何言ってんだこの人。まだ幼馴染とか言われたほうが、もしかしたら納得できるかもしれん。ごめん嘘ついた、どっちにしても納得できないわ。
「う〜ん、これは驚いてるのか呆れられているのかイマイチわからないね。でも、ごめんね。さっきも言ったけど明日は大学に行かなくちゃいけないから、お風呂借りてもいいかな?」
「あ、ああ。いいけど、なんで明日大学に行くんだ?もう春休みのはずだろ」
とりあえず許嫁の件はおいておこう、考えるだけでアタマが痛くなりそうだ。それに長期休みを謳歌している身としては、もう春休みなのになんで大学行くのか気にならないわけでもないしな。
「確かに普通なら春休みなんだけどね。私は資格を取るために講座を受けてるんだ。短期講座っていうんだっけな」
なるほどな、資格試験のための短期講座。それを春休みの始めの時期にやるってわけか。普通の登校日は講義があってできないし、イメージ的には短期で一気にやる特訓みたいなものか。少し話が変わるけど、よく漫画にある短期特訓って凄いよな。絶対俺だったら死ねる。むしろ、やる前に逃げてそのまま引きこもるまである。
「それは大変だな、俺なら確実に逃げ出してる」
「ハチ君ならそう言うと思ったよ。それも明日で終わりなんだけどね。あ、そうだ。明日15時頃終わるからさ、その後一緒に買い物行こうよ。駅前のららぽーとでいいよね」
「なんで見ず知らずの女性とそんな事しなくちゃいけないんですかね?」
なんで自分の部屋の中で、ナンパみたいなことされてるの俺は。それもこんな美人に。普通逆だろ。逆でも、ないわ。俺にそんな軟派なところはない。
それにこんな下手な清楚系アイドルよりも綺麗な人と一緒に買い物なんてしてみろ。俺の大事な胃に穴が開いて、もれなく胃潰瘍になる。てか、一緒に歩いただけでなる自信がある。胃薬買わなくちゃ(使命感)
「そんな事言わないでよ。悲しいな〜。それにどうせ朝方にハチ君のお父さんに確認するんでしょ。それで私に聞きたいことが増えて、結局来ることになるよ」
なんで俺の行動読めるんだよ。エスパーかなにかかよ。
「それは、その時にならなくちゃわからんだろう」
「まあ、いいよ。それでお風呂は入っていいかな?」
「いいけど着替えとかどうするだ?」
「持ってきてる決まってるじゃん、それだよ」
今井が元気よく指さしたのはあのボストンバッグである。どうやらあれに着替えやらが入っていたらしい。だからなのだろう、あのボストンバッグは結構な重さだった。それにしても重すぎるような気もするが。どれだけ物が入っているのやら。
「お、私のボストンバッグが気になってるのかな?もうしゃうがないなあ、ハチ君ったら」
「いや、気になってないし別に広げなくていいぞ」
俺の肩をバシバシ叩きながらニヤニヤするな。面白そうな反応するなとか思ってそうだな。
さっきから本当になぜ心の中が読まれてるのか気になるけど、あの友達の家に泊まりに来ました感満載のボストンバッグは気になるよな。友達の家に泊まりに行ったことないし、泊めたことないからイマイチ分からないからなおさらだ。別に中身の事じゃなくて、それが本当に元から泊まるつもりのものなのかどうかをだ。
「まさか元からここに泊まるつもりだったとかじゃないよな?」
「あったり〜、よくわかったね」
いやー、いい笑顔だなー(遠い目)
マジでアタマが痛くなってきた。雪ノ下がよくやっていたアタマイターのポーズを俺がすることになるなんてな。あぁ、雪ノ下元気かねぇ(現実逃避)
「じゃあ、先にお風呂入ってくるからね。あ、覗いてもいいけど流石に明日に響くから夜戦はなしだよ〜」
「覗かねぇし、夜戦もしねぇよ。てか、両方とも今までしたことない。そして女性がそんな事言うもんじゃねぇ」
ホントなんなのこの子。言ってすぐに走っていったからいいものの一瞬想像しちゃったじゃん。
このあと、身体冷えたから風呂に入ろうと思っていたのに入りにくさがあがったよ。ただでさえ妹以外の女性、というか他人を初めて家に入れて緊張してるのに、風呂とか無理すぎる。
だけど、すげぇ疲れたからできれば入りたいんだよな。どうしょうかね。