黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)と共に異世界へ   作:ヴィヴィオ

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第30話

 

 

 ペスト

 

 

「どうぞ、お座りください」

「失礼します」

 

 挨拶が終わった後、旦那様は詳しい話をしていく事になり、その間に私とジャンヌは別の部屋で旦那様のお母様と話をする事になった。

 

「貴女もどうぞ」

「私はいいわ」

「駄目です。貴女も妻なのですから、お座りなさい。娘は母親の言う事をきくものですよ」

「誰が母親よ」

「私です。貴方はコルネリウスの妻なのですから、私の義理の娘になります」

「ふん。果たして貴女は私の事を知っても娘と言えるのでしょうか?」

「当然よ」

「ちょっ、ちょっと!?」

 

 ジャンヌが抱きしめられてあたふたしているわね。ひょっとして、抱きしめてくるのは遺伝かしら?

 

「いいからよく聞きなさい、私はーー」

「魔法生物。もしくは使い魔かしら?」

「っ!?」

「凄い技術ね」

「いや、なんでわかるのよ?」

「私のギフトは鑑定だからよ。だから、アリスちゃんが凄い力を持ってるのもわかるわよ?」

 

 危険ね。病死でもして貰おうかしら? いえ、それはそれで問題があるわね。

 

「安心なさい。言ったでしょ、私は母親だって。娘は大切にするわ。それよりもコウの事を教えて。婿養子に出されてから連絡一つ寄越さないのよ? 結婚式にだって出れなかったんだから」

「そもそも開いてないわよ」

「あらあら、それは駄目ね。ちゃんとドレスを着て結婚式をあげないといけないわ。一生の思い出になるのよ? そうよ、二人一緒にあげましょう」

「それは……」

「確かに……」

「まあ、直にはあげられないでしょうけれど。とにかく、計画だけはしておくわ。それとコウの事を色々と教えて貰うわよ」

「ええ……」

 

 今までの事を一部除いて話す。

 

「あの子って小さい娘が好きだったのね」

「みたいよ?」

「どっちでもいいのかも知れないけれど」

「まあ、子供の頃にメイドに襲われたから仕方ないですが」

「そんな事あったの……」

 

 どうやら、子供の頃に襲われたみたいで大人の女性に抵抗があるかも知れないのね。まあ、どうでもいい事ね。

 

「ところで、子供はどうなのですか? 孫の顔を見たいのですが……」

「できそうな事はほぼ毎日やってるんだけど……」

「娘ならあの気に食わない小娘が居るじゃない」

「え?」

「養子みたいなものよ。旦那様の事をパパと呼んでいるから、()()の子供になるのね」

「私達じゃないわ。私を混ぜないでくれる?」

「あらあら、それは楽しそうね。会ってみたいわ」

「それに娘といってもマスターの女だしね」

「そうなのね」

 

 普通は軽蔑したりするのかと思ったのだけれど、大丈夫みたいね。なんでかしら?

 

「どうして平気なのよ? 娘よ?」

「だって、王族や貴族でも血を濃くしてより良いギフトを継承する為に良くやっている事よ。それにあの人の血を引いているのだから、女にだらしないのは納得よ。妾とかも沢山いるのだし」

 

 子供を産ませて優秀なギフトを手に入れる為に数撃ちを行っているのでしょう。

 

「まあ、あの子が元気そうでなによりよ。にしても、戦争に参加するって話なんだけど、大丈夫なの?」

「マスターは私が守りますから大丈夫です」

「ええ、問題ないわ」

「それならよかったわ」

 

 義理のお母様とお話していると、私のお母様とは全然違う事がわかるわね。それにしても、今度の戦争はどうなるのかしら? 手っ取り早いのは私が敵国に単身突入して病魔をばら撒けばそれで終わりなのだけれど、それじゃあ困るのよね。せっかく成り上がれる戦争が台無しになってしまうのだから。

 しばらくして、迎えに来た旦那様と一緒に王都へと向かう事になった。どうやら、話しているとこのまま勝手に動くのは流石に不味いので陛下の許可を頂こうという事らしい。その為、ドラゴンとワイバーンで移動する事になったという訳ね。

 

 

 

 

 

 コルネリウス

 

 

 

 

 ラングハイム皇国王都。皇王の居城である巨大な宮殿を中心に数百万人が住んでいると言われる巨大な城塞都市。その宮殿に有る玉座の間に現在、俺は居る。

 

「シルヴィオ・ジ・ラングハイム皇王陛下、ご入来!」

 

 銅鑼が鳴り響き、壇上の左右にある大きな門が開き、一人の年老いた男性が入ってくる。年齢は50歳くらいか。その男性が玉座に座ると大臣であろう男性が色々と言っていく。

 

「続きましてはシュタインフェルト伯爵より、火急の要件との事です」

「うむ。申せ」

 

 巨大な皇帝のような若本規夫ボイスが聞こえて来る。

 

「はっ。此度のベルニエ王国との戦争の事でございます」

「ふ~む。もしや、止めろというのではないな?」

「滅相もございません。むしろ、是非このまま進めましょう」

「では、なんだ?」

「海軍の対策についてです」

「海軍か。あれは鬱陶しいものよ。して、対策とは?」

「はっ。我が息子が船を作り上げて、ベルニエ王国海軍を捕縛したとの事です」

「ほぅ……」

「鹵獲した船は既に解析され、量産を行っているもようです」

「馬鹿なっ、それほどの技術が……」

「いや、ならば早速その技術を提供して貰い……」

「お断り致します」

「なんだと!?」

「船に関する技術は我々の秘匿技術の一つでありますゆえ、提供するのはお断り致します」

 

 色々とやばい技術もあるのだ。どのような事でも断るさ。

 

「貴様っ!」

「よい」

「しかし、陛下!」

「良いと言っておる。しかし、独占を許すのだ。それ相応の事をして貰うぞ」

「勿論。物資の輸送から海戦までそれ相応の代金を頂けば担当しましょう」

「うむ。今回の戦から可能か?」

「可能です。ただし、国の旗と支配下に置いた地は我等が収めさせて頂きたい」

「それは……」

「ふむ。貴様が欲しいのは港であろう」

「その通りです。内陸部は要りませぬ」

「良かろう。ならば奪い取った土地は好きにするが良い。しかし、失敗したらわかっておろうな?」

「はっ」

「ならばよい。そなたの働きを期待する。旗と支度金をくれてやれ」

「御意」

 

 これで堂々と戦える。旗は多数貰って船と占領した場所に立てればいい。頂いた資金はガチャに使ってしまう。

 

 

 

 

 

 


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