黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)と共に異世界へ 作:ヴィヴィオ
大空を支配下に置いたドラゴンに乗り、目的地であるバルテン子爵領を目指している。俺はジャンヌの後ろに乗り、落ちないようにジャンヌの身体をしっかりと抱きしめている。
「マスター、こういう時は普通お腹に手を回すんじゃないかしら?」
「そうか? だが、ここの方が心地が良いからな」
「ええ、そうでしょう。そうでしょうとも。何せ、この私の胸を掴んでいるんですからね」
そう、俺はジャンヌの胸を掴んでいる。
「落ちても知りませんよ」
「落ちたくらいじゃ死なないだろう」
ラインハルトの力を引き継いで
そもそも
また、人を殺せば殺すほどに魂が聖遺物に回収され、感覚を含む身体能力や防御能力が向上していく 。特に防御能力に関しては、回収した魂の数に比例した霊的装甲を纏うことで肉体の耐久度が格段に向上する。
対人武器は最大効率で使用しても一撃一殺が限度であるため、何千人もの魂を纏った肉体に傷一つ負わせられない。一発で何千人も殺せる核兵器クラスの武器でなければ話にならず、仮に肉体が損傷・欠損しても、魂を糧に損傷度合いに応じて再生する事も可能である。 故に基本的には聖遺物の使徒は聖遺物の使徒でしか倒せない。
聖遺物による攻撃は物理的・霊的の両面で防がなければ止められず、その傷は通常の負傷ではなく歴史を重ねることで蓄積された想念という呪いであり、致命的な毒となりうる。霊的装甲及び聖遺物の破壊には、同じ聖遺物が必要不可欠。 ただし、能力の性質で一般人でも倒せるようなデメリットを背負ってしまっている場合はその限りではない。
この魔人練成とも呼ばれる術理は習得が極めて高難度である。 その困難さは魔人となるにはまず超人であらねばならない。基準を底辺に合せていないと作中で述べられるほど。凡人では最初の活動位階すら制御できずに自滅してしまう可能性が非常に高い。
能力の強さはそれぞれ活動、形成、創造、流出の四位階が存在する。
永劫破壊の第一位階活動。
永劫破壊の第ニ位階形成。名称は
永劫破壊の第三位階創造。名称は
更に人が抱く渇望には求道と覇道の類別がされており、どちらの渇望を持つかで創造の能力が求道型と覇道型に大別される。
求道型は内に向かう渇望であり、~になりたいという渇望。覇道型は外に向かう渇望であり、~~したいといった渇望が該当。ちなみにルサルカは覇道型だ。
永劫破壊の最終位階流出。名称は
流れ出した法則は既存の世界法則と激突し、勝利すれば新たな世界法則と化す。ようは旧き神と新しき神の戦いである。 一旦始まってしまった流出は、術者が死ぬまで永久に続き、術者自身でさえも途中で止めたり消したりする事は不可能。これは全能とされる神でさえどうしようもなく、もし流出から解放されたければ、別の流出で塗り替えるしかない。 ただし、流出で世界を変える事ができるのは覇道の渇望をもつ者に限られる。 求道の渇望を持つ者は、自らの内に展開した異界が永劫閉じないようになり、術者自身が世界の理から外れた完全存在となるからだ。
さて、ここまでの説明でどれだけぶっ壊れた性能であるか理解しただろう。そもそも|永劫破壊≪エイヴィヒカイト≫とは、神になる為の補助装置だ。神が作り出した永劫回帰の法下では、魂は死した瞬間に生を受けた母の胎内へと回帰し、再び同じ生を繰り返す。だが、エイヴィヒカイトにより聖遺物に取り込まれた魂は回帰する事ができなくなる。 本来回帰すべき魂を聖遺物という媒介に溜め込む事により神の下に還る魂の流れを塞き止め、世界を破壊する為の血栓を作り出す事。 それこそがエイヴィヒカイトの真の目的である。魂を吸収蓄えて得られる力はその副次効果である。ちなみにラインハルトは流出まで至っている為にその力を受け継いだ俺も生半可な手段では死なない。それと殺人衝動だが、それはモンスターの魂でも代用できる上にこの世界の人間は少なからず魂を吸収して力を得る術を持っている。それが経験値でありレベルや位階、ランク、クラスと呼ばれる物だ。
「全く、マスターは本当に変態ですね。それに趣味も悪い」
「おいおい、趣味も悪いか?」
「ええ、このような贋作な私に構い、近付いて来るのですから。本当に燃えてしまいますよ?」
「ジャンヌに燃やされるのなら、それはそれで構わんかもな」
「正気ですか? 本当に燃やしますよ」
「愛している愛しいジャンヌになら、それも一興だ」
「っ!? 何を馬鹿な事を言ってるんですかっ! ふぐっ!?」
振り向いた顔の赤いジャンヌの唇を奪い、そのまま口内に舌を入れて楽しむ。
「この色欲魔は……」
「失敬だな。愛しているという事を直接的に表現したのだが……」
「本当に贋作を愛するなんて、物好きね」
「生まれがどうであれ、ジャンヌはジャンヌだろう。それに代わりはない。元のジャンヌとはまた別だ」
「ふん、勝手になさい。どうせこれから向かうのは戦場ですし、魔力も大事ですからね」
「ああ、たっぷりとやろう」
そのままジャンヌとイチャイチャとドラゴンの上で楽しんだ。車ではなく、ドラゴンで。しかも、地上ではなく空で。刺激が強かったとだけ言っておこう。
ジャンヌ
物好きで変態なマスターに可愛がって……違う。好き勝手に犯されてから余韻を楽しみつつ……違う。抱きしめられ、身体の中に有る暖かい物に身を委ね、気怠い疲労感の中で身体の隅々まで満たされていく感じがことさら気持ち良く……違う。そうじゃないわ。こんなので懐柔なんてされないんだから。でも、魔力が満たされるのは良い事ね。
「しかし、本当に私でよかったの?」
「何がだ?」
「ロリコンマスターの事だから、キャロルとかを連れてくればよかったじゃない」
「誰がロリコンだ」
「あら、否定できないのではないですか?」
「それは……」
「ペスト、キャロル、アリエッタ、ルサルカ」
「ぐっ……」
「私くらいですよね。エレオノーレはまだですし」
「そ、そうだな」
タジタジになっているわね。それと、頭を撫でるくらいで誤魔化されません。
「そういえば、ジャンヌは髪を長くできたりするのか?」
「ええ、もちろんです。と、言いたいのですが……まだ力が足りませんね」
「そうか。それではもっと仲良くならねばな」
「ええ。まだ絆は6程度です」
「6か。5は超えているのだな」
「当然です。身体を重ねたのですから……って、何を言わせるんですかっ!」
「いや、勝手にジャンヌが言っただけだろ。まあ、ジャンヌからも愛されていてよかったよ」
「っ!? 愛してなどいません! ええ、愛してなど……っ!?」
「おい、どうした?」
地上から見えた光に私は瞬時に身体を傾けてマスターを抱きかかえつつ、手綱を引っ張る。ドラゴンは必死に悲鳴を上げて身体を傾けながら旋回する。
「ギュラァアアアアアアァァッ!」
飛来した光を纏った槍がドラゴンの右翼を貫き、後方へと抜けて行きます。右翼を失ってバランスを崩したドラゴンはそのまま地上へと私達ごと落ちていきます。
「話していた通りになりましたね」
「落ちる落ちないの話か。全く、その通りだ」
「マスター」
「わかっている。
マスターは
「最後の役に立ちなさい」
私はドラゴンを蹴り飛ばし、攻撃された地上にドラゴンの身体を弾丸として放った。