はこちん!   作:輪音

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LⅩⅦ:潜入任務はいつも上手くいかない

 

 

 

どーもー。

佐世保第八鎮守府所属の青葉です。

今回は函館鎮守府へのスニーキングミッションです。

『夜の帝王』とも噂される函館鎮守府の提督の実態を暴くべく、湯の川のコーヒールームきくちのおいしいソフトクリームを食べた後で探訪です。

よし、潜入任務用に明石さんに開発してもらった光学迷彩を……。

 

「あれ、青葉さん。また取材ですか?」

 

しまった!

早速、提督に見つかってしまいました!

こんなに早く見つかってしまうなんて!

あ……あんなことやこんなことをされちゃうんでしょうか。

私、じゅんとしちゃいます。

 

「あ、あの、初めてなのでやさしくしてくださいね。も、もうすぐ、綺麗な体でいられなくなるんですね。」

「あのね、青葉さん。」

「何度も何度も提督の技で(自粛)しちゃって大破するって本当ですか?」

「そんな潤んだ瞳で、大変危ないことを言うのは止めてください。私の方が大破しますよ。貴女がたは似たようなことを言いますね。同姿艦は感性も似ているからでしょうか?」

「えっ? 捕まった私の同姿艦は口封じの為に提督の私室に閉じ込められて、(自粛)されたり(自粛)されちゃうんじゃないんですか?」

「話を捏造しないでください。そもそも私は童貞です。」

「またまたー。そうやって油断させて、おいしく私たちを(自粛)しちゃうんでしょう?」

「しません。」

「えっ? ここを訪れた艦娘は全員、(自粛)しちゃって(自粛)になっちゃって(自粛)なんじゃないですか?」

「放送禁止用語を連発しないでください。」

「あら、青葉さん。また取材でしょうか?」

「おお、いいところに来ましたね、大淀さん。彼女は潜入任務で来たみたいですよ。」

「えっ? 何故わかったんですか、提督?」

「だって……、同じような光学迷彩を纏った青葉さんが以前来ましたから。」

「対策は万全という訳ですね。……私はこれから地下室送りですか。」

「はい? なにを言っているんです? そもそも地下室なんてありませんよ。」

「なるべく痛くしないでくださいね。……覚悟はしていたつもりですけど、いざとなるとこわいです。」

「なにか盛大に勘違いしていますね。大淀さん、彼女になにか飲み物をあげてください。」

「わかりました。」

 

ああ、その飲み物の中にお薬が入っていて、私は二度と……。

生きて帰りたかったな。

ごめんなさい、提督。

 

 

「彼女はなにかに浸っていますね。」

「私がどう思われているか、よくわかります。なんで誤解が絶えないのかなあ?」

 

 

 

青葉です。

潜入任務は失敗しました。

貞操が奪われることはありませんでした。

聞いた噂とは、かなり異なるみたいです。

質疑応答集の厚い冊子をいただきました。

間宮さん特製の間宮羊羮まで貰いました。

なんだか体よく追い払われた気もします。

次回は万全の準備で潜入任務に挑みます。

 

負けませんから!

 

 

 


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