黒死斑の魔王(ブラック・パーチャー)と共に異世界へ   作:ヴィヴィオ

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第1話

 

 

 

 

 30歳になって魔法使いへとクラスチェンジしたオタクでニートな俺はいきなりの心不全で死亡した。そして、異世界の伯爵家の十番目に生まれていた。能力も低く、意味の分からない能力を持つ俺は無能の烙印を押されて飼い殺しをされる毎日を送っていたようだ。

 成人を迎えて数年経ったら次男以下の俺達は他家との婚姻して力を得る事や繁栄の為に送り出された。十男である俺も例外ではなく、辺境に有る男爵領。それもそこの三女の婿養子として送られていた。本来は次女の年増と結婚する事になったのだが、そこはごねてお淑やかさとおてんばを兼ね備えた成人したばかりの三女にして貰った。そして、彼女と結婚した俺はこんな何もない辺境に押し込められたストレス解消の為に、送られた酒や薬を飲んで美少女の嫁さん、アーデルハイト・リーゼンフェルトこと、アリスを徹底的に犯した。実家の力関係も有り、彼女の両親や兄達も助けず数日に渡って楽しんで気絶するように眠りについた。

 そして起きた俺は前世の事も含めて全てを思い出していた。目の前には壊れたような虚ろな瞳をして宙に視線を彷徨わせる赤紫髪の白濁に染まった見覚え有る美少女。

 

「どうすんだよ、これ」

 

 身体をゆすっても、微かな反応しかない。完全に壊れてしまっているのかも知れない。とりあえず、身体を拭いて綺麗にして看病をする事、数分。彼女は目覚めてこちらを見るなり震えながらすり寄ってくる。そんな彼女を抱きしめて、頭や身体を撫でて落ち着くまでゆっくりと過ごしていく。

 

「……あっ、あぁ……」

「大丈夫だ。しばらくはしないからな」

 

 ほっとした感じで頷く少女の感触を楽しみながら、この世界の事を思い浮かべる。時代はよくある中世ヨーロッパのファンタジー世界。魔法を含めた神秘が満ち溢れた世界であり、人にはそれぞれギフトスキルが与えられる。俺は今まで意味の分からなかったギフトスキルが有る。そのギフトスキルはかなり特殊な物だ。俺のギフトは空想ガチャ。これは知っている空想のキャラクター本人やキャラ達が持つスキルなどの力や容姿を得られるというものだ。ガチャという仕組みを理解しないと使えない仕様となっていたので今まで使えなかった。だが、記憶が戻ったオレにはなじみがある物なので問題ない。画面を調べると設定のボタンが有ったの押してみる。すると色々と出来る事が判明した。その一つがキャラクター本人を召喚する場合、隷属させた状態で呼び出したりも出来るという事だ。やるなら隷属させておかなければかなり危険だと思われる。

 とりあえず、空想ガチャを起動してみる。すると、ガチャボックスが複数出て来た。ランダムガチャとアイテム・スキルガチャ。

 

「……?」

「俺のギフト能力だ。それより、喋れないのか?」

「……ぁ、ぁぁ……」

「そうか、悪いな」

 

 どうやら、トラウマになって喋れなくなってしまったようだ。治療も考えてアイテム・スキルガチャがいいのだろうか? チュートリアル用なのか、初回10連は無料になっている。このガチャは10連をすると一枚はSR……スーパーレアが確定となるようだ。ちなみにランクはノーマル、レア、スーパーレア、レジェンド、エクストラがあるようだ。とりあえず、引いてみよう。アイテム・スキルガチャの10連のボタンを押してガチャを回すと10個のアイテムが出現した。中を調べる。

 

 N体力回復薬・初級×3

 N魔力回復薬・初級×3

 R疾風の腕輪×1

 N魔力自動回復・初級

 Rすごい鋼の剣

 R食物の種

 SR眷属強化

 N白パン×5

 Rエロ本

 N塩×10kg

 

「残念ながら外れだな。まあ、思った通りのものが当たるなんてまずないか」

「?」

「なんでもないさ」

 

 アイテム・スキルガチャの上には1万と10万と書かれていた。これが単発と10連の値段だろう。ランダムはキャラクターも出るようだが、色々と出るようだ。

 

「ん?」

「ぁ」

 

 彼女が身体を動かした拍子にランダムガチャのボタンを押していた。幸い、10連だったのでよしとしよう。見学していると、8回目と10回目でガチャ自体が物凄く光った。

 

 Nヒノキの棒

 Rニワトリの卵

 N麦わら帽子

 R初級魔術教本

 R大根×3

 Rルビー

 SR魔力量増大・上級

 EXキャラクター

 R折り畳みベッド

 EX人物憑依(インストール・キャラクター)

 

「なんか凄いの出たな。よくやった」

 

 怒られると思って頭を抱えて震えていた彼女を撫でる。ほっとしたようで、彼女は身を預けてくる。そんな状態でEXを確認していく。

 まず、キャラクターだが、これは使用するまでわからないみたいだ。使用すると魔力を何割か消費して召喚するようだ。人物憑依(インストール・キャラクター)はキャラの力、人格などをインストールするようで、あくまでも統合されるみたいだ。そして、これらはカードで出て来ており、絵柄が書かれている。どちらも女性で、インストールの方は俺の腕の中に居る少女に非常に似ている。どちらも隷属を入れられるので、早速使う。

 

「我慢しろよ」

「ひっ!? やっ!」

 

 逃げ出そうとする彼女にインストールの方を使う。すると、彼女の中にカードが入っていき、身体から禍々しい闇が噴き出していく。裸だった彼女は黒いチャイナドレスのようなものと斑模様のスカートに変わり、髪の毛は黒いリボンに結ばれた。

 

「離しなさい。何時まで抱きしめているのよ、気持ち悪い」

「そういうなよ。夫婦だろ?」

「ふん、この変態め。身の程を弁えなさい」

「弁えてるだろ。俺はお前のマスターで夫だろ、ペスト」

 

アリスよりペストという方がしっくりと来る。いや、アリスの愛称として決めよう。

 

「ちっ、むかつくけれど逆らえないのよね」

 

 明らかに性格まで変化している。このインストールは文字通り、経験や知識まで植えつけられるのかも知れない。改めてガチャを見ると、説明が増えていた。インストールは基本的にその子だが、先に言った通り、経験や知識を得て人格が変わる場合があるようだ。ましてや、彼女の場合は問題児達が異世界から来るそうですよ? に出てくる黒死病の8000万人の死者の霊群を元にした魔王にして神霊だ。主人格は彼女でも、その影響ははっきりと受けるだろう。

 

「で、大丈夫なのか?」

「問題ないわ。あるとすれば変態に身体を好き勝手にされた事かしら?」

「悪かったって。でも、止めるつもりはないな」

「好きにすればいいわ。私に選択肢なんてないのだし。私はただ、家の資産として育てられただけの小娘だったんだから」

「そういうな。これから仲良くしていこうぜ」

「マスターが望むなら、売られた私は大人しく言う事を聞いてあげる」

「ああ。今はそれでいいや。んで、次だな」

「何が出るの?」

「わからないが、人だな」

「召喚?」

「そんな感じだ」

 

 キャラクターカードを使用すると、魔力が足りませんという表示が出た。なので、魔力量増大・上級を覚えて魔力量を増やしてから使用する。するとカードは俺の中に消えて魔法陣が出現した。その中から光が集まり、一人の少女が現れた。黒い鎧とマントを身に着け黒の聖剣と旗がついた槍を持つ金髪金眼の美少女。

 

「サーヴァント・アヴェンジャー。召喚に応じ、参上いたしました。どうしました、その歓喜に満ち溢れた顔は。さ、契約書です」

 

 現れたのは大好きなキャラクターの一人であった。

 

 

 

 

 


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