許嫁拾いました   作:彰吏

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違う作品を考えてたら思いついたんで書いてみました。八幡のキャラはブレます。許してください


第1話

「はぁ、ちゃんと確認しとくんだった」

 

 

 なんともしょうもないつぶやきが漏れてしまった。独り言みたいで恥ずかしいなと思い、周囲に誰もいないか確認してしまった。こんなことで、不審者と間違えられて通報とかさすがに笑えない。日付をまたぐかまたがないかぐらいの時間だから、通報されたら1発で逮捕間違いなしだな。確認している時点で怪しさましましであることは目を背けさせてもらう。

 それにしてもマッカン愛好者の俺がマッカンのストックがないことに気づかないなんて、やっぱり一人暮らしを始めたのが間違えだったか。

 小町が恋しいよ。恋し過ぎて毎日電話しちゃって避けられるまである。俺には未来予知の能力があったのか。これで黒トリガーとぼんち揚持ってたら近界民と戦えそうだな。

 そんな馬鹿なことを考えながら歩いていると目の前で人が倒れていた。

 えっ、ちょっ、待って。唐突過ぎませんかね!?

 いや、この時間帯なら有り得るか。こんな時間に人が倒れてるとか酔っぱらいの確率が高すぎる。つい先日残念なもと恩師(未婚)の介抱で痛い目にあったのに(精神的に)連チャンはちょっとなぁ。遠慮したいよな。

 近くまで来て気付いたが、女性やん。なんだろう、デジャブかな?

 だが、たまには善行を積んでもいいか。いいことすれば自分に返ってくるし。徳を積むことが世の中生きるうえで大事なことなのです。

 

 

「あのー、大丈夫ですか?」

 

「zzz…」

 

「うわっ、寝てるよ。おい、起きろ。こんな所で寝てたら風邪引くぞ」

 

「ふにゅ」

 

 

 可愛いな、おい。可愛いのはいいんだが起きねぇ。起きない以上放置してもいいんだが、1度声掛けたのに無視するってのも寝覚めが悪いんだよな。そうと決まれば近くの交番まで連れてきますかね。ここで自宅とか連れ込んだら犯罪だから気をつけような。お兄さんとの約束だぞ。

 さて、この女性(美人さん)をおぶったのはいいが、この人着痩せするタイプだな。重いわけじゃないんだが、背中に当たる二つのメロン様がやばい。俺の精神的ヒットポイントをゴリゴリ削ってく。毒とかで削れる感じを想像してくれればわかりやすいかも。この状況的は、精神に毒だしそこまで間違ったこと言ってないな。そしてそこに追い打ちをかけるように、耳元に聞こえる甘い寝息。これはもう、猛毒ですね。

 無心だ、比企谷八幡。お前ならできる。そうだ、素数を数えよう。先人達はこれによって無心になったはずだ。そもそも素数ってなんだよ。数学とかなにそれ美味しいの?だから素数とか知らなかった。テヘペロ。これ、自分でやってるとこ想像したらキモイな。

 なんてこと考えてたら交番の明かりが見えてきた。いちおうもう一回起こしてみるか。

 

 

「おい、起きろ。交番に着くから」

 

「う……うん…」

 

「起きたか!良かった。俺も連れてきた経緯までは説明できるが、それ以前はわからんから自分で説明してもらっていいか?」

 

「あーハチ君だ。おはよう」

 

 

 えーと……、はぁ!?

 

 

「なんて?」

 

「もうどうしたのハチ君?あれ?そういえばなんで私抱っこされてるの?」

 

「路上で寝てたから声掛けたんだが、なかなか起きなかったからそのままにしておくのもなんだし、そこに見えてる交番に連れてこうと思ってたんだよ」

 

「交番なんてやだよー。どうせだったらハチ君の家がいいー」

 

「何言ってんだよ。このまま連れてくからな」

 

 

 

 

 

 

 

「で、誰もいないけどどうするの?」

 

 

 はい、そうです。交番に誰も居ませんでした。ちょうど見回りの時間だったのか知らんが、普通誰か1人ぐらい残しておくだろ。

 

 

「どうするの?ハチ君」

 

 

 ニヤニヤしている女性を見てため息がでそうになるのを我慢する。ここまで来たらなるようになれだな。

 

 

「お前家の場所どこだ?送っていくよ」

 

 

 置いていってもいいけどそれでなんかあったら嫌だしな。と言い訳を心の中でつぶやく。

 

 

「さすがハチ君優しいね。だけど、私の家ここからだと結構遠いよ。歩いたら1時間以上かかるけど、大丈夫?」

 

「えっ」

 

「だからさ、ハチ君の家に行こうって初めから言ってるじゃん」

 

 

 このドヤ顔である。ドヤ顔でも可愛いって一種の才能だな。

 えっと、ホテルは…ここら辺は住宅街なせいで結構離れてる。

 はぁー、しょうがない置いてくか。ここまでやってやったからいいだろう。そろそろ別れ時だな。

 

 

「すまんが警察官来るまで「やだよ」なんでだよ」

 

 

 俺が話してるのに被せるように言い放ちやがったな。

 

 

「ここで待っていたっていつ警察官が帰ってくるかわからないし、明日授業が1限からだから早く寝たいし。むしろもう寝る」

 

「わかったわかったよ、俺の負けだ。だが、聞きたいことがいくつかあるんだがいいか?」

 

「いいけど。家に向かいながらでもいいかな?」

 

「わかったよ。ほら」

 

「えっと」

 

「あ、そうか。もうおぶる必要ないな」

 

「えい」

 

「あぶねぇ」

 

 

 この人勝手におぶさってきやがった。思いっきり抱き着いてきたから二つのメロンが、メロンがぁぁぁ。フゥ...…。

 

 

「さて行きますか。それで、まずは名前から聞いていいか?」

 

今井圭萌(いまいかほ)っていうんだ。よろしくね」

 

 

 聞いたことあるような、ないような。うーん、どっちだったかな?思い出せん。そもそも名前覚えることがそこまで得意じゃないんだよ。覚える人がそこまでいなかったし。

 

 

「ああ、よろしくな。それでなんであんな所で寝てたんだ?」

 

「1人で飲んでたら悪酔いしちゃって。テヘッ」

 

「テヘッじゃねえよ」

 

「ごめんなさ~い」

 

 

 これは予想通りだが、そこの理由は言わないんだな。まあ、初対面の人に言うわけないか。こんなこと思ってるのは俺だけかもしれんが。

 

 

「そしてこれが1番大事なことなんだが、俺とどこかであったことあるのか?」

 

「やっぱり忘れてるか〜、昔のことだしね。そのことについては、ハチ君の家に着いてからでいいかな?ここで話すことじゃないしね」

 

 

 込み入った話なのか。

 やっぱり俺が何かしたんかな、この綺麗な人に。だけど、こんな綺麗な顔したサイドテールの黒髪の女性なんて知らないし会ったことすらないと思うんだけど。

 

 

「さっき1限があるみたいなこと言ってたけど大学生なのか?」

 

「そうだよ。2年で20歳なんだ」

 

 

 俺と同じ学年で同い年か。大学の知り合いは全くいないし、高校でもいない。となるとさらに昔ってことになるのか。

 小中学校は思い出したくないな、黒歴史満載だし。むしろ黒歴史しかないまである。

 

 

「えいや」

 

「なっ」

 

 

 この人変な掛け声(可愛い)をしたと思ったら、今まで以上に密着してきやがった。

 何しやがる。メロン様がすごいことになってるの言わずもがななんだが、それ以上にこの甘い匂いがやばいです。

 

 

「何するんだよ」

 

「ハチ君が怖い顔してたから。何か考えてるんだろうけど、やっぱ怖い顔はいやだからね。それに私が呼び掛けても反応しなかったし」

 

「そうだったのか。それは悪かった。それでなんだよ」

 

「そこの駅のコインロッカーに行ってもらってもいいかな?荷物が預けてあるんだ」

 

「なんだよ荷物って。てか、コインロッカーに預けるってことは大荷物なのか?俺にはこれ以上持てねぇぞ」

 

「大丈夫。流石に降りるよ」

 

「それは何よりだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、着いたぞコインロッカー」

 

「ありがとう。荷物出すからそこで待ってて」

 

 

 言うが早いかすぐに取り出そうとする今井。おいおい、なんかデカいボストンバッグがでてきたんだけど。まさかな……そんなわけないよな。

 

 

「もういいよ。行こ」

 

 

 やっぱりそれ持っていくんすか今井さん。何はいってんだよ。どこ行くつもりだったんだよ、この人。

 

 

「はい」

 

「?あーはいはい」

 

「/////な、なんで手を繋いでるのかな?俺は荷物持つために手を出したんだけど」

 

「あっ/////そうなんだ、ごめんね。はい、ありがと」

 

 

 なんで変な勘違いしたんだよ。やめろよ、顔熱くなるだろ。

 それにそんなことされたら、勘違いして告白して玉砕からの黒歴史になるから。振られるの前提で黒歴史確定なのかよ。

 

 

「じゃあ行くぞ」

 

「う、うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなでもうすぐ自宅に着くんだが、あれから会話が全くと言っていいほどない。それでも不思議なことに、全然嫌な感じにならないんだよな。ホント不思議だよな、初めて会ったはずなんだけどね。

 

 

「もうすぐ着くぞ」

 

「楽しみだなぁ。ハチ君の部屋とか楽しみ過ぎてテンション上がるよ」

 

「なんでだよ。そんなワクワクしても何もないぞ。いやマジでびっくりすると思うぜ、何もなくて」

 

「ハチ君の部屋だからいいんだよ」

 

 

 なんでこんなに可愛らしいことばっか言ってくるのかね。

 さては、俺から金をむしり取ろうとしてるんじゃないの?なんかそう考えたら怪しさがマックスだよ。

 そういえば結局マッカン買ってねぇじゃん。そもそも俺がマッカンのストックを確認しておけばこんなことに。あー、やめよやめよ。そんなこと考えても今更だ。

 

 

「今から鍵開けるからちょっと待ててくれ」

 

「りょーかい」

 

「はいはい、あざといあざとい」

 

「あざとくないよ」

 

 

 敬礼がとても可愛いかったです。ホントあざといバンザイ。だけど、思ったよりそんなにあざとさを感じないんだよな。

 そんな事考えていたらいつも通りに解錠してたらしい。慣れって怖いね。

 

 

「ほらいいぞ」

 

「ヤッター」

 

「おい、待て廊下を走るな。そしてもう夜中なんだから騒ぐなよ」

 

 

 そうなんですもう日付けも変わって1時間がたってます。こんな時間に騒いだら怒られること請け負いだからな。女の子を連れ込んで騒いでマンションから追い出されたとかホントに笑えない。確か冒頭の方で言ったけど、これ傍目から見たらマジで犯罪者だな。

 そんな事考えながらリビングまで来てみると、2人がけのソファーに座ってる今井が目に入った。

 

 

「ほら」

 

「ん、あー、お水だね。ありがとう、やっぱりハチ君は気が利くね」

 

「たまたまだ」

 

 

 本当の本当にたまたまだ。酔ってたから一応水飲んだほうがいいかなとか思ってないんだからね。自分でツンデレのまねやっといてなんだがドン引きだわ。

 

 

「それで話聞かせて貰えるんだよな」

 

「うんそうだったね。実は私、今井圭萌は比企谷八幡の許嫁になりました」

 

 

 

 


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