この素晴らしい世界に魔法を! 作:フレイム
「…さて、ユウキには色々と聞かせて欲しい事があるわ。勿論、何のことか分かっているでしょうね?」
ウィズ魔道具店に無理やり入ってきたアクアによって、俺はプラス、ベルディアと共に屋敷に連れ戻された。
そして、今の俺は屋敷の一階にある、普段はあまり使わない大部屋で正座させられていた。
意外と三日ぶりの再会はさっぱりした物で、ちょっとショックを受けた俺だったが、あのバニルとかいう仮面悪魔が俺の生死を見通していたので、生きている事はカズマ達は知っていたらしい。
俺は内心ホッとしながら、今の状況をどうすべきか悩んでいた。
「……まず、後ろにいる魔王軍幹部はどういう事なのよ、そっちの騎士さんの方は異常にアンデッド臭がするし、そっちのお姉さんからは強大な魔力を感じるわ。こんな二人を連れて帰るなんて、…もしかしてユウキ、魔王軍に拘束されて洗脳でもされたんじゃあないでしょうね?ブレイクスペル掛けてあげようか?」
「洗脳もされてないしブレイクスペルもいらない…んだが、アクア。出来ればこの二人とは敵対してほしく無いんだ。俺の命の恩人なんだよな、一応。そう、一応」
「ちょっと私達の扱いが酷くない!?私、君の事はちょっと信用してたんだけど…」
「全くだ、魔王城付近の湖に打ち上げられた貴様を助けたのは俺だっていうのに…。水が苦手なんだぞ、俺」
幹部の二人が、恩を仇で返す様な発言をした俺に、口々に不満を言ってくる。
……あれっ?
ベルディアの言葉の最後に、どう考えてもアクアの前では言ってはいけない事をボソっと言った気がしたのだが。
非情な事に、こういう時だけは異常に聞く耳を立たせているアクアの口元が、一瞬緩んだ。
「『クリエイト・ウォーター』ッッッ!」
「く、『クリア・ガード』ッッ!」
アクアが瞬時に召喚したバケツ一杯分ほどの水を、間一髪でベルディアが防御スキルか何かで上手く弾いた。
だがもちろん、弾かれた水は室内の何処かに落ちる訳で。
「へ?」
本人も、まさか自分の所に来るとは思っていなかったのだろう。上擦った声を出したプラスさんが、俺の目の前で水の塊を頭から浴びた。
「ぷ、プラス?俺の防御スキルが変な方向に発動してしまった。そ、その……大丈夫か?」
「……………」
フードに隠れた顔はそのままに、ローブから水が滴り、部屋の中心でプラスさんは体育座りで俯いてしまった。
「あー…。プラスさん?その…お風呂あるので、良かったら」
「………ありがとう。うう……このローブ、替えがあんまりないのに…」
俺達は無言で、目元を腕で隠して、寂しそうに風呂場に向かうプラスさんを見届けてから、部屋中を水浸しにした張本人のアクアが思い出したように腰を構えて。
「全く、どこかの騎士さんの所為で床がビチョビチョじゃない。ほら謝って!素直にごめんなさいしてくれれば、痛くならない内に冥界に送ってあげるから!」
「うおお!?な、何を急にとんでもない事を言い出すんだ貴様は!突然水を掛けられそうになって、それを防いだら冥界送りって、悪魔でもそんな事は言わんわ!」
「おおいアクア!敵対するなって言ってるだろ!?……や、やめろ!ターンアンデッドの詠唱はやめろ!マジでベル…騎士さんが浄化されてしまう!」
「アクシズ教教義第四条!『アンデッド浄化すべし!』ユウキの命の恩人だろうが何だろうが、アンデッドである不埒者はアクシズ教の女神!アクアの前でDOGEZAして、大人しく浄化されなさい!」
「げえっ!?き、貴様、その蒼い髪といい、やはりアクシズ教徒か!あ、アルカンレティア戦以来、アクシズ教徒の存在は俺の中でトラウマが根強く…」
アクアとベルディアが、お互い一歩も引かない言い合いをしている最中に、大部屋から廊下に続くドアが大きく音を立てて開かれた。
ドアの先には、風呂場に向かった筈のプラスさんが、無言で立っていた。
「……………」
「プ、プラス?いや悪い、ちょっと騒がしくしてしまったのは認めるが、そんな形相で睨まなくても…」
「そ、そうだよプラスさん。ちょっとこの女神を縛り付けてでも静かにさせるから……」
「………ない」
「「え?」」
「……お風呂場、広すぎてどこにあるのか分かんない」
そういえばそうだった。
2
一時的に、アクアから尋問を解かれた俺は、風呂場が分からないプラスさんの為に、屋敷内の案内をしている。
アクアとベルディアを部屋に置いてきて良かったのかとは思ったが、丁度俺の生存をギルドに報告しに行っていたカズマが、二人の監視をしてくれているので恐らくは大丈夫だろう。
屋敷の広い廊下を、俺がプラスさんを先導する形で。
「この屋敷、やっぱり広いなぁ……。君、意外と結構お金持ちなんだね」
「んー…。実は訳ありで無料で手に入れた屋敷なので、本物のお金持ちって訳じゃあ無いんですけどね」
「え、そうなの?君ぐらいの実力だったら、一月で数千万は稼げる程だと思うんだけど……。ちょっと、冒険者カード見せてよ」
俺は懐から、財布と一緒に大事にしまってある冒険者カードを取り出し、特に疑問もなくそのままプラスさんに手渡した。
俺の冒険者カード見たプラスさんは、ただ一言。
「……君のステータス、気持ち悪い」
「はうっ!!み、見せてって言っておきながら、それは少し辛辣すぎませんかね…?」
女性からの『気持ち悪い』という言葉ほど、破壊力を持つ物はないだろう。
悪戯っ子ぽく、クスクスと笑うプラスさんに上手い事操られている気がする。
突然浴びせられたその言葉に、俺は変な声が出てしまった。
「いやいや、正直言って気持ち悪いってそのステータス。私ほどの実力って訳じゃないけど、その年でこの能力値は…ねえ?それで、君は見た所紅魔族の特徴である紅眼でもない。自身の努力でここまでの能力を手に入れたって訳でもなさそうだし…。君は、ひょっとするとひょっとして、伝説の黒髪黒目の勇者さんかな?」
「――黒髪黒目?伝説って…何ですかそれ」
この世界に来て、確かに日本人と同じ、黒髪黒目の人物は見たことが無い。
俺やカズマより先に転生した日本人が、この世界でチート能力で勇者にまで成り上がったのだろうか。
「…まあいいか、そのお話は。本当に何も知らなさそうだし、君への追求も無意味かな。それで、君の質問に答えるとすれば、この世界の勇者候補。簡単に言ってしまえば、不思議な…君の様な圧倒的な力を持った、黒髪黒目の人物の事を指すんだ。勿論、黒髪黒目の人達の能力は本当に色々あって、全てを切り裂く剣士、大気中の魔力さえも使用する魔法使い、どんな上級悪魔でも浄化するプリースト……。変な姿に変身する人もいるらしいけどね。君ももしかしたら、勇者候補の一人かなって思ったんだけど」
……勇者候補?
何だろう、不思議な能力に、黒髪黒目。
正直、心当たりしか無いんですが。
――というか、何かシリアスな展開になっていっているこの状況が怖い。
「心当たりがないって言うほど、俺は嘘つきじゃないです。でも、少なくとも俺は勇者なんて柄じゃないですよ。魔王討伐なんて実力が追いついていないのなんて自覚していますし、出来れば魔王軍とも好んで戦いたくもありません。……さあ、着きましたよ」
プラスさんのローブから滴っている水は、後でアクアに全て掃除させればいいか。
屋敷に帰ってきてから、俺の思考がカズマに似てきているというツッコミは随時受付中である。
「案内ありがと。ねえ、折角だし一緒に入ろうよ。お近付きの印にね」
「……え?」
何を言っているのだこの人は。
罠か?俺が童貞って事を知っていての罠という事か?
いや、これが大人の女性の余裕というものなのか?
というか、俺はまだプラスさんの年齢を知らないのだが。勝手に大人の女性と判断していいのだろうか。
「凄い失礼だと思いますが、プラスさんってお幾つなんですか?そこそこの男性を手玉に取ってきた様ですが……」
「ええっ!?わ、私ってそんなに男慣れしてると思われてる…?魔王軍に人間族の男なんていないから、勿論0だよ。年はよく覚えてないんだけど…多分18か19じゃないかな。魔王軍に入ったのが14の時だし」
14…中二の時に魔王軍入りって事か。
そこから更に強くなって、高三の時には魔王軍最高幹部に上り詰めた…と。
――あれ?今更だけどひょっとして俺って、滅茶苦茶ヤバい相手と会話してるのか?
「そんなに強張らなくてもいいって、さあ、入るの?入らないの?」
脱衣所のドアを半分だけ開け、俺を手招きしながらプラスさんはそう言った。
……大人の女性はズルいですよ。
3
「あの……プラスさん?本当に躊躇いなく脱いじゃうんですか……?」
水浸しになっていたローブを脱衣所の籠に放り込み、あっという間にタオル姿になったプラスを見て、俺は思わず言葉を漏らしていた。
顔を隠すようにタオルを掛けているのは少し残念だが。
「ん……?どうしたの、自分で脱げないのなら脱がせてあげるけど?」
「いやいやいや、そういう問題じゃないですよ!何でそんなに冷静っていうか、男性慣れしてるんですか。男性経験0とか嘘でしょう!?」
「さ、流石に酷い!城にいた時はベルディアとか、元々人間の男だった人に処女とか言われてからかわれてきたんだから、私としても結構気にしてるんだよ!?もう、自分で服を脱がないなら私が脱がしてあげるから!『パワード』!」
「ああっ!?わ、分かりましたから!支援魔法付きの握力でローブを力任せに剥がないでください!」
あ、危ねえ…無理やり剥がされる所だった……。
ううむ…ここは観念して一緒に風呂に入るしかない…のか?
仕方ないか…。
俺が上の衣服を脱ぎだしたのを見届けてから、プラスさんがお湯の温度を魔力で調整しに、浴場へと向かった。
――あれ?
今一瞬、プラスさんの腰の辺りに、タオルの隙間から紋様みたいなのが見えた気が。
「冷たい!魔力、魔力をもっと!」
……いや、プラスさんが本気で魔力供給したら、風呂場が爆発するんじゃないか?
しかし、紋様…気にしすぎか?…まあ、いいか。
俺は腰にしっかりとタオルを巻き、覚悟を決めて風呂場へと入った。
4
「ふう……」
「ふああ……。遠征帰りの風呂はのんびりできるなぁ……。このまま寝そうだけど…」
広い湯船に肩まで浸かり、十分に手足を伸ばす。
魔王城の風呂場はほとんど個室に近く、一人用だったので手足を伸ばす感覚は久しぶりだ。
風呂が日本人好みの銭湯並の広さなのが、この屋敷のいい所でもある。
「でも、風呂に入っても顔をしっかりと見せてくれないんですね。内心、ちょっと期待してたんですが」
「期待してたの?恥ずかしいから見せないつもりでいたんだけど…。まあ、どうしてもって言うんなら…」
「……では、どうしても、です」
俺は真剣な顔を作って、プラスさんにそう言ってみた。
上手く振り解かれると思っていたが…。
――え?いや、何で、そんなに顔を赤くして……?
「仕方ない…約束したし、いいよ」
あ、取ってくれるのか。
こういうパターンっていうのは、口調と顔に結構ギャップがあったりするのが定番だ。
大人の女性っぽい性格をしているプラスさんも、意外と可愛い年下風の顔をしてたり…。
――してなかった。
滅茶苦茶凛々しいですやん。
いや、イケメンって言った方が表現としては相応しいのか?
鎧を着込んで腰に剣を帯びて騎士風に装うだけで、ダクネスよりも女騎士感が出そうだ。
左頬の刀傷が、凛々しさを更に引き立てている。
初対面では、杖を持っていない限り、一発で魔法使いと見抜く者は少ないかもしれない。
いや、刀傷は逆に格好いいし、隠す必要も無いと思うのだが…。
「あ、あの…そんなに見つめられると調子が狂っちゃうんだけど…」
白い肌の頬を赤く染めながら、プラスさんはそんな事を言ってきた。
透き通った蒼い目は、アクアのそれと比べても劣らない程の美しさで……。
――あれ?
「ど、どうしましょう、なんかちょっと俺、この状況に緊張してきたんですが」
「ちょっ!?そ、そんな事言われると、こっちも緊張してきたんだけど!男の人って、顔一つ見せただけでこんなに変わる物なの!?」
なぜだろう、不思議な事に、急にドキドキしてきた。
というか、今更になって自分が大変な状況になっている事に気が付いた。
「……あの、誘われたとはいえ、何で俺とプラスさんが一緒に風呂に入ってるんですかね?これ、誰かに見られたら相当ヤバくないですか?」
「何で急にそんなに冷静になるの!?確かに誰か見られたら本当にマズいけど、大丈夫。こういう時に限って誰かが風呂に入ってくる事は……」
俺が、何でフラグになる様な事を言うんですかと言おうと口を開いたその時。
「水被ったお姉さーん!ねえ、こっちにユウキが来てない?大部屋に帰ってこないんですけどー!」
遠くから、今の状況では最大の敵である女神の声が聞こえてきた。
その声を聞いて、俺は慌てて視線を合わせて助けを求めてきたプラスさんに対して。
「大丈夫です。それとなーく振舞えば、こっちに来る事はない……のかなぁ?」
「ああっもう!これ、どうすればいいのさ!あのアークプリーストの人が入って来たら完全に終わりだよね!?」
「しー…!俺達が喋ってる声が聞かれたらそれこそ終わりですよ!…ってああっ!?そうだ、脱衣所に俺の衣類が全て入ってる籠が…!」
「早く、早く回収すれば何とかなる…かも?いや、もう無理かなぁ…?」
マズい、あれをアクアに見られれば全て終わりだ。
俺の印象が悪くなるのは構わないが、プラスさんが俺を誘って風呂に入れたという事がバレれば、この屋敷内、下手をすれば、この街でのプラスさんの印象が悪くなってしまうかもしれない。
「お姉さーん?ちょっと、無視は悲しいんですけどー!早く返事しないと、お連れの騎士さん浄化しますよー!……あれー?風呂場にいないのかな?」
返事が無い事に疑問を抱いたのか、それとも諦めて他を当たってくれるのかは分からないが、ここは黙秘安定だと小声でプラスさんに伝え、俺達の間に静粛が訪れる。
よし!このまま黙っていれば、諦めて大部屋にアクアが戻ってくれるかもしれない!
ベルディアが本当に浄化されるかどうかは分からないが、一応は魔王軍幹部、恐らくは大丈夫だろう。
「あ!今日って私がお風呂掃除の日じゃないの!丁度いいしパパッとやって、一仕事終わりに待たせてるアンデッド騎士を浄化させてやるわ!」
大丈夫じゃねえ……!
ベルディアの心配をしていた俺が馬鹿だった。今一番ヤバいのは俺じゃねえか。
というかアクア、屋敷に住み始めの頃は俺に掃除当番を毎回何かの理由付けて押し付けてきた癖に、何でこういう時だけ自分から率先して行う程優秀になったんだ。
どうする俺、思考回路が人生最大の回転率だ。
と、俺が頭を抱えて思考している間に。
「『フリーズ』ッ!」
プラスさんの声が風呂場に響いたのと同時に、脱衣所のドアノブが一瞬で凍り付いた。
魔王城からテレポートを使用して一時間程しか経っていない今、初級魔法でも疲労を抱えてしまうのだろう。少し気怠さを持ったような顔付きで、早く服を回収する様にと訴えてきた。
俺は腰に慌ててタオルを巻き、そのままダッシュで浴場から脱衣所へ向かう。
だが、脱衣所で俺の服が入った籠を手に取った時、ふと疑問が浮かび上がった。
これ、持ち出した所でどうするんだ。
「あれ?鍵掛かってるのかな…。いや、ドアノブが壊れたのかしら、カズマさんに直してもらおうっと」
そう言って、大部屋の方へドタバタと走っていく足音を聞いて、俺は胸を撫で下ろした。
というかアクア、俺達が此処にいるって事分かってるんじゃないのか、独り言多すぎだろ。
とりあえず、俺の衣類が入った籠を浴場まで持って行き、プラスさんと合流してこの状況を打破する作戦を練ろうと…。…え?
「消えた…?」
浴場から、プラスさんの姿がすっかり消えていた。
窓から脱出した形跡も無いし、一体どこから…?
と、俺が呟いた瞬間に、突然後ろから肩に手を置かれる感覚が伝わった。
「ッッ!?」
「怖がらないで……。光の屈折魔法だよ、君にも使える筈だから、あっ…ちょっと魔力貸して、魔力酔いが…」
「ああ、プラスさんですか、驚かさないでくださいよ。屈折魔法、屈折魔法……よっと」
おお!鏡に俺の姿が映らない!
詠唱は知らないので行わなかったが、鏡の前から影も形も無くしているので上出来だ。
というか、アクアが来ても服以外はこれで解決する問題だったんじゃ…。
まあ、そこはツッコまない方向性で行こう。
「後は服を着て脱出するだけだね…。ゴメン、酔いが酷いから肩貸して…」
俺は屈折魔法を解除して、プラスさんに左肩を貸す。
魔王城からアクセルまでのテレポートと、ベルディアへの凍結魔法。脱衣所のドアノブを凍りつかせたのと、この屈折魔法。
恐らくかなりの容量の魔力を持っているプラスさんでも、短時間にここまでの魔法を使えば疲弊するだろう。
浴場から出る為に、脱衣所へ入った時、ふと俺の背中に何かが当てられている感覚が。
「あ、あのー…?プラスさん?背中に何かの感触が…」
「あーあー聞こえない……。怠いから君が着替えさせて…」
「ど、童貞には厳しすぎる注文ですよ…って。プラスさん、自分の着替えをここまで持ってきてるんですか?」
「あっ…下着すら持って来てない…」
ええー…。
俺の背中に、タオル一枚だけで身を隠している、魔力の消費でほとんど動けない女性が身を預けている。
うん、この状況もかなりヤバい。
気を使って視線をプラスさんから外して、俺は困ったように頭を掻きながら、右手に持っている籠から紅いローブを取り出し。
「じゃあ…仕方ないのでこれ着てください。俺は腰にタオル巻いておけば大丈夫ですから」
「ああー…悪いね…。じゃあ遠慮なく…」
差し出した俺のローブを受け取り、脱衣所の端で着替え始めた。
俺は紳士だ、女性がすぐ傍で着替えているからと、そちらに視線を向ける程まで馬鹿ではない。
俺はこの世界に来てそろそろ一年が経つ。もうすぐ17歳とはいえ、思春期をまだまだ抜け出せない男子だ。
英国紳士はここで目を向けたりしない。しないのだが……!
くっ…。思わず視線がそっちに行ってしまいそうだ…!耐えろ、耐えるんだ俺!
ここで耐えなければ、先程までの激戦は無意味になってしまう!
「着替え終わったよー。ん?何で必死に目を閉じてるの?」
勝った!よし勝った!
俺は無事に、紳士としての尊厳を守ることが出来……。
反則だッ…!裸エプロンまでとは言わないが、かなりの破壊力だ……!
ローブがここまでの兵器だとは…!日本では開拓されていない道ッ…!
丁度良い所が上手く隠されており、これがまた一興……。
「…変態」
「はうっ!」
プラスさん、声が怖いです……。マジですいません…。
プラスさんの顔は『この素晴らしい世界に爆焔を!』に登場する上位悪魔、アーネスさんに似ている感じです、分かりにくい方はそちらで脳内再生お願いします。
誤字脱字修正していきます。