モロッコ、サハラ砂漠。そのとある場所にある小さな国家、ガルド王国。
人口370人の小さな国だ、国王もおりしっかりとした独立国家だが実質的にモロッコの土地の一部として組み込まれている。
代々続くモロッコの国王たちにその存在を認められ細々としっかりと続いている由緒正しき国だ。
「しぬぅ…」
そんなガルド王国付近の砂漠ではカゲトが根を上げていた。
「開発長…頑張ってください…」
エジプトに密入国しモロッコに向かいサハラ砂漠を横断していたカゲトを除く15人ほど少年兵の団体は故障し擱座したホバー式の軽装甲車《ブラッドハウンド》を修理していた。
「こんなところで故障するなんて、不運っすね」
持ち込んでいた水を飲みながら修理するカゲト。炎天下の中、手袋をしながらの修理はやりにくいし蒸すし御免被りたいのだが手袋なしでやれば加熱した装甲にやられ手が大火傷してしまう。
「やはり夜を待ちますか?」
「それも一つの手っすね」
革命軍の本格稼働より2年前、ISは実質的に世界を支配し世界を引っかき回している。それによりのし上がった女性主義団体がモロッコで怪しい動きをしていると聞いて来たわ良いもののこれでは辿り着く前に死んでしまう。
「はぁ、これならMSでひとっ飛びした方が良かった…」
既にタオルで顔を拭き、ため息をついた瞬間。突然の銃声が響き、カゲトの顔のすぐ側に着弾する。
「は?」
「敵襲!」
カゲトは状況が理解できていないながら身を翻しブラッドハウンドを楯にしつつライフルを構える。他のメンバーも少年兵上がりの手練れ、すぐに迎撃態勢を整える。
「本当についてないっすねぇ」
充分に加熱したライフルを構えながら望遠鏡で敵を覗く。敵は複数、地元民と思われる屈強な男たち、少年兵も混じっている。そんな奴らが指示を出しながらこちらに向かってくる。
「どうしますか?」
「狙われる理由が見つからないっすね。向こうの勘違いかこっちが縄張りに入ってしまったか…。とにかく生け捕りにするっすよ、殺したら面倒になる」
「「はい!」」
MSを出せばすぐに解決するのだがまだその存在は公にしたくない。自身の命が危ないときだけしか使用できないだろう。
ーー
結論から言えば、MSを使ってしまった。地の利は完全に向こうにあり対処できなかったのだ。
ディザート・ザク9機、ドム4機、ドム・トローペン2機と言う砂漠の戦闘に対応した機体たちは難なく襲撃犯たちを捕縛して言行ったのだ。
「このやろう!」
「我らの土地には一歩も踏み入れさせんぞ!」
「鋼鉄の悪魔が!」
捕縛した襲撃犯たちはそれぞれ罵声を上げながらカゲトたちを罵っていく。それに対してどんな反応を見せれば良いか困る彼らはとにかく話を聞けことにした。
「待つっすよ。状況が理解できないっす」
「とぼけるな!我々の土地を奪いに来たのは知っている。その鋼鉄の悪魔がその証拠だ!」
複数の男達の中でも一際大声を出し暴れる少年、深めの帽子を被った少年の様子を見てカゲトは違和感を覚える。
「もしかして…」
少し乱暴に帽子をもぎ取る。するとそこには端整な顔立ちの少女が現れた。
「女…」
「女で悪いか!」
「いたぁ!」
女と言われ頭にきたのかカゲトの顔面に頭突きを叩き込む。思わず顔面を抑えて痛がるカゲト。
そう、カゲトの顔面に頭突きをかました少女こそ、今の相棒ケイニだったのだ。