IS<インフィニット・ストラトス> IS学園の異分子君   作:テクニクティクス

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沢山の感想ありがとうございます
説明、解説ヘタなためほとんど返信していないですが
とても励みになりました

相変わらずの亀の歩みな投稿ですが
暖かく見守ってもらえたなら、作者冥利に尽きます

一応指摘された部分は修正入れてみました


第12話

次の日、IS各種装備試験運用とデータ収集に全てが費やされる。

そんな中、束が乱入しすったもんだの末に箒に対して専用機『紅椿』が渡される。

未だ世界では第三世代開発に何とか着手し始めているのに、箒のISは第四世代。

試運転として動かしているだけでも、格が違うのを周囲の者――箒でさえ実感している。

呆気にとられている中、山田先生が息を切らしてやって来て織斑先生に小型端末の画面を見せる。

眉間にしわを寄せた織斑先生は響き渡るように手を打ち、視線を集めさせて口を開く。

 

「現時刻を持ってIS稼働訓練は中止だ。各生徒はISを片付けて旅館へ戻れ。連絡があるまで全員自室待機だ。

 分かったな。なら今すぐ行動に移れ! それと専用機持ちは全員集合しろ」

 

普段より数倍威圧感を高めて淡々と言葉を発する織斑先生。不安げな表情を浮かべてISを片付けていく生徒。

それを後ろに見送りつつ猛たちは先生の後をついていく。

 

 

 

 

 

二時間前、ハワイ沖で試験稼働であったアメリカ・イスラエル共同開発の第三世代軍用IS

『銀の福音』が突如暴走。監視空域を離脱し、ここから二キロ先の空域を通過することが判明。

それを止めることが猛たちに任されたらしい。

 

「それでは作戦会議を始める。意見があるものは挙手するように」

「はい、目標ISの詳細なスペックデータを要求します」

 

各々の表示枠に銀の福音のスペックデータが羅列されていく。

広域殲滅を目的とした特殊射撃型……現在も超音速で飛行中など

つらつらと挙げられていろいろな推測を考え作戦を組み立てていく。

 

「一度きりのチャンス……ということは一撃必殺の攻撃力で沈めるしかありませんね」

 

山田先生の言葉が終わると全員が一夏へ視線を向ける。

 

「え?」

「一夏、あんたの零落白夜で落とすのよ」

「え? え?」

「織斑、これは訓練ではない。実戦だ。もし覚悟が無いならば無理強いはしない」

「……いえ、やります。俺がやってみせます」

「ならば、その現場まで白式を運ぶ方法だが……」

「はいはーい! それなら紅椿が適任なんだよ!」

 

突如天井からぬぅっと束が首だけを出す。

まるで天井下がりのような登場をした怪異は猫のようにくるりと綺麗に回転して着地する。

 

「束さん謹製の紅椿なら換装いらずに超音速移動が可能なのさ!

 何なら今すぐ調整始めればカップラーメン出来る前に出撃が出来るよ」

「……分かった。織斑、筱ノ之、出撃する準備をしろ」

 

その言葉を合図に教師陣はバックアップ用の器材の設営などに入り始める。

手の空いている猛は重い器材などの搬入などの手伝いをしつつ

セシリアや鈴音、シャルロットから手ほどきを受けている一夏を横目で見ていた。

 

七月の晴れ渡る青空の中、砂浜には白式と紅椿が並んで立っている。

移動の全ては箒に任せるので一夏は彼女の背に乗るような形だ。

そこにプライベートチャンネルで猛からの通信が入る。

 

『ハロー。あまり長話してると織斑先生に勘付かれるから短めに。二人とも緊張してないか?』

『緊張してないというなら、それはないな』

『ふっ、何を恐れる必要があるのだ。これさえあれば怖いものなんてない』

『おー、ずいぶん乗り気だね箒。何かいいことでもあったのかい?』

『ふん、私はいつも通りだ』

 

紅椿が手に入ってからはどうも箒の様子がおかしい。

通信を切る前に、猛は一夏にのみ箒に何かあったらフォローにまわってほしいと告げておく。

そして二人は海の彼方へ消えて――――銀の福音撃破は失敗に終わる。

 

 

 

 

 

 

旅館の一室。ベッドに横たわる一夏は三時間以上目覚めないままだ。

ISの絶対防御のおかげで酷い外傷はないが、それでも完全に防ぎ切れたわけではないので

所々に包帯が巻かれて、それが痛々しい。

その傍で、拳が白く色を失うほど強くスカートを握り締めている箒。

 

(私は……どうして、いつも……)

 

いつも、力を手に入れるとそれに流されて、後悔する。

湧き上がる暴力への衝動を抑えられず、暴走して……。

それを抑えるために剣術に打ち込んだというのに、この体たらく。

かつての全国大会でも結局は自分の憂さ晴らしの意味合いが強く、また同じように己を律せず浮かれて、それがこの結果。

自責の念が渦巻いて、何も見えなくなっていく箒の傍に誰かが座る。

 

「それ以上自分を責めても仕方ないでしょ。――箒は悪くない」

 

もう一人の幼馴染の柔らかな声。その言葉にキッと顔をあげて猛の胸倉を掴みあげる。

 

「何が悪くないだ! 私が、私がしっかりしてないから、一夏が……!」

「箒は頑張ったよ。ただ運が悪かっただけだ。結果はこうなってしまったけど、次に生かせばいいじゃないか」

「私は……もう、ISには、乗らない……」

「そうか。箒が自分で出した答えなら、俺は何も言わない。けれど、それで本当に後悔しないのかな?」

 

手のひらから力が抜けていき、俯いて涙をぽろぽろと零す箒。

私は……どうしたらいいんだ……と、悲痛な吐露する彼女の頭を優しく叩く。

その答えは自分で出すんだと、言葉を残して猛は部屋を後にする。

 

 

 

まだ夏日の沈まない砂浜を一人静かに歩いている猛。

おもむろに足を止めて海原へと視線を移す。

 

「どこに行くつもり?」

 

その声の主の方へ振り返ると、そこには鈴音とシャルロットの姿があった。

 

「どこって……ただ散歩してただけだよ?」

「そんな嘘言ったって騙されると思う? ……福音のところに行くんでしょ」

 

やれやれ、とため息をついて猛はこくりと頷きを返す。

 

「何で一人で行こうとしたのさ。セシリアの高機動パッケージとかに換装すれば全員で福音を止めに行けるんだよ」

「それじゃ間に合わないかもしれない。そして俺の狭霧神も紅椿と同じく、換装なしで亜音速で飛べる。

 ……そしてたとえ止められずとも、俺一人撃墜で済む。

 時間を稼いで一夏が目覚めれば皆が居る方が助けにもなるだろうし」

 

その言葉に対して、堪忍袋の尾が切れたのか激高する鈴音。

 

「馬鹿じゃないの!? 何でそうやって自分一人で解決しようとするのよ!

 あたしたちのことなんて当てにしてないってこと!?」

「違うよ。大事な人たちだから危険な目に合ってほしくないだけ」

「猛……そう思われるのは逆に辛いよ。私は君に支えてほしいし、猛が苦しい時には支えてあげたいよ」

 

困ったように笑顔を浮かべる猛が、どこか遠く別の存在に感じて胸の奥に寂しさがよぎる。

 

「結局のところ、自分勝手な人間なんだよ俺。そして自分自身に対して重きが置けない。

 正義の味方みたく誰彼救おうなんてことは思えないけど、近くの人の涙を止めるためなら俺は自分を投げ出せる。

 たとえそれでどんなに傷ついても、これはたぶんずっと変わらない信念みたいなもんだと思う」

「分かった……。あんたを止めたいなら物理的に動けなくさせるしか方法はないのね」

 

鈴音とシャルロットは甲龍とリヴァイヴを身に纏って今すぐにでも猛に飛びかかれるようにしている。

 

「一人では絶対福音のところには行かせないから」

「多少ボロボロになったとしても、それは我慢してもらうからね」

「――ごめんね。二人じゃ俺は止められない」

 

苦笑する猛の笑顔が急に見えなくなる。どこからか現れた霧が二人の周囲を取り囲む。

 

「な、何なのよ、この霧!?」

「うそ……ハイパーセンサーだけじゃない。一切のセンサーが機能していない」

 

自分の手ですら薄ぼんやりとしか見えず、計測器の類は沈黙しているので

必死に彼の姿を手探りで探す。

時間にして一分くらいだろうか、ようやく謎の霧が晴れた時にはもう猛の姿は無かった。

歯が砕けんばかりに噛みしめて、表情を歪める鈴音はシャルロットに話しかける。

 

「ねぇ、今の福音の場所って分かるのかしら」

「うん、大体の場所の検討はついているみたい」

「ラウラとセシリアに今すぐパッケージ換装するよう通信して。

 あのどうしようもない馬鹿を引っ叩きに行くわよ!」

 

 

 

 

 

 

海上二百メートルの場所で胎児のようにうずくまっている銀の福音。

ふと、おもむろに頭をあげたところに彼方から巨大な八頭の光の竜が飛来し、彼女に襲い掛かる。

雨のような光線の群れで竜を迎撃するが、完全には相殺しきれずその咢に飲み込まれる。

が、致命傷には程遠いのか福音は健在。そこに自分の身長ほどもあるガトリングを四連装備した狭霧神が接敵する。

 

「さて、今度は俺の相手をしてもらおうかな」

 

その言葉に答えるように高らかに歌を紡ぐ福音。それに合わせて光の雨が彼に向けて注がれる。

光線と実弾の嵐の応酬。福音の射撃を回避しながら猛は思考する。

先程の八俣のフルチャージ攻撃は、少なからずダメージを負わせただろうがフルスキン型で表情の読めない福音に

どれだけの負傷を与えたかが、分からない。

 

ならばもう一撃を、と思うがスコールにも見える光線の群に足を止めたらそれこそ撃墜される。

集中しなければ八俣にエネルギーを充填させることは出来ない。先ほどの先制で落とせなかったことがこれほど響くとは。

瀑布のように薬莢を排出し続けて、低い地響きのような轟音を立てて

射撃を続ける肩部と両腕のガトリング弾も大半は福音の射撃で相殺され

逆にカウンターで放たれるレーザーに、少なくない被弾をしてしまう。

このまま削り合いを挑んでも先にこちらが落ちる事は明白。

 

(何かないか、考えないとな……。光学兵器、確か大気中だと普通の状態ですら減衰するんだっけ。……やってみる価値はあるか)

 

目の前に表示枠ゲージが現れる。早い方に思えるゲージの進み方に逸る心を懸命に抑えつつ回避と牽制を続ける。

盾代わりに振り回しているガトリングがボロボロの廃品のように痛み

シールドゲージが半分ほどに落ち込んだ時に待ち望んでいたものの充填が終わる。

各装甲から柱のようなものが隆起して、内部のラジエーターのような網目からこの周辺を真っ白に覆い隠すほどの霧が噴出する。

一瞬のうちに敵対ISの反応が消えて、福音は周囲を慌てて索敵するもセンサー類がまともに機能しない。

やみくもにレーザーをばら撒いても、数mを進んで先細り淡く消えていってしまう。

銀の福音の名に恥じぬ神々しい光の雨は、目の前を塗りつぶす霧を晴らすことも出来ない。

 

「光学兵器は宇宙空間でもない限り、大気だけでも減衰し、蒸気だけでもかなり威力を落とすらしい。

 漫画の受け売りだけど、いろんな本を読むことはやっぱりためになるね」

 

聞こえてきた声に福音は一点に出力を集中し、狙撃銃のような貫通の高いレーザーを音源に放つ。

一瞬霧が晴れ、撃ち抜かれたものを確認するが、ゆっくり墜落していくものは狭霧神ではなく小型の丸い機械。

 

「残念。これでチェックメイトだ」

 

デコイに引っかかってしまった福音がゆっくりと背後を振り向くと、限界まで弦を引き絞る狭霧神が目の前に。

力を溜めきった八俣が機殻の継ぎ目から光を溢れさせ、軛を外し襲い掛かる合図を今か今かと待ち続けている。

 

「この距離なら外さないし、逃がさない。落ちろ福音」

 

八頭の竜の力をただ一点に集中した一射。普段は荒々しい力の奔流が針のように小さく纏まり、福音の心臓付近を貫く。

彗星のような光矢が彼女の身体を貫通し、風切り音を立て鏃の背後の霧を円錐状に吹き飛ばしていく。

ぴくりともしなかった福音だが、ぐらりと身を前に傾けるとゆっくり海面に落下していく。

八俣をしまうと猛は水没する前に回収しようと福音に近付いて行く。

 

海面付近で彼女を掴もうとした時に、福音の目に光が戻る。

 

「Ga・AAaaAaaa――――ッ!!」

「しまっ――」

 

今までの歌うような声から一転、獣のような咆哮を上げ、くるりと反転。

大きく白い羽を背部から展開し狭霧神を包む。

救助目的で近付いていた猛は回避することも出来ずに光の繭の中に包まれて、光の豪雨に晒される。

咄嗟にコールした双剣である程度の弾き返しは行えたものの

シールド残量はほぼ無くレッドアラートが鳴り響く。

 

「第二形態移行か……。何も抵抗なく落ちていったことに決着がついたと思ったのが失策だったか」

 

さて、今の状況でどれだけ粘れるか……と冷や汗を流す猛を後目に別の方角に視線を移す福音。

どこを見ている? といぶかしんだが、広域センサーに引っかかるものを探知し顔を青ざめさせる。

そのレーダーには5個の光点がこちらに向ってかなりの速度で近付いている。

間違いなく換装の済んだシャルロット達がこちらに急行しているのだろう。

そして、福音の狙いも。

 

「待て――」

 

今までとは比べものにならない速度で水平線の彼方へ消えかかる福音を、数秒遅れで追いかける。

たったコンマの遅れがどうしても追いつけず、あと少しで手が届きそうなのがもどかしい。

 

 

福音が見たこともない大きさの羽を広げる。

 

 

あれだけの威力の攻撃を、まさに暴風のように彼女らに放とうとしている。

 

 

手は伸ばせど、届かない――

 

 

あれだけ大きなことを言って、シャルロットを、鈴音を、皆を――守れないのか

 

 

力を――望むだけの力を――俺に願いを叶える力を寄越せ――!

 

 

 

 

 

”夢想実現之事”要求承諾――力の放流、流転開始

 

”十種神宝”錠門開放――”鏡”

 

 

 

 

 

福音と勝手に先行した猛を追って、箒たちは海上を進んでいたが、セシリアが何かを捉えて通信を飛ばす。

 

『高速でこちらに飛来するものがありますわ! ひとつは……猛さん! ということはもう一つが福音ですわ』

 

その言葉が言い終わらないうちに、全員のセンサーに強烈なエネルギー反応が感知される。

まるで視界全てを埋め尽くすかのような光線群。

一度福音と戦った箒ですら、これだけの攻撃を出せるとは想像すらできなかった。

 

「くっ! 皆、防御態勢をとれ! あれだけの攻撃でどれだけ耐えられるか分からないが、何もしないよりましだ!」

 

ラウラの叫ぶような声に各々、身を守る態勢をとる。回避しようとする気も起きない濃密な弾幕だ。

助けに来たというのにヘタしたら、この先制攻撃で全員撃墜されるやもしれない。

 

(このまま、何も出来ないというの……?)

 

絶望の最中、彼のことを想うシャルロット――。

白い光の雨の中、橙色の尾を引いて何よりも先に彼女らへと飛来するものがあった。

 

「……あ、あれ?」

 

衝撃に身構えていたシャルロットは何も起こらないことに疑問を抱き、恐る恐る目を開く。

薄い膜のようなシールドを張り、リヴァイヴの傍に静かに寄り添う菱形の結晶。

周りを見渡すと、他の皆にも同じ結晶が浮かんでいる。

福音は再度、羽を広げて膨大なエネルギー波で攻撃するが

シールドは全てのレーザーを吸収し結晶体は光を強めて輝く。

 

「――皆、無事みたいだな。よかった」

「た、猛っ! 勝手に福音に挑むなんてひどいよっ!」

「ごめんごめん、後でしっかりお叱りは受けるから今は福音を何とかしよう」

 

彼女たちの前にゆっくり降り立った狭霧神は新たな武装を纏って、福音に立ちふさがる。

大量の展開装甲を身に着け、重武装した歩兵のよう。

狭霧神の周囲を浮遊する棺のような大型追加装甲には

各所にオレンジ色のパネルが埋め込まれている。

引き離したはずの敵に追いつかれ、更には増援すら許した福音は

怒りの色が混じる獣咆をあげ襲い掛かる。

 

しかし、まともな戦いすら起こらない。第二形態移行で大幅に威力、性能を上げた銀の鐘のエネルギー波。

それをこともなげに全て吸収してしまうシールドが全員についているのだ。

近接し、格闘術で応戦しようにも元々は広域殲滅型IS。

連携がとれる者たちに主兵装が封じられている状態では次第に押され始める。

皆から数歩離れたところで佇んでいた狭霧神は裁定を告げるよう手を持ち上げる。

 

「皆いったん離れて。……終わりにしよう、福音。”八咫鏡”――天照・顕現」

 

福音の周囲に狭霧神から飛翔し囲い込む大型の展開装甲。

発光パネルが一層強く輝くと、天を貫くほどの光の柱が福音を焼き、空を白く染める。

 

「す、すご……」

「……いや、まだ終わりじゃない。脱出するつもりだ、鈴! もう数発叩き込むぞ!」

 

ラウラが叫ぶ。光の中の福音は身をよじりつつも、最後の力を振り絞り銀の鐘からもう一度翼を広げ始める。

換装パッケージの二門大型レールカノンと新たに二つ追加され、計四つの衝撃砲を福音に向ける。

――が、狭霧神は差し出していた手をくるりと反転。手のひらを上にし指を折り曲げて、終焉を謳う。

 

「――再誕」

 

更に展開装甲が飛来し、元の柱を囲んで二重の輪を作りあげる。

そして新たに追加された結界が発動。極光が海上に顕現する。

中の様子が見えないほどに白く光り輝く柱。

夕闇を吹き飛ばすほどに光る様はまさに名の通り、太陽がここに降り立ったようだ。

 

時間にして数分だろうか。光の柱が消えた後には全身から白い煙を上げている福音。

ISが消え、スーツ姿になったパイロットが海面に落ちていく。

放心状態からいち早く回復したシャルロットがパイロットを確保して状態を確認。

 

「……うん、疲労で気を失ってるけど心肺機能は正常。後は精密検査が必要だと思うけど命に別状はなさそうだよ」

「よかったぁ。止めるために全力使っちゃったけど大丈夫だったか不安だったし」

 

ふぅ、とため息をついて猛は後ろを振り向く。

 

「よぉ、寝坊助ヒーロー。あまりに遅いからこっちで倒しちゃったぞ」

「悪い。ちょっと寝過ぎたみたいだな。だけど、皆を守ってくれたんだろ? ありがとうな」

 

第二形態移行を完了した白式を纏った一夏がそこにいた。

 

「さて、福音は止められたし先生のところに戻ろうか。……反省文だけで済むといいなぁ」

「お、お前……嫌な事思い出させるなよ。うぅ、帰りたくねぇ」

 

全員がこれから閻魔の前に首を差出に行くのを少し青ざめつつ苦笑しながら、旅館へ戻るのだった。


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