この素晴らしい世界に魔法を! 作:フレイム
今回はすべてオリジナルです…多分…
誤字脱字お気を付けください。
「……!?グハッ!」
俺が全力で振るった剣は、デュラハンの胸部の鎧に大きな傷を付けた。
「…よ、よし…まず一撃ッ…!」
命が懸っているという戦いだというのに、本能的なのか、心臓の鼓動が異常に早い。
戦闘狂にでもなったのだろうか。
何故かこの戦いが楽しくてしょうがない。
「クッ……いいだろう!貴様ッ!名を教えてもらおう!」
俺は再び光の剣を握り締め、
「…アークウィザードのエンドウ…エンドウユウキだ…!」
俺はそう言い放つと、剣を構える。
「クハハハハッ!なるほど、ユウキか…その名前、しっかりと覚えたぞ…!さあ…続けようか!」
デュラハンはそう大声で叫び、右手に持っている大剣を俺に近づき振り下ろす。
「ぐっ…!?」
なんとか光の剣で受け止めたが、利き手の右手には痺れが残り、左手だけで剣を支える形になってしまった。
マズい、このままだとバランスが取れない。
「ククッ、もう終わりじゃないだろうな?しかし、流石に次は左手だけでは防ぎきれんぞ!」
デュラハンはそう言い放った後、また俺に距離を詰め、剣を振り降ろそうとする。
「…『一閃』!」
俺の左手だけの薙ぎ払いは、デュラハンの胸部に横の傷を付け、先程の傷と相まって十字架が刻まれる形となった。
「クッ…!だが隙だらけだ…ヌン!」
何故かデュラハンは、俺に刃の方で斬らず、峰打ちだけで俺の体を吹き飛ばし、意識を奪った。
「ユウキ!ユウキ!死なないでください…ユウ…」
めぐみんが吹き飛ばされた俺に駆け出し…何かを叫んでいるが、俺はそこで意識を失った。
「フハハハッ!そこの、ユウキとやらは死んではおらんが、数日は目を覚まさん!紅魔の娘よ、改めて、自分がしたことの重大さを思い知れ!ハハハハッ!」
デュラハンは首無しの馬に乗り、自分の城の方へ帰っていった。
「う、うーん…ここは…?」
鳥の鳴き声で起きた俺は、一瞬で押し寄せてきた空腹に耐えながら、眠い目を擦る。
俺の体を包んでいるのは、いつもの馬小屋の藁ではなく、フカフカの布団、ベットに寝ていた。
ベットの横には…椅子に座ってベットにうつ伏せの状態で寝ている、めぐみんがいた。
部屋の壁には、ギルドの紋章が縫われている旗が飾られている。
ここは、ギルドの内部…仮眠室だろうか。
「あぁそうか…俺は負けたのか…」
段々と意識を失う前の記憶が戻っていく、今思えば絶対に勝てない勝負、我ながら馬鹿な事をした物だ。
…!
そうだ…ダクネスはどうなった?
もしかしたらもう一週間を過ぎ、既に…
「…おい、おいめぐみん!」
俺は寝ているめぐみんの肩を揺すり、無理矢理起こそうとする。
「…?ユウキ?」
めぐみんの顔をよく見てみると目の下に隈が出来ており、あまり寝ていないようだった。
「…あぁ、俺だ、生きてるぞ。」
「ユウキ!ユウキ…!本当にごめんなさい…!でも…生きててよかった…!本当によかった…!」
めぐみんがそう涙目で言うと、急に抱きついてくる。
何だか照れくさいが、何だか俺まで何かが込み上げてきた。
まさかめぐみんがここまで悲しんでくれるとは思っていなかったので、余計に俺の涙線を刺激してくる。
「…あぁ…ただいま…」
そう言うとめぐみんは、俺を抱きしめている手を強く握りしめる。
「…なぁ、ダクネスは無事か…?」
「グスッ…は、はい…アクアがデュラハンの呪いを解いて…今はもう元気になってます…」
そうか…よかった…って?
あれ?これって俺の突撃は無意味って事じゃないのか…?
何だか自分が恥ずかしくなるが、それよりも、ここ数日水も飲んでいないので、空腹と喉の渇きが異常なほどであった。
「…めぐみん悪いけど何か食べさせてくれないか…あと水も…」
「あ…じゃ、じゃあギルドの職員さんに言ってきますね」
めぐみんが慌てて部屋を飛び出し、部屋にはまた静粛が戻る。
俺はベッドの右手にある窓から、美しい空を見上げて思った。
生きてて良かった、それだけだった。
しばらくすると、めぐみんが水が入ったポットと、林檎をいくつか持ってきてくれた。
意外なのは、めぐみんの包丁さばきが上手かった事だ。めぐみんが切ってくれた綺麗なうさぎりんごが俺の前に置かれた。
俺は、一つずつ、ゆっくりとそれを口に運ぶ。
旨い。
人生で一番旨い林檎、いや、今までの人生で一番に旨い食べ物かと思うほど、それは美味しかった。
「そういえばカズマ達は?」
俺は林檎を食べ終わり、水を飲みながら、めぐみんの方を見つめる。
「カズマ達は…ダクネスの看病をしてました。一応、呪いを解除したとはいえ、熱っぽいのが出たみたいで。」
話を聞くと、俺とダクネス、二人が危ない状態になったため、めぐみんとカズマとアクアが交代で看病してくれたそうだ。
「でもユウキ、まだ無茶はしないでくださいね…?お医者さんから、意識が戻っても三日は安静にと…」
めぐみんが真剣な表情で見つめてくる。
「あぁ…分かった、それとめぐみん、安静にしとけって言われてるこのの三日間、このアークウィザードの話相手になってやってくれないか…?」
めぐみんはキョトンとしていたが、顔を赤くして小さく頷いてくれた。
次回はユウキの安静期間が終わった所からの再開です。
ここだけのお話、この小説のデュラハンさんは死にません。
誤字脱字修正いたします。