愛する弟に反抗期がやってきました(T . T)   作:Cr.M=かにかま

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八ページ目:ガルシア王国大戦!

 

大きくなったね、そう声をかけてやりたかった。姉(※全裸)として、三年ぶりに出会った弟が大きく成長しててくれて嬉しいことはない。

 

いつの間にか同じくらいの身長になって、凛々しくてカッコよくなってて子供っぽさも残ってるけどサリナ(※全裸)にとってはシオンの成長はとても喜ばしい。

感動の再会、弟であるシオンが照れくさそうに顔を隠している。やっぱり年頃の男の子、か。成長したとはいえ久々の実姉(※全裸)の前に緊張しているのかもしれない。それなれば、と思ったサリナ(※全裸)は一歩進めてシオンに近づく、シオンは一歩後退する。見つめ合ってるのが恥ずかしいのか、それとも三年ぶりのサリナ(※全裸)に思わずときめいて姉(※全裸)弟間の禁断の愛を育もうとしているのかもしれない。しかし、あのシオンがサリナ(※全裸)をゴミムシを見るかのような蔑んだ視線だけでゾクゾクしながら身震いさせサリナ(※全裸)にとっては最高のシチュエーション極まりなかった。思わず喘ぎ声を漏らしてしまいそうになるが、弟の手前なので頑張って耐えるサリナ(※全裸)が身をよじらせる。それはともかく、感動の再会のはずなのにシオンは一切サリナ(※全裸)に近づこうともサリナ(※全裸)に話しかけてこようともしない。やはり反抗期なのか、姉(※全裸)に対して絶賛反抗期ナウなのかッ!?

というわけで、もう一度姉(※全裸)であるサリナ(※全裸)から話しかけてみる。やはりここは年長者からいくべきだろうとサリナ(※全裸)が判断する。

 

「シオン、大きくなったね」

 

「.....ふ」

 

シオンが何か言っている、でも小声すぎて聞き取れないのでサリナ(※全裸)はゆっくり距離を詰める。

何故かシオンは股間を必死に抑えてる気がする、一体どうしたというのだろうか。姉(※全裸)であるサリナ(※全裸)が相談に乗れないだろうか、力になってあげられないだろうかと思い悩みながら再度サリナ(※全裸)から声をかける。

 

「どうしたのシオン?もしかしてお姉ちゃん(※全裸)のこと忘れちゃったの?」

 

「−−−ふ、服を着ろォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

ガルシア王国国王は顔を真っ赤にしてそう叫んだのだった。

ま、思春期男子の至極真っ当な反応だね!!

 

−−−ってなわけで、シオンからコートを受け取りサリナ(※全裸)はそれを羽織る前にくんかくんかと匂いを堪能する。先ほどまで実の弟であるシオンが羽織っていたコート、いい匂いがしないわけがない!!とサリナ(※全裸)はシオンの前でドン引きされても文句の言えない行為を平然とやってのけてる。ついでに、ぺろぺろしてhshsしてスリスリしてシコシコしてのける、実の弟の前でだ。シオンの突き刺さるような冷ややかな視線までもがサリナ(※全裸)にとってはご褒美になるのだ。ようやく落ち着いたサリナ(※全裸)はコートを羽織り、シオンと向き合う。全裸の上にコートとか余計にエロくなったのは内緒である。

 

「−−−改めて久しぶり、大きくなったねシオン」

 

「久しぶり姉ちゃん(※半裸)いくつか聞きたいことがあるんだけど、いい?」

 

「え、シオン私(※半裸)の年齢を聞きたいの?」

 

「違う!!そもそも興味すらないよ!!」

 

「興味、ない...!」

 

サリナ(※半裸)の第六感に刺激が走る、快感という名の刺激が。

久々に弟から正面から罵倒されることがこんなに気持ちよかったなんて。三年前まではこれが日常として行われてたのか、懐かしいと同時に昔の自分(※半裸)が羨ましい。

 

「もう、話の腰を折るのは相変わらずだな。僕はこんなのに一瞬でも助けを求めたのか」

 

「え、何か言った?」

 

「べ、別に!とにかく質問あるけど答えてよ!」

 

シオンは城下町の様子を見て拳を握り締める。そう、街にはガルシア十三人衆がいるんだ。大丈夫、大丈夫に決まってる。その前にいくつかハッキリさせておくことが先決、シオンはそう判断して街で暴れる黒竜から目を背ける。

 

「まず、ゼストは無事?」

 

「無事?うん、だってここまで案内してくれたし、元気だけど」

 

「そっか」

 

シオンの中でいくつか合点がいった。同時にいくつかしようと思ってた質問もする手間が省けた。ゼストのことだ、どうせ僕らの仲を取り繕うとしたのだろうと勝手に納得する。

ゼスト・シュナイザーとは昔からそういう男である。

 

「次の質問、姉ちゃん(※半裸)がここまで来た経緯はわかったけど動機は?僕を連れ戻そうってなら三年前でもできたし、今更になって来たってことはきちんとした理由があるんじゃないの?」

 

「そうね、たしかそんな理由、あったわね」

 

「おい」

 

「ビヒュリアの国王様に頼まれたのよ、れーざー☆びーむの発射を止めるためにシオンを説得して欲しいって、私(※半裸)も質問いい?」

 

「.....予想はつくけど、いいよ」

 

「なんで、ビヒュリアに兵器なんてものを向けたの?お父さんやお母さん、他にもシオンの知り合いはいっぱいいるでしょ?」

 

「........」

 

答えられない、というよりもシオンの意思ではなく部下が独断でやったこと。しかし、その原因はシオンにあるといってもよい。だからこそどう答えるべきなのか迷っていた。

目の前の姉(※半裸)ならば笑って自分を許してくれるだろう、だけど本当にそれでいいのか?これは姉(※半裸)弟間の問題ではない、国家間、多くの人々が関わる問題でありシオンはガルシア王国国王である。下手なことを言うわけにはいかない。それこそ、ガルシア王国の信用にも関わるしサリナ(※半裸)がどういう意図で質問してるのかもわからない。

 

.....だからどうした。

 

「僕の部下が独断でやったことなんだ、止めても止まらなかった。上司として責任は取るからセラフィール、部下のことは見逃してほしい」

 

ここで言い訳をする理由がない。

少しでも姉(※半裸)を疑った自分が嫌になる。この人(※半裸)がそんな意図のある言葉を選ぶとは思えない、一体何年この人(※半裸)の弟をやってると思ってるんだ。

 

「大丈夫、私(※半裸)は元々シオンを責めるつもりはないよ、シオンがこんなことするはずないって信じてたから、何か理由があったんだろうって思ってたから」

 

「姉ちゃん(※半裸)...」

 

いつになく真面目な表情でサリナ(※半裸)はシオンの目をしっかりと見据えて言葉を発している。これが姉(※半裸)の威厳、シオンもつられて表情が引き締まっていた。

 

「姉ちゃん(※半裸)、れーざー☆びーむの発射ボタンは部下のセラフィールが持ってるんだ。起動も彼女の意思だ、止めるために協力してくれる?」

 

「当たり前でしょ、その為に来たんだから。ていうか生意気な口の利き方は相変わらずみたいね。ありだけど」

 

サリナ(※半裸)とシオンは顔を見合わせてニッと笑みを浮かべる。ビヒュリア王国からの軍隊、リビアスター空賊団の空飛ぶ船、黒竜がガルシア王国に集結した。

 

「行こう、姉ちゃん(※半裸)の手離すんじゃないよ」

 

「いつまでも子供扱いすんなよ」

 

−−−いざ、最終決戦へ。

 

 

 

ガルシア王国城門前では三人のガルシア十三人衆が立ち構えていた。迎え撃つはビヒュリア王国からの軍勢、それをたった三人で叩き潰そうとしていたのだ。

 

「おばば様、この場に本当に三人だけで大丈夫なのでしょうか?」

 

「心配せんでええ、むしろ中のゴダゴダを片付けるには十人くらいが丁度よかろう。本当ならこの場も儂一人にやらせてもらえればよいものの」

 

「そうはいかねぇよ。老いぼれ一人を戦場に立たせるほど俺の中の漢は廃れちゃいねぇ、それがいくらおばばであろうともだ」

 

「ええのう、若いというのはまっこと羨ましきことよ」

 

一人は隻眼の大男、一人は短髪の女性、そして最後の一人はこの場に最も似合わぬ腰を曲げた老婆である。

 

隻眼の大男、ことドランシャトー・ゼネルガイアスはかつて神とも殴り合ったと噂されるほどであり、人類最強の格闘家とも呼ばれている。

 

短髪の女性、ホクエ・フェルダントは転生者である。荒々しくカットされた白髪は美青年と間違われるほどだが歴とした女性であるが、男勝りな性格をしていることからあまり女性と認識されにくい、大きく膨らむ二つの胸を除いて。

 

老婆、おばば様ことイシス・アルトライトは双子のフーとムーの祖母であり今世紀、魔神に最も近いと呼ばれる大魔法使いである。口元はほくそ笑み、目は閉じられておりどこにでもいる老婆と変わりない。そう、本当に日常に溶け込めるようなどこにでもありふれた何の変哲もない老婆。

それこそが、イシスの持つ最も恐るべき才能である。魔法の腕でもなく軍師としての才でもなく優れたカリスマでも勝ることのできないほどの才能。

 

そんな存在を前に、ビヒュリア王国最高戦力が武器を手に臨戦態勢を整えていた。

 

カトレアとヴァルキリー。

業物マップタツーと聖双剣パイオツァーを構えたビヒュリア王国最強の姉妹が率いる部隊が既に目前に迫っていた。

 

「あれが雷鳴竜をぶった斬ったっつう戦乙女様、か。なるほどな、そこらの雌豚共とはどこか違うみてぇだな」

 

「そして隣に控えるはビヒュリア王国騎士団団長カトレアさんね、俺より弱そうだけど?胸もちっぱいな」

 

イシスの隣に控えるドランシャトーとホクエは余裕だった。むしろ、どこまでやれるのか楽しみだと上から品定めをしていた。こちらからは攻めない、これはイシスの指示である。

あくまでも三人の目的は彼女らをガルシア王国内へと侵入させないこと、新しい問題を持ち込んで主であるシオン様の負担を少しでも和らげる。そう、勝たなくてもいいが負けてもいい。要はあの軍勢を中にさえ入れなければいいのだ。

 

「−−−突撃!」

 

カトレアが指示を出すと同時に何百、何千の雑兵が飛び出す。司令塔であるカトレアと最高戦力であるヴァルキリーは馬に乗り移動、ヴァルキリーを先頭に兵が続く形となった。

 

「−−−ドラン、ホクエ、お前さんらはゴミ掃除を頼んだよ」

 

イシスがニヤリと笑みを浮かべた瞬間、二人の足元に高精度な魔法陣が出現する。

魔法陣の高速展開、平均展開速度5.3秒に対してイシスの展開速度は0.05秒、ドランシャトーとホクエでさえも反応することができない逡巡の間の展開。

 

「え−−−」

 

「ちょ、おばば!?」

 

「あの無駄に若くてピチピチ肌の小娘、いや、クソビッチ共は儂が自ら手を下して犯してやるわ。もうそれは人前に恥ずかしくて出られんくらいにの」

 

(お、おばば様が!)

 

(また理不尽な怒りを...)

 

カッ、と勢いよく開かれたイシスの目は黒。瞳の光が一切ない闇夜よりもずっとずっと暗い深淵の闇。

ドランシャトーとホクエは気がつけばビヒュリア王国軍勢の真上に転移させられていた。

 

それでもなお、イシスの解放された凄まじい魔力はこの場を圧倒した。

この場で誰よりも遥かに濃く強力な魔力。人智を超えた魔神の魔力が解き放たれたのだ。

 

 

 

−−−なんだ、あの化け物は...!?

 

それがカトレア・フォン・ソシャーレアの抱いた久しく感じたことのなかった恐怖だった。隣のヴァルキリーもそれを肌で感じ取っているのか、冷や汗が止まらない様子だった。思わず突撃命令を出してしまった、黒竜を討伐するために結成されたが、それ以上の化け物に対して焦燥を感じてしまった。

見た目は何の変哲もないどこにでもいるような老婆、物腰も何もかも警戒するに値しないが彼女らの目は騙せなかった。微量に溢れ出てる明らかに質の違う魔力、今までに感じたことも見たこともないほど練りに練られた凄まじい圧倒的な存在。

もう、相手が何者か形振り構わなかった。とにかく倒してこの恐怖と焦燥を何とかしたい、我慢できない感情がカトレアを襲ったのだ。ヴァルキリーも同様だったようで愛馬であるメルゼ・ハデスを奮い立たせて先陣を切ったのである。カトレアも後に続くが、老婆の魔力は先ほど感じていたよりもさらに上昇する。しかも、この上昇の仕方はマズイ。二倍、三倍といった倍数による上昇ではなく、二乗、三乗、いや、二十乗並みの上昇率だ。それくらいレベルが明らかに変わった。

 

ヴァルキリーはメルゼ・ハデスから飛び降り、パイオツァーの片刃が老婆を狙う。先手必勝、疾風迅雷のごとく速度でヴァルキリーは刃を振るうが老婆には当たらなかった。

まるで霞にでも触れたかのように老婆の体が蜃気楼のようになったのだ。何度も何度も刃を振るうが結果は同じ。

老婆は笑みを絶やすことなく何の動作も詠唱もなくヴァルキリーに対してバインドを使用した。魔力による縄を形成する捕縛魔法の一種、ヴァルキリーが反応できない速度で、しかも老婆はヴァルキリーの姿を目視せずにやってのけた。いや、それすらも語弊がある。老婆の瞳は輝きがない、それ故にどこに視線を向けているのかわからなかったのだ。聖双剣パイオツァーは先端から砕け散りヴァルキリーの少ない鎧が音を立てて崩れる。

 

「−−−次は主じゃ」

 

−−−笑顔、笑顔とはこんなに恐ろしいものなのか?

ヴァルキリーは捕虜に、カトレアは目をつけられた。捕虜となってしまったヴァルキリーを助けるのが先か、それとも目の前の老婆を片付け、れるのか?あんな化け物に勝つ方法なんてあるのか?

 

「ぁ、あぁ、あ!?」

 

「マリア!?」

 

ヴァルキリー、本名をマリア・フォン・ソシャーレアの様子がおかしい。意識を失ってもいいほどの強力な拘束であるはずなのに意識が奪われていない、それどころか失わぬように呼び戻してるようにも見えた。

−−−次は、自分。

 

そう思った瞬間、カトレアの足は竦み、金縛りにあったように体が言うことを利かなくなってしまった。

 

「一瞬じゃ」

 

−−−時間にして一秒、カトレアがマリアの横に同じ体勢で並べられた。

 

 

 

その頃、王宮ではゼストを中心にメルククゥ、カグヤ、リグロが集まっていた。フーとムーは未だに眠っている。情報を共有し、現在この国で一体何が起こっているのかを話していたのだ。悠長に時間を取れないため、王宮の外を目指しながら。

 

「なるほど☆あんたの連れてきたあの方はシオン様のお姉さまってわけね」

 

「そうだ、俺はあの二人の背を押したい。少しでも幸せな方向に向くように」

 

「.....だが、あの頑丈な体はどういう仕組みだ、可能性、彼女もサイボーグなのか?」

 

「俺にもわからねぇ」

 

「了承」

 

「それで、これからどうすんの?」

 

まとめた情報からこれからすべきことは大きく分けて三つ。

一つはサリナとシオンの護衛、二つは黒竜の迎撃、三つはリビアスター空賊団の迎撃である。ビヒュリア王国からの軍勢は既に向かっているので問題はないだろう。

 

「−−−だから、俺たちは国内の問題を解決するぞ」

 

「おいおい!いつからお前が仕切ってんだ!?こういうのは私の柄だよ☆」

 

「そんなこと、今更どうでもいいでしょ?私はシオン様のところに行くよ、私の能力じゃあいつら倒せないし」

 

「謙遜はいいよ、メルちゃん!だったら私どうなんの!?この馬鹿に得物売却されてんのよ!!」

 

「わかった、カグヤお前はリグロと一緒に黒竜のところに行け。リグロはいいか?」

 

「仕方あるまい」

 

「ちょ、人の話聞きなさいよ!」

 

「俺はリビアスター空賊団のところに行こう!サリナちゃんもシオン様も心配だけど、メルに任せる」

 

「合点承知!」

 

「ちょ、私の意見−−−」

 

こうして、バラバラになったガルシア十三人衆は再び結束を固めたのであった。

 

 

 

「−−−ぉ、りゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

雑魚狩りを任されたドランシャトーはやり場のない鬱憤をひたすらぶつける。それは背中を預けてるホクエも同じことであった。

ドランシャトーが腕を振るえば百人は飛ぶ、というよりも巨大化した右腕のスイングは避けることができない。

巨神ドランシャトー、自らの肉体のサイズを変えることができることから付いた二つ名である。まさに歩く天災、ただでさえ大きな彼がさらに大きくなることで攻撃力と攻撃範囲が遥かに増すのだ。一振りすれば山を削り、二振りすれば暴風を起こし、三振りすれば大地を砕く。まさに鬼に金棒、まさに人類最強の天災。圧倒的な力をひたすらに振るっていた。

 

「ドラン!そっちどう!?」

 

「つまらないねぇ!漢気のねぇ奴らばっかだ、こんなんで金魂ついてんだから笑わせるぜ」

 

「まったくだ、徒党を組んでも女の俺にも適わねぇ軟弱共が!」

 

ホクエが駆ける、それだけで鎌鼬が通ったように通った道の兵は血を流して倒れる。これは転生者に与えられる転生特典ではない、そもそもホクエはヤスヒトのような輪廻転生による転生ではなく、前世の姿、記憶のまま別世界へと行く転生方法である。

転生特典はなくともホクエは元々歴戦の猛者である。スリを応用した掌に隠した小型ナイフで確実に防御のできない人体の急所を狙い潰す、それがホクエ・フェルダントの誰よりも人間らしく特殊な能力に一切頼らない彼女の強みである。

ドランシャトーは全身を巨大化させる。天にも昇る彼の姿はまさに厄災、山がそのまま歩いているようだった。拳による一撃が軍勢の中に飛び込む、まさに重さのある雷が降り注ぐようだった。

 

「ん?」

 

何か飛んでくる、ドランシャトーはそれを感じ取る。下で雑兵共が何かしている気がするが気にはならなかった。むしろ体格差で感覚すらも感じない、蟻が人間を攻撃してもチクっとするだけのように少し鬱陶しいだけのレベル。

なのに、それなのに!

 

「−−−良!!」

 

飛んできた何かは山のように大きくなったドランシャトーの頬を殴り、拳ひとつで体を動かしたのだ。

 

「なっ、に!?」

 

これにはドランシャトーも驚きを隠せない。そして、同時に笑みを浮かべていた。何者かの攻撃は続く。

 

「良、可、良、良、良!!」

 

手を出せない、いや、早すぎるとかそんなのではない。リズムを奪われたといったところか。しかも一撃一撃がかなり重い。ドランシャトーは元のサイズに戻る、この男だけはこのサイズで勝利したい!絶対に負けたくない!

 

「ちょ、ドラン!?」

 

「悪いホクエ!ちょっと任せる!」

 

「ハァ!?」

 

着地したドランシャトーの前に立ち塞がるは圧倒的な存在感。ビヒュリア王国の英雄と呼ばれる猛者、彼の表情は怒り長い黒髪は静かに靡いていた。

 

ギルディア・アルバルバルドがドランシャトーの前に立ち塞がった。

 

「−−−こんな漢気のある野郎は久しぶりだァ!」

 

ドランシャトーは楽しそうに、子供のようにはしゃいだ。対するギルディアも拳で迎え撃つ、二匹の漢の拳が激突した。




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