この素晴らしい世界に魔法を! 作:フレイム
そろそろ魔王軍幹部の首無し騎士さんが出てきます。
誤字脱字お気を付けください。
「なあ、スキルの習得ってどうやるんだ?」
ダクネス加入の翌日、昼近くまで寝ていた俺は、カズマ達とギルドで合流し、遅めの昼食をとっていた。
もちろん、昨日酒を飲んでしまった事については、まためぐみんからこっぴどく叱られた。
俺は昼食を食べながら、カズマの質問に答える。
「そういえば…冒険者カードにスキルポイントってのがあるけど使った事がないな…」
そう言うと、めぐみんとダクネスがかなり驚いた顔で俺に視線を集める。
しまった、もしかしたらこの世界のシステムで、魔法習得にはスキルポイント消費が当たり前って事なのか。
「い、いやな…?俺の祖父がかなり有名な魔法使いで、幼い頃によく魔法の練習をしてるのを見ていてな…それで、俺も魔法に憧れて習得したんだ」
俺は、上手く機転を利かしたと思ったが、めぐみんの目は、完全に俺を疑っている。
「ど、どうしためぐみん…そ、そうだ、カズマ、スキルがどうしたって?…」
「お、おう…実はな、俺の職業は冒険者だから、一応どの職業のスキルも取れるから、その長所を生かして、万能型にしようと思って」
なるほど。確かに、俺の冒険者カードには職業の所為か魔法系のスキルばかりで、剣を扱う物が一つもない。
「でも…少なくとも俺が教えられるのは初級魔法ぐらいだろうな…他はスキルポイント結構食うぞ?てか、スキルポイントどのぐらいあるんだ…?って…え?」
カズマの冒険者カードには、しっかりと、『3』の数字が示されていた。
「お、おい。何で急に黙るんだ、ユウキのスキルポイントは…はぁ!?」
俺のカードには、『73』の数字、カズマのざっと20倍の数字が書かれていた。
「か、カズマ?そ、そこまで落ち込む事はないですよ。レベルが上がればすぐにポイントは溜まりますし」
めぐみんが、カズマに覗き込むように慰める。気の毒なことをしてしまったかもしれないな…スマンカズマ。
「え、えっと…まずカズマにスキルの説明をしますね。 冒険者であるカズマは、まず誰かにスキルを教えてもらうのです。まずは目で見て、そしてスキルの使用方法を教えてもらうのです。すると、カードに習得可能スキルという項目が現れるので、ポイントを使ってそれを選べば習得可能なのです」
「な、なるほど…でも俺の3ポイントじゃ実用的なものは少なそうだな…」
「あっはっは! そこのキミ! ねえ、有用なスキルが欲しいんだろ? 盗賊スキルなんてどうかな?」
突然カズマの背後から話掛けてきた少女は、銀髪で身軽な格好をしており、明るい雰囲気の子だった。
「あれ、クリスじゃないか、今日は臨時パーティでクエストに行っていたんじゃないのか?」
ダクネスとその子は知り合いなのか、ダクネスが友人の様な口調で話しかける。
「へへ、ダクネスが入りたいっていうパーティの人がどんな人かちょっと興味があってね。気になったから来てみたのさ。」
彼女は俺よりの一つか二つ年下の印象を受けるが、ダクネスとは信頼の置ける友人のようだ。
「あの、盗賊スキルとはどのような物なのでしょうか?」
カズマの質問に、盗賊風の女の子は上機嫌で。
「よくぞ聞いてくれました。盗賊スキルは使えるよー。罠の解除に敵探知、潜伏に窃盗。持ってるだけでお得なスキルが盛りだくさんだよ。キミ、初期職業の冒険者なんだろ?盗賊のスキルはかかるポイントも少ないしお得だよ?どうだい?今なら、クリムゾンビア一杯でいいよ?」
「よし、お願いします!すんませーん、こっちの人に冷えたクリムゾンビアを一つ!」
俺は、めぐみんにツンツンと突く。
「なあ…クリムゾンビアって何だ…?」
「えぇ…ユウキがいつも飲んでるお酒ですよ、最初に飲んでる…」
そう言われると、あのシュワシュワする感触を思い出す。
「よーし!カズマがスキルを教えてもらっている間に一杯行こうぜ!」
「ちょっ!ユウキって今更ですけどアル中じゃないんですかってぐらい飲んでますね!そろそろお金もなくなっちゃいますよ!」
それを聞いた俺は我に帰る。
そういえば、全く金の事を気にしていなかった。
慌てて自分の財布を見ると、一万エリス札が一枚…
「ま、マズいぞめぐみん!金欠だ!」
「ほら言わんこっちゃない!さぁ、何かクエストに行きましょう!」
「そ、そうだな…お、今日はカエルの討伐があるじゃないか。二人で行こうぜ」
俺はカエルの討伐依頼を指差し、めぐみんに同意を求める。
「って、コレ大量発生のクエストですよ、カエル30匹の討伐、報酬25万エリス、報酬と買い取りは別…ってこれめちゃくちゃお得な奴ですよ!二人で行っちゃいますか?」
「おし、報酬は山分けしても15万は残るぞ!早く行こうぜ!」
俺達二人はカズマ達に悟られない様に、クエストに出発した。
「おー…結構うじゃうじゃいるな…」
俺達は遠くの丘から、カエル達の群れを観察していた。
「って、ちょっと多すぎませんか?4、50匹はいますよ…」
めぐみんは少し震えた声で俺の服を掴む。
「いや、ここでやつらに爆裂魔法を打ち込んでみろ、爽快ってレベルじゃねーぞ。これは」
それを聞いためぐみんは、顔を輝かせて俺を見上げる。
「では、爆裂魔法いきますよ!一発で30匹仕留めて見せます!『エクスプロージョン』っ!」
その爆裂魔法は、以前俺が見たそれよりも、一味違う物だった。
「くっ…!25匹…あ、後は任せましたよユウキ…」
「おう、ナイス爆裂…!」
俺は爆裂魔法の凄まじさを目の当たりにし、少し感動を受けていた。
俺はめぐみんを背中に担ぎ、カエルがいる平野に向き、片手を上げる。
「…?どうしたのですかユウキ…?」
俺はイメージの通りに、右手の上に魔力を込めたバレーボール級の魔法弾を作る。
「出来た…!そりゃぁああああ!」
俺が全力で投げたそれは、カエル10匹ほどを巻き込み爆散した。
「おお…」
「『おお…』じゃありませんよ!なんですか今の魔法!私そんなにいらなかったじゃないですか!」
俺はその魔法に、『クラッシャー』という名前を付けた。
めぐみんに魔法の事で少し怒鳴られた後、俺達は街に戻って、ギルドで報酬を受け取り、報酬の25万を山分けした。
報酬を受け取った後、俺はめぐみんと少し街を散策していた。
普段通らない道に、それはあった。
「ん…?ここは…教会か?」
白い壁に、紫色の屋根、中央の壁には十字架が刻まれている。
「えぇ、ここはエリス教の教会です、ユウキも宗教に興味あるんですか?」
めぐみんがそう言うと、まず俺はエリス教というのが気になった。
「な、なぁ…エリス教ってなんだ…?」
そう言うと、めぐみんは、俺を残念な人を見るように見た。
「はぁ…あのですね?エリス教というのはこの国で最も勢力の大きな宗教なのです。ユウキも知ってる通り、通貨にもなってるぐらいの巨大勢力です。」
「あ…エリスってそっからきてるのな、折角だし入信しようかな、聖書でも読んでみたいし。」
「ってユウキ、本気ですか?ユウキは宗教とか全く興味なさそうなのですが…」
「俺が元々住んでいた国では、一週間で二つの宗教のイベントが開催されて、皆騒いでるぐらいだからな…ちょっとガチの宗教には興味があるんだ」
そう言うとめぐみんは、『なるほど』という感じで頷く。
「でも確か、アクアはアクシズ教徒ですよ…喧嘩にならないと良いのですが…」
めぐみんは何かをブツブツと呟いているが、俺は気にせず、帰路に向かった。
次回、古城での爆裂魔法練習、魔王軍の騎士さん編(前編)
そろそろオリジナルを増やせそうです。
ユウキのオリジナル魔法の元ネタはなんとかボールからきてます。
誤字脱字修正いたします。