ブラコン•ブレット   作:ふんぼぼぼ

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楽しいときとかの方が死にたくなることを多い説。
ここでオリキャラ投入。わっしょいわっしょい。


たまに急に不安になるよね。

里見蓮太郎は勾田高校に通う高校一年生である。

通学には主に自転車を使用しており、雨や雪が

降らない限りはそのスタイルは変わらない。

そして後部席に延珠が座ることも、また変わらない。

蓮太郎の借りているアパートと勾田高校の間には、延珠の通う小学校が建っている。そのため、蓮太郎にしてみれば一石二鳥ということで、毎朝延珠を乗せて高校へ向かうのだ。

二人乗りは禁止ですよーという常識は彼方に消え、

二人は今日もまた、いつもと変わらない通学風景の一部となる。

 

勾田高校へ向かって進む蓮太郎の自転車は下り坂に差し掛かっていた。この坂を下ると、すぐに小学校が見えてくる。

 

風を切って進む自転車。

それが心地よいのか、気分良さげに延珠が声を上げる。

 

「ローマだ!何と言ってもローマなのだ!」

妾がアン王女!と声高々に、蓮太郎の自転車の後部座席で延珠がはしゃぐ。

 

前に見た映画、「ローマの休日」の影響だろう。

アン王女と新聞記者ジョーのランデブーは、延珠にとっては憧れるような素晴らしいラブロマンスなのかもしれない。純愛なのだろう。マセてるとはいえ、まだまだ恋に恋するお年頃なわけだし。

 

あの名作を「要は出会って1日で即ハボだろ?純愛とかwwスイーツ脳ワロスww」と考える汚いオトナにはなって欲しくないものだ。別に、蓮太郎がそう思ってる訳ではない。ないったらない。身近な変態がそんなようなことを言っていただけだ。

 

「危ないから、あんまりはしゃぐな。」

まだ楽しそうに「ローマ♪ローマ♪」と言っている延珠に注意する。はしゃぎすぎだろう。そのうち(ローマ)とか言い出すんじゃないだろうな。

 

「何を言う!良い日とは良い朝から始まるのだぞ!」

おはよう!と、見知らぬサラリーマンにまであいさつをしながら延珠が言う。

 

「ご教示どーも。」

素っ気なく答えながら、自転車を漕ぎ続ける。

 

延珠はいつでも明るく元気だ。だからこそ、不安に思うことがある。無理してるんじゃないだろうか、とか。辛いのを隠してたりするんじゃないだろうか、とか。自分じゃ頼りないかもしれないけど、そういうの、あるなら話して欲しいと思っている。『家族』だと思っているから。

なんとなく、不安に思ったことを聞いてみる。

 

「延珠。」

「む?」

「その、学校は楽しいか?」

「もちろん、最高だ!!」

 

延珠は満面の笑みを浮かべていた。

 

 

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坂を下った先、延珠の通う小学校にはすぐに到着した。

 

「それじゃ延珠、俺と離れて泣きべそかくなよ?」

延珠はフフン、と鼻を鳴らし、

「蓮太郎こそ、妾が近くにいないからって寂しがるなよ?」

「寂しがんねーよ。それと、いつも言ってるけど人前ではくれぐれも「わかっている。決して妾が呪われた子供たちだとバレないようクラスでは配慮している。」

「そうか・・・なら、いいんだけどよ。」

 

延珠を思ってのこととは言え、余計なお世話だったかもしれない。呪われた子供たちが社会でどんな扱いを受けているかなど、延珠本人が一番よく知っている。それが発覚した時の周囲の態度も。

 

「・・・スマン。」

「良いのだ。妾を思って言ってくれているのだと分かっている。」

むしろ妾はその心配が嬉しいぞ!と笑ってくれた。

(・・・延珠は強いな。)

俺なんかより、全然強い。

 

「あー延珠ちゃんだー。」

「おはようございます。」

なんとなく暗い雰囲気になりかけたとき、後ろの方から二つ、あいさつが聞こえた。

 

「おお!おはようだ舞ちゃん、天ちゃん!壮健そうで何よりだ!」

「相変わらず変な喋り方〜。」

「私には分かりますよ、延珠。それは天誅ガールズ、赤穂四十七士である大石内蔵助良雄が、久々に再会した足軽寺坂信行と再会した時の挨拶ですね。密命を受け、無事使命を遂げた彼を労う言葉。素晴らしい、やはり延珠はよく分かっている。」

「天ちゃんは相変わらずだねー。」

「そこが良いところなのだ!・・・ところで天ちゃん。ランドセルからはみ出しているその刀はどうしたのだ?」

「私の心は常に赤穂義士たちと共にある、ということです。」

「昨日の天誅ガールズ最新話で、『義士たるもの、己が魂たる刀は片時も離さず。』って言ってたんだってー。」

「・・・それとこの刀がどう繋がるのだ?」

「つまり、そういうことです。」

「まるで意味がわからんぞ!?」

 

女三人寄れば姦しいとは言うが、それは子供でも当てはまるらしい。

見ているこちらが微笑ましくなるような(内容はちっとも微笑ましくないが)様子を見ていると、先ほどの不安も薄れていくように感じた。このぶんなら、本当に楽しくやっているのだろう。

 

「じゃ延珠、俺行くからな。」

「うむ、何かあればすぐ呼ぶのだぞ!」

へいへーいと手を振り、小学校の校門を抜ける延珠たちを尻目に自らの通う高校へと進む。

 

ああ、本当に憂鬱だ。どうせまた『奴』は校門のところで待ち伏せしているのだろう。最初は台所で料理を作って俺が起きるのを待っていた。

なんで合鍵持ってんのとか、色々気にはなったが、とりあえずやめて欲しいと頼むと、今度はアパートの前に立っていた。近所の目が色々ヤバいからやめろと脅すと、毎朝通学路ですれ違うようになった。段々恐怖を感じてきて、最終的に、頼むからやめてくださいと言った結果、今の形になった。次何か言ったら、今度はきっと教室の前にいるのだろう。最近は諦めもついてきている。安西先生は諦めたら試合終了(ゲームセット)というが、これは仕方ないのだ。だって奴が諦めないんだもの。試合終了(ゲームセット)させてくれないんだもの。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()




設定変えるよ!姉にね!
やっぱ姉だよ、姉。姉サイコーだよ。

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