こんなに遅くなったのに内容は薄っぺらいですがどうかお許しください。
そして久しぶりに書いたのでもしかしたらキャラが変わってしまったかも知れませんがそれも許してください。
「映画を観に行こうよ」
GWの初日の朝。圭萌の作ってくれた朝食を食べて、俺が淹れた緑茶を2人で飲んでいたら圭萌が突然言った。
わりといつものことなのでもう驚かなくなったけど、また突然だな。
「なんでまた?もしかしてこの前テレビで見たあれか?」
「たぶんそれのことだよ。だから早く準備してね」
「俺の同意は聞かないんですね」
俺の言葉なんて聞かずに湯呑みを片付けに行ってしまった。別にいいけど。
この前テレビでやっていた恋愛系の映画の特集を見ながら、圭萌が「観に行きたいなぁ」と呟いていたのである。
ちゃんと聞いていて覚えていたよアピールで言ったけど、圭萌には通じなかったみたいだな。
冷静に考えてみるとあざとかったかな、と考えていると先に準備しに行ったと思っていた圭萌が俺の方に寄ってきた。寄ってくる事はよくある事だけどなんか近いな。いつもだと肩が触れるぐらいなんだけど、今はなんか俺に寄りかかっていると言われてもおかしくないくらい密着してるんですけど。
とか、冷静に考えることで俺の内なる欲求と戦っているとそれを知ってか知らずか俺に更に近づいてきた。いやまじで近いんですけど。これからの予定を潰さないために俺は本気で我慢してるのに・・・・・・たぶん、素でやってるんだろうなぁ。
「憶えててくれて、ありがとね」
それだけ言うと圭萌はすぐにどこかへ行ってしまった。きっと今度こそ自分の部屋に準備しに行ったのだろう。
そんなことよりいつの間に耳元で囁くなんて技、覚えたんだよ。
前回お前自身が彼女相手にやっただろうって。そんなのは知らん。てか、もう3ヶ月前のことなんて誰も覚えてないだろ。話の中では数日前のことだけどな。
バカなこと考えてないで顔でも洗うか。顔を洗うことで赤くなった顔を戻せるといいけどな。
***
ところ変わって映画館である。映画は結構連休などに合わせて上映されることが多く、例えば夏休みがある8月などは子ども向けの映画多かったりする。黄色いネズミが出てくるやつとか、戦隊ものとか、ライダーものとかいろいろある。それらは子どもだけでなく一緒に見に来る親も楽しめるようになってたりするものである。
なので俺が昔、1人でプリティでキュアキュアなアニメの映画を見に行っていたのだって至って普通のことである。
「どうかしたの、ハチ君。なんか遠い目をしてるけど」
「いや、ちょっとな。この人の多さで関係ないことを考えてしまっただけだ」
そうなのである。人が多のである。本当はさっきの映画館の話の終着点は、人が多いってところだったのにいつの間にか自分の悲しい過去を振り返るハメになってしまった。それだけ人が多いということで許して欲しい。
それにしても本当に多いな、折角のGWぐらい家の中にいろよ。俺は声をだいにして言いたいね。
「それって結構な感じでブーメランだと思うけど・・・」
「それを言うなよ。そしてサラッと俺の思考を読まないでくれ」
「えっと、さすがの私でもいつでもできるわけじゃないよ」
今のは聞かなかったことにしよう。そうだな、それがいい。そしてこれ以上踏み込まないためにも、全力で話を逸らすか。
「それに今のはハチ君自分で言ってたよ」
「おい、まじかよ。だからさっきの女子高校生はこっちを見ながらヒソヒソ話していたのか」
「それは理由が違うと思うけど・・・」
話を逸らした結果、圭萌が腕に抱き着いてきた。何を言ってるのかわからないかもしれないけど、安心しろ俺もわからない。
「あのー、圭萌さん」
「ん?」
「なんで突然腕に抱きついてきたんですか?」
「察してよね」
「それならなんで腕を絡めたままチケットカウンターとは逆方向に向かってるんですかね」
話しながらもずんずん歩いていた圭萌が一瞬こっちを振り向いた。そこには笑顔があった。ただし、目が笑っていなかったが。
そこから俺は腕を絡めたまま館内を歩き回ったのであった。
***
なんとか圭萌の機嫌を直してもらい、その後席を取って飲み物とポップコーンを買い込んで今は上映を待っている。時間的にはそろそろ暗くなって、映画の本編が上映される前に流れるCMが始まるってところか。
あのCMって結構長いよね。これについてはいつももなら少数派に属する、というかいつもはボッチな俺が珍しく世間と同じ考えだと思うんだよな。
ここからは独自の考えなんだけどたぶん暗順応に関係してると思うんだよね。だからみんなもいくら早く映画の本編が観たいからってCMぐらいで怒らないでね。お兄さんとの約束だぞ。
おっと、また話が脱線してしまった。俺は別にCMなんてどうでも良くてこの時間を使ってしたいことがあったのだ。
「なぁ、圭萌。1つ相談があるんだけどさ、俺と席の場所変わんない?」
「なんで?」
「いや、ほら、俺の座ってる席って通路の横だろ。もしも、なんかあった時すぐに逃げられるようにこっちの方がいいかなって」
「まぁ、そういうことなら別にいいけど」
そして俺と圭萌の席を交換した。あとは圭萌が何も気付かずに、上映が終わってくれるのを願っていた俺だったが、
「ハチ君もちゃんと嫉妬してくれてるんだね」
という一言でバレてしまったことを悟りながらもあまりの可愛さと映画館特有の暗さもあっていろいろやっちゃったけど俺は何も悪くないよね。
***
「ねぇ、ハチ君」
「なんだ」
「映画を観終わったあとは、普通のカップルならどうだったか感想を言い合ったりするんだろうね」
「そうかもな。てことは、俺らは普通じゃないってことだな」
「もう、ハチ君のばか」
「痛い痛い、腕をぽかぽか殴るのをやめなさい。それに圭萌だってまんざらでもなかったじゃんか」
「うっ」
「顔が赤くなってるぞ」
「ハチ君だって」
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