許嫁拾いました   作:彰吏

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忙しい

なんとか課題の合間に書き上げました




第11話

 

 

「なんで私が怒ってるのかわかってるよね」

 

「すいません、全く覚えがないです」

 

「そんな訳ないよね」

 

 

 怖いよ笑顔が怖いよ、圭萌さん。特に目が笑ってないあたりとか怖すぎて目を背けたい。

 どうも、土下座系男子の比企谷八幡です。帰宅と同時にこの目が笑ってない笑顔で迎えられて、そこからの俺の土下座をする速さは生涯の中で最速を更新したと言っても過言ではないだろう。ひとまず、なんで怒っているのかよくわからないけど、俺が悪いんだろうと思い、今日1日の俺の生活を振り返ってみる。振り返ってもわけがわかるかはわからないけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はバイトあるんだよね?」

 

「ああ。午後の3時から8時まででその後バイトの先輩と夕ご飯食べてくるから、今日は夕ご飯俺の分作らなくても大丈夫だぞ」

 

「それならちょうど良かったよ。私も今日は雪ノ下さんと夕ご飯食べてくるから、ハチ君のご飯作れないからどうしようかなと思ってたんだよね」

 

 

 アルバイトの有無を聞かれたから、なんか用事でもあるのかと思ったら俺とは関係ないでござった。友達との食事ぐらい楽しんで来いと言いたいところだけどもしここで他の人、それも男だったら怒り狂ってたかもしれないな。そんな事したら呆れられるかも知れないからやらないけど。その点、同性、特に雪ノ下ならまあ大丈夫だろ。それにしても、自分のことながら独占欲やだなあ。

 

 

「そういえばハチ君ってどんなバイトしてるの?」

 

「うん?」

 

「あっ、ちょっと待って。当ててあげる」

 

 

 普通に答えてあげようと思ったら、そんな事を言って顎に手をあてて思案顔をしだす。これを素でやっているから手に負えないよな。どっかのあざとい後輩が見たら驚くだろう。そういえばあいつはどこに進学したんだろうな。会いたいかと問われると、素直に頷けないけど少なくともかかわり合いがあったから気になるよな。

 

 

「あれ?なんか私以外の女性のこと考えてるような」

 

「はは、何言ってんだよ、そんな訳ないだろ。それよりも俺のバイトわかったのかよ」

 

「うーむ...」

 

 

 危ねぇ、なんで俺の心の中がわかるんだよ。俺がわかりやすいのか。そんな訳ないよな。ないよね?

 

 

「ハチ君のことだから、できるだけ人との接触を避けようとするよね....」

 

 

 そしたらバイトできないよね、とか思ったけど言わない。人が思考してる時に邪魔するのは良くない、ソースは雪ノ下。

 

 

「となると...接客業はない...よね......わかった、この前テレビで見たアレだ」

 

「なんだよ、テレビで見たアレって?」

 

「流木探して売る奴でしょ」

 

「いや、そんな訳ないよね。いくら俺でもそれをバイトとして選択しないよ」

 

「えー、じゃあ何やってるの?」

 

 

 いや、なんでそんなに自信満々に答えたのか俺的には問いただしたいとこなんだけど。そもそもなんだよ流木探して売るって。そんなバイトあるのかよ、もしあってもやりたくねぇよ。

 

 

「正解は喫茶店で雑用しているです」

 

「えっ、嘘でしょ。あの自分でぼっちとか言ってるハチ君がそんな人と喋らなきゃいけないバイトするなんて」

 

「そんなに驚くことないだろ。それに別にぼっちであったとしても接客だってできるんだぞ」

 

 

 始めた頃は酷い有様だったけど、慣れって怖いよな。こんな俺でもちゃんとバイト出来てるんだから不思議だぜ。

 

 

「なんでしてるの?」

 

「?」

 

「バイトのことだよ。しなくても生活には困らないんじゃないの?」

 

「確かに生活には困ってなかったな」

 

 

 それに今だってバイト代はこれからのために貯金してたりする。おかげでこの前圭萌にネックレスあげられたしな。そういえば気付いてるのかな?俺からネックレスプレゼントしてつけてあげた意味。気付かない方がいいか。

 

 

「それならなんで始めたの?」

 

 

 理由を聞かれるとは思っていたけど、そんなに「私気になります」的な感じで聞かれるとは思ってなかったな。久しぶりにえるたそ見たくなってきたな。確か実家の方に原作があったはずだから、今度帰った時に読み直してみるかな。

 

 

「始めたのは誘われたからだな」

 

「誰に?」

 

「そこのマスターに」

 

「なんでまた」

 

「そこの喫茶店は俺が良く行く時間は、人が少なくて静かなんだけど休日になると混むらしくてな。特に最近は長期休みだからか人が多いらしくて、それでバイトしてくれって頼まれてな」

 

「それでバイトしだしたんだね。なんか意外だな」

 

「そうか?」

 

「そんな事頼まれてもハチ君なら断りそうだけどね」

 

 

 圭萌の中での俺って......。あんまりよく思われすぎるのも良くないけど、流石にこれもこれでよろしくないな。

 

 

「まぁ、なんとなくわかったよ。そうだ、今度ハチ君がバイトしてる時に行くからね」

 

「決定事項なのかよ。俺に拒否権とかないのかよ」

 

「ないね。拒否されても嬉嬉として行っちゃうもんね」

 

 

 何故かドヤ顔でそんな事を言っている。だけど言えない。そんなドヤ顔ですら可愛いから何も言えない。ちょっと俺圭萌に弱すぎるだろ。

 

 

「それじゃあひとまず朝ご飯作ってくるね」

 

「よろしくな。俺はゴミ出ししてくる」

 

 

 そう言って俺と圭萌はベットをあとにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの後は俺がバイト行くまで、2人でリビングで読者して、その後俺が先に家を出たよな。ここまでで怒られるようなところはないはず、たぶん。うん、全然わかりましぇん。

 

 

「わからん」

 

「本当にわからないの」

 

「ごめん、全く」

 

 

 そこで圭萌は大きなため息をはいた。土下座しているため顔を見ることができないけど、これは完ぺきに呆れてるな。

 

 

「わかったよ。それじゃあこれからする私の質問に答えてもらってもいいかな?」

 

「おう、何でも答えるぞ」

 

「それと話しずらいから顔上げていいよ」

 

 

 圭萌はなんだかんだでこういう所が優しいんだよな。普通なら顔を上げさせずに踏みそうだよな。それで俺が喜ぶまでワンセットだな。まあ、ネタでやるだけで俺はドMではないからやって欲しいとか思わない。ホントだよ。

 

 

「まずはじめに、ハチ君のバイト先って他にもバイトの人が居て、その人と今日はご飯食べてきたんだよね?」

 

「そうだな。俺は基本的に休日と今日みたいな長期休みの時しかバイト出ないけど、先輩はほぼ毎日出てるらしくてな。それで今日一緒にご飯食べようって誘われてたんだ」

 

 

 もしかしてバイトの先輩とご飯食べたことが怒ってる原因なのか。だけど確か今朝のうちに言っといたはずだよな。

 

 

「なるほどなるほど。それでその人って女性だよね?」

 

「えっと....」

 

「ハチ君?」

 

「はい...その通りです」

 

「なんで言ってくれなかったのかな?」

 

「ごめん、そのことを言うのすっかり忘れてたんだ。それにあっちもたぶん俺のことなんて、なんとも思ってないぞ」

 

 

 そこでまた圭萌はため息をはいた。なぜに?俺なんかおかしな事言ったか?

 

 

「その人がハチ君のことどう思ってるかよりも、女性に食事に誘われて、それにホイホイついて行くハチ君が問題なんだよ......それにハチ君なんだかんだでモテるんから...」

 

 

 最後までしっかり言えよ、最後の方全然聞こえなかったぞ。

 

 

「それは仕方ないだろ。俺がバイトに入っていろいろ教えてもらっておいて食事の誘いを断れるわけないだろ」

 

「それでも心配だったんだよ」

 

 

 なんか圭萌の目に涙が浮かんでるんですけど。俺が言ってなかったせいでここまで心配させてしまうとは。初めてできた恋人だからとかそんなの言い訳にならないよな。

 

 

「本当にごめん。これからは気をつけるし、もし女性とご飯食べる時は、ちゃんと圭萌に言うようにするから」

 

「わかったよ。別にそこまで縛り付けるつもりもないけど......」

 

「どうした?」

 

 

 なんか圭萌が泣きそうだった顔から一瞬悪そうな顔になったような。あれ?先程までの泣きそうな感じは?

 

 

「ハチ君」

 

「お、おう」

 

「私はとても心配したし少しだけ傷付きました」

 

「とても悪いと思ってます」

 

「だったらなんでも言う事聞いてくれるよね」

 

「もちろん」

 

「言ったな」

 

 

 あれ?今なんかサラッととんでもない事言われてそれを了承しなかったか?圭萌もなんかイイ笑顔してるし、解せぬ。

 

 

「じゃあさハチ君、頼んでもいいかな?」

 

「もう言っちまったことだしな。よし、なんでもいいぞ」

 

 

 そこで何故か少し考えるような、言いにくいようなそんな感じの顔をした。

 

 

「別に無理に言わなくてもいいんだぞ」

 

 

 むしろそんなに言いにくそうなことをやる俺の身にもなってくれ。

 

 

「いや、大丈夫だよ」

 

「お、おう」

 

「今夜...私を溶けるぐらいに...甘やかして...」

 

 

 顔を真っ赤にしながらそんな事を言った圭萌を見て、俺の同棲してから今までもっていた理性は、どこかへ消えてしまったのは言うまでもない。

 

 

「本当にいいんだな」

 

 

 なんとか最後の理性を総動員してそんな事を口にした。こんなことを言っているが、既に立ち上がって目の前の椅子に座っていた(スカートの中は見えなかった)圭萌の両肩に手を置いて顔がついてしまいそうな至近距離である。

 

 

「うん...いいよ...その代わり優しく......それこそ私が溶けるぐらい...優しく甘やかしてね...」

 

 

 この一言で俺もおかしくなったのだろう、圭萌の耳元で囁くように言った。

 

 

「わかってるよ。だけど俺の最愛の人が溶けるのは我慢ならないから、溶けないように頑張ってくれ」

 

 

 恥ずかしさを紛らわせるために言ったけど、自分でも何言ってるかわからなくなるぐらいテンパってる。混乱してる頭の中で、だけど冷静な部分ではこれからどのように甘やかしてやるのか考えながら、俺は優しく圭萌の耳に噛み付くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はずかしい」

 

「おいやめろ、思い出すな。俺だって恥ずかしいんだから」

 

「だけどハチ君優しかったよ」

 

「だからやめてくれ」

 

 

 あれから俺と圭萌は見事に朝チュンした。

 

 

 

 




どんどんキャラが変になってるような気が...

感想お待ちしております
リクエストみたなものがあったら募集してます
別にネタが尽きたわけじゃないんだよ


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