ぎが飛んでくるわけだ。
だけど、僕には手がある。
(真庭忍法”足軽”!!)
「ニッ!?」
羽川の目がまん丸に見開かれるのが、なんだか愉快だ。
そりゃ驚くだろう。
羽川の横薙ぎを”剱”で受けた僕が、”
(よし! これで間合いは取れた!)
バッティングセンターの打ち返されたボールのような勢いですっ飛んだ僕は、『
予想外のことにさしもの羽川も瞬時に対応が取れなかったらしく、追撃に出るのが数瞬遅れたようだ。
(なら……)
「
両手で構えた”剱”を振るいソニックブレードを放つが、野生の直感か実際の見えているのか?
羽川にはあっさりと避けられてしまう。
(一度、見せてしまった技だしな……)
羽川にかかれば”
(だけど、少なくとも突進を止められたので良しとしよう)
***
(しきり直しか……)
再び僕と羽川の間合いが開く。
「羽川……お前、どんな格闘センスしてんだよ? 報復絶刀を軸にした『打突からの展開を基本とする』って剣術もそうだけど、エナジードレインを前提とした体術なんていつの間に習得したんだ? それ、明らかに素人の動きじゃないぞ……」
はっきり言おう。
今の羽川は、怪異/人間問わず戦ってきた中でも、
上位五人はともかく、下位五人には確実に入る。
「ニャハハハ♪ お褒めに預かり恐悦至極だよ♪」
あれ? なんか本気で野生化してないか?
これ以上強くなられるのは、正直御免なんだけど。
「阿良々木君こそ今の技は何かな? 一瞬、”鉋”の刀身から重さが消えたんだけど?」
「種を明かせば『
さすがに技名をダイレクトには言えないな。
羽川なら”足軽”って技術も、その破り方も普通に知ってそうだし。
「どんな修羅の一族!?」
「失礼な。うちは修羅々木じゃなくて阿良々木だ。そこまで修羅度は高くない」
修羅の一族ってのは、錆や鑢なんて姓を持ってた連中だよ。
うちは精々その末端だよ。
(それにしても……)
羽川は油断ならないな。
敵に回れば尚更だ。
嗚呼……駄目だ。
(ゾクゾクしてくるじゃないかっ!!)
「ふ~ん……なんかまだまだ隠し球があありそうだね?」
「もちろんあるさ。だが、それは羽川だって同じだろ?」
「ニャン♪」
そう”鉋”をくるくると回してから握りなおして、ピタッと左手を前に伸ばす牙突式の報復絶刀の構えを取る羽川……
そうだな、変な手加減や遠慮は羽川に失礼だよな?
(出し惜しみは無しだ!)
「最初からクライマックスで行くっ!!」
”ガツン”
僕は”剱”の切っ先を床に突き刺し、
「地形効果【
***
「ニャんニャのっ!?」
あー、もしかして怪異化が解けない限り、油断してると所々入る猫語はもしかしてデフォ設定なのか?
いや、まあそれはいいとして……
「阿良々木君、一体何をしたのっ!?」
羽川は珍しく本気で狼狽する。
レアな風景だけど、無理も無い。
何しろ前触れもなく、いきなり『
「何をしたって……『真なる千刀巡り』を発動させただけだよ」
「真なる……千刀巡り?」
羽川は、こんな時にでも知識欲旺盛なんだな。
「『《本来》の千刀巡り』は実際に千本の数打ち刀を地面に展開して行う地形効果だし、怪変刀……怪異化した【千刀”剱”】の起こす一種の”
「うん……」
「だけどな、怪異化した”剱”は、その持ち主を『自らを振るうに相応しい主』と認識した場合、その怪異現象を
「……変質?」
「ああ。『マスター刀を中心とした
***
「そんな能力の変質があったなんて……」
「安心したよ、羽川。本当に知らないこともあるんだな?」
「もう……だからいつも言ってるじゃない? 『何でもは知らないわ。知ってることだけ』って」
数学的に言うと当たり前のことも、拗ねたような表情で羽川が言うとなんだか撫で回したくなるくらい可愛いな~。
(まっ、そうするためにももうちょい頑張るか……)
「とりあえず羽川……
「うん。『地形効果圏内にいる刀の持ち主の”剣士としての能力”の全体的な底上げ』だったよね?」
「その通りだ。付け加えるなら持ち主の技量とシンクロ率によって強化値は変わってくる」
「シンクロ率? エヴァの?」
ああ、確かにそう言われるよな。
「ちょっと違うというか……刀の主に対する忠誠度というか、信頼度というか。刀がいかに主が自分に相応しいと思う適性度? 心酔深度? ああ、説明が難しいな……」
「ううん。なんとなくわかったから。ニュアンスは伝わったよ?」
羽川が聡明で助かった。
僕の貧弱なボキャブラリーじゃ、上手く説明できないみたいだ。
「ねえ、阿良々木君……興味本位で聞きたいんだけど、いい?」
「答えられる事ならね」
手の内を明かせってのは流石に無理だけど。
「阿良々木君は
さすが羽川、そこに気が付くとは目の付け所が違うな。
「それは僕の”
「後天的能力? 阿良々木君の
羽川は知っている。
本来は【全刀”錆”】の能力である『棒状の物を全て刀とできる力』、”全刀化”を僕は生まれ乍らに
「正直、今の僕は”剣術としての全刀流”は十全としては使えない。まだまだ未熟だ」
これは事実だ。
今の僕の技量は非公式ながら『裏も表も現在過去未来において日本最強の剣豪』と伝説化してる”錆黒鍵”どころか、七代目鑢家当主に負けた”錆白兵”にも未だ遠く及ばないだろう。
感覚的には遠い昔……僕の体質と『全刀流のなんたるか』を教えてくれて、ついでに僕の童貞を綺麗に食べきって、しばらく爛れた毎日を送った”あの娘”も多分、同じ事を言うだろう。
そして、今となっては人間と怪異との境界線を綱渡りするような”
「だから僕は違う能力を鍛えたのさ」
不足してる僕を、完了には至れないだろう刀を補完する
「それが、通称”
皆様、ご愛読ありがとうございました。
チャンバラの始まりはいかがだったでしょうか?
実はかなり手強い羽川さん(^^
ただし油断してると怪異化の弊害で、障り猫由来の猫語が出てしまう罠(笑
色々とスキル持ちの阿良々木君ですが、どうやら戦いを楽しんでしまってるようです。
原作の阿良々木君は「事実上、選択肢がなくて望む望まないに関わらずバトルに突入する」というパターンですが、”この世界”の阿良々木君は「最初から物事の選択肢に取るべきオプションとしてバトルが入っていて、最善に戦える準備もしている」って感じでしょうか?
この差異は、もう生い立ちの差なんでしょうね~。
諸悪の根源は、[016]以来の登場(?)の”あの娘”なような気もしますが(^^
それにしても羽川さんじゃないですが、家族全員が”足軽”使える阿良々木家って一体(汗
「最初からクライマックス」なため戦いは激化しそうですが……
それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!
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追記:最後に出てくる”剣技能力”のルビを「ソードスキル」から「ブレードアーツ」に変更しました。
ソードが二つ並ぶのもなんだし、あまりにSAOっぽくなってしまったので(^^