神たちに送られ異世界に   作:こっとん1999

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58話。なかなか始まらない訓練。次回!ついに!?

前回のあらすじ
客が来たと思ったら皇帝だった
簀巻で送り返された
騎士団の団長は個性的だった


龍介、兵士の訓練に付き合う 2

 ヒューマ帝国防衛騎士団、約900名で構成される軍。主に国の治安維持に力を入れていて、その約6割がごく普通の騎士団をしており、残りの4割が私服警官のような感じで市民に紛れ込んでいるらしい。これにより約95%の犯罪を未然に防ぐ事ができているらしい。その割に裏道に入ると絡まれるんだが……これが残りの5%か…………

 ちなみに今日、訓練するは100名である。

 

「皆整列したわね?今日はゲストとして、最近活躍中の死神リュウスケに来てもらったわ」

 

俺の登場に団員達がひそひそと騒ぎだす。

 

「死神?あんな子供が?面白くない冗談だな」

「バッ!お前、知らないのか?たしか数百の魔物の首だけを斬り飛ばす、首コレクターだとかいったっけ?」

「いやいや、たしかスライムに恋愛感情をもつ変態じゃなかったか?」

「いやいやいや、ただちょっと態度がでかいだけで実力のある根は優しい子だと聞いたぞ?」

「「その噂は初耳だな」」

 

後であいつらには話をしなくちゃな。誰が斬首好きの首コレクターでスライムに欲情する変態だって?

 

「静かに!リュウスの従魔は非情に優秀で、先日魔物が攻めてきた時にも活躍し、今回のオーク討伐にも大きな活躍をしているの。さらに!今回の活躍でAランクになるらしいわよ」

 

「Aランク?」

「……俺は初めから分かっていたさ。あの子供がAランクになる逸山だってな……」

「「「お前さっき完璧に知らなかっただろ!」」」

 

「……それでは今日の訓練の説明をする!今回は実践を想定したものを予定しており、闘神の加護のかかったこの場所で行う。死なないからと言って、命を粗末に扱うことがないように!」

 

「サー・イエス・サー!!」

 

 100人全員による返事は凄かった。返事は気にしたら負けだろ。そういった感じで訓練が始まった。と言うか、俺Aランクになるの?初めて聞いたんだが……

 

-ピピピピピピピ-

 

「ちょっと失礼、-ガチャッ-もしもし?」

「おう、リュウ。昨日はご苦労だったな。突然なんだが明日、お前Aランクになるぞ」

 

通話が繋がるなり、グランがそんなことを言った。

唐突すぎて笑えない。

 

「俺も今さっき聞いて驚いてる」

「お、もう聞いたか。確か……」

 

 ギルマスの声が遠くなり、何かペラペラとめくる音が聞こえる。何にクエストを受けたか確認でもしているのだろうか?

 

「あったあった。騎士団の訓練に付き合ってるんだったな。しっかり鍛えたやってくれ。最近どうも気の抜けたやつが多くなってな……」

「ん?ギルマスは騎士団と何か付き合いがあるのか?訓練とか」

 

あの戦闘狂のギルマスのことだ、きっと戦いたいがために騎士団の訓練に参加でもしているんだろう。

 

「そうだ。俺は副業として騎士団の元帥をやってるからな。たまぁに訓練に付き合ってるぞ」

「元帥……騎士団の頂点だよな。副業って……」

「まぁ、そうだな。元帥になれば強い奴らと戦えると思ったんだが……正直微妙なところだ。それに書類仕事も増えるしよ……」

 

 副業でなんてものをしてるんだ……この戦闘狂が書類仕事とか……苦行だな。

 

「何度、やめようと思ったか……」

「辞めないのか?」

「皇帝に辞めないでくれって泣きつかれた。そこまでされて辞める訳にはいかんだろ?」

 

陛下の泣き顔……見てみたい、今度リブロに聞いてみよう。

 

「まぁそれはさておき、明日の正午。謁見の間な」

「ギルドじゃないのか?」

「Aランクはいわば英雄の域なんだ。皇帝陛下が直々に渡すんだ。他の貴族への宣伝にもなるしな」

「正直、貴族とはお近づきになりたくはないんだが?」

 

貴族至上主義みたいなのが少なからずいるだろうし、めんどくさくなるに決まっている。まぁ、そうじゃない貴族がいるのも解るが……

 

「気持ちはわからんでもないが、うまくやっていくしかない。諦めろ」

 

慈悲はないんですか!

 

「じゃ、そう言うわけだ………おい、クリス……その紙の山はなんだ?昨日と一昨日の書類?………くそ、一体いつになったら終わるんだ……これで3徹はいくぞ……」

 

そういってギルマスとの通話が切れる。おおかた、サボっていた分だろう。自業自得だな。

しかし……元帥か、ギルドマスターと併用か……そりゃ書類云々で潰されるに決まっている。

 

「リュウ、もう良い?」

「ああ、大丈夫だ。ん?」

 

 バルバロッサが俺の通話が終わった頃合いを見計らって話しかけてくる。右手には血のように真っ赤なハルバード……アマゾネスだな。じゃなくてその武器からなにか漏れてるような気配が………

 

「そのハルバード、何か特殊な素材を使ってるのか?」

「いい目をしているのね、鑑定でも使ったの?」

「いや、勝手に鑑定を使うのは失礼だとお思ってるんでな。そういったことはしないんだ」

「意外と紳士なのね。正解よ、これはマデュライトをふんだんに使ったオーダーメイドのハルバードなの」

 

 マデュライト……スライムマデュラの素材か?

 

「マデュライト?スライムマデュラのか?」

「あら、よく知っているわね。そうよ、このハルバートはマデュライトの効果を利用して、一定範囲の味方に効果が及ぶようにしたハルバードなの」

「魔道具なのか?」

「準魔道具ってやつね。普通の武器以上、魔道具未満ってところかしら?もちろんピンからキリまであるんだけどね」

「はじめて聞いたな、最近できたのか?」

「そうよ、魔物の素材を使って武器を作っていたら偶然できたらしいんだけど、つい最近確実に作れるようになったらしいわ。魔道具には劣る劣るけど、値段は安い方だから、買ってみてもいいんじゃない?紹介するわよ?」

 

 なるほど。しかし、そんなものがあったとは。つまり素材の能力を活かす武器か。これはいつか作るしか無いな。

 

「いや、俺の武器はもう揃えてるから大丈夫だ。必要になったらまた頼む」

「それもそうね。それじゃあ、兵士たちの訓練を始めましょうか。まずは10対10の訓練から始めるわ」

「ああ、最高か普通か最弱か。どれからが良い?」

「そうね……まずは無難に最弱からおねがいできる?」

「よし、それじゃあ始めよう」

 

 訓練スタートだ

 




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