死にたくない私の悪あがき   作:淵深 真夜

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65:覚めない夢

 自分の接近にすら気付かず、そこにいない誰かの首でもへし折ろうとしていたイルミが忌々しげにこちらを睨んできたので、ソラも鼻を鳴らして睨み返す。

 目は普段通りの藍色のまま、特に「直死」の精度を上げずにイルミを眺めた。

 

 見た所、イルミに掛けられた“念”は死者の念ではない。

 カルトの話から、イルミが能力者を殺してしまったのはイルミの針を打ち込んで廃人化させてしまってからだったので、それはソラが想定していた通りだった。死ぬ前に人間としての自由意思を全て奪われていたのだから、死ぬ間際に憎悪でオーラが増幅して“念”が強化されることなどなかったのだ。

 

 能力者が死んでも未だに効果が続いているのは、ソラやシルバたちが想定している能力の効果から考えて相手の能力は操作系。おそらく対象の脳と視界の一部を支配して、一番見たくない記憶などを常時再生させるという能力なのだろう。

 そして、操作系は放出系と隣り合っていて相性がいい。だから相手のオーラが未だに、掛けられたイルミに残留しているだけだ。能力を掛けられてからはまだ1週間も経っていないのなら、燃費のいい能力ならそれぐらい()つものは珍しくはない。

 

 そして死者の念になっていない限り、掛けた相手が死んでいるのなら対処に除念師どころか何も必要ない。

 ただ掛けられた“念”のオーラが消費されきってしまうまで、放っておけばいい。

 能力柄、掛けられた本人のストレスは半端ないだろうが命に別状はなく、何よりもイルミがソラの除念を拒絶しているのだから、それが互いにとってベストな対応。

 

 だから、死者の念になっているかどうかさえ確かめたのなら、ソラはさっさと帰ってしまえばよかった。

 さっさと帰ってイルミから逃げきってから、シルバにでも「死者の念じゃないから放っておけばいい」と連絡すればいいだけの話だった。

 

 しかし、ソラは動かない。

 ただ、夜空色の目をやけにすわらせてイルミを睨み付けていた。

 

 イルミはイルミで、ソラを睨み付けながらオーラを増幅させて広げて“円”を展開し、眉をひそめる。自分を取り押さえる為に執事たちどころか父親や祖父がいるかと思ったら、誰もいなかったからだ。

 

 父親たちがいなかったことはイルミにとって僥倖だが、執事がいないのは不運だった。

 ただでさえ自分に掛けられた能力の所為で集中が出来ず、無駄にオーラを使ってしまっている今の自分では、この女を殺すどころか不服この上ないが、逃げ出すことさえも難しい。

 

 執事がいれば、そいつらを人形にしてソラを襲わせて逃げるまでの時間稼ぎが出来たものの……とまで考え、最も殺してやりたい女の前で、殺すことより逃げ出すことを考えていることに対して最高に苛立った。

 

 自分自身を殺してやりたい気分になってイルミが舌を打った瞬間、ソラは不快そうに眉を跳ね上げる。

 その表情がイルミをさらに苛立たせるが、イルミがいつものようにソラを殺しにかかる前に行動に移したのはソラの方だった。

 

 夜空色の目が急激に明度を上げて、スカイブルーの目が自分に迫る。

 逃げるのではなく自分に向かってきたこと、自分に向けて手を伸ばしてきたことがイルミにとっては想定外にもほどがあったので、思わずバックステップで避ける。

 

 いつものソラなら、これは防戦一辺倒な自分の行動など予測されているから、取ったであろう行動のはず。イルミの意表をついてそのまま逃げたはずの行動。

 けれど、今日のソラはそのまま逃げ出しなどしなかった。

 イルミではない、他の目的のために交戦していた彼を放り出して駆け抜けなどしなかった。

 

 逃げて、避けたイルミをそのまま追った。

 青い目は、真っ直ぐにイルミを映している。

 自分の手よりはるかに細くて小さな繊手は、イルミを捕えようと伸ばされる。

 

 自分の視界の端に焼付いた幻影と違って、現実はイルミと向き合って、イルミを見ていた。

 

 それがまた、一段と気に入らなかった。

 

 * * *

 

「何! しに! 来た!?」

 

 言いながら針を投げつけるイルミに、拾った手ごろな木の枝にオーラを纏わせて弾き落としながらソラはブチキレて答える。

 

「仕事以外に何があると思ってんだ、このバカ長男!! いいから大人しく黙って私にその右目をぶっ刺されろ!!」

 

 イルミじゃなくても普通に嫌だと確実に拒否される言い方で、除念してやるから大人しくしろと迫るソラにまたイルミは忌々しげに舌を打つ。

 

「いらないって言ってるだろうが!! こんな無視すればいいだけの嫌がらせにお前の助けなんかいるか!

 わかったら、死ねっ!!」

「その嫌がらせを無視できずにさっきからパントマイムしてたのは、どこのどいつだ!!」

 

 いつからイルミの様子を見ていたのか、ソラが近づいていたことすら気付けなかったことを屈辱に感じながらも、イルミは針を投げつつソラから距離を置く。

 ソラから逃げ出す。

 

 そんなイルミをソラは、相変わらずマシンガンのような勢いで投げつけられる針を打ち払いながら、イルミの顔面めがけて蹴りつける。

 いつもとは真逆の役割で鬼ごっこに興じながら、どちらも会話を交わせば交わすほどにブチキレて叫び続けた。

 

「うるさい黙れ! そうだとしてもお前には何の関係もないだろうが!!」

「あるわい、バーカ!! お前の奇行なんていつものことだから私にはどうでもいいけど、カルトが気にするんだから、私で何とかできるんなら何とかするに決まってんだろ!!

 だから大人しくさっさとその右目を私に差し出せ!!」

 

 えらく猟奇的な要求をするソラに、突っ込みを入れる余裕もサービス精神もイルミにはない。

 ただ余計に苛立って、自分の家族でも1年前までほとんど聞いたことがなかった怒声を森の中で響かせる。

 

「誰の所為だと思ってんだ!?」

「お前の自業自得だろうがボケッ!!」

 

 ソラからしたら理不尽この上ない責任転嫁だったので、もちろん即座に言い返す。

 しかしイルミからしたら正真正銘、何もかもがソラの所為だ。

 

 死者の念になっていたとしても無視すればいいだけの念能力に振り回されているのも、最善が何であるかをわかっているのにその手段を選べないのも、1年前から、あの雪の日から続く苛立ちも不快感も、何もかもがこの女に出会ってしまったことから起因している。

 

 そのことに何も気づいていないソラに突き付けてやりたいと一瞬何かを言いかけるが、すんでのところでイルミは言葉の代わりに針を投げ付ける。

 

 なのにソラは無神経に、無自覚にズガズガとイルミが一番触れられたくない領域に上がり込む。

 

「あーっっ!! お前は本当にどうして私のことになるとカルト以上にガキなんだよ!!

 弟離れ出来てないブラコンのバカ兄貴ならバカ兄貴で、せめて弟のために一瞬くらい我慢しやがれ!! 何!? マジで何なの!? 私の何がそこまで気に入らないんだよ!!」

 

 その言葉で、イルミの顔から感情が掻き消えた。

 ソラと対応している時は悪い意味で感情豊かな方だったが、それでもソラが能面能面と連呼するほど表情筋は仕事しない仏頂面だったのが、今度こそ完全に無機質な人形の面となる。

 

 それを見てソラは冷や汗を流し、何かを誤魔化すように引きつった笑みを浮かべたが、それでもイルミは無表情のまま。

 ソラの発言に何も思うことはなかったのではないことは、わかってる。

 むしろ逆だ。

 

 一周回って冷静さを取り戻したという状態なのか、それとも顔に感情表現を出す余裕もないくらいに怒り狂っているのか、どちらにせよイルミから溢れ出る殺気が穏便な可能性を全て潰している。

 

 ソラは自分の発言の何が悪かったのかは全く分かっていないが、どうやら先ほどの発言はイルミにとって最大の地雷だったことだけは理解した。

 それでも、ソラは逃げなかった。

 

 針を投げつけず、いきなり表情を消してただ棒立ちしているようにしか見えないが、木々にとまっていた鳥たちが飛び立つことも出来ず気を失ったのか、それともショック死したのか、ぼたぼたと何羽も落ちるほどの殺気を放つイルミと木の枝を構えたままソラは相対し続ける。

 

 いつもならとっくの昔に逃げ出しているくせに、プロ意識なんてないも同然なくせに、なのにこれだけの殺気をぶつけられながらも、蒼天の眼がイルミを睨み続ける。

 自分に掛けられた“念”を殺すために、おそらくトップクラスで関わりたくないと思っているはずのイルミに今日は自分から近づいて、関わって来た。

 

 自分に関わって、自分と向き合って、自分を見ている。

 

 ――自分の弟の……、カルトの為に。

 

 その事実が、掻き消えていた感情をわずかにその顔に浮かび上がらせた。

 

 視界の端で幻影が、イルミを無視してイルミのすぐ脇を駆け抜ける。

 イルミと交戦しておきながら、イルミなど眼中になかった女が真の目的の為に階段を駆け下りた時の横顔。

 別の誰かのことしか頭になかったのが一目でわかる横顔がイルミの視界の一部に再生されて、奥歯が割れそうなほど強く噛みしめながら、イルミは何の光も見当たらない闇そのものの瞳をソラに向けて言った。

 

「……お前は、本当にいつもそうだな」

「はぁ?」

 

 唐突なイルミの文句や抗議なのかどうかも良くわからないセリフに、ソラはいぶかしげな声を上げるが、その声を無視してイルミは一方的に語った。

 

「こっちの気も知らないで、無遠慮に、無神経にこっちの領域にズカズカ入り込んで暴れ回るくせに、(ひと)のことは見向きもしない。無視ならまだしも、本気で気づいていないのが余計に憎らしい。

 見ないのなら関わってこなければいいのに、それなのにお前はいつだって俺の周囲に、俺の視界に無視できない形で関わってきて、挙句の果てに頼んでもいないことを押し売りしやがって……」

 

 イルミの嵐の前兆のような嫌に静かで淡々と語られる、初めて聞く自分自身に対する具体的な憎悪と嫌悪の理由にソラは、いぶかしげで「また訳の分からんことを言い出した」と言わんばかりに苛立っていた顔が、呆けたような顔になる。

 

 そんな風に思っていたのかという驚きと、納得が入り混じったような顔がまたイルミからしたら癇に障った。

 

 こんなことにすら気づいていなかったソラに、絶対に言いたくなかった、知られたくなかった心情を語ってしまった自分に同じくらい苛立ちながらも、ブチキレた思考から溢れだす憎悪は止まらない。

 

「そんなに、俺が憐れか?」

「え?」

 

 言いたくなかった。

 知られたくなかった。

 何よりも、認めたくなかった。

 

 けれど、チンピラなんかに掛けられた嫌がらせが突き付ける。

 

 視界の端にチラチラと嘲笑うように現れる幻影。

 本当に嘲笑っていた方が、イルミにとってはよほどマシだった。

 

 今もイルミのセリフでまた困惑して目を丸くするソラとダブって、影は笑って尋ねる。

 

『大丈夫?』

 

 冷静さを失い、ソラを殺せずに地に伏せるしかなかった、忌々しげに睨み付けるしか出来なかったイルミを見下ろしていたあの日の影が、何度も何度も笑う。

 

 初めてイルミを「見た」ソラは、自分を憐れんでいるとしか思えなかった。

 

 * * *

 

 イルミの殺意の源泉は、あの雪降る夕暮れ時の邂逅だ。

 だからきっと翌日に出会っていなくても、イルミから逃げ切っただけではなく「除念」まで出来るソラに興味を抱いた父に再び引き会わされなくても、再会が1年後のハンター試験だったとしても、イルミの行動は変わらない。

 チャンスがあれば、出会い頭でも殺しにかかることを確信している。

 

 だけど、ここまでソラの能力の特異性を利用したいとは思わず、それどころか何度も何度も冷静さを失って無様な失敗を繰り返しているにも拘らず、殺すことに固執してしまう原因は最初の出会いではなく、2度目の邂逅。

 

 あの最大の不運にして失敗があったから、そして初めてソラが自分を「見た」ときに向けられた感情が「憐れみ」だと思ったからこそ、ソラを殺したくて仕方がないという執着であり、そしてどうしても頭に血が昇る程に許せない、今すぐにでも消し去りたい、ソラと同じ力を得て殺してしまいたいほどに屈辱的な過去だ。

 

 “念”を掛けられて倒れ伏したイルミを、ソラはポカンとした顔で見ていた。

 さすがに、何が起こったのかがわかっていなかったのだろう。イルミだって、何が起こったのかわかっていなかった。

 

 廊下の壁に隠されていた階段から降りた地下室。

 人体蒐集家のコレクションルームには、真っ当な感性の持ち主なら一生もののトラウマになりそうなほどおぞましいコレクションがいくつも鎮座していた。

 

 シャム双生児のホルマリン漬け。

 様々な人間の奇形部の剥製。

 人骨が材料と思われる家具や調度品、人の髪や皮で作られた衣服。

 

 「どれ」が元凶だったかなんてイルミは未だ知らないし、ソラだっておそらくわかっていない。

 ただ、部屋に入ったソラやコレクションの持ち主であるターゲットが無事だったのに、イルミだけが被害に遭ったのは単純に運が悪かっただけの話。

 

 一般人が死の間際の憎悪や未練で「死者の念」を発現させるのは珍しくないが、それが能力として機能するのは稀。

 だから、あそこに並べられたコレクション達も「死者の念」を発現させ、「幽霊」となっていたものはいくつもあったのだろう。もしかしたら、全部がそうだったのかもしれない。

 

 全部がそうだったとしても、ただそこに留まることしかできない、存在していないに等しい無意味で無害な存在に過ぎないものだったが、イルミは運悪く引き当ててしまった。

 

 自分と波長が合ってしまう、「死者の念」がそこにいた。

 

 性格か、オーラの系統か、もしかしたらコレクションの中には過去にゾルディックの誰かが、イルミ自身が殺したからこそ、自分の死体が人体蒐集家のコレクションになるという末路を辿った者がいたのかもしれない。

 どんな条件が当てはまって、その「死者の念」の攻撃対象になってしまったのかなど、未だにイルミは知らない。知る必要も意味もない。

 

 ただ、屈辱この上ないがあの階段を駆け下りて、地下室に足を踏み入れた瞬間、イルミは立っていられなくなって床に倒れ伏した。

 粘着質な泥が全身にまとわりついて、底なし沼に引きずり込まれるような感覚が襲い、全身の精孔に何かが詰まってオーラを外に放出するどころか、自身の体にオーラを巡らせることすら阻害されてしまった。

 

 強制的な“絶”よりも性質が悪い状態にされて、能力を使うどころかろくに身体を動かすことすら出来なくなったイルミを、ポカンとした顔でしばらく見ていた女は……ソラは、ノコノコと近づいて来て笑って言った。

 

『大丈夫?』

 

 尋ねながら、イルミの答えなど聞いていなかった。

 ただ、夜空色の瞳の明度を上げてイルミの前にしゃがみ込み、倒れ伏しても起き上がろうと、出せるだけの力を振り絞って床に爪を立てていたイルミの手の甲を細い指先で一度、軽く突いた。

 

 それだけで全身にまとわりついて、イルミの精孔を塞いでオーラを流れを阻害していた粘着質なオーラは、「死者の念」は消え去った。

 掛けられていたのが「死者の念」でなかったとしても、あり得ないほど簡単に“念”が無効化されたことをハイレベルの念能力者だからこそ、それがどれほど非常識なことをよく知っていたからイルミは現状がすぐには理解できず、除念されてもすぐに起き上がることはできなかった。

 

 そんなイルミに、立ち上がったソラはやはり笑いながら言った。

 

『運が悪かったね。でもまぁ、無事でよかった』

 

 自分に何が起こったのかもまだ把握しきれていなかったから、「死者の念」を指先で軽く突いただけで無効化したという事実だって理解できていなかった。

 何が起こったのか、その女が何者なのか、何もわかっていなかった。

 それでも、その言葉が、その笑みが、その対応がイルミを動かした。

 

 イルミの殺意に火をつけた。

 

「そんなに、俺が無様だったか?

 自分を殺すために追って来た奴に、情けを掛けるほどに?

 何の興味もなく、殺しにかかっても相手にしていなかった俺が視界に入る程、無様で憐れだったのか!?」

 

 もうイルミは、目の前で困惑している現実のソラに言っているのか、そんなソラにダブって笑っている、笑って『良かったね』と言う過去の幻に尋ねているのかもわからない。

 

 どちらも同じくらい不快で屈辱的で気に入らないから、関係などなかった。

 尋ねているが、答えなど求めていない。答えなど、イルミの中ではもうすでに決まっている。

 

 憐れみだと思った。

「大丈夫?」と尋ねたのも、除念をしたのも、笑ったのもすべて、何もかも自分より遥かに格下の相手だからこそ、そんな相手が運悪く本来ならいないも同然な「死者の念」のターゲットに引っかかってしまった不運を、憐れんだからこその施しだと思った。

 そうだとしか思えなかった。

 

 だって、それまでその女は見ていなかった。

 交戦しても、殺しにかかっても、ソラはイルミを見ていなかった。相手にしていなかった。

 

 ただ、別の何かを見ていた。

 

 その「何か」があるかもしれないと思っていた部屋を見つけたから。イルミをすりぬけて階段を駆け下りた。

 その「何か」がないとわかったからこそ、ようやくイルミを見た。

 

 イルミを見て、何もできず無様に倒れ伏すイルミを見て、そして……あまりにも憐れだったから情けをかけて除念してやった。

 

「……ふざけるな」

 

 イルミにとって殺してやりたい己の過去に、冷静さを保てず、合理性を捨ててでもソラを殺してやりたいと思ってしまう理由に、あの日からずっと続く、悪夢そのものにイルミは吐き捨てるように言った。

 

「どんなに無様でも、無意味でも、愚かな選択でも、お前の情けなんか、同情なんか、憐れみによる施しなんかいるか!

 そんなもので生きながらえるくらいなら、今すぐにこの首を掻っ切って死んだ方がマシだ!!」

 

 それは嘘偽りなど一分もない、まぎれもないイルミの本音。

 言葉通り死んでしまわないのは、その前にソラを殺してしまいたいから。ソラを殺さないと、死んでも死にきれないから。

 それほどの憎悪をぶちまけ、叫び、吐露した。

 

 それに対するソラの答えは――

 

 

 

 

「………………はぁ?」

 

 

 

 

 

 セレストブルーのガチギレだった。

 

 * * *

 

 怯みはしない。

 しかしイルミの全身に鳥肌が粟立った。

 

 ソラにとっては3度目、イルミにとっては4度目の出会いでようやく、執事達を使って人海戦術で追いつめた時と同じように、ソラの眼は蒼天に対する最上級の美称がふさわしい色となって、イルミを映す。

 

「……黙って聞いてりゃ、訳の分からん被害妄想爆発させやがって。

 情け? 同情? 憐れ? 施し? 挙句の果てに、『死んだ方がマシ』ときたか……」

 

「殺さなければ殺られる」状態にまで追い込んだ時と同じ眼をしながら、ソラは俯いて深い溜息をついた。

 聞き分けのない子供を叱るのももう疲れたと言わんばかりの様子が、ソラの眼で少しは冷静さを取り戻し、勝算を計算し始めたイルミの頭に再び血を昇らせる。

 

 が、イルミの殺意が行動に移る前に、ソラは顔を上げた。

 

「――ふざけんな」

 

 イルミ以上の怒りを燈したセレストブルーの眼が、そこにあった。

 

 言うな否やソラがダッシュをかけて、イルミへと距離を詰める。

 この女と接近戦、特に最高精度状態のこの眼で間合いに入られるのは自殺志願同然であることなど、イルミは良く知っている。

 

 だから距離を詰められた分だけバックステップで離れながら、イルミは針を投げつける。

 自分の体に刺している、釘や鋲と言った方が正確なぐらいの太さと大きさの針だけではなく、隠し持っていた自分の髪のように細い針を何十本も同時に広範囲に投げつけた。

 

 これなら、木の枝で払いのけようがない。この針から逃れるには、ソラの方も後ろに跳んで距離を置くしかないと思っての行動だったが、ソラは勢いよく着ていた赤いレザージャケットを脱いで、それにオーラを纏わせて振り回し針を防いだ。

 

 イルミの知るソラはいつもツナギ姿で即座に脱げるような恰好をしていなかったので、この防御は頭に血が昇っている状態のイルミでは想定できなかった。

 さらにソラは針だらけとなったジャケットをイルミに向かって投げつけながら、叫んだ。

 

「来いよ! クソジジイ!!」

「!?」

 

 意味不明な呼びかけだが、この呼びかけが何を生み出したのかをイルミは知っている。

 ハンター試験の最終試験、イルミでも仕事で依頼されたら「最悪だ」と思う程の戦闘狂にして殺人狂の変態との死闘でお目にかかった、ソラの眼と同じくらい念能力の常識にとらわれていない非常識。

 

 やたらと華美な棍棒にしか見えないものを具現化して、それに本人が生み出すものよりはるかに過分なオーラを纏わせて光の斬撃を撃ち出す、シンプルだからこそ対処が困難すぎるあの念能力の発動キーワードであることくらい、ハンター試験で見ただけではなくカルトとソラが一緒に仕事をした際の話も聞いていたイルミには一目瞭然だ。

 

 ヒソカの“硬”による防御すら貫通したあの威力を思い出し、イルミは気休めにすらならないことを理解しつつも“堅”で全身を防御しながら投げつけられて一瞬視界を塞いだ赤いジャケットを薙ぎ払う。

 薙ぎ払って開けた視界で見たものは、あの謎の武器を構えるソラではなく、何やらコールタールに似た液体が入った香水のミニボトルぐらいの非常に小さな小瓶。

 

虚構細工(キシュア・ゼルレッチ・)宝石剣(シュバインオーグ・レプリカ)」の制約を知らないイルミを騙してオーラを攻撃ではなく防御に全て回させ、現在実験中である「魔術」そのものが詰まった小瓶を投げつけたソラが不敵に笑う。

 

「そこに、意味はない」

 

 ソラの普段使用している宝石による攻撃と同じように、その言葉が起爆の合図だったのか小瓶の中身が沸騰したように急激に泡だって、小瓶を内側から破壊して中身が飛び散る。

 その中身はイルミに降りかかる前にイルミの纏ったオーラに触れて蒸発するように消える。

 

 イルミのオーラごと、液体は掻き消えた。

 

「なっ!?」

 

 かなり小さな小瓶に入っていた液体なので、量は大匙で2,3杯あるかないか程度だ。

 その程度の量だったにもかかわらず、イルミの全身を包んでいたオーラが掻き消えた。

 

 強制的に“絶”にされたわけでも、あの1年前の死後の念のようにオーラの放出自体を阻害された訳でもない。

 イルミのオーラが放出する端からまるで溶けるように、ソラの言葉通り何の意味もなさないものに分解されてしまったように、掻き消えてしまった。

 

(どれだけ反則的な隠し玉を持ってるんだ、この女は!?)

 

 ソラの前では冷静さが保てないというのも差し引いても、想定外のことばかりをしでかすことにまた苛立ちと屈辱を感じながら、イルミは再びオーラを練り上げて放出し、身に纏う。

 幸いながら、ソラが投げつけた液体の効果は長く続くものではなかった。放出した端から無効化された時間は2秒ほどだ。

 

 しかし、それだけあれば十分だった。

 両足にオーラを込めたソラが、ロケットのごとくの勢いでイルミに向かって飛びこんで、そのまま押し倒すのは。

 

「はぁ!?」

 

 いきなり言葉通りぶっ飛んできた女に引き倒されてイルミは抵抗するが、筋力と体格では圧倒的にイルミが勝っているが、“念”の系統は操作系VS強化系。

 強化系が苦手分野のイルミでは、筋力や体格での有利な部分はほぼ打ち消されてしまい、さらに言えばこの女相手だと腕を振り回すなど下手に派手な抵抗をすれば、本人にその気がなくてもまさしく「うっかり」で、良くて手足の切断、悪ければ即死が本気であり得るからこそ、力づくで跳ね除けるという手段は躊躇われた結果、マウントを取られてしまう。

 

 だが、大人しく諦める気はもちろんサラサラないイルミは、ソラの足や頭を掴んで何とか体勢を反転させるか、引き離そうと試みるが、ソラもイルミの手を掴んでそれを引きはがそうとしながら、相変わらず美しすぎる蒼天の瞳でイルミを見下ろして睨み付けた。

 

「お、と、な、し、く、し、て、ろっっ!!」

「っっどけ!! おりろ!! 死ね!!」

 

 プロレスにしてもやたらと泥臭い馬乗りの体勢で、ソラはイルミを見下ろして命令するが、イルミはいつもの仏頂面はどこへやら、ゴンやソラとケンカして掴みにかかるキルアによく似た顔で抵抗し続ける。

 そんなイルミに和む余裕は、当然ソラにはない。

 

「誰が死ぬかバーカ!! っていうか、良いのか私が死んで!! 言っとくけど、私が死んだらお前の掛けられた“念”なんか何の関係もなくお前は多分一生、私の幻に憐れまれるぞ!!」

 

 イルミにアイアンクローに近い形で頭を掴まれて引き離そうとのけぞらされながら、ソラは怒鳴り散らして叫ぶ。

 その叫びで、イルミの腕の力が緩む。

 

「……どういう意味だ?」

 

 ソラの頭を掴んだまま、眉間に盛大に皺を寄せてイルミは訊いた。

 そんなイルミに鼻を鳴らして、のけぞった体勢のまま見下ろしてソラは答える。

 

「……体が死んだくらいで『人』は死なねぇし、『亡霊』を生み出すのは死んだ本人じゃない。遺された生者だ」

 

 その眼はやはり、自分など見ていないことなどイルミはわかっていた。

 自分を通して、別の何かを、誰かを見ていた。

 

 己の心の深淵に刻み込まれて住み着く亡霊を、ソラは見ていた。

 

 * * *

 

「死者は何もできない、死人に口なしなんて嘘だ。死者ほど傲慢に、一方的に生者に干渉してくるし、腹が立つくらい雄弁だ。

 その癖、こっちの言うことは何も聞いちゃくれない。こっちが完全に忘却して2度目の死を迎えない限り、死者は何も答えてもくれないし変わってもくれないまま、覚めない夢みたいにずっとずっとまとわりつく」

 

 頭を掴むイルミの手を引きはがし、ソラは語る。

 イルミを見下ろしながら、その人形のような顔に別人の面影を見ながら。

 

 自分にまとわりつく、どんな答えを得ても何度だって泣きながら笑って訊き返す、姉の面影を見ながらソラは語る。

 

「死んだら相手のことをスッキリ忘れられるとは限らない。むしろ、忘れられる方が稀だ。

 相手にどんな感情であれ強く何か思う所があるのなら、その思いが亡霊になるんだよ。そしてその亡霊は、私でも殺せない。私以上の除念師でも、除念することなんかできない。

 

 その人がどう思っていたのか、その人が生きていたのならどんな未来を歩めたのか、答えが出ないし意味なんかない夢想を、その人を忘却するまで胸の内に抱え込まなくちゃいけないんだ」

 

 自分を見下ろすソラに苛立ちを隠さず睨みつけながらも、イルミの抵抗は止んでいる。

 黙って、話を聞いていた。

 

 この女の言葉という時点で何もかもが気に入らないが、腹が立つことにその言葉に間違いはないことは理解している。

 

 自分に掛けられた“念”が、疑似的にそれを教えた。

 この女が死ねば、本当にもう二度とこの女に干渉できなくなっても、自分の記憶に焼き付いた幻影が一方的に関わってくることがどれだけ不愉快なことなのかは、もう散々思い知った。

 

 そんなこと、こんな“念”を掛けられる前から知っている。

 こんな“念”を掛けられる前から、ソラが死んでいてもいなくても1年前から、あの日からイルミは何度も何度も何度も何度も思い知らされてきた。

 あの日の「夢」を何度も見続ける、あの日からずっと覚めない夢の中にいるイルミからしたら、そんなの今更言われるまでもない。

 

「……何だそれは? 命乞いのつもりか?」

 

 わかった上で、イルミはそれでもこの女を殺すことを選んだ。

 わかっているからこそ、イルミはソラを殺してしまいたかった。

 

 だって、生きていてもソラはイルミを見ない。

 生きていてもソラはイルミに見向きもせず、他の誰かを見て、追って、自らの命を燃やして傷ついて消耗させて、それでも駆け抜けていく。

 

 生きていても、死んでいても、自分はソラに干渉できないのならば。

 ソラが自分を見ることがないのなら。

 

 例え夢から覚めることが無くても、夢の続きを終わらせることが出来るのならば終わらせてしまいたかった。

 生きているから期待してしまうのなら、そんな期待など捨て去りたかった。

 

 殺してしまいたい「夢」そのものの女は、幻影と違ってイルミの問いに答えた。

 イルミを、見た。

 

「お前もそうだって言ってるんだよ」

 

 不愉快そうに眉根を寄せて、イルミに覆いかぶさって、イルミを見下ろして睨み付けながらソラは答える。

 

「お前は、いったい何であんな被害妄想爆発させてるのか知らないけど、あんな言いがかりを一方的に喚いておいて『死んだ方がマシ』ってふざけてんの?

 

 お前が良くても、周りが全く良くないんだよ。お前が死者の念も残さず満足して死んだって、生きてるこっちが勝手にお前の亡霊を生み出して、心に居残り続けて迷惑なんだよ。そんなのも、わかってなかったのか?

 お前が死ねば、私なんかよりもカルトがずっとずっと自分の罪悪感をお前の亡霊にして、お前の亡霊に取り憑かれて苦しみ続けるってことも想像できなかったのか? それとも、お前は守った弟をそうやって苦しめるために死ぬって言うのか?」

 

 弟の名が出されて、また頭に血が昇って苛立ちが爆発しかけた。

 

 お前が勝手にカルトの心情を語るな。

 死んだ方がマシと思わせたのは、お前のそういう所だ。

 お前の、俺を前にしても別の誰かしか見ないその眼の所為だろうが!!

 

 そんな言葉をぶちまけかけたが、思いとどまった。

 思いとどまったのは、ソラの言葉にあまりにもささやかだが一瞬だけ、垣間見えたものがあったから。

 そのことに気付いてしまったイルミはぶちまけかけた言葉の代わりに、怒りに歪んでいた顔を少しだけ幼く見えるくらいに呆けさせて、訊き返した。

 

「……お前も、そうだって言うのか?」

「は? 何が?」

 

 言った張本人が、イルミが何に気付いて呆けているのかわからず訊き返したことにまたイラッとしながら、イルミはソラの言葉からかすかに見えた「それ」を口にする。

 

「……お前も、俺が死ねば俺の『亡霊』に取り憑かれるって言うのか?」

 

 ソラは「イルミが死ねばカルトの罪悪感がイルミの亡霊となって苦しむ」と語る前に、「私なんかより」と自分を引き合いに出した。

 カルトほどではない。けれど、自分だってそうだと言った。

 

「? 当たり前だろ」

 

 イルミの訊き返した問いに、きょとんとした顔で言いきる。

 イルミなど見ていないと思っていた眼で、呆けるイルミを映しながら。

 

「……何でだ?」

 

 さらに問うイルミの腹の上に馬乗りになったまま、ソラは実に面倒くさそうに顔を歪める。

 何でこんなことを今更説明しなくちゃいけないんだ? と言わんばかりの顔だった。

 

「あんだけ心当たりないのに毎回こんにちは死ねされて、その理由も知らないまま死なれたら普通に何であんなにも私を殺したがってたのか気になるに決まってるだろ?

 つーか、お前が私の何にムカついてたのかはなんとなくわかったけど、憐みだの同情だの施しだのって何? そんなもん、お前に掛ける余裕なんかないっつーの。何でそんな被害妄想爆発させてるのかっていう謎が増したわ。

 

 だから、お前に死んで欲しくないんだよ。

 私が胸の中に折り合いつけて住ませてやれる亡霊はうちのバカ姉一人で精一杯だっていうのに、お前が私の手の届く範囲で、私が何とかしたら生きていけたのに死んだら、お前の亡霊が覚めない夢になって、無意味で無駄な期待をしてしまうんだよ。

 もしかして、あの時こうしていたら仲良くなれたのかな? とか、どうしてあんなに恨まれてたんだろうとか、もう絶対に出ない答えを探してしまうし、私のものにはならない未来を見てしまうんだよ。

 

 それが嫌だから、死なせたくないんだよ。同情でも憐みでも施しでもない、お前なんかどうでもいいし、正直に言えばカルトのことだってほとんどついでの立ち位置だ。全部私の為だ。

 こちらは干渉できないのに、ずっとこっちに一方的に関わってくる亡霊よりも、生きてるお前の方がマシだからお前を生かすんだよ」

 

 イルミを見ながら、憐みではなく心底呆れたような目で見降ろし、傲慢に言い切った。

 イルミを見ながらも、この女はやはりイルミを相手にしない。

 相手にしたくないからイルミに生きろという、やはり殺してやりたいほどに腹の立つ言い分。

 

 あまりに腹が立ったので、イルミの胸の内から「死んだ方がマシ」という考えはソラの傲慢さに対する怒りで蒸発してしまったかのように消えてなくなる。

 

 死んだ方がマシだとは思えなくなってしまった。

 

 思えなくなったのは、ソラの傲慢さが気に入らなかったからにすぎない。

 やっぱりこいつを殺す前に自分が死ぬなんて、それこそバカらしいと思ったから。

 自分が死んで、自分ではない自分の「亡霊」がこの女の胸の内に住み着いて、そしてそれをソラが「見る」という未来を想像してしまったことなど関係ないとイルミは自分自身に言い聞かせた。

 

「! 隙あり!」

「ねぇよ」

 

 言い聞かせている間にソラが唐突にイルミの右目に指を突き入れようとしてきたが、イルミはその手を即行で叩き落とす。

 もちろん、叩き落とされてたくらいで諦める訳もないからこの現状な訳で、またしてもソラとイルミの取っ組み合いが勃発する。

 

「お前、除念のついでに俺の眼を潰す気だっただろ!?」

「ちげーよ! 除念関係なく普通にお前に目つぶししてみたかったんだよ!!」

「お前本気で何しに来たんだよ!?」

 

 ソラどころかイルミも事の始まりを覚えているのかどうか怪しい舌戦を交えながらの攻防戦は、傍から見たらやたらと派手で騒がしいが微笑ましく見えなくもない兄妹ケンカのような有様になっていることに、二人は気付いていない。

 

 もちろん、イルミの眼を割とガチで潰しにかかるソラの両手をイルミは捕え、さらに起き上がって体勢を逆転させようと試みるイルミの腹筋を、馬乗りしているソラが足で挟み込んで押さえつけるという、どちらもオーラを駆使しての攻防戦なので、実際にしていることは何一つとして可愛くも何ともない。

 

 ギリギリとソラとイルミが互いの両腕を掴みかかって押しつ押されつを繰り返し、ただでさえ念の系統上不利な上にソラは魔術回路の所為で胴部へオーラを巡らすのが不得手な代わりに、回路がある手足への“凝”が得意な為、マウントポジションを取られてしまっているこの状況ではもう自分に勝ち目がないことを悟り、ついにイルミが根負けして叫んだ。

 

「っっっっああ、もうわかったよ! 除念されてやるからいい加減降りろ!! この痴女!!」

「誰が痴女じゃぁぁぁっっ…………………え?」

 

 力任せにイルミの腕を掴んで押さえ込み、イルミに覆いかぶさった状態でソラはとっさに言われたことを言い返したが、途中で何かに気付いたように目を丸くして数秒固まる。

 イルミを押し倒して、イルミの腹の上に馬乗りになって、イルミの腕を押さえつけて覆いかぶさったまま固まったソラが、そのまま眼だけを動かして、改めて今の自分の体勢と恰好を見た。

 

 イルミの針からの盾にして、赤いジャケットは脱ぎ捨てた。

 透明なストラップをつけてはいるが、ソラの上半身は下着同然の白いチューブトップだけ。

 下半身のショートパンツはツナギの下に着ていたものだが、足の付け根から切りっぱなのでやはりこちらも露出度で言えば下着に近い。

 

 そんな恰好で、男の腹の上に座って足で押さえつけて覆いかぶさっているという事実をようやく理解した瞬間、顔だけではなくそのむき出しの肩あたりまで真っ赤になり……

 

 

 

「きゃああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!」

「今更になって殴りにかかるな!!」

 

 

 

 絶叫しながら振りかざしたソラの渾身のビンタを、イルミは拳に“硬”をして受け止めた。





絶対にイルミとソラでラッキースケベイベントを一回書こうと思っていたので、満足です(笑)
男相手にマウントポジションは、ソラは体格上の不利を克服させるためによく取るので、普段の格好じゃ恥ずかしがるわけないのでアポクリのモーさん(私服)の格好にさせた甲斐がありました。

ちなみに、クラピカ相手にもラッキースケベイベントを絶対にしようと思っているので、これは今のところ大分後になりますが楽しみにしていただけたら幸いです。

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