この素晴らしい世界に魔法を!   作:フレイム

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二章一話 デストロイヤー戦後。

最近忙しくなり、投稿ペースが落ちていますがご容赦を。


二章 終わりからの始まり
この不運な魔法使いに救済を!


機動要塞デストロイヤー。

国からも危険視されるそれは、先日この街の冒険者達によって撃退された。

そして現在、デストロイヤーの賞金が配られるというので、こうしてギルドにやってきていたのだが――

なんだかおかしな状況になっていました。

「……ええっと、どちら様?ていうか、国家転覆罪って何?俺達、賞金を受け取りに来たんだけど」

険しい表情をした目の前の女に、カズマはオズオズと尋ねる。

「自分は、王国検察官のセナ。国家転覆罪とはその名の通り、国家を揺るがす犯罪をしでかした者が問われる罪だ。貴様らには現在、テロリストもしくは、魔王軍の手の者ではないかとの疑いが掛けられている」

セナと名乗った黒髪ロングのその女は、言いながら、俺達二人に厳しい視線を向けてきた。

まるで社長秘書みたいな第一印象の、頭のキレそうな美人だ。

「ええっ!?ちょっとカズマにユウキ、一体何をやらかしたの!?私が見ていない所で、どんな犯罪をしでかしたのよ!ほら謝って!私も一緒にごめんなさいしてあげるから、ほら早く、謝って!」

「……えっと、何で俺達は大罪を犯したようになってるんだ?国家転覆罪って事は、かなり重い罪だが、この街で冒険者をしているだけの俺達にはそんなの到底無理な事だぞ?」

俺はアクアの驚いた声を無視するように、セナに向かって言った。

「ふむ、確かにこの二人がそんな大それた罪を犯せるとは思えんな。特にカズマは、そんな度胸があるなら、普段屋敷内を薄着でウロウロしている私を、あんな獣の様な目で見ておきながら何もしないなんて事はないはずだ。夜這いの一つも掛けられないヘタレだぞ、この男は」

「べべべべ、別に見てねーし!?お前、自意識過剰なんじゃねーの!?ちょっとエロい体してるからって調子に乗るなよ、こっちだって選ぶ権利はあるんだぞ!」

カズマのその言葉に、ダクネスはサッと顔を赤く染め。

「き、貴様、風呂場では私にあんま事までさせておいて、今更そんな……!」

「あの時はサキュバスに操られていたからな!お前こそ、雰囲気に流されて俺の背中流してたクセに!なんなの?ひょっとしてちょっと期待してたの?どんだけチョロいお手頃女なんだよお前は!」

「おお、お前、やっぱり記憶があるんじゃないか……っ!それに、エリス様に仕える身であるクルセイダーの私は、まだ清い体のままだ!それをチョロいお手頃女だと!?ぶっ殺してやる!」

というか、カズマはサキュバスサービスの時にダクネスとなんやかんやあったのか。

物騒な事を言いながら揉み合っているダクネスとカズマの間に、セナの隣にいた騎士の一人が割って入る。

そして、今の騒ぎを見ても眉一つ動かさなかったセナが、冷たく言い放つ。

「この男の指示で転送された、機動要塞デストロイヤーの核である希少鉱石――コロナタイト。それが、この地を治める領主殿の屋敷に転送されました」

その一言に、ギルド内が今度こそ静まり返った。

――コロナタイト。デストロイヤーとの戦いで、爆発寸前だったその石を、テレポートでどこかに転送させたのは確かにカズマだ。

「なんて事だ、俺のせいで領主が爆死しちまったのか……!」

カズマが溜め息を漏らす様な声でそう言う。

「死んでいない、勝手に殺すな!使用人は出払っていた上に、領主殿は地下におられたとの事で、怪我人も出てはいない。屋敷は吹っ飛んでしまったがな」

怪我人もいないと聞き、俺達二人はホッと息を吐く。

「それじゃあ、今回のデストロイヤー戦での死者はゼロって事か、良かった良かった」

「何が良い!貴様ら、状況が分かっているのか?領主殿の屋敷に爆発物を送り、屋敷を吹き飛ばしたのだ。先程も言ったが、今の貴様らには、テロリストか魔王軍の手の者ではないのかとの嫌疑が掛かっている。まあ、詳しい事は署で聞こう」

セナの言葉に静まり返っていたギルド内がざわめきだした。

それもそうだ。ここにいる冒険者達は俺達の事をよく分かっている。

そして、デストロイヤー戦においての俺達の活躍だって知っている。

「ふ、何かと思えば……。カズマとユウキは、デストロイヤー戦においての功労者ですよ?ユウキに至っては爆裂魔法を二発もデストロイヤーに撃ち込み、破壊するという、今回の件の重要人物の一人です。カズマは、確かに石の転送を指示しましたが、あれだって緊急の措置という事で仕方なくやった事です。カズマの機転がなかったなら、コロナタイトの爆発で死者だって出ていたかもしれません。褒められはしても、非難されるいわれはありません」

めぐみんの言葉に、ギルド内のあちこちからそうだそうだと声が上がる。

「というか、俺の、『罪の手助け』って何だ?今までの話を聞くに、全然俺に触れてないけど」

俺はギルド内の冒険者がこちらについている間に、セナに尋ねる。

「貴様に対しての罪は、意図的に領主殿の屋敷にテレポートをしたのではないか、という疑いだ。先程、機動要塞デストロイヤーに爆裂魔法を二発撃ったと聞いたが、貴様の冒険者カードから見るに、その後にもテレポート用の魔力が余る計算だ、という事は、デストロイヤーの内部には入っていない貴様でも、十分犯行を行うことは可能であるという事だ。もし仮に、魔力が足りていなくても、そのカズマという男から、ドレインタッチで魔力を分けてもらう事も可能なのだろう」

俺がそんなに魔力を持っている訳……と言おうとした時に。

俺が右手で持っている杖の性能の事を思い出して唖然とする。

「もう分かったな?その杖は炎属性の魔力消費を抑える物。少しでも魔力を肩代わりできるアイテム…またはドレインできる相手がいれば一人でその作業を行う事もできるのだ」

クソッ!俺はなんて性能の物を……!

「それより、国家転覆罪は、犯行を行った主犯以外の者にも適用される場合がある。裁判が終わるまでは、言動に注意した方がいいぞ。この男達と共に牢獄に入りたいというのなら止めはしないが」

その言葉に、ギルド内は再びシンとなる。

そんな中、ずっと黙っていたのであろうウィズがオズオズと手を挙げた。

「あ、あの!テレポートを使ったのは、事実上私なので、カズマさん達を連れていくなら私も……!」

ウィズが挙げた手をアクアが掴み。

「ダメよウィズ!犠牲が一人で済むのならそれに越したことはないわ!辛いでしょうけどここはグッと我慢して……!そう、別にカズマとお別れする訳じゃあないもの。カズマが無事お勤めを終えるまで、私達は待っていてあげましょう?」

っておい!勝手に人をお勤め確定みたくするなよ!

「ていうかお前らが味方してくれなくたって、俺にはギルドの皆がついてるからな!」

カズマがそう言いながらギルドを見回すと、冒険者達は次々と俺達からそっと目を逸らす。

こ、こいつら……!

「おいふざけんな!お前ら、もっと頑張れよ!もっと抗議しろよ!」

カズマの罵声に、魔法使いの女の子がポツリと言った。

「私がカズマさんを初めて見たのは……。あれは、そう。カズマさんが、このギルドの裏で、盗賊の女の子の下着を剥ぐ姿でした。ええ、衝撃的な光景でした」

「おいカズマ……。流石にそれはイカンぞ」

俺が呆れた様に言った後、セナ達は俺達の会話を聞き飽きたのか、セナの両隣にいる騎士に命令し、俺達に近づいてくる。

「っておい!皆簡単に手の平を返しやがって!俺達二人の無実が証明されたら、ここにいるメンバーに爆裂魔法食らわしてやる!」

捨て台詞を吐く俺達二人の両肩を、騎士二人はガッと掴む。

「「どいつもこいつも覚えてろよおおおおおお!」」

 

 

 

 




UA数一万二千……。

どうしてここまで伸びた。

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