黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)と共に異世界へ   作:ヴィヴィオ

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第8話

 

 

 

 キャロル・マールス・ディーンハイム

 

 

 

 

 

 目が覚めると男性の胸が見える。顔を上げれば二人目のパパの姿が見える。身体を起こそうと少し身じろぎすると身体の節々に痛みが走る。特に股間からの痛みが響く。それに中に物が入っているような違和感もある。これの原因はわかっている。昨日、散々犯されて出されたからだ。反対側には同じように犯されてうつ伏せで眠っているピンク色の髪の毛の少女が居る。確か、アリエッタという名前らしいな。

 

「こほっ!?」

 

 口の中にも違和感がある。だるい身体をどうにか動かして口を拭う。それから身体を調べる。それにしても気を失った後も好き勝手に身体を使われたようだ。無茶苦茶にされても、逆らう事も逃げる事も出来ない。

 錬金術で解析した結果。この身体は主の魔力によって構成されている事が判明した。つまり、簡単に言ってしまえばオレは使い魔や召喚獣という扱いとなる。身体の中には世界に干渉するような様々な術式が施されている。その中には主人であるパパに対して逆らえなくする隷属術式もある。これを解析し、代わりの肉体を作らねば現状から抜け出す事は不可能だ。もっとも、下手をすれば魂にすら隷属の術式が刻まれている可能性もある。普通なら有り得ないと思えるが、オレは魔女の言う通りオリジナルの贋作の贋作だ。ならば制作の過程で隷属術式が刻まれていても不思議ではない。それに彼が死ねばオレ達も死ぬだろう。故に現状ではこの状態を維持するしか無く、運命共同体となるしかない。それに心の何処かでは受け入れているオレも居る。やはり、オレにとってパパは大事な存在だ。この男もオレを生み出した事に変わらず、パパであるのだから。それにパパも言っていた。人と人が分かり会う事こそ、オレ達に与えられた命題なのだと。ならば、新しいパパとなら分かり合えるように努力しよう。

 それにしても犯されている最中に身体の中に変な物を仕込まれた。さっさとこれを解析しないと危険かも知れない。

 

「あら、起きたようね」

「魔女か」

 

 声がした方を向くと、ジャンヌと名乗った魔女がベッドの脇にいつの間にか立っていた。その姿はオレと同じく一糸纏わぬ姿だ。

 

「気分はどうですか?」

「最悪だな」

「本当にそうですか?」

「黙れ」

「い・や・よ」

「ちっ」

 

 身体を起こして睨み付けるが、こちらの顔を両手で挟んで顔を近づけて来る。そして、口をペロリと舐められた。

 

「離せ、魔女」

「拭ってあげただけよ。それよりも起きたのならマスターに奉仕するわよ」

「貴様、本当にジャンヌ・ダルクか?」

「あんな奴と一緒にしないでくれる? 私はアイツとは違う。次、そんな事を言ったら、覚悟なさい」

「ほう、面白い」

 

 睨み合いながら、互いに相手を潰す準備を行う。こちらは錬金術を起動して風の元素を集めて掌に小さな嵐を生み出す。相手は幻影の槍を作り出している。

 

「「死ね」」

「何をしているの?」

「痛っ!?」

「ぐっ!?」

 

 互いに攻撃しようとした瞬間、頭を思いっきり叩かれた。攻撃して来た方を見ると、赤紫の髪の毛をした少女が黒い風を操ってハリセンの形にしていた。

 

「なんだ、あれは……っ!?」

 

 頭を抱えながら解析した瞬間、それに内包されている力に驚く。これは死そのものと呼べるほどの概念を乗せた風で形成されている哲学兵装か。いや、概念兵装と言えるな。

 

「殺す気か!」

「そうよ、普通なら死んでいるわよ!」

「コントロールくらいしているわよ」

 

 ちゃんとした生物ではなく、疑似生命体だからこそ手加減されて無事であったが……コイツは生命体の天敵だな。普通の人間ならば問答無用で即死している。

 

「さっさと起こして食事にするわよ」

「そうね」

「わかった」

 

 それから、パパをキスや舐めて起こしてから食事を取る。朝食は焼いたパンにレタスや卵を挟んだサンドイッチだった。他にもスライスされたパンがあった。

 

 

 

 

 食事を終えればそのまま皆で一緒に紅茶を飲む。これからの予定を聞かねばならないからだ。

 

「それで、今日の予定だが……森を切り開いて住める場所を作らないといけない」

「それで、もっと具体的な事はどうしますか?」

「そうだな……ペスト、飛んでて何か見えたか?」

「巨大な湖みたいなのは有ったわね」

「それはどんなものだ?」

「えっと視界の端まで全部水っぽかったわね」

 

 ペストの言う通りならばそこには海が存在するはずだ。しかし、それをするなら塩がいいか。

 

「海だろうな」

「海?」

「説明は後にしましょう」

「そもそも、オレは目的を聞いていないが、何をするのだ?」

「開拓と資金稼ぎだ」

 

 確か、今の時代についても情報がインストールされている。人や人間はもちろん、信じられない事にノイズでは無くモンスターが存在している。それに人間以外の亜人も居る。

 

「ふむ。ならば塩を量産するといいだろう」

「確かに売れそうだな」

「塩は確かに高いわね」

「なら、作れるか?」

「任せてくれ。塩など容易く錬成出来る。なんなら、金も錬成しようか?」

「それも頼むかも知れない。とりあえず、ペストは森を切り開いて道を作ってくれ」

「わかったわ」

「キャロルは海の近くに港を作ってくれ」

「了解した。だが、道具や素材はあるのか?」

「ガチャで出たのが有るから好きに使ってくれ。足りないのはどうにかするしかないな」

「私はどうしますか?」

「森を切り開けばモンスターが出て来るだろう。ジャンヌはその相手をしてくれ」

「任せてください」

「アリエッタは俺と勉強だ」

「ん」

 

 しかし、港を作れとは簡単に言ってくれる。とりあえず、リストを見てみると錬金工房に更にとんでもない物があった。この石は我々錬金術師にとってはなによりの宝だ。

 

 

 

 

 

 

 


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