この素晴らしい世界に魔法を! 作:フレイム
オリ主注意
この魔法使いに祝福を!
どうやら、俺は死んでしまったようだ
生前の記憶
つまり自分が死ぬ瞬間のことは時間が止まったかのようにゆっくりと流れた。
自分の目の前に現れたトラック見て全てを察し、自分の人生の思い出が走馬灯のように映し出され、次第に視界が真っ暗になった。
――――――――――――――――――――
『ようこそ死後の世界へ。私は、あなたに新たな道を案内する女神アクア。遠藤勇気さん、辛いでしょうが、あなたの人生は、終わったのです』
意識が戻ると、俺は辺りが真っ白に包まれた空間で、たった一つの椅子に座っていた。
そして、西洋辺りの高級そうな椅子に座っていた女神。
その女神の言葉を聞き、改めて自分が死んだのを実感した。
それはつい先程の出来事だった。
俺は珍しく休日に外出し、買い物を満喫していたのだが、自分よりも幼い感じが残った、ガラの悪い連中と遭遇し、面倒なので購入した物を傷つけないように走って逃げていた。
地元とはいえ、出掛けていた場所は普段通る道ではなく、とにかく自分が赴くままに逃げていたのだが。
路地から大通りに勢いあまって飛び出してしまった俺は…
『はぁー…』
今、俺は生と死の中間地点にいる筈だ。
そんな状況なら、溜め息がでてしまってもしょうがないだろう。
その俺の考えを遮るように、目の前の女神は口を開いた
『さて…これからあなたにはいくつかの選択肢があります』
実は、天国がどのような所かは生きている時にいつもひっかかる疑問だった。
考えてもしょうがない事だったが、今俺は、恐らくその選択肢の上に立たされているのだろう。
『それは、また新たな生命として生まれ変わるか、天国の様な所でのんびりと暮らすか…』
ここまでは予想通り、ここは無難に天国行きだろう。
だが、天国がどのような様子なのかを知っておくのも悪くはない。
『あの、天国ってどのような所なのですか?』
俺は恐る恐る目の前の女神に質問をする。
その美しい容姿が、この状況では異常な緊張と恐怖を生みだしていた。
『あんたまさか、天国に行くつもりなの?あんな何もない所に行きかがるなんて、変わってるわね……生前で何か嫌な事でもあったの?』
急に慣れ慣れしい口調で話しかけてきた女神に正直驚きつつも、俺は質問を続けた。
『何もない所…とは?』
『そうよ、一日中ひなたぼっこをするだけで、あなた達が想像している楽園とは程遠いわよ?皆この説明をしただけで天国に行きたがる人もいなくなるぐらいだし…』
えぇ…本音を言えば天国で、何者にも縛られないニート生活が送れると思っていたのだが……。
やはり現実はそう甘くはないようだ。
今の空間が現実とは言い難いのだが…。
『ええと…話を続けてもいいかしら?』
おっと、少し自分の空間に入りすぎてしまった様だ。
アクアは俺に声をかけると、死後の世界の選択肢の説明を始めた。
『ところで…あなたゲームとかに興味はない?』
アクアは突然そんな事を顔に笑みを浮かべながら、俺に問いかけてきた。
……はぁ?
俺はもう死んでしまっているのだ、今更ゲームをしたくても出来ないのだが…
心の中でそう思いつつ、俺はアクアの話に耳を傾けた。
『実はね…ある世界がちょっとマズい事になってるのよね。と言うのも、まあ簡単に言うと魔王軍対人類って感じで、近頃その世界の人類が減っていってるのよ』
アクアは興奮気味に話を続けた。
『んで、あんたにはその世界に行って魔王をサクッと討伐してきてほしいのよ!』
っという事は…。
目の前の女神は、ただの男子高校生に魔王討伐をさせようって事か……?
おいおい、冗談じゃないぞ。
勿論俺には主人公補正を持ち合わせている訳ではない。
『あの、もし俺がその世界に行ったとしても、記憶とか、何か特別な能力がないとその世界に行ってもすぐ殺されちゃって意味ないんじゃ…』
『記憶はその世界に行っても引き継がれるようにするわよ?それと、話は最後まで聞きなさいな』
とりあえず記憶が残っているのなら嬉しいと思っておこう。そう思いながら、俺は再びアクアの話に耳を傾けた。
『確かに行ってもすぐ殺されちゃうんじゃ意味がないわね。でもね、ここからその世界に旅立つ人には、神からの送り物で何か一つだけ、その世界に持ち込む事ができるのよ』
ほうほう、
話を聞く限り、悪くない条件のようだが……?
ここまでは小説やアニメでもよくある展開だ。
間抜けな主人公は大抵、変な能力を掴まされて転生後苦労するというのがオチだが、
俺は常に安定を求める男だ。そんなヘマはしない。
俺は、自分が異世界に行くという意志をアクアに伝え、持ち込める物の説明を受けた。
『持ち込む物の中には、伝説の装備や剣だったり、特殊能力でもなんでもあるわよ。まあ時間はあるしゆっくり選びなさいな』
アクアはそう言いながら、俺の目の前に、30枚ほどのカードをばら撒いた。
そのカードには伝説の剣や、ドラゴン召喚、能力調整など…。
普通のゲームならば、チート級のものばかりだ。
流石は異世界。魔法もなんでもお手の物の様だ。
ここは現実世界では絶対に味わえない、魔法使い系のチートアイテムか能力を持ち込むべきだろう。
チートアイテムか能力で散々迷ったが、思っていたよりもチートの杖のデザインが微妙だったので、能力系を持ち込む事に。
『決まったわね……。じゃあその魔方陣から出ないようにして…うん、大丈夫ね。』
女神アクアは俺の足元に水色の巨大な魔法陣を張り、足元のそれから出る光が俺の全身を包む。
光の色が水色から段々と白色になっていくと……!
『それでは!貴方が魔王討伐をする事を願っています!では、いってらっしゃい!』
アクアの言葉を受け、俺は白い光に包まれた…!
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