紅き外套 オラリオへ行く   作:クグイ

9 / 13
少々腰を痛めましたクグイです。高校生でも弱めですがギックリ腰になることを実体験で初めて知りました。話は二つ程あります。
まず戦闘描写マジムズイ。なんかわけわからなかった場合すみません。
もう一つは本編関係ありません。デレマス凛ちゃんでねえ……。
それではどうぞ!


現在の力

朝の仕込みが終わった後、士郎はすぐにタケミカヅチファミリアのホームに向かった。現在朝は7時。彼らのホームの近くにはちょっとした平地があり、周りには人が住んでいない場所で毎朝稽古を行っていることを聞いた士郎。朝は仕込みだけでほぼほぼ夜に開店する豊穣の女主人の営業方法のおかげで翌日には行くことが出来た。

 

「おはようシロウ君」

 

タケミカヅチに続いて他の3人とも挨拶を交わす士郎。

 

先に命と千草が先に稽古……というより模擬戦を行っていたらしく、2人ともうっすら汗をかいていた。休憩中だったらしく談笑していた4人の中に入っていくのはちょっと士郎は身構えたが、特に問題はなさそうである。

 

「桜花、すまないが私と模擬戦してくれないか。今のステイタスと合わせてどれほどか確かめてみたくてね」

 

問題無い、と桜花は返事をして、納刀したままの刀を手に立ち構える。

 

投影、開始(トレース・オン)

 

そう呟き彼の両手にはいつものといっても過言ではない夫婦剣。数多くの戦いで彼と共に戦い、守ってくれた思い出の一品。相棒と言っても間違いでは無いその二刀が薄く輝き彼の手の先から現れた。

 

ほうっとタケミカヅチと桜花はリアクションが少なかったが、命と千草は口を開けて驚いてしまっていた。

 

「驚かないのだな」

 

「驚いてはいるさ。タケミカヅチ様にある程度聞いていたのでな。準備もバッチリだ」

 

勿論、彼の夫婦剣は両刃とも潰して投影してあり、戦闘手段としては殴るなり何なりするしか方法は勿論無い。少なくとも桜花も切るという行為が出来ない。

 

「お前はレベル1だからな……10分で終わりにしよう」

 

眉根を潜めて士郎は返事をする。

 

「それは舐めていると受け取っても構わないのかね?」

 

「言い方が悪かったか?別に舐めてるわけじゃないさ。昨日のあの一件を見て、舐めてかかる方がバカでしかない。ただ、言っただろう?タケミカヅチ様に聞いていると」

 

そこで士郎はあの魂のことを桜花は聞いているのだなと悟った士郎。他の2人は何の話か分からずタケミカヅチに聞いていた。しどろもどろになってそれをはぐらかすそれはいけないことをした父親に怒る子供達の図のようでちょっと笑ってしまう。

 

そこから何とか抜け出しタケミカヅチは両者の間に立つ。

 

「それでは今から桜花対シロウによる模擬戦を行う」

 

互いに準備は整った。不意に緊張が辺りを包み、遊び半分ではないことが素人でもわかるほど、真剣味を帯びさせる。

 

「始め!」

 

その言葉をきっかけに、両者は一気に進み出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先に言っておこう、意味がわからない。そういう気持ちを命と千草は一斉に、同タイミングで思った。今までタケミカヅチファミリアにおいて最強を誇っていたのは団長である桜花であった。同じレベル1同士時代でもステイタスは殆ど変わらなかったのにもかかわらず……だ。

 

ステイタスが殆ど同じならば誰しも互角だと思っているレベル1の冒険者は少なくない。だがそんなことはないのだ。ステイタス以外にも本人の力量というものは正しく存在する。相手に攻め入る度胸と自信。どのタイミングで攻撃を行うかの判断力、戦闘経験フェイントの巧さ。

 

上げればキリがないほどに速さ力に関係なく戦いを決定づけられる要素は存在するのだ。

 

その点偉業を成し遂げなければ成り得ないランクアップを成し遂げた者は得手不得手はあったものの、その要素を行うために訓練を続けた者ばかりだ。勿論レベル1全員が努力をしていないとは言わないが。

 

何を言いたいかといえば、その努力を桜花、いやタケミカヅチファミリアというものはどのファミリアに比べ上位に上がるほど訓練を積んできたということである。タケミカヅチが下界に降りてきたのは20年前。タケミカヅチも少しは娯楽を楽しではいたのだが、やはり武神であったからか、徐に道場を開けたのである。小さな道場であったためか、最初は全然集まらなかった。というより0であった。

 

やはり道場はダメだったのかと落胆し、タケミカヅチは道場を閉めようとした瞬間に現れたのが桜花だったのである。それが10年前だ。最初の三年間はタケミカヅチと桜花のマンツーマンで稽古を行い、桜花はその地域最強と名を轟かせた。そこで7年前に命と千草が道場に入り、徐々に仲を幼馴染として、努力していく仲間として、指導し指導される師匠と弟子として、4人は絆を深めていった。ステイタス抜きでいえば2年前、和の国最強と成り、もっと力をつけたいと思い至った4人はオラリオに出向き、タケミカヅチ道場からタケミカヅチファミリアに成ったのだ。

 

なのに何故レベル2になるまでに2年が必要だったのか、それは単純にステイタスは上昇しにくい代物であったことと、モンスター相手に不慣れであったから、としか言いようがない。

 

だが同じ人間相手であれば、ステイタスに圧倒的に差がなければ、桜花は人間には相手であれば確実に勝てると、そう2人は信じていたのだ。対人戦特化。それがタケミカヅチファミリアの真髄だ。

 

だが、今はどうだろう。試合が始まって5分を切ったあたりだろうか、レベル1とレベル2が戦っているにも関わらず、お互いに全くと言っていいほど互角に戦っているではないか。

 

金属と金属がぶつかる時にでる鈍く甲高い騒音と、互いに、いや桜花のみが息を切らし、シロウとて薄く汗はかいているものの、まだまだ余裕があるように見える。

 

双剣のうち一つの黒い刃干将で桜花の刀を弾き、白い刃莫耶で切り掛かる。いや切り掛かるよりかはぶつけるといったほうが刃を潰した今は正しいかもしれない。そこで体制をわざと崩し、桜花は避けながら蹴りつける。それを最小限の動きでシロウは避けながら、一度バックステップで距離をとる。間は5メートルほど。コレと同じようなことが先ほどから起きていた。最初は桜花のほうが優勢を誇っており、シロウは只々避けることに集中していた。避け、よけ、フェイントを仕掛けられても冷静に対処し、いなし続けた。一瞬ではあったが、桜花は自身のレベルが上がったことの実感をかみしめた。それが隙に成ったのだ。その一瞬をシロウが逃すはずはない。一気に攻撃に移り、剣舞と言えるほどに美しい、獰猛な連撃を叩き込む。そこから徐々に優勢をはシロウに傾き始ていった。

 

距離をとったまま、不意にシロウはゆっくりと、この気持ちいい緊張感を崩さぬように喋りかける。

 

「いやはや、まさかここまでとはね。正直、最初の3分で終わりにしようと思っていたのだが……。舐めて掛かっていたのはどうやら私の方であったらしい。非礼を詫びよう、桜花」

 

確かに、タケミカヅチファミリアは対人戦特化なのは事実だ。だがシロウとて経験値は対人戦において負けるはずもない。聖杯戦争。守護者となる前もその後も戦場で戦い続けたのだから。

 

「どうでもいいさそんなことは。それより、お前、まだ本気出してないな?」

 

不意に、怒りが桜花の顔に浮かび上がる。

 

「いや、本気で戦ってはいるさ。私は今はスキルを使っていないだけでね。今は剣術だけで、実力だけで君と戦いたかった。それだけのことだ」

 

光栄だねえ……と桜花は舌打ちを言いながら皮肉をいう。正直に言って、レベルの差が圧倒的でなければ、ステイタス関係なく剣技だけでいえば、今やオラリオ最強であるオッタルとも互角に戦えると考えていた。だがどうだ。昨日の一件を見て気を抜くのはバカだと判断した。なのに気を付けたことで失敗し、今や敗北に向かおうとしてる。油断していないし、軽視しているわけでもないが、先日冒険者となったばかりのルーキーに。別に、無駄なプライドを持っているとは桜花は思っていない。それは今後邪魔になると判断し、幼少時代においてきた。だが、負けるわけにはいかない。剣術だけなら、積み上げてきたものに報いるために。そう、たとえ本当の戦い……殺し合いでも試合でもないが、模擬戦であろうとも、負けを認めるわけにはいかない。

 

 

 

一斉に、2人はまた構え直す。だが、今回は携えるものが違う。1人は鞘から綺麗に整えられた刀を出し、何度も構え、修正し、自慢とも言えるほどに構えなおした型をつくる。

 

もう一方は一度取り出した投影品を消し、またもや青い霧が浮かび、刃を輝かす夫婦剣、干将・莫耶と呼ばれる陰陽剣を携える。

 

誰かが合図したわけでもなく、2人は一斉に間合いを詰め、勢いよく振りかぶったその刹那―――

 

「そこまで」

 

そう静かに囁きながら、タケミカヅチはどこからとなく出した短刀二本で両者の剣を受け止める。

 

「いやはや、良き戦いであった。だが、刃を向けたのはどうかと思うぞ?」

 

と少し棘のある言い方で2人に問うタケミカヅチ。言い返す言葉のない二人は顔を見合わせ苦笑するしかない。

 

そこでちょっとした説教をくらった二人である。説教が終わり次第、桜花は命たちの方に向かい、シロウはタケミカヅチに引き止められ、ある言葉を受ける。

 

「シロウくん。昨日止めるのはどうかと思ったのだが……。スキルはともかく、魔法に関してはあまり使うべきではない。調べてみたが、君の魔法は確実にレアが付く代物だ。やりようによっては簡単に命を奪う代物だろう。あまり、見せびらかすものではないだろう」

 

注意すると、士郎は曖昧に返事する。元々緊急事態でしか使用を考えてなかったし、仲間内では力をある程度見せたほうがいいという考えもあった為に今回は投影したのだ。また今度金を集めてちゃんとした武器を探すことを今決めた士郎。何より今の実力はそれとなく知れたし、次の休日からは桜花たちと共にダンジョンに潜るか……。いやソロで一度上層でやってみるのもアリかもしれない。最悪はスキルも魔法も全力で使えば死ぬことはないだろう。そう考えを纏めたところで、不意に後ろから声が聞こえてくる。

 

「すみません!タケミカヅチファミリアの方達ですか!?」

 

少し裏返った声で、緊張が伝わってくる声を発したのは、白い髪に赤い目をした、ちょっと可愛げのある少年だった。




ハイタケミカヅチさんの注意マジ適当に入れちゃいましたすみません。あと話し方が安定しねぇ。そして女性陣が一言も喋らねえ……。
あと魔力で身体強化しない限りは素が和の国最強でありステイタスレベル2の桜花さんと互角という設定にしました。魔力で強化した場合の強さはもう少しお待ちください。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。