黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)と共に異世界へ 作:ヴィヴィオ
露天風呂へとやって来た。正確にはその脱衣所だ。メンバーは俺、ペスト、ジャンヌとフルメンバーである。
「さて、ここで服を脱いで貰う」
「こんな所でするの?」
「するかも知れませんが、別の事です。ほら、さっさと脱ぎなさい」
「ちょっ、離しなさいっ!」
ペストがジャンヌに服を剥ぎ取られ、素っ裸にされる。恥ずかしいのか、顔を赤らめながら両手を使って大事な所を隠す。
「隠すような身体ですか」
「死にたいようね」
「貧相な身体だから隠すのでしょう? 自身があるのならば曝け出してみなさい。どうせ、ここには全てを見られた夫であるマスターと私しか居ないのですから」
「っ!? わかったわよ!」
「ちょろい」
「何か言った!?」
「いえ、別に」
そんな会話がされている間に俺も脱いで、改めて二人の綺麗な裸体を鑑賞しておく。成人しているが、成長が遅くて12歳くらいのペストと17歳か18歳くらいのジャンヌの身体はとても綺麗だ。
「マスター?」
「ああ、なんでもない。それよりも風を引いてしまうからさっさと服を仕舞って中に入るぞ」
「待ちなさい。脱ぎ散らかさずに綺麗に畳むのよ」
「面倒ね」
「駄目よ。炊事洗濯は女の役目よ」
「それ、貴族のお姫様が言う事じゃないわよ」
「家は貧乏だから仕方ないわ」
「世知辛いわね」
「全くだな」
伯爵家ではメイドや料理人が全てやってくれたが、ここではペストがやってくれるようだ。ペストは素早く俺の服とジャンヌの服も含めて皺を伸ばして綺麗に畳んでくれる。慣れているというか、プロ並みだ。というか、ペストは原作の「問題児が異世界から来るそうですよ?」でメイドをしていたのだから、その知識とか経験も得ているのかも知れないな。今度メイド服を着せてみるのもいいかも知れない。
「では、改めてこっちだ」
扉を開いて中に入ると石畳の地面が見え、遠くには竹藪が見える。風呂になっている部分の一部は屋根があり、雨を防げるようになっている。明かりとして灯篭や鹿威しなども設置された日本風の露天風呂だった。更に滝から源泉が流れて来ているようで、溢れたお湯は何処かに消えている。
「露天風呂ってこれ?」
「ああ。この中に入るんだ」
「大丈夫なの?」
「ああ、気持ちいいぞ。というか、普段身体を洗うのはどうしているんだ?」
「お湯で濡らした布で身体を拭くだけよ」
「後は水浴びくらいですね。湯を使う事自体が贅沢なのです」
「まあ、この時代からしたらそうだな。先ず、入り方を説明する。この桶にお湯を掬って身体に掛ける」
お湯は少し熱めのようだが、これは風とかで冷やされるので良い感じになるだろう。
「で、次にこの設置されているスポンジにボディーソープをつける。これは身体の汚れを取る薬みたいなものだ。口に入れたり、目に入れたりしないように」
初期だからか、タオルにスポンジ。ボディーソープ、シャンプー、コンディショナーが設置されている。脱衣所にはバスタオルも有ったのでサービスだろう。まあ、無くなると不味いのでガチャで補充しないといけなくなるだろうが。
「こうやって身体を洗っていくんだ。ただ、自分じゃ届かないから、他人に洗って貰うんだ。二人でやってくれ」
「それがルールなら仕方ないわね」
「そうですね」
嘘はついていない。本当の事を言っていないだけだ。だが、そのおかげで美少女二人に身体を隅々まで洗って貰うという幸せな展開になった。まあ、何か違うとバレているかも知れないがな。なんせ、ペストの知識があるならノーネームの風呂には入ってるだろうしな。
「次は頭だ。頭はシャンプーを使ってだな……」
説明を終えて、ペストから洗っていく。染み一つ無い綺麗な幼い肌はぷにぷにで大変気持ちがいい。
「くすぐったいわよっ」
「我慢しろ」
「それにしても、汚いですね」
「汚くないわよ!」
「まあ、仕方ないだろ。風呂に入っていなかったらな」
白い泡が変色したりしているので、何度も洗って白に変える。頭もそうで徹底的に綺麗に洗いまくる。頭もしっかりと綺麗にしたらぐったりしだしたので、床にバスタオルを引いて寝かせてジャンヌを洗っていく。
「奉仕させているみたいでいいですね。それに実際に気持ちいいですし。褒めて差し上げます」
「それはどうも」
「って、なぜ執拗にそこを揉むのですか……」
「そんなの決まってんだろ」
「はぁ……まあ、魔力供給は大事ね」
「そうそう」
ジャンヌを綺麗にした後、二人をもう一度汚してから綺麗に洗って一緒に湯船に浸かる。ジャンヌを右に座らせて肩を掴んで抱き寄せ、ペストを膝の上に乗せる。ペストには少し深いだろうし、これでいい。
「気持ちいいけれど、これは恥ずかしいわ」
「俺はいい気分だぞ」
「でしょうね」
「しかし、これはこれでいいですね。贅沢極まりないですし」
「まあ、張った水に火の魔術でもぶちこめば簡単に出来そうだがな」
「それもそうですね」
「魔術を使う事自体が勿体ないわよ。一体、魔術師を雇うのにいくらすると……」
「焼いた石で代用できるがな」
「どちらにしろ問題は水でしょうけれどね」
「まあ、そうだな。これは心配ないだろうし気にしなくていいだろう」
「これが毎日入れるなら幸せね」
「そうね」
「というか、毎日入って貰うからな。肌の手入れはしっかりとして貰わないと」
二人の身体を撫でて感触を楽しみながら言うと呆れて来た。だが、この気持ちの良い身体に止められるはずもなく、そのまま三人で堪能する。
「そうだ。やらなければならない事があった」
「なに?」
「なんですか?」
「ガチャだ!」
「はぁ~あれだけ引いたのよ?」
「風呂に入りながら引くといいのがでるというジンクスがあってだな」
「いいじゃないですか、一度だけですよ」
「ちょっと、一回一万もするのよ」
「私達も引けばいいのです」
「そうだな。一人一回10連を回そう」
「聞いてないし」
「ペスト、頼むよ」
「仕方ないわね。一人一回だけよ。10連は却下よ」
「ちっ」
空想ガチャを起動すると、拠点会得記念ガチャというのが有った。1回10万で10連で100万だ。100万の方はキャラクターかインストール・キャラクターが確定みたいだ。当たるのは生産系列のアイテム、スキル、キャラクターが出やすくなっているようだ。
「ペスト、これは引かないと」
「駄目よ。一回だけ」
「ちっ」
「えいっ」
「ちょっ!?」
「ジャンヌっ!?」
「ふふ」
ジャンヌが10連のボタンを勝手に押しやがった。ガチャが始まり、10枚が排出されてくる。Nが3枚、Rが4枚、SRが2枚、Lが一枚だった。Lはレジェンドだ。Nはポーションとシャンプーセット、醤油だった。R錬金術書・初級、低級魔石、紙片、牢屋だった。SRはリスキーダイス、魔結晶×10。Lはキャラクター・黒髭。うん、なんだ。
「売却ってできるし、これでいいな」
「これ、キャラクターよね?」
「そうですが……」
「こいつ、ロリコンの変態なんだよね」
「あっ、要らないわね」
「間に合ってるから廃棄ね。売りましょう」
売却ボタンも有ったので売却する。なんと、魔結晶20個だった。やったね!
「さて、ガチャはこれで終わりね」
「まだ引きたいのだけど……」
「いや、これからが始まりだ」
「お金を無駄にするのは駄目よ?」
「いや、無駄にはしない。なんせ、攻略アイテムが手に入ったからな」
俺は立ち上がる。
「ちょっと、急に立ち上がらないでよ!」
「悪い悪い」
湯船に沈みそうになったペストをジャンヌが抱えて止めてくれていたので、俺は受け取ってお姫様抱っこで脱衣所まで運んでいく。
「まだ話は……」
「後で説明してやるよ」
着替えてから外に出て、繋がれている男達の下へとやって来た。
「おい、頼むから解放してくれよ!」
「家には腹を空かした妹たちが待ってんだ!」
「俺は母親が……」
「いいだろう、解放してやる。ただし、お前達にコイツを五回振って貰ってからだ」
リスキーダイスを実体化させ、一人に渡す。
「こいつで大吉を降ったら、このボタンを押して貰う。それを五回繰り返したら解放してやる」
「マジか!」
「ああ、マジだ。食料も渡してやるから頑張れよ」
「よし、俺がやるぞ!」
「いや、俺だ!」
「順番だ。順番」
俺は順番に男達を並ばせていく。
「うわぁ、悪い顔してるわね」
「素敵な顔じゃない。これからどうなるか楽しみね」
ペストとジャンヌは少し離れて話しているが、気にせずに男にダイスを渡す。
「さあ、振れ」
「おう!」
男が20面体ダイスを振るう。出目は大吉だった。
「では、ボタンを押してくれ」
「わかった」
男がボタンを押すと空想ガチャが動き、虹色に光り輝くEXと書かれたアイテムが出て来た。内容は
「じゃあ、もう一回だ」
「おう!」
今度も大吉だ。そもそも、このダイスは大吉と大凶しかなくて大吉が19面に描かれている。大凶は1面だけだ。次はEXで槍が出て来た。その次は何かの石がLで出た。その次は対魔力EX。
「次で最後だな」
「よし、行くぞ!」
男が降った出目は黒い文字で大凶。
「ぐっ、がぁああああああああああああああぁぁぁぁぁっ!?」
大凶を出した瞬間、男が苦しみだして胸を押さえる。そして、ボンっという音ともに破裂する音が聞こえ、口から大量の血を吐いて倒れた。
「これが大凶ですね」
「今までの大吉分の不幸が一気に来るのね」
「そうだ。大凶を出したら待っているのは確実な死だ」
「ひっ!?」
「いやだっ、いやだっ!」
「安心しろ。たった五回だ。ほら、次はお前だ」
「たっ、頼むっ、助けてくれっ!?」
「助けてやってるだろ? 俺達を襲った時に死んでたはずの命だ。それを生かしておいてやってるんだ。さらに五回振ってくれれば助かるんだぞ」
「そ、それは……」
「二十分の一なんて滅多にでねえよ。そいつは運が悪かっただけだ。お前は大丈夫だ」
「そ、そうだな……よし、やってやる!」
そして、男がリスキーダイスを振る。結果はエリクサー、聖剣の鞘、深淵の魔導書、精神干渉無効、魔槍だった。
「うぉっしゃああああああああああぁぁぁぁっ!?」
「おめでとう、解放だ」
「良かったわね」
「ちっ、残念ね」
「つ、次は俺だな……」
次の男は初っ端で大凶を出して死亡。次の男も初っ端で大凶を出したが、何も起こらなかった。
「運がいいな。大吉が前に出ていなかったから助かったようだ」
「ほっ。なら、いくぞ!」
そいつはEXキャラクターとEX禁忌魔力、錬金工房、EXキャラクター、王の財宝を出してくれた。その次の奴は爆死した。その後、エリクサーや若返りの薬、EXキャラクター、魔物吸引のお香などが出て来た。
「残ったのは三人か。おめでとう。諸君らを解放しよう」
「やったっ!」
「助かった……」
「これで俺達は……」
「では、食料を渡してやる」
食料などが入った袋を渡して解放してやると、三人はもうここには居たくないといったような感じで一斉に街へ向かって走りだした。
「で、まさかこのまま帰すの?」
「俺は解放してやっただけだ。約束通りな」
「マスター、それはお勧めできないのだけれど」
「そうよね。能力を見られている訳だし、彼らから伝われば面倒な事になるわ」
「おいおい、俺は何から解放してやるなんて言ってないぞ」
「?」
「まあ、直ぐにわかるさ」
しばらくすると男達が去った方から悲鳴が聞こえて来た。同時にバサバサと羽音も。そして、俺達の回りの上空を見ると大量のハーピィ達がいつの間にか飛んでいる。その瞳はギラギラと輝いているが、ペストが居る為に攻撃して来ない。そいつらは降りて来て甘えるように身体を擦りつけたりしている。ペストは鬱陶しそうにしながらも撫でてやっている。次第に悲鳴が聞こえた方からもハーピィ達が飛んで来る。その足には三人の男達の死骸が掴まれていた。ハーピィ達はお土産というふうに死体を差し出してくる。
「あれ、これって……なるほど、そういう事ですか」
「これってお香?」
「そう、お香だな」
モンスターを呼び寄せるお香だ。彼らの仲間が出した物だ。それを袋の中に少し入れておいてやったのさ。上手く逃げられれば助かっただろうが、かわいそうに。
「まあ、恐怖からは解放してやった」
「そうね」
「まあ、自業自得ね。それより、当たった物を確認しましょうよ」
「そうだな」
確認するとEXキャラクターはジャンヌ・オルタだった。
「私ね」
「被った。これは合成とか出来るのかね?」
「どうかしら。というか、これはルーラーの方ね」
「試してみるか」
ジャンヌに入れるようにしてみると、ダブルジョブとして習得する為、SR以上のカードを一枚捧げろと書かれていたのでダブっているエリクサーを突っ込んでみる。
「どうだ?」
「これはルーラーとしての力も習得しましたね」
「撃たれ弱さが無くなったか」
「素晴らしい」
「他のキャラクターは?」
「そうだな……」
キャラクターカードの名前を確認するとラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒ。EXの槍は聖約・運命の神槍(ロンギヌスランゼ・テスタメント)。
「おい」
「どうしたのよ?」
「危険すぎる奴だ」
|人物憑依≪インストール・キャラクター≫を確認すると、こちらもラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒだった。どうやら、獣殿の場所に当たってしまったようだ。
「ふう」
「それで、どうするのですか? 売るのは勿体ないのでしょう?」
「そうなんだよな。とりあえず、俺に|人物憑依≪インストール・キャラクター≫は使うか」
「それがいいわね」
|人物憑依≪インストール・キャラクター≫でラインハルト・ハイドリヒを使ってみる。その前に精神干渉無効を使っておく。これで大丈夫だろう。
そもそも彼は聖槍十三騎士団・黒円卓第一位・首領であり、部下からは「ハイドリヒ卿」、副首領カール・クラフトからは「獣殿」と呼ばれる。元々は第三帝国の高官であり、ゲシュタポ長官にして階級はSS大将。作中では「人体の黄金比」とまで言われている金髪金眼のイケメンである。
魔名は「愛すべからざる光(メフィストフェレス)」
さあ、やってみよう。インストール!
暗い世界。唯一の光は玉座に肘を付きながら座り、こちらを睥睨する金髪金眼のイケメン。その存在が発する存在感は半端ない。
「卿が私の力を継ぐか。夢物語であるが、面白い。くれてやろう」
「あれ、あっさりくれるの?」
「私は全てを愛している。それに卿は私を知っているのであろう。ならば、私の力もわかってなお求めるのだろう」
「力は流出。エイヴィヒカイトの最上位であり、殺した相手の魂を吸収し、不死の奴隷として自身の軍団(レギオン)に加える。また、聖痕を刻むことで刻んだ相手が殺した者も自身の軍団(レギオン)とし、自身と同化させるだったか」
「よかろう。では、しっかりと受け取るとよい」
「え、あれ、それってつまり……ぎゃぁあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
悲鳴を上げ、気づけば元の場所に戻っており、不安そうな二人が居る。
「姿が少し変わったけれど、大丈夫?」
「ああ、問題ない」
「髪の毛が伸びているわね」
鏡を見てみると、獣殿を若くした感じになっていた。聖約・運命の神槍(ロンギヌスランゼ・テスタメント)も有るのがわかる。使いこなせるかはわかないが。いや、無理だな、うん。
「このキャラクターカードは……」
「ジャンヌみたいにしてみたらどう?」
「そうだな」
キャラクターカードは無事に飲み込めて、出力が更に上がった気がした。ひゃっほう、これで俺も人外だぜ。
「それで、他のカードは?」
「あーこっちは女のEXで、こっちはEX男。こっちはLの女か。なんだろ、ルサルカでも来るのか?」
「ルサルカ?」
「いや、なんでもない。試してみよう。ぶっちゃけ、男は要らんから置いておくが」
いざという時ぐらいだろうな、召喚するのは。売るのが大概だ。黒髭はわかりやすかったからなあ。それを見ると、どちらも小さな女の子っぽいな。
「ほら、さっさと召喚なさい」
「そうだな。魔力もぎりぎり足りる」
召喚すると現れたのは赤いワンピースを身に纏う金髪碧眼の美少女。髪の毛は長く、三つ編みにされている。もう一人の少女はピンク色の髪の毛をストレートロングにしており、前髪をセンターで分けて額を出している。瞳の色も同じで、こちらは薄汚れた鼠色の奴隷服を着せられ、両手と両足には手枷と足枷が嵌めれている。そして、手枷から伸びる鎖は千切れてしまっている。即座にこちらに襲い掛かろうとするが、俺の瞳を見た瞬間に震えて失禁までしてしまった。こちらの力を感じ取ったか。獣に育てられただけはある。
「とりあえず、こっちは風呂だな」
「おい、お前は誰だ。お前はオレが誰なのか知っているだろう。なんとなく、繋がりがある。教えてくれ。全てが断片的で、霞がかったように輪郭がさだまらないんだ」
「ねえ、どういう事? どっちも問題ありまくりなんだけど」
「よりによって、あの場面での召喚かよ……」
「マスター、名前だけでも教えてあげたら?」
しかし、記憶障害が起きているのならば色々とやりやすいな。
「そうだな。こっちの記憶喪失の子は……」
俺の女にしやすい。外道? 大いに結構。なんせ、回りには悪側や敵側しかいないからな! それに彼女はちょっといろんな意味で危険すぎる。下手をしたら世界が分解される危機が訪れる。
リスキーダイス:ハンターハンター、グリードアイランド編に出て来る運を操作するダイス。大吉なら幸運を、大凶なら死を運ぶ。
黒髭はFGO仕様
ルーラ・ジャンヌ・オルタはオルレアンのボス仕様。
ラインハルト・ハイドリヒ、Diesiraeの表のラスボス。
誰が召喚されたかわかるかなー? ヒントはタグです(ぁ