はこちん!   作:輪音

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軍船の魂に憎しみが乗り移り
阿修羅の如くに襲いかかる
この敵はなにか
この気迫はなにか
心軋ませる恐怖
戦い終わって雨が降る
心を冷やし骨まで濡らす
雨が降る
艦娘は何故戦う
何故轟沈せねばならぬ
鉄と炎と理想が激突する
歴史の濁流に飲み込まれつつ
艦娘は叫び
艦娘は泣く

Not even justice,I hope to get to truth.
真実の灯りは見えるか




LⅢ:クリイム色の肉体と桜色の乳頭

 

 

肌も露(あらわ)にした

魅力的な娘たちが

無骨な鉄の塊を背負って

海の怪異と戦う

なんと勇敢な娘たちだろう

クリイム色の肉体と

桜色の乳頭を持った

瑞々しく若い娘たちが

砲を撃ち

魚雷を撃ち

航空機を放つのだ

それはまさに

ヴァルハラに住まうという

戦乙女のごときではないか

小柄な娘も

大柄な娘も

胸乳のささやかなる娘も

胸乳の大きに豊かな娘も

等しく勇敢で

そんじょそこらの兵士になぞ

少したりとも負けなどしない

娘たちを率いる為の服を着て

心算鬼謀の知将の真似をする

三國志の諸葛亮の真似をする

勇将のように叱咤激励をする

猛将の如く猛々しく振る舞う

時に赤く頬を染めし娘たちを

気付かぬふりして指揮を取る

貴方は戦闘機械みたいなどと

娘たちから泣かれたとしても

揺るがない気持ちで命令する

ココロの底でひっそり泣いて

娘たちを海の死地へ送り込む

 

艦娘との関係について悩んで

それでも戦線を維持せんとて

涙を押し殺しながら指揮する

渇いた気持ちに時折襲われて

夜中の独り寝を苦しく感じる

大切にし過ぎと上官たちから

苛烈な扱いを散々求められて

同僚たちからは散々揶揄され

それでも大切にせんと念じる

いつになったら終わるだろう

いつになったら終わるだろう

海は広く大きく果てがなくて

先の見えない戦いに不安残る

深海棲艦とは如何なるモノか

意思疎通を図り得ないモノか

戦争の決着は全滅しかないか

全滅戦は殲滅系総力戦になる

そのような戦いは終わりなし

終わりなき戦いを目指すのか

大本営の示す羅針盤意図不明

経済の為の戦争などはさせん

それは全力で阻止をするべし

すべては艦娘の未来を拓く為

 

何故彼女たち艦娘は

私などのような者へ

明確な好意を向ける

何故笑顔を見せるか

何故やさしい声出す

君たちはわからない

私にはわからぬ存在

人の似姿したモドキ

正体不明の人モドキ

深海棲艦も似ている

何処から来たるのか

何処へと向かうのか

いつまでの間従うか

いつの日か逆らうか

人の扱いに耐えかね

敵と手を結ぶかもな

それをわからぬ者が

喚くのを予め封じて

戦争の終わり模索す

戦後の世界を模索す

いつか平和が来ると

信じ信じて信じ抜き

死なぬように艦娘を

海の戦場へ送り出す

矛盾をはらみながら

 

いつの日か

いつの日か

平和が来たら

平和が来たら

娘たちを人の社会へ送り出し

笑顔で別れを言いたいと思う

その日まで

その日まで

生きていられるとしたならば

ありがとうと深く礼を言って

笑顔で手を振ろう

やさしく

やさしく

晴れた日の心持ち

一片の曇りなき心

それだけを持って

いつか

いつか

暁の水平線に勝利を刻むまで

揺るがない気持ちで戦うのだ

クリイム色の肉体と

桜色の乳頭を持った

瑞々しく若い娘たちを率いて

 

 

 


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